真・恋姫†無双 転生伝   作:ノブやん

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六十六話

祭さんと雛里が加入して、真名を預かった日から数日後、赤壁に到着したがすでに呉と蜀が陣取っていたため、対岸の烏林に陣を構えたそんなある日の朝日が昇る前のの時間帯に

 

「なーなー副長ー。なんか近づいてきてるで。」

 

如月「ん?どれどれ……うーん、霧が濃くて見にくいなぁ……小舟っぽいなぁ。何艘かあるか?」

 

「ふくちょー、どうする?弓を準備しとく?」

 

如月「奇襲かもしれないから、一応準備しといて。」

 

「了解なのー。」

 

如月「なぁ一刀。これってあれかなぁ?」

 

一刀「かもだけど、奇襲の可能性も無いとはいえないからなぁ……」

 

一刀と小声でそんなことを話していたら小舟の群れがが近づいてきたので

 

一刀「近づいてきちゃったな。沙和は本陣の風たちに報告を。凪、弓兵の指揮を。」

 

「はっ!」

 

「分かったの!」

 

「隊長!動いたで!」

 

一刀「凪頼む!」

 

「はっ!総員、放てー!」

 

ヒュン  ヒュン  ヒュン  ヒュン

 

「やりましたかね?」

 

如月「いや、悲鳴や叫び声が聞こえてこないから届いてなかったかもな。もう一度頼む。」

 

「はっ!もう一度、放てー!」

 

ヒュン  ヒュン  ヒュン  ヒュン

 

「やったか?」

 

しかし、何事もなかったかのように小舟は微妙な距離を保ったまま、船上の兵士たちも剣や槍を掲げてこちらを威嚇していた

 

「矢ぶすまにされても、悲鳴の一つも上げないのかよ!」

 

「呉や蜀のやつらの中に不死身のやつがいるのかよ!」

 

「ひっ……マジかよ……」

 

「たいちょ~……ふくちょ~……こわいで~……」

 

如月「ほら泣くな真桜。大丈夫だから……凪、もう一度だ。」

 

「はっ!総員、第三射用意……放て!」

 

ヒュン  ヒュン  ヒュン  ヒュン

 

「さすがにこれだけ当たれば死んだだろ……」

 

「だよなぁ……ん?な……ま、まさか!」

 

「うわああああああっ!何で弓が効いてないんだよ!」

 

「バ……バケモノだっ!」

 

「うわああああっ!」

 

これだけ矢を浴びても気にするそぶりもなく、剣や槍を一定の間隔でみな同時に威嚇してくる敵兵に恐怖し、兵達は個々の判断で矢を射続けている

 

如月「ん?一定に間隔で同時?」

 

一刀「どうした?如月?」

 

如月「一刀、やっぱりこれは“十万の矢”だな。みな撃つのをやめろ!」

 

混乱して俺の指示を聞かない兵たち

 

如月「ベタン。」

 

『ギャー!!』

 

ベタンを唱え兵達を押しつぶして止める

 

如月「真桜、あいつらをよく見て、何か気付くことはあるか?」

 

「絡繰りならともかくあんなバケモノの作り方なんか知らんで……」

 

如月「いいから見る!」

 

「うぅ……ふくちょうのおに……あくまぁ……」

 

如月「鬼で結構、悪魔で結構。で、どうだ?」

 

「うぅ~……ん?あれ?動きがずいぶん規則正しいなぁ……」

 

如月「だろ?なぁ、人形を全部まとめて動かすのって難しいか?」

 

「簡単やで。後ろに棒の一つでも……って、そういうことかい!」

 

一刀「とにかく試してみよう。誰か火矢を。」

 

「私でかまわんか?」

 

「秋蘭様?」

 

「とりあえず秋蘭様が起きてたから……桂花ちゃんたちも準備を始めてるの。」

 

一刀「なら、秋蘭。少し奥のあの船をお願い。」

 

「やれやれ簡単に言ってくれる。まぁやってやる……さ!」

 

そういいながらも火矢を放つ秋蘭。一刀が指定した船の兵の胸に吸い込まれていき

 

「おー。よう燃えとる。」

 

如月「じゃあ俺も一艘やっていい?」

 

一刀「あれ?如月って弓使ったことあったっけ?」

 

如月「いや、試してみたいものがあってな。右手にメラ、左手にギラ、合体!」

 

二つの呪文を手の中で合体させ、それを弓を引くような形にして

 

如月「ビューティーセレインアロー」

 

一刀「まさかそれは!」

 

如月「マジカルシュート!」

 

一刀「なぜチャチャ?」

 

如月「言っただろ。やりたかっただけだって。」

 

矢のように飛んでいくそれは、燃えてる船の隣の船に命中し、燃え始めた。やがて、小舟の群れは燃え盛る二艘放ったまま、朝霧に隠れて去って行った

 

「しかし、なぜ連中はあのような珍妙な策を?」

 

一刀「さあ?矢でも欲しかったんじゃない?」

 

「ふむ……」

 

「あんな絡繰りをバケモノって勘違いしちゃったけどさ……」

 

「ん?どうした?」

 

「ウチの軍にはすでにバケモノっているじゃんって思って。」

 

「確かにウチには副長っていうバケモノがいたな!」

 

「そうじゃん!副長に比べたらあんなのバケモノじゃないじゃん!」

 

『はっはっはー!』

 

如月「そういうのはさあ……本人がいないところで言うものじゃないのかなぁ?君たちぃ?」

 

『ひっ!』

 

「いや、副長……これはですね……」

 

「かわいい部下たちのダジャレじゃないですかぁ……」

 

「そうですよ!こう、暗い雰囲気を和らげようと……」

 

如月「お前たちこのまま徹夜な。」

 

『おにー!』

 

兵士たちの叫び声を無視して、華琳のいる天幕へ

 

如月「華琳ー?なんか用?」

 

「ああ、お疲れ様。どうだったの?」

 

如月「船二艘沈めたら、やっこさんらは逃げってったぞ。」

 

「そう。ならいいわ。さてと……」

 

席を立って俺に近づいてきたと思ったら

 

「ふんっ!」

 

如月「ゴフッ!」

 

いきなり腹を殴られ膝をついてうずくまる

 

「新しい料理を作ったら、私と流流を呼びなさいって言ったわよね?」

 

うずくまりながら目線を上げる

 

如月「(うす緑か)つーか、こんな所でも?」

 

「ええ。材料は残ってるわよね?今夜作りなさい。」

 

如月「御意……」

 

 


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