現代傭兵の異世界休養録   作:フリズム

7 / 19
膨れ上がる文字数。 切る場所が思い付かず、続いてしまった...


六話目 車椅子と、シルヴィ

軽く、スープのようなものをギルドで朝食として摂り、シルヴィを背負い、次の目的地へと行く。 案内屋に聞いておいた、車椅子のようなものがある店だ。

取り敢えず、候補を一つ言ってもらったので、そこに来てみた。

 

「ごめん下さい。」

「はーい。」

 

日本式で挨拶をしてしまったが、伝わったようで何よりだ。

 

店内はそこそこ広く、剣やら、盾やら色々置いてある。所詮、鍛造屋と言われる店だ。

 

「どちら様ですか~。 っと。 初めての方ですね。 ご用は何ですか?」

「ああ、車椅子のようなものが無いか探しにきた。」

「ん~。 これでよろしいですか?」

 

奥の暖簾を潜ってきたのは、身長が現代で言う、中学生ほどの女性? 女の子だった。

近いものを引き寄せると、ころころと転がし、此方に寄ってきた。

 

「ん、シルヴィ。 これで良いか?」

「乗せて頂けませんか?」

「おう。」

 

出てきた車椅子は、フレームを木材で作り、要所要所を、鉄鋼で補強された車椅子だった。

四輪製で、後部の二輪が主輪で大きく、足元の副輪が小さいもので、それぞれの転輪は、フレームを鉄鋼で、地面との設置面をゴムらしき素材で覆っていた。

 

「これはですね、中に骨組みとして鉄柱を組み込んでいるので、耐久性はそこそこあるはずです。」

「ふーん。 どうだ、シルヴィ?」

「これでお願いします。」

「そうか。 これいくらだ?」

 

そう言うと硬貨入れを出し、金額を言われるのを待った。

 

「ん~。 金貨20で、初めてご来店して下さいましたよね? 良かったら他にも見ていって下さい。 帰りに声を掛けて下さい。 そのときに代金を払って下さい。」

「わかった。 もう使っても良いか?」

「はい、お構い無く。」

 

そう営業スタイルで微笑まれると、店員らしき女の子こは引っ込んで行った。

 

「あんなに無遠慮で良いのか? 持ち逃げされるかもだぞ...」

「見た目が優しそうですからね... 達哉さんは。」

「そうか? これでも結構年は食ってるんだが?」

「そうですか...? 私には同い年に見えるのですが...」

「ん? そうか?」

 

シルヴィに不思議そうに言われたので、試しに切れ味が良さそうな曲剣に顔を反射させてみる。

 

「ん? ん!? たまげたなぁ。 本当に若返ってやがる。」

 

写った顔は、高校生程度顔つきに戻っており、以前のシケた顔では無くなっていた。 思わず頬を撫でる。

 

「そうでしょう? なので、あの女の子は、大丈夫だろうと踏んだのだと思いますよ?」

「どっちにしろ、店員はやってはいけない事をやっていると思うのだが...」

 

苦笑いしつつ、近くの細いナイフを手に取る、軽く、持ち手も刄から直接作られている。

 

「おお、これは使えそうだな。」

 

三本ほど手に取り、他を見渡す。

 

「いっぱいありますね~。」

「そうだな... 取り敢えず、宿に戻るか。」

「はい、達哉さん。」

 

そう言い、店員を呼びつけると、会計を済ませ、車椅子にシルヴィを乗せて、街をブラブラと歩くことにした。

 

~~~

「うふふ。 楽しかったです。」

「そうか? なら良かったんだが。」

 

といっても、屋台で食べ物を買い食いしながら、街を見て回っただけだったのだが。

今は夕暮れ時になり、宿に戻り、夕食を待っている。

 

「達哉さんと回ったから楽しかったんですね...」

「ん? なんだそれ。」

「うふふ...」

 

怪訝に思いつつ、料理を待つと、案内屋の女性が夕食を持ってきてくれた。

 

「ありがとう。」

 

ありがたく食事にありつくのだった。

 

~~~

シルヴィを部屋に戻し、少し広場に出てきた。 目的はギルドである。

どんなのが依頼としてあるか、見に行こうと思いつき、腹ごなしのついでと思いつきである。

黙々と歩き、目的の場所に着くと、今朝とは違い、迷いなく扉を開けた。

すると、聞こえる喧騒。 今朝と騒がしさは変わらなかった。

なぜ、シルヴィを置いてきたかと言うと、疲れていたのか、ベットに横たわらせると、直ぐに寝付いてしまったからだ。

 

「どうされました?」

「依頼はどんなのがあるか見にきた。」

「あっ、今朝の方ですね。 あちらの板に貼られているのが只今募集の依頼で、そのしたにあるまとめたものが、常時募集している依頼です。」

「ありがとう。」

 

今朝と同じ職員と受け答えをすると、板と向き合い、依頼を見た。

 

「ふむ... 掃除してくれ? ああ、そう言う依頼もあるのか。」

雑用から、定番の魔物退治。 旅団の護衛など、幅広く載せられていた。

と、そこに、焦るようにギルドに転がり込んだ一人の兵士がいた。焦る口調で、口早に繰り出す。

 

「も、門が。 山賊に、あいつらに壊された!」

 

内容は、山賊に襲撃を受けたということだ、だが、次の言葉に、流石に焦りを浮かんだ。

 

「み、南門だ、 中央西門じゃねえ、あいつら、山から直接攻撃しに来やがった!」

「お、おい。 応援行くぞ、中まで入ってこられたらたまったもんじゃねえ。」

「ああ、おい、行くぞお前ら!」

 

ぞろぞろと南に行く集団に、流されるようについていった。

 

~~~

着くと、門が砕け、数人の亡骸が通りに転がっていた。

 

「んなっ... もう撤退しただと?」

 

誰かが驚き、声を上げた。

後ろ側から、人を掻き分け、宿に戻ると、泣き崩れる案内屋がいた...

 

「おい、どうした。」

「つれ...さられてしまいました...」

 

ここで、頭が逆に鎮まる。 ウインドウを開き、迷わずAK-47と40程の弾倉、数本の手榴弾を買っていた。

 

「シルヴィ...さんです。」

 

女性に近寄る。 勘違いした女性が、身を震わせ、「ごめんなさい...」と連呼する。

武装を整えながら、屈んで、女性の頭をなで、宥める。

 

「綺麗な赤い髪だな... 大丈夫だ。 連れ去られた事を言ってくれて助かる。」

頭を撫でつつ髪質が良いことに、顔を綻ばせて話す。

「えっ... 怒らないんですか?」

「いや、しょうがないだろ、足元の靴底のあと、複数人いるつき方だぞ。」

「えっ、そんなことまでわかるんですか?」

「まあ、そうだな。 んじゃ、寝床の準備を頼むぞ。」

 

ゆらりと立ち上がり、AKを取り出すと、初弾を装填し、M870に初弾を装填する。

 

「まあ、ちょいと一捻りして来ますか...」

 

~~~ 

宿から外にでて、門の前を無言で通るが、手を伸ばし、止めようとする人物がいた。

 

「いくらなんでも、ルーキーだけが行っていい奴らじゃねぇ。 おとなしく待ってろ。」

手首を捕まれ、止めた気でいる声を掛けた人物は、今朝、ギルドで大笑いをし、発破を掛けた人物だ。

だが、冷静になっていた体は、思い通りに動いた。

まず、手首を返し、強引に手首を逆に掴むと、ローキックで相手の体勢を崩した。崩れた姿勢を直そうとするまもなく、強引に手を自身に引き込み、後ろへ転がす。

 

「んなっ。」

 

少なからず見下していたのだろう相手に簡単に転がされたことに、呆然としている。

 

溜め息をつくと、もう一度駆け出した。

 

~~~

森へ入ると、不意に刃物のような鈍い光が見えた。

咄嗟に照準、セミオートで三発立て続けにAKを発砲。 一つ崩れ落ちる音がなった。

お構い無く、集団が歩いた微かな跡を追う。

広い空間に出ると、今度は奇怪な生物に出会う。

 

クギャ? と鳴き、振り替えれば、鬼のような顔をした、幼児程の背に、棍棒のようなものを持つ生物... 恐らく、ファンタジーな生き物である『ゴブリン』がいた。

だが、邪魔であることに代わりない訳であって、容赦なく頭に撃ち込むと、綺麗に砕け散った。

 

「初魔物討伐なのに、感動も何もねえな。」

 

引き続き、山賊の後を追う。

多少は森のなかで、足場が悪く、動きにくいはずなのだが、慣れた足つきは、道を走るような軽快さで、森での歩を進める。

笑みのない顔つきで、頭の中で考えていることはただ一つ。シルヴィ奪還のみだ。

 




お疲れ様でした。ふりずむです。
次回は、戦闘回です。 お相手は、十数人の山賊です。 前、シルヴィの住んでいた村を襲撃した集団ですね。 話の展開が早くて申し訳ない。 (主に時系列が
次回と、もう一話を含んで、ゼロ章を終える予定です。
見切り発車でしたが、軽く書かせて頂きました。 
また、ゼロ章を元に、まだ書いていくか決めたいと思います。では。またちまちまと書きますかね...

また、改稿して出すかもです。(主にシルヴィとの日中の絡みについて。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。