ワン・フォー・ワン《独りは一人のために》   作:亡き不死鳥

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原作読めば分かるところはかきたくないけど、描写をどのくらい書けばいいのか難しい。
いっそオリジナルだらけにしたいけど文才もなし。辛い。
次の話はいい加減山も谷もなかったのでオリジナル入れます。


短い幕間。


テスト

前略。

 

 

「………つーいにこの日が来てしまった」

 

 

晴れやかな空。

輝かしい太陽。

優雅な雲。

腐敗した目の俺。

間違いなく俺のチョイスがミスってる。

世界は美しいものだけじゃないから仕方がない。悲しみにも満ちているのだ。

 

 

「…そして俺にとっての悲しみは今日が新学期初日だってことだな」

 

 

予鈴ギリギリに滑り込めばいい生徒と違い、教師は朝早くに出勤してその日の準備など早々に仕事に取り組む。

それは俺も例外ではない。

オールマイトからは雑用をメインとした仕事に就かせてもらえると聞いているので、そこまで大変な仕事はない。

…………はずだった。

 

 

「違うだろぉ…。雑用とは違うだろぉ…」

 

 

役職名。

 

【1学年学年主任】

 

 

他の学校の学年主任の仕事知らないけどさ、素人に任せていいもんじゃないでしょう。

あの校長め、ハハハハ笑いながら誤魔化しやがって。

書類仕事の山投げつけただけじゃねえか…。

 

 

「……はぁ。しゃーねえ。少しでも進めて…」

 

「すいません。比企谷主任、今大丈夫ですか?」

 

「………ええ。あ、敬語いらないですよ相澤先生。俺素人なんで」

 

「ですが立場は上なんで、体裁だと思ってください。

それで今日の予定の確認と申請を。

今日のうちに個性把握テストを行おうと思ってるので許可をいただきたい」

 

「…え、今日?入学式ありますけど」

 

「時間は有限ですから。そんな悠長な行事に出る時間が勿体無いです。

それに、その間ならうちのクラスだけでグラウンドを独占できますから。

去年も同じことしたので許可さえ貰えればこちらで対応します」

 

「………なるほど」

 

 

たしかに入学式よりはそっちの方が合理的っちゃ合理的か。

嫌なんだよなぁ。あの先輩の間をジロジロ見ながら歩かされたり、校長のクソ長い話を聞かされたり。

そこに配慮できるとはこの先生できる人だ。マジリスペクト。

リスペクトついでに俺も便乗させてもらおう。

新しい先生のお話とか嫌すぎる。呪文(挨拶)噛んじゃうからね。

 

 

「わかりました。

校長に伝えときます。

あと一応主任として生徒の個性くらいは把握したいんで、同席してもいいですか?」

 

「ええ。ただし生徒の扱いはこちらに一任してもらいますよ?」

 

「もちろん。そこまで口は出しません」

 

「ありがとうございます。では」

 

 

そう言い残し相澤先生は自分の席に戻っていった。

なんでこんなでかい学校なのに職員室は一つしかないんだろう。

いや職員室もめっちゃでかいけども。

 

 

「ま、入学式回避したし幸先はいいかな」

 

 

どうせオールマイトの挨拶で混乱するだろうし、俺に視点が当たることもないだろうしな。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

そして現在。

わかりやすくいうならば一時間目の授業の時間だ。

 

 

 

 

(私が物陰に来た…っ!)

 

 

 

 

「覗いてんじゃねえよ…」

 

 

相澤先生は1年A組の担任で、個性把握テストの内容は聞き及んでいなかったが説明を隣で聞いていたので把握している。

ずばり、身体測定である。

個性とは身体機能なので、その動きには限界と成長がある。

どんなに効率的に身体を動かしても首は180度回らないし、腕の関節は反対には動かないのだ。

自力の話ね?折檻とかは別。

なのでその限界を数値という具体性を持たせた上で表すのが今回の目的だ。

 

 

「てかこれ緑谷まずくね?」

 

(彼は去年1クラス丸々除籍処分にした男だ。

やると言ったらやる男だぞ彼は)

 

「そうか。

…俺にだけ聞こえる声で喋るのやめてくんない?」

 

 

さらに言うならば、相澤先生はこのテストが面白そうという生徒の発言に対して最下位は除籍処分にすると告げている。

それは個性を使いきれない緑谷にはきつい宣告だろう。

だがまあ、正直そこまで心配はしていない。

最下位除籍でも、言い方は悪いがこのテストとは到底相性の悪い葉隠という女子がいる。

つーかこのテスト個性によっちゃ辛くないか?

透明という個性だけではオールマイトにより半マッスル化している緑谷の普通の記録でも勝てることは多分ないだろうし。またフラグな気がする。

 

 

「………にしてもいい個性持った奴が多いな」

 

「ですがやはり持て余している、または使いこなせていない。

直線的かつ単純な個性だけではプロの世界は通じませんからね」

 

「…相澤先生。

にしても最下位除籍はやり過ぎじゃないですか?

まだ使いこなせていなくても、これからって奴もいるでしょうに」

 

「ここは雄英です。

我々が教えるのは早く走る方法であって立ち方や歩き方じゃない。

それにこの歳までに個性を使いこなせないなら、15年間歩く努力をしていないという判断をされてもおかしくないでしょう。

半端な気持ち、半端な思いで夢を追わせることほど残酷なことはない」

 

「……そうですか。

ま、口出しはしませんがね」

 

「ええ、そうしてください。

言い争いほど非合理的なものはない」

 

「そこは同感です。

一応聞きたいんですが、どんな結果でも最下位除籍は確定ですか?」

 

「……見込みがなければ最下位でなくても除籍しますよ。

そろそろ行きます」

 

 

そう言ってペアによる反復横跳びを終えている生徒の元へ歩いていく。

見込みがなければ最下位でなくても除籍する。

つまりは見込みがあれば最下位でも除籍しない、とも取れる。

つまり緑谷のピンチは結局変わらないわけだ。フラグ回収の早さよ。

………といっても、まあ。

 

 

「半端な気持ちでも半端な思いでもなけりゃ、なんとかなんのかね」

 

 

そうボヤいた俺の視線の先では、緑谷の投げたボールが空に向けて羽ばたいていた。

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

そうして途中緑谷が負傷したこと以外は普通に……普通?まあボール投げで無限が出たりと面白いこともあったが無事終わった。

 

 

「んじゃパパッと結果発表」

 

 

何人かは少しばかりの緊張。さらに何人かは歯をくいしばる緊張。殆どの生徒は余裕そうな表情だった。

特に八百万、轟、爆轟などは余裕のよっちゃんカラスのカーチャンである。

万能個性故の多様性を遺憾なく発揮していたあたり、個性の使い方も多種多様だった。

八百万に至ってはボール投げなのに大砲撃ってたし。投げろよ。

 

 

「ちなみに除籍は嘘な」

 

『はーーー!??』

 

「あんなの嘘にきまってるじゃない。

ちょっと考えればわかりますわ」

 

 

すまん八百万。嘘なのが嘘なんだ。

相澤先生の合理的虚偽に一喜一憂無反応を繰り返す生徒達がどことなく微笑ましい。

なんか除籍実は嘘じゃなかったんだぜと言いたくなって来る。

 

 

「んじゃこれで終わりだ。

教室に書類あるから目ぇ通しておけ。

最後に比企谷先生、なにかコメントありますか?」

 

「え、あ、ああ。

えーお疲れさん。雄英は厳しいから気を抜かないよう……ってなにその顔」

 

 

なんか先生っぽい言葉でお茶を濁そうとしていたのに、生徒達みんながみんなポカンとした顔でこちらを見ていた。

 

 

 

「「「………いたんだ」」」

 

「ずっと居たわ」

 

 

 

 

 




内容は考えてないけどいい加減個性を明かしてガッカリさせたい気分。
戦闘訓練ってオリ回にピッタリだと思うの。

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