ヤンデレ☆イリヤ   作:鹿頭

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やったぜ!2話連続だ!


もしもカルデアに飛ばされたら2

 

 

 

数ヶ月後。

 

冬木で起こった特異点修復後、天の衣とエミヤ(殺)が召喚された。

 

「えっと…貴方も、エミヤ、なのよね」

 

「…血の繋がりは無いがな」

 

「じゃあ、貴方も私の子供よ!」

 

「だから、血の繋がりはないし、私は面識が無い」

 

「もう、そんなつれないこと言わないで!」

 

 

わーたいへんそうだなー。

そんな会話が、食堂前で交わされている。

食事を摂ろうと思ったが…後回しにしよっ…わっと。

 

人にぶつかってしまった。

 

「あ、すみませ……!ん」

 

エミヤ!エミヤ(殺)じゃないか!

 

「別に、気にしてない」

 

「あ!キリツグ!キリツグじゃない!」

 

「…だから、僕は君の知っている僕じゃないと」

 

あ、エミヤ(弓)が此方に気付きやがった!

あー!ニヤニヤしやがって!

 

「アイリスフィール、少し良いかな」

 

「うん?なーに?シロウ」

 

おっとお前待ちなさい

 

「彼処に居る彼も衛宮、と言ってね」

「平行世界の、私の弟に当たるのかな」

 

「まあ!そうなの!」

 

ああ!シロウてめぇ!めっちゃ良い顔しやがって!

 

あのすいません、かあ…アイリさん、離して貰えます?

 

「ちょっとちょっと!今なんて?なんて言おうとしたの?母さんって!ちょっと聞いた?キリツグ!」

 

「僕はこの中の誰とも面識が無いんだが…」

 

「私もないさ」

 

俺もない。

 

「もーう!どうしてみんなしてそんな事言うの…」

 

泣きそうになる天の衣。

 

「その、なんだ、悪かった」

 

「私も大人気なかった」

 

ごめんなさい、母さん。何とか機嫌を直してくーー

 

「今なんて?もう一回言ってくれる?あ!シロウもホラ!母さん、って」

 

エミヤ(弓)がすごい顔をして此方をみる。

先ほどのお返しさ。

そう言わんばかりに笑顔を見せる。

 

「なんでさ…」

「あー!ほら、シロウ!お願い!」

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

ファーストレディが創り出した特異点修復が終わった。

 

お兄さん、と藤丸君の事を呼ぶイリヤをモニター越しに見て、何度も何度も血反吐を吐きそうになったが、アレは俺の知ってるイリヤじゃない…クロエも違う…違うんだ…と自己暗示をかけてなんとか乗り切った。

乗り切ったんだ!

 

あー、仕事楽しー!

 

「あの…衛宮君。頼むからさ、少し休んでくれないかい?」

 

なんでですか?こんなにも仕事が楽しいのに!

 

「何日も徹夜して働く君の事を怖がるスタッフが出てきてね…最初は申し訳なさそうだったけど、今では恐怖だよ!なんなのさ日本人!どうしてそんなに働くんだ!」

 

働きたくて働いてるんじゃない!働かないとやっていけないんだ!

 

「訳がわからないよ!とにかく、これは命令だ!君には3…5日分の休息を取るんだ。あ!持ち帰りもダメだからね!フリじゃないぞ!」

 

チッ…はーい。

 

「舌打ち!?今ボクに舌打ちしたよね!?」

 

あの頃の素直なキミは何処へ…

嘆くロマニを無視して、渋々ながらも部屋に向かう。

 

イリヤとクロエがこのカルデアに召喚された。けど、知っている二人では無いのだろう。

……今ならエミヤの気持ちが何となく、いや、理解できる。

キッツイもん。

おのれカルデア。

 

む、アレは…

 

「イリヤちゃん!?イリヤちゃんなのね!?」

 

「「ママ!?」」

 

「クロエちゃん…で良いのよね?会いたかったわ!」

 

善哉善哉。

迂回しよ。

 

そうだなぁ…ラウンジでゆっくり…したいなぁ…

 

 

あ、エミヤじゃん。ラウンジなんかでどうしたの。

 

「見るに見かねてな。キミは英霊では無いんだ。頼むから、無理をしてくれるな」

 

二人に会った?

 

「まあ、な。……妹、いや。姉がああ言った形で生きている世界もあるのだ、と思うと少し感慨深いものがある。………魔法少女、には驚かされたがね…」

 

「クロエ、と言った少女は…少なくとも、オレの記憶には居なかったな。ただ、どうして彼女が()()を使えるのか、が気になるが…まあ、そう言った世界もあるのだろう」

 

やけに割り切りがいいんだな。

 

「それくらいしないで、ここでやっていけると思うかね?」

 

それもそう、か。

 

……イリヤもクロエも、元いた世界に居たんだ。

 

「ふむ」

 

あの二人は、性格も、話し方も、同じだった。

だからこそーー

 

「怖い、か」

「彼女達が、果たして()()()なのか。いや、と言うよりは、自分が居ない世界を知っている故に、かな」

 

!?

 

「何、少々縁が有ってね…まあ、直接出向いた訳では無いが…」

 

あっそうですか…

 

「まあ何、会えばわかるだろう。当たって砕けると良い」

 

他人事だと思って…

 

「他人事だからな」

 

了解。地獄に落ちろ、エミヤ。

 

「…何故それを?」

 

秘密だ。

 

「フッ、そうか」

 

ニヒルに笑いやがって…

まあ、少し気は紛れたかな。

 

「まあ何にせよ、今日は、もう寝ると良い」

 

え?

 

「目の下のクマ、強制的に体を起こした様な節々に見られる体の不調、見るに耐えん」

 

まあ、多分もう居ないだろうし、今回は顔を立てると思って寝るよ。

 

「私ではなくDr.の顔を立ててやったらどうかね…」

 

ロマニ?ロマニ…か。うん、そうだな。そうする。

 

「やけに素直だな…」

 

うっせ。

 

踵を返して、自室に戻る。

家具だのなんだの爆破されて居たため、元居た部屋ではなく、殺風景な空間にベッドとロッカー、つまりは最低限の調度品しか置いて居ない。

そんな自室で休養とは、と言いたくもなるが、心配かけているんだ。従わざるを得ない。

 

先程、見かけた道に差し掛かる。案の定移動していてもう居ない。

そのまま進む。

 

途中途中、すれ違う同僚からは、「やっと休んでくれるのか…」と感慨深いものを込み上げられながら見送られる事になる。

 

自室入ろうとして気づく。

あ、パス…

管制室に忘れたらしい。相当疲れて居るな。

戻ると仕事しに来たのか!と言われる事は疑いも無いので、面倒になったと思う。

 

仕方がないが、取りに行くか。

なに、事情を話せばわかるさ。

そう思い、管制室に行こうとしたまさにその時。

 

「お兄…ちゃん?」

「そんな訳でないでしょ…確かに良く、似てるけど…」

 

声を方を振り向く。

信じられない。まさか、まさか。

知っている。あの二人は、知っている。

想定外。望外。

ああ、それでも、何だろうと良い。

 

再び、再び会えたのだ。

それだけでいい。そうだろう?

イリヤ。クロエ。

 

「「え?」」

 

「また会えて、嬉しいよ」

 

「お、おおお兄ちゃん!?お兄ちゃんなの!?ど、どうしてカルデアに!?」

 

「え?嘘!ホントにお兄ちゃんなの!?」

 

二人が駆け寄って来る。

ああ、懐かしい、なーーーー

 

「お兄ちゃん?お兄ちゃん!?どうしたの!?しっかりして!」

 

「ちょっと!何?何なの!?」

 

二人が、慌てふためいている姿を最後に、意識は途切れてーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

「意識覚醒が後3秒遅かったら頭部を切除してました」

 

何言ってんの!?

ナイチンゲール女史が死刑宣告を下す直前だった。

恐らくは医務室…いや、自室か。

 

「心身ともに過度なストレスを張り詰めていたのが急に緩んだ性です。暫くの間安静にして、仕事は休みなさい。大丈夫です、貴方の穴は他の人が埋めます。いいえ、医療に携わる者として、そうさせます」

 

はい。

 

「それと」

 

 

「妹さん達…ですか。とても心配されていた、とだけ言っておきます」

 

「では」

 

努めて事務的に対応し、去って行くナイチンゲール女史。ああ言う仕事人って尊敬しちゃう。

 

「「お兄ちゃん!大丈夫!?」」

 

入れ違いさまに入ってくるイリヤとクロエ。

信じられないが、本当の本当に、あの二人なのだ。

 

?…二人にしては大人しい?

 

「お兄ちゃん…。数年前からここに居たって本当なの?」

 

伏し目がちになりながら話すイリヤ。僅かに涙が溜まっているのが見える。

 

「お兄ちゃん…」

 

本当だ。

隠す事でもないし、カルデアの面々なら誰もが知っている事実だ。それを否定するのは違う。

 

「ごめん、なさい…」

 

なんでイリヤが謝るの?

それにクロエも。どうしてそんな悲しそうな顔をしているの?

 

「だって…だってぇ…」

 

あーあーあー、泣くなよ、イリヤ。

一人、孤独な生活を送ってた訳でもないし、別にお前らが数年間そんな生活を送ってた訳でも無いだろ?

 

「ウソだ。お兄ちゃん…寂しがってたってドクターが言ってたもん」

 

お前後で覚えてろよロマニ。話をややこしくしやがって…!

 

「ねぇお兄ちゃん。大丈夫だから。私も、イリヤも居るから。一人にはもうさせないから…」

 

クロエ…

 

「だからね?安心してよね、お兄ちゃん」

 

手を握ってくるクロエ。

離さない、と物語って居る様に。ぎゅっと、強く。

 

「クロ、ちょっとずるい…」

 

「こう言うのは早い者勝ちなのよ」

 

 

ーーーーー

 

「やあ!衛宮君!すっかり復活したようだ…ね?」

 

言葉が濁ってるけど、どうしたんロマニ。

 

「その…二人は確か、イリヤちゃんとクロエちゃん、だったっけ。どうして管制室(ココ)に?」

 

「お兄ちゃんが」

 

「心配だから!」

 

クロエとイリヤが元気良く言う。あのさ、あそこの同僚がざわついてるからね。ギスギスしちゃうよお兄ちゃん。

 

「うーん…まあ、いっか。二人共、他の職員の邪魔にらならない様にね?」

 

「「はーい」」

 

「衛宮君」

 

なんです?

 

「何というか…うん、ボクは君を誤解してたよ、うん。……頑張って。アーチャーのエミヤくんもそう言ってたよ」

 

お前ら…人ごとだと思って…

別に良いけど。

 

「じゃあ皆!第七特異点の捜索、今日も頑張ろうか!」

 

 

 

 

とは言うものの。

 

「あのーイリヤさーん、お兄さんとモニター眺めて楽しいですかー?ルビーちゃんはもっと、こう魔法少女らしい事をですねー」

 

「とっても楽しいよ?だから黙っててルビー」

 

「そうよバカステッキ。黙ってなさい、迷惑かかるでしょ」

 

「とほほ…」

 

同僚の配慮によって、左右が空いてる席を譲られている。一応、二人分の椅子が置かれて、そこにアレコレ小一時間は座っている。

 

最初はチラチラ見てくる同僚が最早こちらを見ていない。と言うより目に入れまいとしているのを感じる。

 

「あのー、衛宮君?」

 

はい?

 

「少し、休んで良いよ。うん、休んで?」

 

えっ

 

「おにーちゃん。いこー」

 

「ほらほら」

 

イリヤとクロエに腕を引っ張られ、無理矢理廊下に連れて行かれた。

 

すると途中。

「あ、お兄さん!」

 

「む…?あぁ…」

 

エミヤ(弓)!

 

「その、なんだね、良かったじゃないか」

 

あーうん、それは思うよ。

 

「ああ、そうだ、快気祝いに何か作ろう、何が良いかね?」

 

激辛麻婆豆腐。

 

「え?」

 

激辛麻婆豆腐。

 

「あー…お兄ちゃん…」

 

「…そ、そうか。麻婆豆腐、か。なんとまあ…」

 

やっぱ無理?

 

「まさか。やるからには腕によりをかけて作ろうとも。2人は普通の麻婆豆腐でいいかな?」

 

「うん」「お願いするわ」

 

 

 

エミヤの麻婆豆腐は、美味しかったとだけ、言っておこう。




本編もうちょっと待って、剣豪の所為でシリアス書きたい症候群抑えるの必死なの!

多分別の作品で解消すると思う

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