とある非番の日の昼、中庭で俺と一刀は体を動かしていた。
一刀「はあっ!」
木刀で素振りを行っている一刀。元々やっていたのか、中々筋がいい。
如月「中々やるなぁ、一刀。」
一刀「まぁ、元々家でも部活でもやってたしな。」
そう言いつつ素振りを続ける一刀
「あれ?隊長と副長、どないしたん?そんなもの振り回して。」
と、真桜と凪と沙和の三人娘がやってきた。
一刀「ああなに、体を動かそうと思って、如月と一緒にやってたんだ。」
如月「そっ。一緒に鍛錬中。」
「隊長は剣術の心得がおありだったのですか?」
一刀「ま、軽くね。みんなほどじゃないよ。」
「へぇ・・・・いっがーい。」
「隊長。良かったら、一手お願いできませんか?」
一刀「へ?凪とやるの?無理無理!」
如月「いや、そんなに否定しなくてもいいじゃん。まぁ、凪も本気でやるわけじゃないんだから。手合せだと思ってやってみ。」
一刀「分かった。それじゃあ凪、お願いできる?」
「はい。お願いします。」
「どっちもガンバレー。」
「たいちょー。凪ちゃーん。がんばってー。」
如月「なら、審判は俺がしよう。双方、構え・・・・始め!」
「でええええぃっ!」
一刀「くっ!なめんなー!」
一刀中々やるな。凪が本気じゃないとはいえ、結構動けてるじゃん。
「なにをしているの?」
「あ、華琳様。」
如月「よぉ!華琳。」
「如月。あなた見てなくていいの?」
如月「ちらっと、目を離すくらいなら大丈夫だろ。」
「そう。けど、一刀に武術の心得があったなんて、知らなかったわ。」
「なるほど。だから、警備隊に入ってすぐに、それなりにでも動くことが出来たのですね。」
「でも、腕はたいしたことないわね。」
如月「双方、やめっ!」
一刀「いやぁ、やっぱり凪には勝てないなぁ・・・・」
「いえ、こちらも結構必死でしたよ。これを機に修行を積んでみては?」
一刀「・・・・暇があればね。」
如月「凪、そう言ってやるな。一刀は隊長だからな。色々とヤルことがたくさんあるんだよ。」
一刀「如月・・・・なんか“やる”の意味が違って聞こえるけど・・・・」
如月「気のせいだ。」
「隊長ー。かっこよかったでー。」
「おつかれさまー。」
一刀「はいはい、ありがとう。あれ?華琳達も来てたんだ。」
「ええ、中々面白かったわよ。」
「北郷。あれは、お前の国の剣術なのか?」
一刀「ああ、あれは・・・・」
と、一刀が春蘭たちに説明をし始める。説明をしている流れで、一刀と春蘭が試合をすることになった。みんな面白がってんなーと思っていたら、なんということでしょう。
中庭にいつの間にか大容量の観客席が・・・・
「副長、頑張ったんやで!ほめて!」
如月「さすが、真桜だな!」と真桜をほめる。
用意された席に座ると
如月「あれ?月に詠、恋にねね、霞まで。どうしたの?」
「いえ、霞さんから面白いことをやると聞いて。」
「それで見に来たのよ。」
如月「一刀の殺戮ショーを?」
「いやー如月。アンタがそれを言ってどうすんの?親友の心配くらいしてやりや。」
「兄上、さすがにそれはないですぞー。」
「さすがにそれは可哀そうよ。」
「そうだよー。一刀に応援してあげなきゃ。」
如月「お、天和に人和。何でいるんだ?」
「あれ」
如月「あれ?」
指を差した方を見ると、
「さぁ、始まりました世紀の一戦、我が軍最強の名高い魏武の大剣の異名をとる夏候惇将軍対、我が軍最性魏の種馬兄弟の兄、北郷一刀の時間無制限一本勝負!実況はわたくし李典と・・・・」
「曹魏三千万のみんなー。歌姫、数え役萬☆しすたぁずのちーほーちゃんでーーーーすっ!よろしくぅ!」
なるほど、地和が出るからいるのね。てか一刀、魏の種馬兄弟の兄って呼ばれてるのか。可哀そうに。あと、弟って誰だろう?などと思っていると
「でやああああああっ!」
ヒュン!
「どわああっ!」
と試合が始まっていた。いやぁ、一方的な試合だな。一刀可哀そうに。
「へぅ・・・・北郷さん、大丈夫かな?」
「まぁ・・・・避けまくってるから大丈夫なんじゃない?」
うーん、このままじゃ一刀に勝ち目がないし、ちょっと可哀そうすぎるな。よし、
如月「かりーん!このままじゃ一刀、勝ち目がないぞ。面白くないし、何か条件を付けてやってくれ。」
「そうね・・・・春蘭!」
「はっ、何でしょう華琳様。」
「一刀に勝てる条件を付けてあげようと思うのだけれど、いいかしら?」
「はぁ、どうせ負けませんし、構いませんが・・・・」
「なら、春蘭に一太刀でも浴びせられれば、一刀の勝ちでいいわね?」
「はっ。むろん、負けるつもりなどありませんが!」
一刀「な、ならその条件でお願いします。」
まぁ、そのくらいのハンデがなきゃ、面白くないよな。けど、本気になった春蘭に追い掛け回される一刀。さっきよりきつくなっちまったか?
でも、春蘭の攻撃を受け流している。一刀結構やるな。と思っていたら、
一刀「あ、あれは!華琳様が扇情的な格好でっ!」
「何っ!?」
一刀「えいっ!」
ポカリ
「・・・・は?」
「一本!勝者、北郷一刀!」
あーあ、春蘭やっちゃった。
「隊長、すごーーい!」
「おめでとうございます!隊長!」
如月「おめでと、一刀。よくやったな。」
一刀「ああ、ありがとう。如月。如月も頑張れよ。」
如月「は?頑張れよって、どういうこと?」
周りを見ると恋の姿が見えない。
「続きまして第二回戦!天下一の武をほこる飛将軍、呂奉先対、呂奉先と打ち合った男、魏の種馬弟、龍谷如月による時間無制限一本勝負・・・・」
如月「ちょっと待て!俺もやるのか!?しかも恋と!?だから、恋の姿が見えなかったのか!てか、種馬弟って俺のことか!」
「副長、あきらめやー」
「がんばってー、副長」
「副長、頑張ってください。」
「へぅ、あの・・・・頑張ってください如月さん。」
「まぁ、何かあったら骨くらいは拾うわ。」
「まぁ、とにかく頑張って。」
「・・・・如月、早く」
「兄上!恋殿!頑張って下されー!」
「きー兄ちゃん、頑張れ!」
「きー兄様、ご武運を」
いつの間にか季衣と流流も来てるし。てか、みんなの期待がすごい。恋もなんかウキウキしてるし。
如月「よっしゃああああっ!覚悟決まった!真桜合図を頼む。」
まあいいや、どうにでもなれ。
「それじゃあ、副長の覚悟も決まったところで・・・・始め!」
如月「くらえ!カイザーフェニックス!」
先手必勝のカイザーフェニックス。恋相手にこれもどうかと思うが、そんなこと言ってられない。
「な!すごいわね如月。あんなものまで出せるなんて。」
「うそ・・・・」
「むぅ、さすが如月。しかも、まだ隠してるものがあるな。」
「副長・・・・すごいです。自分ももっと頑張らなければ!」
「こんなのやられたら、死んじゃうの・・・・」
「ひゃー、如月こんなことも出来るんかい。」
「へぅ。如月さん、すごいね詠ちゃん。」
「てか、こんなのとやりやってたの恋のやつ。」
「兄上、すごすぎなのですぞー!」
「・・・・すごい。でも!」
方天戟で真っ二つにする恋。
うそー!とみなさん驚いてらっしゃる。俺の方がもっと驚いてるよ!
如月「勘弁してください。アバンストラッシュB!」
恋の懐に飛び込み叩き込む。直撃し、吹き飛ぶ恋。大丈夫か?いくら威力を落としてるからって結構な威力だぞ。姿を見せた恋はパンパンとほこりを払っている。大丈夫そうだ。
如月「これも受け止めるか。やるな。」
「けど、結構きた。」
分かりにくいが、ダメージはあるようだ。恋が反撃をしてくる。恋からの攻撃をなんとかかわす。一撃一撃が早くて重いんだよな恋の攻撃。
如月「恋!これで最後にするぞ!ギガデイン!」
ギガデインを剣に落とす。
如月「これで決める!ギガブレイク!」
「・・・・っ!」
恋はギガブレイクを受け止めるが、
如月「甘い!」
そのまま恋を吹き飛ばす。
「勝者、副長!」
「恋殿ー!」
如月「恋、大丈夫か?ベホマ。」
「・・・・あたたかい。」
「へぅ・・・・如月さんすごかったです。」
「あんたのそれ、すごいわね。傷が治っていく。」
「へぇ、初めて見た。」
「これは、私たちの妖術と同じもの?」
如月「月たちはともかく、桂花も見るのは初めてだったか。これは回復呪文と言ってな、体力回復と小さな傷くらいならすぐに治せるんだ。あと、妖術とは同じようで違うんだよ。」
みんなに説明していると
「きー兄ちゃん、すごいねー!今度、ボクともやってよ!」
「きー兄様、お疲れ様でした。」
如月「おう。季衣、流流ありがとう。季衣、今度稽古してやるよ。」
「如月ってこんなに強かったんやね。今度ウチともやってや。」
如月「了解。霞。」
「お疲れ様。如月。」
如月「華琳。俺もやるならそう言っておいてくれよ。」
「黙っておいた方が面白いでしょ。それに、如月が戦ってる姿を見て、惚れ直した娘もいっぱいいるようだし。」
『////』
凪、月、詠、恋、季衣、流流、霞、人和の顔が赤くなる。
如月「いやぁ、それはありがたいなぁ。それより華琳。」
「ん?なにかしら?」
華琳の傍へ行き、小声で、
如月「一刀にかっこよかったって言っとけよ。春蘭に挑む一刀、かっこよかっただろ?」
「っ////」
真っ赤になる華琳
「あ・・・・あなた、何を////」
如月「あいつ、鈍感だから。ちゃんと言わなきゃダメだぞ。よし、真桜!片付けるぞ!」
「りょーかい、副長。隊長、凪、沙和も手伝ってえな。」
一刀「はいはい、分かったよ。」
「しょうがないな。」
「むー、分かったの。」
片付けを始める俺達。疲れたから今日はさっさと寝ますかね。