ヤンデレ☆イリヤ   作:鹿頭

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筆安めに書いた。
特に本編とは関係無い。
設定とか然程考慮してない。
そしてイリヤとクロエは今回居ない


もしもカルデアに飛ばされたら

「あ、衛宮くん、これ運んどいてくれるかな?それ終わったら休憩していいから」

と、Dr.ロマニは頼んで来る。

 

因みにあれから彼とは数年来の付き合いだ。

 

()()()()()()()に巻き込まれて、どう言うわけかこのカルデアにぶっ飛ばされて来た時、侵入者という事で、記憶処理だの抹殺だの何だのされそうだったのを、こちらのバカみたいな主張を信じて、先陣切って弁護してくれた、命の恩人だ。

 

その事を、偶に持ち出すと、

「いや、ね。どうにもほっとけなくてね?本当に突然ここに飛ばされて来たっぽいし?流石に、異世界から来たってのは驚いたけど。まあ、そんなのもあるんだろうなぁ、って」

 

その前によく信じたよな、ロマニ。

レフもロマニが言うなら、って事で渋々引いたし。

 

ただ、所長が難関でなぁ…

あん時は「魔術回路も無い一般人を置いとける訳ないでしょ!?しかも何よ異世界って!?魔法よ魔法!?あり得る訳ないでしょ!?」

 

とかヒステリックに騒がれてなぁ…戸籍もないってわかった時はもう発言権はこっちに無かったし、ロマニ、本当にありがとう。

まあ、「そこまで言うならロマニ!アンタが責任持ちなさいよ!」って話で、Dr.ロマニの雑用的な事をやっている訳だ。

 

戸籍も偽造…用意してもらったし。

 

と言うか、本当に雑用でしか役に立たない。魔術師組からは針のむしろって奴である。一般組はある程度あたりは柔らかいんだけどね。

これでも最初よりは出来る仕事は増えたんだけどなぁ…

 

それにしても。

イリヤ、クロエは今頃どうしてんだろう。

大丈夫かな。

 

士郎もなぁ…心配だなぁ…刺されてねぇかなぁ…

 

「…また、家族の事を考えているのかい?」

 

あ、やっぱりわかります?

 

「いやね、流石にここまでの付き合いだと、多少はね?」

 

「寂しいのはわかる。でも、残酷な事を言うけどね、そろそろ割り切った方が良いと思うよ、衛宮くん」

 

「ぶっちゃけた話なんだけどね?その妹たちって実在してるのかなー?って事を…ああ、ゴメンゴメン、冗談だよ!だから無言でボクのアカウント削除しようとしないで!」

 

もう、マギ☆マリに会えなくなったらどうするのさ!と頬を膨らませるロマニ。男のあざとさなんて求めてない。

思い出したくも無いが、一度マギ☆マリに相談してみた事がある。一応マーリンだし。

 

《えー?今の状況を楽しめばいいんじゃないかな?》

 

あんの花咲アヴァロンクソニートめ。適当な事言いやがって。

絶対ほくそ笑んでるんだろ、わかるぞ。

 

しかし、その日以降、時々同志フォウが側に寄ってくる様になった。

やはりあの野郎は殴るべきと我らの心は一致したのだ。

 

 

 

「お詫びと言っちゃあなんなんだけどさ…」

 

 

「秘蔵のケーキをご馳走するから、それで許してくれないかなー?なんて」

 

絶対サボりたいだけでしょう?

 

「あ、バレた?はははー!お願いだから白い目で見ないでくれるかな!」

 

ファーストオーダーは良いんですか?

 

「うーん、そうなんだけどね?少しくらい休んでもバチは当たらないと思うんだ」

 

それもそうですね。

 

「珍しい事もあるもんだね、僕がサボる事を黙認するなんて!明日は槍でも降るのかな!?」

 

一体人を何だと思って

 

「まあまあ、ハイ、ケーキ。コーヒーで良かったかな?」

 

「うーん、それにしてもさ」

「衛宮くんってシスコンなの? 」

 

藪から棒にどうしたので?

 

「うん、スルーか!いやね、偶にする妹さんの話を聞いているとね、そうとしか思えなくてね!」

 

否定…否定…まあ良いや別に。もう会えないし。

 

「だってさ、好きなタイプとか頑なに喋らないでしょ?」

 

二次ドルオタが何を言う。

 

「マギ☆マリをそんじょそこらのヴァーチャルアイドルと一緒にしないでもらおうか!」

 

あーハイハ…お?

 

その時、ドアが開いた。

 

「はーい、入ってまー ―――って、うぇええええええ!?」

 

叫び声を上げるロマニ。

どうやら、その時が来たようだ。

 

藤丸立香くん、ただの雑用係です!よろしく!気軽に衛宮って呼んでね!

 

「ハイ、こちらこそよろしくお願いします!」

 

ただの雑用係にそんな硬くならなくて良いんだよ!

 

「え、でも…」

 

良いの良いの。役に立たない雑用係だもの。

 

「えっと…」

 

「衛宮君、立香君が困ってるよ」

 

あー、ゴメン。反応に困るよね。

 

「あ、あはは…」

 

《ロマニ、ちょっと良いかな》

 

と、レフ教授からコールが掛かる。

なんでも、鎮静剤だか何だかをAチームだかBだかにキメて欲しいんだそうだ。

 

まあ素直に直行する様なロマニではなく。

藤丸君も交えて無駄話に花を咲かせる。

 

するとどうだ。

突如として大きな爆発音が響く。

 

「うわぁ!なんだ!?」

 

緊急事態を知らせる緊急放送が流れる。

 

「ボクは管制室に行く!衛宮君は炉心を頼む!」

 

了解!

 

プロメテウスの炉心に向かう。

この数年でまあ、ある程度の仕事は覚えた。

爆発の規模にもよるが…まあ。対処出来ない事はないだろう。

 

よし、通路は無事だな。

肝心の中は…無傷?

 

花が落ちている。

 

拾い上げると、花はまるで最初から存在していないかの如く、霞の様に消えていった。

 

………良いんだか、悪いんだか。まあ良いさ、管制室に行こう。

 

ロマニぃ!炉心は無事だったぞ!

 

「え?そうなのかい?でも助かった、これで最低限の生存ラインは確保できる!」

 

「ありがとう、取り敢えず今は手伝ってくれ!確か操作出来る筈だよね!?」

 

本当に操作出来るだけだけどな!

 

「それでも今は構わない!藤丸君やマシュの存在証明を急げ!」

 

作業をしつつ、ロマニの方を見やる。

必死、と言うか。自分でやれる事をやってるだけなのだろう。

 

モニター越しに所長に叱責されつつも作業の手を止める事は無い。

こちらの数倍の仕事量をこなしている。

ただ、知っているだけで。良くわからないけど、何とかしなければならないと思ったからーーーー。

 

 

それにしても。冬木、か。

知らない冬木だけど、知っている街が燃えているのは、モニター越しとは言え、見ていて気分の良いものではない。

 

「あー…衛宮君、無理しなくても良いからね?」

 

しまった、顔に出ていたか。

良いや大丈夫、一人でも今ここで抜けたら大変なんだろ?

 

「っ…ゴメン、衛宮君、君には苦労をかける」

 

苦労をかける、か。

まさか。貴方が居なければ、今この場に立てている訳でもないのに。

この命は、貴方がくれた様なものだ。

こんな事で止まる訳にもいかないでしょうに。

 

見れば、アーチャーと戦っているらしい。

何処か懐かしい面影を感じる。

まあ、無論向こうはこちらの事なんて、知る由も無いのだが。

他人とは言え、数年ぶりに見る事が出来たのは、なかなかに感慨深い。

 

一旦引いて体制を整えるのか?

藤丸君一行は南西の方へ走っていく。

その間にも激闘は止まない。

 

待て。

その先には。

確か。

 

その瞬間、モニター越しにも聴こえる、狂える戦士の声。

バーサーカーだ。

バーサーカー、ヘラクレスは辺り構わず攻撃してくる。

アーチャーにも攻撃を。これを狙っていたのか?だとしたら無くは無いあ、んーーーーーー。

 

紫色の帽子が眼に映る。

城の片隅に、墓場の様に佇む、焼け焦げた帽子。

ソレを自分は知識の上で、誰のものだか、知っている。知ってしまっている。

 

動悸が激しくなる。だが、アレは別人のモノだ。

次第に呼吸が乱れる。脳では理解出来ている。だが、それでも、意識せざるを得ない。

アレはーー!アレはーーーー!

 

「おい!おい!しっかり!しっかりするんだ!」

 

…ロマニ。

ああ、いい、だいじょうぶだ。そのまま、しごとをしていてくれ。

そう言う自分のからだは、震えが止まらない。不安で不安で不安でたまらない。

しらないひと(イリヤ)が、どうなったのか、想像してしまう。

 

 

 

「誰か!鎮静剤は!」

 

「一本だけ!」

 

「十分!」

 

っ!何を

鎮静剤を受け取ったロマニは、躊躇なく首筋に突き刺してくる。

 

「すまない、誰か衛宮君を医務室…クソっ、隔壁を閉鎖したのは僕か!クソっクソっクソっ!ーー悪い、看ていてくれ、僕はやらなきゃいけない事が山積みだ」

 

その声を皮切りに、強制的に意識が暗転する。ああ…、役に立たないなぁ……。

 

 

 

 

っ…あ?ここは…?

確か、鎮静剤打たれて…アレ本当に鎮静剤か?

 

「やあ!調子はどうだい?」

 

ダ・ヴィンチちゃん!迷惑かけてごめんね!

 

「いやいやいや、冬木市出身だったんだろ?そりゃああーなるのも無理はない。まあ、倒れたーって聞くまでは本当にキミが冬木市出身なのか疑ってたんだけどねー」

 

「戸籍も何も無かったし。異世界から来た、って言うのが仮に本当だとして、自分の状況を瞬時に把握出来るヤツなんて、はっきり言って頭でもおかしいの?って聞きたくなるしね」

 

何やら器具をガチャガチャと弄りながら話すダ・ヴィンチちゃん。見た目だけなら割と綺麗なんだけど、中身がいかんせんおっさんだからか、頭がおっさんとして認識している。

 

「ま、大丈夫だろ。出てって良いよ。多分作業は山積みだ!覚悟したまえよ」

 

そりゃあもう。分かってますよ。

 

「医務室の復旧を頼むよ、多分、ロマニの奴も居ると思うからサ」

 

と言われて来たものの、誰も居な…!

 

「おや、ここのスタッフかね。手伝えそうな事が有ったので、やって置いたが…?どうした?」

 

いや、なんでもない、ありがとう。

 

「何、礼には及ばんよ」

 

なんかすっげえキモい。なんか作ってますよー感が溢れ出ている。いや、確実に別人だからなんとも言えんけどさ。

 

「あ!衛宮君!」

と、入ったのはロマニ。

 

「ちょうど良かっ……一体どうしたん…あ」

 

「衛…宮?」

 

こちらを鋭い眼光で見つめるエミヤ。

 

「あー、そっか、両方音はエミヤ、なんだよね…どうしてこんな面倒な事に…アーチャーで良いかい?」

 

「ああ、構わないとも。………まあ、そんな事もあるさ。珍しい苗字だが、ない訳では無いからな」

 

「え?アーチャー、君って日本の英霊だったのかい?」

 

お前黙ってろよぉ!ロマニィ!

 

「……………すまない、他の所を見てくる」

 

うん、いってらっしゃい。

そう言うや否や、霊体化して消えるエミヤ。

 

 

「あー…何この空気。まあいいか。それにしても、他にアーチャーの英霊が呼ばれたら、彼の事なんて呼べば良いんだろう…今更君のことを名前で呼ぶのもなぁ…ボクにとっては、衛宮君呼びの方が慣れ親しんでるし」

 

「ま、そん時に考えればいいかな、医務室は…粗方片付いた様だし、他の所をやって来てくれよ、ボクはやる事がここであるから」

 

…はい、わかりましたよ。

 

そう言われて来たのは、居住区フロア。

現状、外と隔離されたカルデアにとっては、他人の物だが、使える物資を掻き集めねばならない。

 

「おや、キミは…」

エミヤが居た。遭遇率高いな。

 

「いや、驚いたよ。まさかキミもエミヤ、と言うとは。参ったな、これではどちらがどちらだか区別がつかんよ」

 

ニヒルに笑うエミヤ。しかし、髪の毛を下されるとますます士郎にそっくりだ。いや、別の世界の士郎なんだけどね?いやね?

 

適当に返事を返す。

 

「私にも下の名前が有ったんだがね。生憎忘れてしまってね…いや、本当に参ったよ」

 

嘘だろ士郎。あっ、やべ。

 

「今、なんと?」

 

返答如何では殺す、そんな殺意のこもった眼で見つめてくる。エミヤ。

 

あー、ね、いや、ね。兄弟にシロウ、って名前の人が居てね、ついついね、口にでちゃって…

 

苦しい言い訳を続けていると、次第に顔が暗くなっていくエミヤ。等々頭を抱え始めた。

 

「…もしや、キミらの父親の名前は、キリツグ、とか言わないだろうな」

 

無いよな、と余裕を取り戻すエミヤ。

だが残念、ここまで来たからには死んでもらう。

 

そうだよ、なんで知ってるんだ?

 

「………なんでさ」

 

完全に意気消沈するエミヤ。

おーい。士郎ー。

 

「つまり平行世界の顔を知らない弟……ふ、フフ」

 

ブツブツと独り言を言い始める。

おっと心は硝子だったか。

 

なあなあ兄さん兄さん。

 

「……私はキミの兄では無いのだが」

 

いいじゃないのいいじゃないか。

士郎って呼ぶには成長しすぎだし。別にそう呼んでも。

 

「だから……ハァ、わかったわかった、負けたよ」

 

頭を撫でてくるエミヤ。

いや、始めてされたんだけどこんな事、とは言わず、少々照れ臭かったが、甘んじるとしよう。

 

「おーいアーチャー!居、るん…だろ」

 

ランサーのクラスで現界しているクーフーリンに目撃される。

 

「あー、何、そう言う趣味が有ったとはな弓兵。すまん、邪魔したな」

 

キレよく踵を返し、来た道を戻っていくクーフーリン。

 

「…待て、キミは色々と誤解をしている!待ちたまえ!」

 

「いやいや、別に隠さなくたっていいんだぜ?オレら(ケルト)からすると別におかしな事はないしな」

 

「だから誤解だ!」

 

「む、そこの二人、また会いましたね。…ところで何が?」

 

「お!セイバーか!いやなに、コイツがなぁ…」

 

「やめろォ!やめろ!」

 

 

ーーーーー

 

「平行世界の…ねぇ?」

 

「そんな事が…」

 

「だから、彼とはそう言う関係では無い、わかったかランサー、セイバー」

 

「義兄弟ねぇ…別に珍しい話じゃ…ああ、わかったよ、悪りぃ」

 

あくまでも茶化すクーフーリン。

 

「って事は、あの嬢ちゃん達も居るのかねぇ」

 

いや、多分居ないと思いますよ?

 

「あぁ?どう言う事だ?」

 

こことは違う世界から来ましたし。

 

「……ふむ」

「…ハァ?本気で言ってんのか?」

(少しホッとしたオレが居る…)

 

事情を説明する。

 

「へぇ…珍しい事もあるもんだ。来てみるもんだな、カルデア」

 

「なるほど、事情はわかりました。大変だったのですね、貴方も」

 

(話が更にややこしくなった)




エミヤくんの胃が痛めつけられるお話

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