作者はこれ書いてる時、『鋼鉄の鳥』聴いてます。
好きなんですよあれ
全くもって先が読めない戦況図を睨む。
「アクティブデコイ各機は無音潜航、動きを悟られるなよ。あくまで切り札だ」
「了解です」
群像の指示にアクティブデコイの操作を始めとした責任をとる僧がコンソールを操作していく。
「敵魚雷群、我が艦へ到達まであと最短5秒!」
「防衛システム、フル稼働だ。イオナ、振り回せ!いおり、機関出力最大でもたせてくれよ?」
「わかった」
「はいはい、任せてよー」
コクンと頷くイオナと元気な返事を返してきたいおりを確認すると、次の作戦を……………と頭を回転させる。
「魚雷の爆音による海中騒音により、ソナー感度低下してます。事前に確認した音響データからある程度予測できますが、どうしますか?」
「ピンを打つんだ。この際こちらの位置情報がバレてしまっても構わないしな。」
「了解、ピン打ちます……………ッ!?魚雷群、前方より最接近!感50!」
「急速潜航、レーザー発振システム全機フル稼働、攻撃の面を広げるんだ!」
「艦長、取り敢えず乗り切りましたよ!」
「良くやった!」
さて、ここから────
「ごめん、グンゾウ!」
「何をぉっ!?」
「ぐぅ!?」
「ぎゃ?」
『きゃ』
艦の急激な動きについていけずに、クルー全員が右方向に倒れ込んだ。
「どうした!」
「後ろから狙われてる」
「!本当です、左弦後方より魚雷多数。タナトニウム反応、侵食魚雷でした!」
「なんだと!?」
そう、今までは敵の攻撃は相手が潜水艦ということもあり、魚雷がレーザーなどの光学兵器が主であった。そのため、攻撃は敵艦がいる方向からだけだった。それが続いたせいで、前方からしか攻撃が来ないと
トゴンドゴン、と魚雷が起爆する音、侵食魚雷が起爆した音が艦内に鈍く響く。
「試作していた、誘導兵装が役に立ちましたね」
「咄嗟の判断だっただろうによくやった、僧」
「いえいえ、礼ならイオナに言ってください」
「勝手に使った。すまない」
「いえいえ」
「そうか……………二人共よくやった」
僧とイオナを交互に見やるとフッと笑った。
さて、一難どころか二難を乗り越えた一行。
(いったいどうやってだ……………わざわざ距離のある我々の艦より後方に飛ばしてからこちらを狙うメリット、意図が全く読めない。アクティブデコイを使うことなんて出来るはずがない。では一体どうして……………)
「1番から6番、通常弾頭魚雷装填!7番8番に音響魚雷装填!タイホウの演算リソースを削るんだ!」
「おっけーおっけー!予測不能な打ち方しろってことだろぅよ」
「音響魚雷起爆タイミング、任せるぞ」
「ほいほい」
後ろから攻撃されたことに疑問を感じた群像は、そのことを考えながらも、杏平に指示を出す。
(そして、我々のいる場所の深度は深いわけでもない。これでは八方塞がりや四面楚歌とかそんなレベルでは済まない)
「潜航、海底を這うぞ。後ろからも来るんだ、対応圏を上方向に絞るんだ!」
(さて、一体どうやって……………)
「音響魚雷、起爆まで3────2────1」
キィィイイン────────
「機関停止、無音潜航。海底を這え」
これで少しは考える時間が手に入るというものだ。
さらに考えこむ群像に静が声をかける。
「艦長、意見具申宜しいでしょうか?」
「ああ」
小さく手を挙げる静に、発言するように促す。
「空母と言うくらいなので、艦載機なのでは?と思いまして」
「ほぅ……………」
イオナから聞いた話と、過去の戦術データからの知識では
先の大海戦で空母は、艦載機を使っていた。そう、『いた』というだけあって今は使っていないはずなのだ。なんでも、艦載機各機は霧の艦隊が持つ鉄壁のシールドであるクラインフィールドが展開出来ず、地球の最終連合に撃ち落とされてしまったらしく、それ以来使われなくなったのだとか。
「そうだったな、イオナ」
「そのはず。しかし……………」
イオナの歯切れの悪さに群像は椅子から少し乗り出してイオナの方を覗き見る。
「仮にも敵は海域強襲制圧艦隊旗艦。艦載機を落とされない自信があるのか。はたまた、ほかの理由があって艦載機を運用していてもおかしくはないと思う」
「なるほど」
確かに、タイホウが艦載機をも使って我々を攻撃してきているとなれば色々と合致がする。
(艦載機を使わなくなったのは撃墜されてしまうから。しかし、それは対空装備や兵装をもつ海上艦のみ。我々のような潜水艦は対空装備や兵装を持っていない。
そこに艦載機を使うという戦略が、生まれるのであれば、海中を泳ぎ回る潜水艦を文字通り囲い込むことが出来るというわけか)
ただの憶測かもしれない。
しかし、群像にはなぜだかこれ以外の理由があるとは思えなかった。
いわゆるのところ勘、ある種の確信がそこにはあった。
「艦載機を上手く運用しているな」
「やはり、艦長もそう思いますか?」
「ああ」
「しかし、廃れて行った艦載機などいまさら」
静に言葉を返し、質問をしてきた僧に先ほど考えついた自分の考えを伝えていく。
「なるほど……………たしかにそれなら」
「しかしよ、群像。こっちだって対空装備0って訳でもないんだぜ?」
「ほんとうか?」
「ああ。
「なるほど……………」
しばしの熟考────
「よし、敵は艦載機を、使った擬似的な群狼戦術を、使ってくる。我々の認識はこれでいいか?」
「ええ。四方八方、いやそれ以上の角度、場所から放たれ、走り抜ける魚雷による飽和攻撃。確かに、並の作戦よりも確実に敵を落とせるでしょうね」
群像の言葉に補足しながら、僧が肯定する。
「よって、さっきも言ったが、敵の、攻撃の対応を上方向飲みに絞る。損害箇所をパージ、レーザー発振システムや、その他上方向に対応できる武器を優先して修復。イオナ、杏平と相談してやってくれ。」
「わかった」
よっと、台座から飛び降りてトテトテと杏平のコンソールの手前までイオナが歩いていった。
「いおり」
「ほえ?」
「あれを。ヒュウガからの分捕り品を、使うぞ」
「えぇええ!?」
群像の一声にいおりはディスプレイ越しに目を見開き、顔をマジカに近ずけて、群像に叫び声を返す。
「だって、あれ!まだシミュレーションでしか動作確認してないんだよ!?何言ってんの!」
「なに、実際に使う機会が想像以上にはやかったのと、実験会場が想像以上に危険なだけさ」
「でもー」
そんなことを言うのであれば────
「今、そっちにイオナ2号を送らせたよ。まぁ、期待してるぞ」
こちらに向かって親指を立ててドヤ顔?を決めるイオナに手を振り返すと改めてディスプレイを見る。
「うー、わかったよ!やるよ!任せなさいよ!」
「頼りにしてるぞ」
髪の毛をぐわしぐわしと雑にかくと、目付きがプロのそれに変わった。
コンソールを弄りながら、専門用語をブツブツと呟くその姿への変わりようを見て、群像は小さく笑った。
大きく深呼吸をして、
「タイホウを引き分けまでに引きずり落とす算段がついた」
そう言うとニヤリと笑った。
ShinGen様、雪紫様、古原司様、ryo0000様、評価ありがとうございます!
感想も頂き感謝です!
その感想の事なんですが。
こんな展開だったら、こんな兵装だったらみたいなの書いてくれると参考になります。
実際、原作でも空母は攻撃手段がハッキリしてません。ぶっちゃけオリキャラに片足どころか腰ほどまで浸かっている気がします。
ので、もしよろしければお願いします。
今回も、読んでいただきありがとうございました!
(タイホウのスペックとか書いた方がいいのかな……………)