俺の幼馴染が踏台転生者で辛いのだがどうすべきだろうか?  完   作:ケツアゴ

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待たせました 全部ミニスーファミが悪いんや


俺も青春を謳歌したいのだがどうすべきだろうか?

 海に来たテンションから無邪気に燥いでいた遥だが、少し落ち着いたのか何時ものテンションに戻ってしまっていた。あのまま普通にしておけば普段から口にしている通りに完全無欠の美少女だったというのに……。

 

「来た来た来た来た、水着回来たー! これはアレだね。開放的になったヒロインと主人公である私が急接近。一夏の危険で甘酸っぱい思い出って奴だ。ふふふ、燃えて来たよ」

 

「ああ、そうか。お前の頭は普段から危険だし、是非ともそのまま燃え尽きてくれ」

 

 グッと拳を握り締めて欲望を叫ぶ馬鹿に辟易しながら辛辣に呟く。急に俺の手を取って物陰に連れて来たかと思えば妄想を聞かせるためとは呆れたものだ。どうせ俺に何か手伝えとか言ってくるのだろうが、リーダーとして他の面々のリフレッシュの為の遊興の邪魔はさせん。

 

「……おい」

 

 妙に張りきっって不気味な遥の腕をつかみ、不意に引き寄せる。真剣さが伝わるように視線を合わせて告げた。

 

「今回の海水浴だが俺と過ごせ」

 

 どうせ世話を焼くのも不始末の後始末もいつものことだ。ならば身近で見張る方が意識を割かないで良い分楽しめそうだ。遥はジッと俺の瞳を覗き込み、顎に指を当てて考え込んだが歯を見せて笑みを向けてきた。

 

「仕方ないなぁ。偶には君の頼みを聞かないと愛想を尽かされそうだからね。うん、君と一緒に過ごすよ」

 

「悪いな。ああ、それと安心しろ。馬鹿をやれば仕置きはするが俺がお前に愛想を尽かす事はない。ずっと近くに居てやるさ」

 

 さて、これで安心して遊べそうだな。海の家がないから雰囲気だけで美味しく感じる高めの料理は食べられないが……釣りでもするか。素潜りで貝類を探すのも悪くないな。

 

 何をして遊ぼうかと考えて居たとき、肩に手を置かれたので振り返ろうとすると、それよりも前に遥が背中に飛び乗ってきた。

 

「少し太ったか? 菓子ばかり食ってゲームばかりしてるからだ」

 

「ウエストはキープしているし腕にも無駄な肉は無いよ。でもさ……君の背中に当たっている部分はまた成長したんだ。……感想はどうだい?」

 

 海ということで遥は水着姿、黒のビキニだ。俺も水着なので薄い布越しに直接重量感ある双丘の存在が伝わってくる。感想はそうだな……。

 

 

 

 

「これでお前でなければ最高なのだがな」

 

「酷いなぁ。それでも将来を約束した仲かい? 私が気に入る感想なら揉ませてやろうと思ったのにさ」

 

「自分で揉んでろ。じゃあ皆の所に戻るぞ」

 

 ふてくされた声で頭をペチペチ叩いてくる遥を適当に相手をしてやりつつ声のする方へと戻っていく。しかし田中と焔を見ていると羨ましくなるな。俺も年頃だし彼女が欲しくない訳ではない。……まあ、友人は多くても恋愛感情を向けてくるのは敵だけだがな。

 

 クラス中の友人との約束で予定は埋まっているが、そういった夏の過ごし方も憧れる。友人の中には付き合っている者達もいるし、きっと恋人同士で充実した夏を過ごすのだろう。

 

 リア充爆発しろ、か。友人の幸せは応援するが、少しだけなら心中で叫んでも罰は当たるまい。

 

 

 

 

 

 

 

「主殿ー!」

 

 戻るなり今日泊まる予定であるエリアーデの別荘から飛び出してきた小鈴が飛びついてくる。咄嗟に受け止めようとするも今は遥が背中に乗っているので手は空いていない。結果、サラシを巻いただけというエリアーデの影響らしい格好の小鈴は飛びついた勢いで俺の頭に抱き付いた。

 

 顔面にサラシによって圧迫されるも存在感を主張する物が押し付けられた。……がっ、即座に轟によってポニーテールを掴まれて引き剥がされた。

 

 

「……着痩せするタイプでしたか。いえ、今はどうでも良いです。何馬鹿なことをやっているのですか」

 

「拙者は主殿に初めての水着姿を披露していただけだ。貧相な貴様では無駄だろうから理解できなかったか?」

 

 ……うん。一刻も早くこの場から去りたい。いや、轟も似合っているぞ? 水色のパレオ付きの水着。今は口を挟める状況でないので言えないがな。双方ともにらみ合っていた時、不意に背中が軽くなる。俺の背中から飛び立った遥が二人の間に降り立ったのだ。おい、馬鹿。状況を悪化させる気か!?

 

「まあ落ち着きたまえ。可愛い顔が台無しだ。……それと彼は彼に願われて私が独占するから仲良くするんだ」

 

「……本当ですか?」

 

「この変態の虚言ですよね?」

 

「似たニュアンスの事は言ったな。まあ、明日も遊ぶことだし仕方ないか」

 

 小鈴は兎も角として轟まで固まっているが……ああ、友人が少ないから友である俺と遊ぶのを楽しみにしていたのか。少し悪いことをしたなと思ったとき、遥が居なくなってがら空きになった背中に柔らかく重量感の有るものが再び押し付けられた。

 

 

「いいんちょーと遊べないのー? でもでも、夜中にはトランプとか出来るんだよねー?」

 

「ああ、勿論だ」

 

 流石は治癒崎だな。何とか二人のショックを和らげてくれた。……しかに海に来てまで何故に学校指定の水着なのだ? ……小柄な体型に合わせたサイズにしたので一部がだな……。

 

「焔は……田中と一緒か」

 

 

 

 

「未だ泳げないのか? 仕方ない。今日は練習に付き合ってやる」

 

「ありがとう。頑張って泳げるようになるね。そうしたら一緒に泳いだり出来るし……」

 

 仲が良くて結構だ。まあ、俺がドタバタに巻き込まれている時に何を、と僅かに思うがな。リア充共め。さて、遥がサンオイルを塗って欲しいそうだから塗ってやらねばな。

 

 

 

 

 

 

「ふふふ、見たかい? 彼女達が向けた嫉妬の視線を。嫌よ嫌よも好きの内。心の奥では私への愛が確かに有るのさ。これだからモテる女は困…ひゃっ!? オイルは温めてから塗ってくれ!」

 

「海に来てまで馬鹿な話を聞かされる俺の方が困るのだが?」

 

 遥はシートの上に寝転がり、背中の紐を外すと俺にオイルを塗らせながら話を始めるのだが聞いていられんな。背中を塗り終えたので今度は頼まれるままに側面や腕や足に塗り込んでいく。海に来てまで俺は此奴の世話とは情けないな。

 

 

 

「やあやあ委員長君。私達もお願いしても良いかい? 彼女が動けない間にね」

 

「……それに委員長なら邪魔をさせないとおもいますので」

 

「主君に何をさせるのだとは思いますが……あっ、私はロボですが焼けますよ? 拙者を作った馬鹿は一応天才ですから」

 

「お願いねー」

 

 遥にかまけて放置するのだし、彼女達だけ駄目とは言えないが……こんな時に焔は田中と遠くで良い感じだ。リア充爆発しろ。

 

 

 

 

 ああ、せめてトランプは楽しみたい。夜まで妙なことにならねば良いのだが……フラグになりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてこの時の嫌な予感は的中する。この日の夜、ソファーに座る俺に正面から遥が抱き付き、耳元で囁いてきた。

 

 

 

「私は君が好きなんだ。君で良いのでもなく、君じゃないと駄目だ。私の全てを君に捧げる。だから……私を愛して欲しい。いや、愛してくれなくて良い。欲望のはけ口にするだけで良いから私の愛を受け取って側に居させて欲しいんだ」

 

 ……どうしてこうなった。

 

 




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