ヤンデレ☆イリヤ   作:鹿頭

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くぅ疲。
これにて終了!お疲れ様でした!
展開がちょっと無理矢理な気もするけど…。

ヤン…デレ…?って感じです。すみません。


三話

 

 

………深夜、玄関のドアが開く音で起きる。

逡巡する事も無く、戸を開け、玄関へ向かって下りていく。

するとそこには、土間から床にもたれかかる様にして、イリヤがぐったりと倒れていた。

 

倒れているイリヤを抱き寄せ、意識を確める。

 

「っ…お、にいちゃん…?」

 

イリヤがうわ言の様に呟く。

すわどうしたものかと考えていると、後ろから、階段を誰かが下りてくる音がしてくる。

首をその方向に向けると、セラの姿があった。

 

「な…あ…あ、貴方!と、とうとう!」

 

アホか!良く見ろ!漫才に付き合ってる場合じゃないぞ!

そんな事を吐き捨てる様に言うと、セラは怪訝な顔をしながら向かってくる。

 

「!これは…」

 

イリヤの容態を認めるや、流石に真剣な顔つきに変わる。

 

「…後は任せてください」

 

と言い、有無を言う前に、此方からイリヤを抱き上げる。

 

あ…と呻く様な声をイリヤは漏らすが、気にせずセラはイリヤの部屋へと向かっていく。

 

一人残される。

 

…任せろとは言え、流石に放っておく訳にはいかない。

セラが自室に戻るまで、暫しの時間がある。

 

その場に座り込み、考える。

 

…はっきり言えば、だ。

この件はイリヤの問題なんだろう。

時間が経てば解決するとか、その類ではなく、本人の意思が左右するような。

 

つまりは、今やろうとしている事は蛇足。

必要なぞ、そこには無い。

 

この後にどんな影響が生じるかなんて、遠くを見通せる訳でも無い、この身ではわからない。

けれど、それでも。

 

例え、誰かが不幸になろうとも。遠くの誰かの願いを踏み躙ったとしても。妹を。イリヤを、優先してはいけないのか?

 

醜いエゴ、だと自嘲せざるを得ないが。

 

そう、思わずには、いられなかったーーーー

 

 

 

セラは部屋に戻った様だ。音が聞こえた、間違いない。

さ、て。

 

階段を上がり、イリヤの部屋の前に着く。

一応、マナーとしてドアをノックする。

 

「……何」

 

起きてるか?

 

「え?」

 

入るぞー。

 

ガチャリ、とドアはあっさり開いた。

イリヤは、ほんの少し驚いた様な、期待が叶った様な、様々な感情が入り混じった表情を見せていた。

 

視界の端に、動くモノを認めた気がしたが、そんなのどうでもいい。

 

ベッドの上で縮こまって座っているイリヤの隣に、無言で座る。

 

「………」

 

何も喋らないイリヤ。

しかし、別に問いただそう、なんて事は毛頭無い。

 

頭を撫でてやる。優しく、ゆっくりと。

 

次第に、イリヤは重く閉ざしていた口を開く。

 

「……聞かないの?」

 

どうして?

 

「どうしてって…私、こんな遅い時間に、帰って、更に玄関で倒れてたんだよ?!」

 

イリヤは悪い事をしたのか?

 

「それは……してない。うん。してないよ」

 

じゃあ十分。

 

「……お兄ちゃん」

 

声が上ずり始めた。

 

「私っ…わ、たし…っ…」

 

泣きたい時には泣いた方が良い。

 

大丈夫。ずっとそばに居るからさ。

 

「怖かった…こわかったよぉ……」

 

イリヤは縋るように抱きついてきた。それから、堰を切った様に、泣き始める。

 

「ひ…っく…えっ…」

 

 

それから、イリヤは結構な間、泣いていた。

 

 

 

 

とは言え。

途中途中、吐き出す様に、美遊やら遠坂やらルヴィアやら、果たして聞いて良かったの?って聞きたくなるような事もあったが…

 

常識的な範疇には収まっているから、大丈夫なのだろう。

 

泣き止んだのを見て、声をかける。

 

 

落ち着いたか?

 

「うん…」

 

……どうするつもりなんだ。美遊ちゃん、友達なんだろ?

 

「………」

 

「……して」

「どうして、そこでミユの名前が出てくるの?」

 

………あれ?

 

「ねえ、お兄ちゃん。どうして?」

 

イリヤがこちらを上目遣いで見つめるが、その目はとても暗く、地雷を踏んでしまったのだと瞬時に察する事が出来た。

 

言葉を選び、慎重に答えなければいけない。

 

 

詳しい事情はわからない。けど、美遊ちゃんとなんかあったんだろ?

 

「……それは、そうだけど…」

 

途端目を伏せるイリヤ。

 

 

どうすれば良いと思ってるんだ?

 

 

「………お兄ちゃんは、やっぱり優しいね」

 

うん?

 

「だって、私の事じゃなくて、美遊や、他の人の事もちゃんと考えてるんだもん。優しくて、頼りになる、自慢の、お兄ちゃん」

 

微妙に話が噛み合っていない。

…嫌な予感がする。

 

イリヤは話し続ける。

 

「うん。わかってるよ。それくらいさ。ずっと一緒に居るんだもん」

 

「でも…でもっ、でもっ!」

 

「今だけは…他の人の事を考えて欲しくなかった…私の、私だけのお兄ちゃんでいて欲しかった!」

 

「おに…」

わかった。もういい。

 

思わず抱き締める。

わかった、わかったから。ごめんな、こんなお兄ちゃんで。

 

ここまで追い込んでいたのか。

ああ、本当に不甲斐ない兄だ。

 

 

 

 

 

「…すき」

 

イリヤ?

 

「好き、ううん、大好きだよ、お兄ちゃん」

 

イリヤ…それは…

 

 

「お兄ちゃんの為なら私、なんだって出来るし、なんだってするよ」

 

 

 

「でもね、もう、嫌…なの」

 

 

 

 

 

 

 

「義妹で居るのは、嫌」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この気持ちが、オカシイのは知ってる。でも、それでも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなただけのイリヤに、シてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

泣きながら、けれども先程までとは別の意味を持つソレは、彼女の想いを如実に語っていた。

 

思ってもいなかったーー否、見て見ぬ振りをしていたのかもしれない。

義妹だから。小学生だから。

麻疹のようなものと、タカをくくっていたんだ。

 

けれど、目の前の彼女は。

歪んでいると自覚をしている。それでも、真っ直ぐに、自分の気持ちと向き合って、想いをぶつけてくれている。

 

 

 

ああ、それなら、言おう。言ってしまおう。言わなければならない。

 

 

 

 

それが、目の前の、女の子に対する、誠意なのだろう。

 

 

例え、後戻り出来ないとしても。

 

 

 

 

 

「イリヤ、俺はーーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだ夢か。

 

盛大に溜息を吐く。朝からなんて夢見てんだろ。

部屋を見渡せば、そこは何の変哲もないマイルーム。

ベッドの隣にも誰も居なーい!

…本当に夢だよな?

 

念の為記憶を辿る。

確か、イリヤを深夜に倒れているのを見つけて、セラに渡して、部屋に戻って寝た。

アレ?どうしてこんな事思い出してんだ?

 

 

奇妙な感覚を覚えながら、部屋を出る。

 

階段を下りると、セラとリズが居て、朝練だからか、少しだけ慌しい士郎。

 

何の変哲も無い。唯の日常だ。

 

少し、ホッとしたような、残念だった様な。

 

 

「あ、おはよう。すまん、俺朝練だから」

先行くぞ、と出て行く士郎。

 

「おはよー」

「おはよう…うむむ…」

 

リズとセラ。

しかしセラはいつにも増して渋い顔をしている。

どうしたんだ?

 

「いえ…貴方に何か一言、いえ、ものすごーく言いたい事がある様な…無いような…」

 

「セラ、ボケた?」

 

「な、リズ!私はそんな歳じゃありません!」

「誰も歳のことなんて言ってない」

 

「な…あ、ああ!」

 

…ま、いいか。

 

暫くすると、学校へ行く支度を済ませたイリヤが来た。

 

 

「おはよー…」

 

「あ、イリヤさん…」

「うん、おはよー」

 

「大丈夫ですか?」

「うん…そっちよりね、なんかもっと大切な

事があったような…無かったような…うーん…」

 

「はぁ……本当に大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫だよ、セラ。じゃ、いこっ、お兄ちゃん」

 

はいよー、と一緒に出ようとするが、途中でセラに呼び止められる。

 

「………イリヤさんに何もしてませんよね?」

 

何の話だよ…

 

「いえ、貴方より士郎さんの方が余程信頼できるだけの話です」

 

そんな、ひどい…いやまあ、士郎だもんな。

 

 

「お兄ちゃん、早くー!」

 

はいはい。

 

 

 

士郎は相変わらず女子とイチャイチャして居た。一成ともして居た。

なんだこれ。

 

 

 

 

「ただいまー!」

 

夜になって、突然の母襲来。

 

「うおっ、母さん、どうしたんだよ」

 

ほんとほんと。

 

「うーん、ちょっと休暇とれたから、かな?はい、コレお土産」

 

と言って渡されたのは、なんか良く分からんガラクタ。東南アジアやらエジプトやらのが入り混じっている。エジプト……まあいいや。

 

「うーん…」

 

どうしたんです?じっとこちらを見つめて。

 

「なーんか心配なのよねー。…イリヤとなんか有った?」

 

なんかって何さ。

 

「…杞憂だったかな?あ、所で、今イリヤどこなの?」

 

「イリヤ様なら、お風呂かと」

 

「もー、そんなに硬くならないの、セラ」

 

「しかし…」

 

「あーもー!」

 

暫く言い合いが続く。

 

…よし、そろそろ寝るか!

 

 

 

 

翌日。

昨日とは打って変わって、元気な。と言うかいつも通りのイリヤだった。

 

母さんはまた仕事に行ったらしい。てかいつ帰って来るんだファーザー(切嗣)

 

 

いつも通りの日常。

 

いつものように過ごして、学校行って、士郎のラブコメ見て頭抱えて、帰って、の繰り返し。

 

 

今日も一日が、穏やかでありますように。

 

 

 

 

 

 

 




知らなかったのか?ツヴァイからはクロエが登場する!
修羅場が始まる。カレンさんもいる!穏やかな日常なぞ過ごさせない。

あ、ちなみにイリヤの様子を見に来たサファイヤがギリギリで記憶処置してくれました。ルビーとは違って出来る子。
あのまま行ってたらイリヤルート攻略完了になるし。
魔法少女やめちゃうし。

コメント欄見る限り、キアラさんお好きですね皆さん。

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