転生したらカガリになってた、開発チートでオーブの未来はどっちだ?   作:モフモフ好き

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転生したらカガリになってた、開発チートでオーブの未来はどっちだ?

 話をしよう、あれは今から36万・・・いや、1万年と2000年前だったか、

 まぁいい、私にとってはつい昨日の出来事だが、君たちにとっては未来の出来事かもしれない。

 私には3通りの名前があるから、なんて呼べばいいのか

 などという旬の過ぎたネタは置いといて

 

 まず前世の名前、だがこれは当面、いや多分もう使うことはないだろう。

 次に私が転生した世界で付けられた名前、そう、カガリ・ヒビキだ。

 この時点で私はまだ赤ん坊だったのだ。

 母の顔を見てもどこかで見たような顔だったけど誰だったかな~状態だ。

 そして、一度私と弟は親の妹夫妻の元に預けられ、私と弟は親戚の元で一時的にカガリ・ヤマトに、そして弟はそのままに私はそこからさらに別の家に引き取られた。

 だが弟の名前と苗字を聞いた時にもしやと思ったがまさかなと……。

 

 だが無情にもそれは打ち砕かれた。

 私を引き取ったのはウズミ・ナラ・アスハ、そう、オーブ首長国連邦の首長(この頃はまだ代表ではない)だったのだ。

 

 やべぇ! よりによってあのカガリに転生した!

 バカガリだったりKガリといろいろな意味でネタにもされ愛されているやもしれないあのカガリだ!

 しかも未来もそこまで明るいかと言われると……。

 

 これも全てはあの神さまの企みなのだろうか……。

 

 そう、私は神の気まぐれにより転生したのだ。

 なんでも天界でいま流行っているとかで、それで自分もやってみるか?

 そんなのりでたまたま目に止まった魂を平行世界の一つに転生させ、その者の行動を娯楽にするんだそうです。

 

 そんな偶然で選ばれた私は、どこに行くかは教えてもらえなかったので、わからずにとりあえず開発などの知識チートと幸運をもらったのだった。

 そして、転生したらカガリになっていたのだった。

 

 いや、カガリ自体は嫌いじゃなかったけどね。

 SEEDの世界に転生して、やっぱり興奮はしたよ。

 アニメの世界に転生してやっぱ世界が違うからなのか色々新鮮で興奮しました。

 だけど、その後冷静になって考えたらどうやってこの世界で生きようかと考え始めた。

 

 あの神様は好きに生きろと言っていた。

 平行世界だからどんだけやっても本来の世界線には影響がないと。

 ならば本当に自分の好きにさせてもらいましょう!

 とりあえず子供の生活も楽しもうと思ったのが2歳になった頃だった。

 0~2歳の間は、頭脳チートの影響で脳への負荷がそれなりにかかったせいで、割りとよく眠っている毎日でした。

 からだはスクスク成長したけど、これはチートを制御できなかったせいなんだ。

 なので0~2歳になるまでの間、がんばって自分の意思で脳を開発、チートを制御できるように努力の毎日だった。

 そして2歳になり、言葉もそれなりに話せるようになったころは、最低限の制御ができるようになり、さっきも言ったように子供の頃を楽しもうと思ったのだ。

 

 なのでまずは

 

「おとうたま~! おかえりなしゃ~い!」

 仕事から帰ってきたウズミ・ナラ・アスハ、お父さんに甘えよう、そしていつか親孝行しようと。

 

「お~、ただいまカガリ、走ると危ないぞ」

 お出迎えして駆け寄るとつまずいてカーペットの上にこけてしまう。

 この体は走りづらい……。

 思いっきり鼻打った。

「ほらいわんこっちゃない、大丈夫かカガリ?」

 すぐにウズミに抱き上げられる。

「う~……大丈夫です、カーペットは柔らかかったので痛くはないです……」

 そうしてウズミに抱きかかえられながら思いっきり甘えるのだった。

 

 実際ウズミパパは超いい人、いいお父さんなのである。

 血の繋がらない私を本当の娘のように可愛がり、愛してくれている。

 原作のカガリは厳しく育てられたとあったけど、流石にまだこのぐらいの年齢の時は甘かったのかも?

 あるいは、平行世界だからちがうのか?

 まあそんなところは置いといて、このお父さんが国とともに炎に包まれて死ぬなんて……いやだな。

 なので、今生の第一目標はがんばってオーブを存続ならぬ、お父様を生存させましょう!

 ぶっちゃけ戦勝国にでもしてしまうのが手っ取り早いのかな?

 そして第二目標もちょっと立ててみました。

 ほんの少しの間だったけど、弟が可愛かった!

 ちょっとがんばってキラを戦場に出さなくてすむように、もっといえばヘリオポリスが壊れないようにしてみよう!

 

 その結果、まずはオーブがどうして滅んだかを軽く思い出して、中立を貫く武力が無かったことに思い当たる。

 物量の前にはどうにもならなかったもんね。

 他にも政治的な立ち位置だったり、たしかサハク家との対立もあったのかな。

 お父様の理念、嫌いじゃないけど時世が悪かったね。

 どっちにも肩入れするってのも、武力が足りないから致し方なかったのかもだけどね。

 どっちにも肩入れしないとなるとそれはそれで危ない、中立の痛いところだね。

 

 よし、まずは武力どうにかしないと……

 

 

 

 

 それから5歳になる頃、教育が厳しくなるなか、教育している講師の人たちが驚くほど課せられた教育をあっさりクリアしていた。

 いや~、開発チート様様、脳を開発していった結果、淑女教育も何のそのですわ。

 あまり最初からできすぎてもおかしいので、段階はふんでるけど。

 

 そして、飴と鞭と言うべきか、レッスンも優秀な成績を収めているのでおねだりしてみたらそこそこハイスペックなパソコンとお小遣いもらえましたわ。

 

 そして8歳の頃にはお父様からは え? っとされましたが機械いじりもするように。

 ハロ作っちゃったw

 しかも色々機能を付加した自己学習型のアムロの作ったサイズで。

 

 後はチート全開で全部自作した明らかに数世代先のスペックPCを作って、裏で色々と金策に情報収集を。

 さらに宝くじから株やら何やらと合わせて資金作って後々に備えた。

 

 そして10歳になる頃には、屋敷の地下に自分のちょっとした工房作る始末。

 

 流石にウズミパパも私の異常に気づき話し合いに。

 

「カガリ、お前は一体どこを目指しているんだ?」

 テーブルを挟んで向かい合い、真剣な顔でこちらを見るウズミパパ。

「当然、未来を目指していますよ、お父様」

 紅茶を片手に話す姿は慣れたものだ。

 

 そしてしばらく考え込むとウズミパパ、いや、ウズミ代表はこう切り出してきた。

 

「カガリ、お前は今のこの世界をどう思う?」

「そうですね……、今はまだ平和な世界ですね、少なくともこのオーブは」

 少し考えたフリをしてそう答える。

「今は……か、なら10年後、このオーブはどうなってると思う?」

「10年後ですか……」

 10年後、デスティニーも終わってるな……、だが言えることはただ一つ。

 

「戦火に焼かれてるんじゃないでしょうか」

 実の娘から飛び出した発言に、流石に目の色が変わったウズミ代表。

 だが、ゆっくりと心を落ち着けて、こう切り出した。

「なぜ、中立国のオーブが戦火に焼かれていると思うのだ?」

「中立国だから、でしょうか」

「中立国だから、なのか?」

「ええ、正直今の世界は、導火線に火の付いた火薬庫と変わらないと思います

 理事国……いえ、ブルーコスモスとプラント、ナチュラルとコーディネイター、通常の戦争ではなく、どちらかが滅びるまで戦い続ける種族間戦争に発展してもおかしくないと、私は考えています。

 それ故にどちらにも加担しないか、どちらにも加担する中立国家ではおそらく、途中でどちらかに付けと武力で脅かし、中立の立場からはずさせようとしてくるでしょう」

 

 具体的な予想に、ウズミ代表の顔も曇る。

「もしそうなった場合、ある程度質をもった武力を確保していたとしても、圧倒的な物量で来られた場合は長くは持たないでしょう」

 

 実際、フリーダムにジャスティス、アークエンジェルにおまけでバスターとアストレイ部隊がいても最終的には押し切られてしまったのが答えといえるんではないだろうか。

 

「消耗戦に持ち込まれたら、不利になるのはこちらかと」

 

 もしそんな消耗戦を勝とうとしたら……圧倒的な質か、消耗しないような戦いをするしか無いんだよな。

 

「そんな中、それでもなお中立を貫くと言うなら、その為の武力を持つべきでしょうね

 可能なら、その時まで表には出さずに鷹の爪は隠しておくべきかと、私は考えます」

 

「お前は、今のオーブでは中立は守れないと考えるのだな? その根拠はあるのか?」

「ええ、私が秘密裏に手に入れた情報の断片を組み合わせて、多少の予想が入りますが……、ハロ、例のデータをお父様に見せてくれ」

『リョウカイ! リョウカイ!』

 そして、ハロの口がパカっと開いて、モニターが表示される。

 

 表示したのは、プラントで製造されたモビルスーツの実用第一号機の予想データ。

 ハッキングやらウィルス送り込んで情報漁った結果、集められるだけ集めたデータから作った予測データである。

 

「これは……、カガリ、お前これどうやって手に入れた?」

「そんなことより、それが実践で使われるようになった場合、戦場はどうなると、お父様は思われますか?」

 ウズミ代表の厳しい視線に思わず目をそらす。

 

「……少なくともこのスペック、試作段階でこれか。

 おそらくジャミングを前提に有視界での戦闘を前提にしているとしたら……。

 実戦配備するようになれば今主流のMAでは歯が立たないだろうな。

 そうなれば、宇宙ではプラントの独壇場に変わる」

 

「一応予測からですが、私自身で組んでみた試作機の完成形のデータ見てみますか?」

 

 そして、できると思われるジンのデータを見せると完全にウズミ代表は考え始め、そしてこう切り出した。

 

「カガリ、お前はどうするつもりなのだ?」

「とりあえず今のうちに備えておきたいですね、この兵器に対抗できるモノを」

「作れるのか? お前が」

「どうでしょうね? 幾つか考えてるものもありますし、資金もありますが……」

 

 さすがに設計やらプログラムなんかはチートのお陰でできるけど、MSの開発となると一から設備やらなんやら、さらにMSの製造となると許可もいる。

 このへんどうしたものか……。

 

「そうか、ならば……」

 

 ウズミ代表から飛び出したのは驚きの一言だった。

 

 

 

 CE:66

 

 あれから1年後、カガリは仕事していた。

 ウズミ代表がバックについて、秘密裏にできる開発場所(無人島一つ)と最低限の設備は用意してくれた。

 ただし後はやってみろ、カガリ自身が稼いだ資本で開発を行うという丸投げに近い形。

 まあ、丸投げするように頼んだのはこっちなんだけどね。

 迂闊にモルゲンレーテ内でやるとサハク家から情報が流出する可能性が高い以上、殆どを個人でやるしかなくなる。

 

 この一年は主に地盤固めだ。

 資金をさらに増やすため、現行出ているOSより性能が1~2割ほどいい改良版を売りつけたりして稼いだ。

 その金で設備を整え、人手を作るために作業ロボットなんかも作った。

 そして趣味と実益をかねて作ってみたんだ。

 

『主殿、お茶が入りました』

「ああ、ありがとうシグマ」

 ガンダムブレイカー3に出てたトイボット、あれをさらに高性能にして、私のサポートをしてもらってる。

 名前に関して、ロボ太をそのまま使うのは少々ためらったので、騎士関係でパッと思い浮かんだのが、ダイの大冒険のナイトシグマだったのだ。

 そこ、間違ってもロックマンXのシグマを思い浮かべるなよ!

 ちなみにこのシグマも自己進化型のAIを使っている、ハロの蓄積したデータからさらに改良したのだ。

 ちなみに最初に作ったハロも改良して、今は主にこの施設の管理と、運営をやってもらっている。

 

「とりあえず、新しく試作したエンジンやバッテリーの様子はどうだ?」

『現状、問題らしい問題は出ていません』

「そうか、なら後は作るだけだな」

『おお、ついに!』

「ああ、まずはMSと、それを運用する戦艦……といきたいが、まずは小型の物を作ってからだな」

『MSもですが、戦艦もコストがかかりますからな~』

「世知辛い世の中だよ、まったく」

 

 なんとしても4年後の4月までには完成させないと。

 

 

 

 そして翌年のCE:67 プラント、いやZAFT側でついにジンが完成したとの情報が入った。

 戦争開始までそんなに時間がない。

 あ、そろそろGARMR&D社の株は売却しとかないと。

 あっちにあったバイオ技術はあらかた回収し終わったし、ブースデッドマンに対しても治療はできるでしょう。

 

 

 CE:68

 

 ついに戦争一歩手前の状態になった、理事国とプラント側でにらみ合いになり、軍備拡張が行われている。

 その結果、政治結社だったZAFTが、軍事組織ZAFTに変わった。

 結果、ブルーコスモスのテロも横行し始め、多くのコーディネイターはプラントに移住を始める。

 メンデルでのバイオハザードも起き、戦火の火種はそこかしこに散らばっていた。

 

 

「ふぅ、なんとかMSと小型試作艦の方は形になったな」

 秘密工場ではチートを駆使してなんとか完成にこぎつけた機体が形になっていた。

「それにしても、バッテリーで動く機体ってのはある意味独自性だよな」

 他のガンダム世界だったら核融合炉とかなのに対してこの世界はバッテリー式とは……。

 

 今回作ったMSは、バッテリー+小型相転移エンジン、あの機動戦艦ナデシコで使われたエンジンだ。

 まあ、相転移エンジンは真空状態でないと出力が落ちてしまうので、バッテリーが付いたのだ。

 宇宙では何の問題もなく、地上では海に入ればすぐにエネルギーがチャージされる仕組みだ。

 なんせオーブは島国、海に囲まれてる以上、相性はいい。

 そこ、核融合炉でいいじゃんとかいわない!

 さすがに核の取扱は難しいんだよ! え? 相転移エンジンも似たようなものだ?

 ハハハ(目逸らし)

 それにしてもこの世界、アークエンジェルとかどうやって飛んでたんだろうな?

 一応レーザー核パルス融合推進ってなってたけど、それなら戦艦を都市に横付けすれば電力供給できるだろうに……。

 いろいろ考えてみた結果、ブルーコスモスが悪いとなった。

 おそらくだが、その辺全部戦争に使うために回さず、コーディネイター憎しを煽るためにやったとかんがえられる。

 しかし、最初は核融合炉が無いと考えていたが、そうでもないんだな……船に搭載するエンジン、アレを作ってみるか?

 無人になって誰も近づいてこないと予想されるメンデルで……。

 

「戦艦の骨組みもできたし、後は完成させるだけだ!」

 

 小型艦? あっちもあっちで特殊なエンジン載せてるよ、まあ作るのが相転移エンジン以上に無茶だったけど、できてしまったのだ。

 今は戦艦用のサイズも成功し、戦艦の方に搭載予定、おそらく3つの動力を使うことになるだろう。

 

 シグマはどうしたって? シグマなら私が作ったMSと船のシミュレーターで訓練中。

 経験値を積ませないと、操縦はおろか、戦闘なんてできないからね。

 私自身も訓練してるけど、実践でどうなるかだな……。

 

 

 CE:69

 ついにMSの存在が公開され、プラントと理事国間での戦闘が勃発。

 これによりプラントは理事国がプラント側に配備してた戦力を排除することに成功。

 MSの脅威に気付いたハルバートン大佐は極秘でMSの製造を開始した。

 

「確か、来年あたりに協力要請来るんだったか……とりあえず、キラを戦場に出さないようにするためには、ヘリオポリスを守らないと

 一番いいのは、G兵器開発をヘリオポリスでやらせないようにするのが手っ取り早いのだろうけど……難しいだろうな~」

 

 実際、動くのはサハク家だろうし、ロンド・ミナ・サハクとは、社交で何度かお会いしたこともあり、そこまで悪くない関係は築けてると思うけど、流石にウズミの小娘と思われてるから、やめてと言って聞いてくれるとは思えないからな……。

 

 そして、去年倒産したGARMR&D社だが、メンデルの権利書を秘密裏に買い上げたのだ。

 いや~、メンデルの所有権を買い取りたいとお札で叩いたら快く譲ってくれました。

 資金はまたOSとか組んで売りさばいて稼いだけど。

 

 作った小型艦とMSの最終調整は完了、戦艦も最終調整が済めばいつでも

 MSが完成したので、その報告はウズミ代表に入れたが、お前は一体何を作っているんだ!

 という目でめっちゃ見られた。

 そら明らかに技術レベルがおかしいのを複数作ってるからね。

 相転移エンジンとかこの世界じゃ作られてないよ?

 類似品でPS装甲はあるけど、ものが違うからね。

 この時、ついでとばかりにアストレイではなく、バルキリーの設計図も渡しておいた。

 

「カガリ、これは?」

「可変戦闘機です、名称はそちらで決めてください、これなら陸と空に宇宙、そして一応ですが水中でも運用できるので、国防には適ってるかと思い設計してみました」

 アストレイを作るとは思うんだけど、どう頑張ってもあれは国防には向かないんだよな。

 海に囲まれている島国なら、空と海、どちらかがこなせないと駄目だろうと。

 熱核バーストタービンエンジンが使いたくても使えない以上、今使える大容量バッテリーを使わざる得ない。

 小型相転移エンジンも使う予定ではあるが、地上では水中に入らない限り相性が悪い。

 バッテリーがメインだな。

 いっそ、ようやく完成したテスラ・ドライブも使うか?

 ファイター、ガウォーク、バトロイドの形態変化で、水中では基本ミサイルで戦う方向でいけばなんとかなるはず。

 水中専用のバルキリーの設計図も作っておくかな。

 もうバルキリーじゃ無くなりそうだけど。

 いっそシーリオン作るか?

 

「なら、これは依頼だが、試作品として通常タイプと水中タイプを一機ずつ作ってもらえるか?」

「わかりました、ただ水中タイプは別の機体を用意してみます」

「すでに議会でもMSへの対抗手段として、オーブ製MSの開発に着手しているが、難航していてな」

「そらそうでしょうね、私はジンの設計図の断片を入手してから色々こねくり回して作りましたし(建前」

「カガリ、お前の頭の中は一体どうなったらこんな物が作れるようになるんだ?」

「どうなったんでしょうね? それと新情報ですが、連合の方でもMSの開発が極秘裏に始まったようです」

 情報を伝えて、今後のことについて話し合い、仕事に戻った。

 

 

 

 

 CE:70

 ついにこの時が来てしまった。

「今後、いかなる事態が起ころうとも、オーブは独立、中立を貫く!」

 アスハ代表の中立宣言が行われた。

 そして私がやろうとしていたことのリミットでもあった。

 現在2月8日、血のバレンタインまで後6日を切ったのだ。

 

「お父様、演説お疲れ様でした」

「カガリか、何かあったのか?」

「……例のものが完成しました」

 ウズミ代表の耳元でそう囁くとウズミ代表の目が見開いた。

 そして、稼働データと映像資料を手渡す。

 

「可変戦闘機は人目を避けてやったので時間がかかりましたが、今のところ問題はありません、水中用の機体はこちらになります、正式名称は任せますが、仮でシーリオンとしています」

 

 それからしばらく資料映像と、稼働データから考えるウズミ代表

「……予想以上だな、これならば国防に関しては問題なかろう」

「シーリオンと可変戦闘機は、何機用意いたしますか?」

「両方30機と言いたいところだが、資材と予算は足りるのか?」

「正直すぐには厳しいですね、使ってる動力も推進装置も私が作ったやつですし、時間がかかりますね

 可能なら装甲も性能の高いのに変えたいところですが、その素材、宇宙で作らないといけないんですよね」

 

 そしてしばらく話し合った後、私は本題を切り出した。

 

「……お父様、私は明後日から少し出かけようと思います」

「……どこへ出かけるつもりだ?」

 私の雰囲気が変わったのを見て、その目がさらに真剣なものになる。

「こちらを……」

 

 私は事件に介入するべく、これから起こる悲劇の計画情報をみせる。

「!? カガリ、お前はこれをどうやって手に入れた?」

「私は色々なOSを作っては売りつけて資金調達もしていましたが、どうもあちらさんはそれを使っているようで、予め仕込んでおいたセキュリティーホールからウィルス流して、情報集めてたんですよね」

 セキュリティーホールは、私が設定した開発者専用裏コードだ。

 ぶっちゃけこれも開発チートで作ったものなので、現代の技術じゃまず見つけられないはず。

「今回の情報もそこから入手させてもらいました、さすがにこれを実行されたら、完全な種族戦争に発展しかねません、さらに言えば、今後プラントと理事国間で和平ないし、停戦するにして落とし所を探すことができなくなると思われます」

 

「カガリ、お前は私に一体どうしろと言うんだ?」

「何も、ただ私一人、個人で介入するだけです、その為の手段も作りましたので……」

 私は真剣な、覚悟を決めた目でウズミ代表の目を見た。

 

「わかった、私は何も見なかったし、何も聞かなかった、家のお姫様はバカンスに出かけたとしておこう

 だが、なるべくバレないようにな……」

 

「ええ、その為のシステムも入れてますから今の段階なら99%バレないでしょう、1%は、何事にも100%はありえないということで」

 

 

 

 

 

 そしてCE:70 2月14日、私は今宇宙にいた。

 

「時間だな、シグマ、相転移エンジン始動、作戦宙域にて行動を開始する」

『了解、相転移エンジン正常稼働中、テスラ・ドライブオールグリーン、発進、いつでもいけます』

「ならばこのまま作戦を開始する、試作小型艦、ウエポンブレイカー、発進!」

 

 現在ユニウスセブンで起こるはずの血のバレンタインを阻止するべく、小型の試作艦で航行している。

 作った船は、ロスト・ユニバースで作られた戦闘封印艦ソードブレイカーを1/2サイズで簡略化して作った船だ。

 ちなみに拠点に置いてきた戦艦はサイズそのままのソードブレイカーである。

 なお、プラズマニュートリノエンジンはまだないので、相転移エンジンで代用。

 サイエンジンも搭載済みである。

 ただ、オリジナルに比べたらやっぱりどうなんだろう?

 推進機構にはテスラ・ドライブとかも使ってるけど……。

 ファランクスレーザーは24門にサイブラスターが装備されている。

 さすがにリープレールガンはできなかった……、サイバリア、ディストーションフィールドの展開可能。

 だが流石にこの小型艦でのプラズマブラストは無理があった。

 代わりにグラビティーブラストが発射可能。

 戦艦の方には搭載されているので、いつか使う機会があるのかな?

 リープレールガンの代わりに通常のレールガンを装備している。

 そして自動修復システムも完備、ある程度の損耗は直せるようにしてある。

 なお、今回の作戦都合上、ソードブレイカーの色は真っ黒である。

 アニメの時の偽装した姿ではなく、本来の姿である。

 

「ミラージュコロイド展開開始」

『了解、ミラージュコロイド展開開始します!』

 

 そして漆黒のボディの船の姿は宇宙に溶けるように見えなくなっていく。

 

『作戦宙域に到達、すでに戦闘が開始されている模様』

「間に合ったか」

 

 核ミサイルはまだ発射されていないようだ。

 

 遠くには多数の爆発の火花が散っている。

 

『主殿、戦闘宙域から一機、MAが突破した模様、進路コースはこのまま行くと、食料生産コロニー、ユニウスセブンです!』

「念のための映像記録は取っているな? ミサイルが発射された瞬間にファランクスレーザーでミサイルを破壊する!」

 

 

 そして

 

『青き正常なる世界のために!』

 

 

 オープンチャンネルでそんな一言が聞こえてきたが、知ったことではない、ブルーコスモスのやり方も嫌いだからね、しかたないね。

 核ミサイルが発射された瞬間、ファランクスレーザーが発射された核ミサイルに突き刺さった。

 

 

 その瞬間、真っ赤で広大な炎が宇宙を照らした。

 目標であったコロニーを傷つけることも無く。

 その炎が焼いたのは、そのミサイルを発射したMAだけだった……。

 

 

 

『作戦完了、これより宙域を離脱しますか?』

「いや、ミラージュコロイドを展開したまましばらく様子見しよう、第二射の可能性がないとも言えない、ZAFTの守備隊の姿が見えたら離脱しよう」

『了解しました、ですが主殿、ブルーコスモスとはひどい奴らですな

 一般市民のいる、しかも食料生産コロニーに核を打ち込むなどという非道を行うとは……主殿?』

 シグマがこちらを見てから近づいてきた。

 艦のコントロールは直接操作しなくてもシグマはできるからいいんだが、どうしたんだろう?

『主殿、震えていますよ』

「え?」

 気がつけば私の手は震えていた……。

 少し考えればすぐに分かった……。

「ああ、私は人を……殺したんだな……」

 そりゃそうだ、好き勝手するつもりで悲劇の一つを止めたけど、それを止めるために、テロリストとは言え、人を殺したんだよな……。

 そんな事を考えているとシグマが私の体を抱きしめながら

『主殿、月並な言葉ではありますが、主は確かにテロリストとは言え人を殺した、これからもこういう事を続けるならばもっとすることになるでしょう

 ですが、なお続けるのであれば主殿は殺した人より、助けた人たちのことを考えましょう

 少なくとも主殿は、あそこにいる人たちを救ったのですから』

 

 その言葉の後、光学処理がされたモニターに映るのは、ユニウスセブンの無事な姿だった。

「ありがとう、シグマ……、おかしいな、私が作ったはずなのに、私よりよっぽど……」

『ふふっ、何を隠そうこのシグマ、主のために日夜進化を続けとりますからな』

 

 そんな中、レーダーに接近する部隊を補足、ZAFTの守備隊だ。

 

「……ふぅ、これより宙域を全速力で離脱、一度メンデルによってから帰ろう」

『すでにやっております、目標メンデルに向けて全速前進します』

 

 テスラ・ドライブのお陰で慣性制御がいくらか効いてるおかげで、体に掛かる負担は少なめだった中、私はあの男に送ったメールを思い出す。

 

(さて、勝負と行こうか、お前は私が止めてやる、キラではなく、このカガリ・ユラ・アスハが!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 side:クルーゼ

 

 それは突然だった。

「なに!?」

 端末が突然動き出し、モニターに表示されたのは

「はじめまして」

「ハッキングだと!?」

 そして続く文には

「突然お邪魔して失礼するよ、ラウ・ル・クルーゼさん? いや、フラガさんと呼んだほうがいいかな?」

(私の秘密を知っているだと!?)

 送られてきた文言に驚かされるしか無い。

「勝負をしよう、あなたと私の、世界を壊そうとするものとそれを止めようとするものの戦いさ」

(目的まで知られているとは……)

「もし私が勝ったら、君のことを治療させて欲しい、どこまでできるかは分からないが全力で取り組ませてもらう」

「クッ、ハハハハハハ、面白いね、全く面白いよ、今の今になってこんなことが起こるとは……」

 私はコンソールに打ち込んだ。

「その勝負受けよう、止められるものなら止めてみるといい! 私のこの世界への憎悪を止められるものならば!」

「ああ、ではいずれ何処かで……」

 

 そうしてモニターが消えると、その後には先程のやり取りの痕跡すら残っていたなかった。

「世界とはつくづく理不尽で面白いものだな……なぁ、レイ……」

 ここにはいないもう一人の私の同胞を思い、そう口に出してしまった。

 

 

 

 




続かない。

11月26日 一部修正。

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