現代傭兵の異世界休養録   作:フリズム

8 / 19
んんっ! 戦闘?回です。


七話目 アジトのようです。

暫く歩くと、屋根が一部しかない、広めの廃墟が見えて来た。外に何人か、この世界に来て初めて見た人間の服装と考えると、山賊だと分かる。

多分、ここが拠点なのだろう、外の守りが薄い所を見ると、どうも襲撃は考えていないように見える。

咄嗟に使い慣れた銃を買ってしまったが、AKを買ったことに後悔する必要があるようだ。突撃銃などの長物は、室内などでは壁に引っ掛ったりし、扱いずらいのだ。

 

取りあえず、固まっている三人に照準。一人二発使う要領で連射。確実に仕留める。

 

木の陰から躍り出ると、出入り口の脇に背中をつけた。

 

物音に気付いた中の二人が出入り口からでてくると、足を伸ばし、一人を転がし、もう一人に懐から抜いたベレッタで撃ち、立て続けに転がした一人にナイフを突き付ける。

 

「中に何人いる?」

「お、教えないぞっ!」

「ん? 立場が分かっていらっしゃらないようで」

 

太ももに一発と考えたが、手持ちの銃では明らかに木っ端微塵になるので、投脚用に買った、鍛冶屋のナイフを太ももに突き立て、二・三度捩じる。

 

「あっがぁっ!」

「それで、何人中にいる? お前らの奪っていった物はどこにある?」

「お、奥の部屋だっ! ふ、二人しっかり居るっ! それで、残った仲間はあと3人で、頭が奥の部屋にいるっ」

「おう、おう。 ご苦労さん。」

 

ナイフを抜き、後頭部にベレッタの銃底を絶妙な力加減でたたきつける。 敢え無く男は悲鳴を上げながら気絶した。

 

出入り口に転がして置き、なベレッタを懐のホルスターに仕舞うと、AKを油断なく腰溜めに構え、中に入る。

疑問が一つ。何故男は二人と言ったのか。 もしかしたら、シルヴィは別の所にいるのかもしれない。

 

不意に殺気がドア越しに感じる。迷いなく三発ドア越しに連射する。 すると人が崩れ落ち、ドアを押し倒した。体当たりをするつもりだったのだろう。

 

その上を跨ぎ、中に入ると、今度は勘で腰を下げる。頭上を鈍い音が通りすぎる。

 

「矢、か。 また古風だな」

そう呟きつつ、矢が飛んできた方向に三発発砲。気配が消える。

 

「あと、一人と頭、ね。」

割と広い部屋を進んだ。

 

~~~

次第に屋敷に屋根がつき始めた。するとナイフが耳元を掠りながら通り抜ける。

 

「ここから先は通さん。 帰れ。」

「んや、お前さんが邪魔だから。」

AKで二発発砲する。 急に攻撃され、驚いたのか、何もせず鉛弾を喰らい。崩れ落ちる。

 

「んー。 呆気なかったな。」

そう言いつつナイフを抜いて後頭部を守るように回しておくと、短剣の様なものが当たる。

「んなっ、ばれただとっ?」

「そりゃ、殺気ばらまいてりゃ、気配位丸わかりなんだが。」

 

コンパクトに身体を半回転させ、短剣を薙ぎ払い、向き直ると、驚いたように佇む男がいた。

「んや? 女か。」

「そうだ、悪いか?」

 

訂正、女だった。 

 

「そんで、次は何をするんだ?」

「くっ、舐めやがってっ」

 

上半身に、斜め下から右足蹴りが飛んでくる。 AKを足元に置き、落ち着いて半身を引くと目の前に蹴りの残像が見えた。落ち着いてナイフで浅く切りつつ、躱す。 兎に角躱して切りつけた。

 

「くっ...」

女の顔に苦悶の表情が浮かぶ、何しろ相手は最小限の動きで体力と浅い切り傷を延々とつけてくるのである。 それはこちらも同情する。

 

「まあ、シルヴィ誘拐してったし、しょうがないよな?」

女の肩越しに問いかけるように声を掛けると、奥の扉が蹴破られた。

 

「良くも俺の女をっ」

おお、ここまで当たるのも面白いものだな。初めてこの世界にきて、見たリーダー格っぽい奴が飛び出してくる。

その奥に、長い金髪と、シルヴィが見える。

 

「ああ、そうだったのか、申し訳ないな、少々寝ててくれ。」

ベレッタを抜き、壁に一発。 すると、跳ね返った弾丸がリーダー格の肩に当たり、のけぞって倒れた。

 

「このっ」

「申し訳ない、手抜いてた。」

 

もう一度、女の鋭い右蹴りか一閃するが、無理やり腕で身体をカバー。 腕にあたると、骨が軋む音がするが、慣れっこなので、顔を顰めつつ、そのまま足を掴み、こちら側に引き込みながら、左腋腹に左足で膝蹴りを入れ、床に転がす。

 

「シルヴィの前で何となく人殺ししたくないんだよな、まあ、寝ててくれ。」

 

銃底でたたきつけ、女と、男を気絶させる。

AKを拾い、M870とは別の肩に掛ける。 そのまま部屋に入った。

 

「達哉...さん?」

「おう。 達哉だ。」

「ご迷惑、お掛けしました...」

「そうか? まあ気にすんな。 敵の練度とか、魔法とか出てこなくて助かった。」

屈んで、頭を撫でると、シルヴィは気持ちよさそうに目を細めた。

 

「横の金髪は?」

「えと、前から此処に居たみたいで...」

「ん?」

 

寝転がった小柄な体を仰向けにさせると、ボロ布を纏った、これぞファンタジーの代名詞が居た。

 

「エルフか。」

「みたいです。」

 

どうすっかなぁと考えながら、大人数が駆け込む足音を聞いていた。

 

 

 




はい、お疲れ様です。 ふりずむです。
お気に入りがどうやら30を突破したようで... 有難うございます、見てくれている方がいるんだなぁと感じ、しみじみするふりずむです。
あと、1話で、次章です。 閑話、エピローグを挟んで終わろうと思うので、これからもよろしくお願いします。
では、書き終わり次第、次話を投下します。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。