Fate/Grand Order【The arms dealer】   作:放仮ごdz

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ヴェルカム!ストレンジャー・・・どうも放仮ごです。高評価とお気に入り登録の嵐でもう完全に正気を失っています。ガナード並に失っています。一週間もたたずに赤評価・・・お気に入り200間近・・・日刊26位・・・だと・・・!?

そんな訳で今回はセイバー戦。何時もより長いです。少しシリアスです。最初にディーラーの持つ武器を並べています。ディーラーがマジで頑張る死闘、楽しんでいただければ幸いです。


運命は自ら切り開けストレンジャー

柳洞寺跡。爆心地にしか見えないそこで、武器をずらーっとその場に並べたディーラーが立香達にそれぞれの性能を説明していた。

 

 

「ストレンジャー。セイバーを倒すために俺の戦力を説明するぜ。

 

ハンドガン。マチルダ、ブラックテイルの他に特筆すべき特徴も無い通常のハンドガン(サプレッサー付き)、純粋に威力が高いレッド9、貫通力があり英霊化したおかげで一枚だけなら防御を貫けるが威力が最低のパニッシャーがある。

 

ショットガン。セミオートショットガンの他に、標準的なポンプアクション式で連射が遅い物と、構え・照準移動速度が最も速く距離で威力の減退も少ないが装弾数が最も少ないポンプアクションのライオットガンがある。

 

ライフル。セミオートライフルの他に、威力が高いがボルトアクション式で隙の大きいライフルがある。

 

マグナム。ハンドキャノンの他に、標準的な中折れ式のリボルバーと装弾数や装填速度に優れたオート拳銃のキラー7がある。キラー7の方は限定仕様ができないから威力はリボルバーの方が上だ。

 

その他に切れ味が落ちる事の無いナイフ、威力は最弱だが堅い敵でも怯ませるマシンピストル、その高威力版のシカゴタイプライター、言わずもがなな性能のマインスロアー、一発限りのロケットランチャーが数本、無限ロケットランチャー、マインスロアーとほぼ同じ威力だが着弾後すぐに爆発する爆薬付きのピストルクロスボウのボウガン、30パーセントまでのダメージを軽減できるボディアーマーが数着、手榴弾、焼夷手榴弾、閃光手榴弾がある。

 

あと俺には使いこなせないが、弾丸よりも着弾が遅いが威力が高く発射音が静かなため敵に気付かれずに攻撃することができる矢と、マインスロアーと同じ時限爆弾付きの矢を発射可能のコンパウンドボウ、攻撃力こそないが移動に使えるフックショットがあるぜ」

 

「まず、何でそんなに武器を持っているの?戦争でもする気?」

 

「戦争なんかしないさ。俺はあくまで商人だからな」

 

 

堪らずツッコむ立香に、武器商人は呆れながら返す。

 

 

「捜査官一人のために何本もロケラン使う宗教団体に比べたらマシだろう。あと各種回復用の卵、魚、ハーブ、ダメージを全回復できる救急スプレーがある」

 

「何故ハーブ」

 

「効くんだぜ?かなり。…ああ、後。これはとっておき過ぎる上に局地的な戦況でしか使い様がない武器があるぜ。一応教えとくか?」

 

「…じゃあ、一応」

 

 

守秘義務だと言う事で立香にだけ耳打ちで教えられたその内容。あまりに微妙な上にサーヴァント戦では絶対役に立ちそうにない武器に、立香は苦笑いを隠しきれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大方の作戦が決まり、キャスターの先導で柳洞寺の裏手の洞窟から最奥に足を踏み入れる立香達。そして、目の前に広がる光景にオルガマリーが喉を鳴らす。魔術師として、その光景は信じられない物だった。

 

 

「これが大聖杯・・・超抜級の魔術炉心じゃない・・・。なんで極東の島国にこんなものがあるのよ……?」

 

『資料によると、制作はアインツベルンという錬金術の大家だそうです。魔術協会に属さない人造人間ホムンクルスだけで構成された一族のようですが』

 

 

呆然と呟くオルガマリーに、立香の端末から映像でドクターロマンが出て答える。その内容に立香はちんぷんかんぷんなので黙る事にした。未だに、ディーラーの言う「ゾンビ」の事なら分かるが死徒とかの内容も理解していない。

 

 

「悪いな、お喋りはそこまでだ。奴さんに気付かれたぜ」

 

「・・・アレがセイバーか。まだガキじゃないか。ストレンジャーや大統領の娘の方が年上だろう」

 

「そうなんだ・・・」

 

 

洞窟最奥の広い空間の中、ちょっとした丘のようになっている場所から見下ろす様にアーサー王と思われる黒い鎧に身を固めバイザーを身に着けた色素の抜けた薄い金髪の年端もいかない少女が、静かに佇んでいた。その手には、黒く染まった聖剣、エクスカリバーが握られている。

 

 

「なんて魔力放出。あれが、本当にあのアーサー王なのですか?」

 

『間違いない。何か変質しているようだけど、彼女はブリテンの王、聖剣の担い手アーサーだ。伝説とは性別が違うけど、何か事情があってキャメロットでは男装をしていたんだろう。ほら、男子じゃないと王座にはつけないだろ?お家事情で男のフリをさせられてたんだよ、きっと。宮廷魔術師の悪知恵だろうね。伝承にもあるけど、マーリンはほんと趣味が悪い』

 

「ああ、趣味が悪いな。あんな女子供に一国の王を任せるのか?・・・俺の知る坊ちゃんは地方の城の主だったが、孤独とそのあまりの重荷に潰され、信仰に逃げてしまっていたぞ」

 

 

マシュの呟きに答えたドクターロマンに同意するディーラー。思い浮かぶは、プラーガを封印するサラザール家の当主と言う重荷と、天涯孤独となりその寂しさによる心の隙からサドラーの甘い戯言に乗せられプラーガの封印を解いて信仰した末に、異形となりながら己に仕えてくれた従者と共に巨大な異形の怪物となり果て、レオンに撃退された子供の様な背丈と老人の様な顔を持つアンバランスな男。

しかし、恐らく目の前の少女はその重荷や孤独に押し潰されてなどおらず、まさしく王の如き覇気が自身に突き刺さる。思わずブルリと震えた。

 

 

「見た目は華奢だが甘く見るなよ。アレは筋肉じゃなく魔力放出でカッ飛ぶ化け物だからな。一撃一撃がバカみてえに重い。気を抜くと上半身ごとぶっ飛ばされるぞ」

 

「ロケットの擬人化のようなものですね。……理解しました。全力で応戦します」

 

「元より甘く見れん。あんな覇気を持つ男を俺は知っている。決して侮れないな、誰かレオンの奴を連れて来い」

 

「奴を倒せば、この街の異変は消える。いいか、それは俺も奴も例外じゃない。その後はお前さんたちの仕事だ。何が起こるかわからんが、できる範囲でしっかりやんな」

 

 

背中に担いだ細長い袋の中にある何かを握ったキャスターや盾を構えるマシュと共に、ディーラーもシカゴタイプライターを取り出し臨戦態勢を取る。

今までは、自分でも小細工を使えば勝てる相手ばかりだった。しかし、目の前にあるのは圧倒的な力。バーサーカーを倒したと言う事実にも納得が行く、圧倒的なまでの暴力に立ち向かうべく自身を叱咤する。彼女を倒した先に元凶がいると言うのなら、進むまでである。

 

 

と、こちらを見つめたまま動かなかったセイバーの口がようやく開いた。

 

 

「ほう…面白いサーヴァントがいるな。・・・それも二人も」

 

「なぬ!? テメェ、喋れたのか!? 今までだんまり決め込んでやがったのか!?」

 

「ああ、何を語っても見られている。故に案山子に徹していた。だが……面白い。その宝具は面白い」

 

 

ゆっくりと、しかし威圧するようにセイバーが剣を引き抜き、構える。

 

 

「構えるがいい、名も知れぬ娘。まずはお前からだ。その守りが真実かどうか、この剣で確かめてやろう!そしてその後は……お前だ、商人」

 

 

セイバーと目が合う。恐怖がじんわりと染みこむ。己はレオンの様な英雄ではない、ただの商人だ。命がけで戦った事も無い、ただ売り、買い、そして誰かの役に立つだけのちっぽけな存在だ。彼女の目は、取るに足らないと言っていた。

 

 

「どうしてお前の様な化け物がサーヴァントとしてここに立っているかは知らないが、死滅させてもらうぞ。貴様のそれは、人類の敵だ」

 

「・・・プラーガの事か」

 

「プラーガ・・・害虫と言うのか。言い得て妙だな。分かっているなら死ね、朽ち果てろ。貴様のそれは、在るだけで世界を脅かす」

 

「そうかい。・・・だが残念だ、ストレンジャーからそう何度も死ぬことを赦されてないんだ。だからできない。俺は注文(オーダー)は必ず果たす主義でね。

ストレンジャーから令呪で自害でも命じられない限り生き汚く戦おうと言う訳さ。文句はあるか騎士王様?」

 

 

背後からの立香の視線を感じ、シカゴタイプライターを構え直すディーラー。

どうやらこの娘はセイバーから何を言われても自分を怖がろうともしないらしい。その事に、気分がよくなる。正体を隠してレオンに接触していた自分からすれば、生きろと命じられているのも、自分の事を知っても拒絶しない事も、それらは最高の報酬だった。ならば報酬の分だけ働くだけだ。

 

 

「そうか。ならば死ぬがいい・・・卑王鉄槌。極光は反転する」

 

「来ます……先輩!」

 

「マシュ、宝具を・・・!」

 

 

マシュが一歩前に出て盾を構える。ディーラーが一度別れる前は使えなかったはずの宝具(モノ)。それは、一度バーサーカーに追い詰められた際に発動した、オルガマリーに名付けられた宝具の疑似展開。

そして放たれるは、ロケットランチャー以上の火力とシカゴタイプライター以上の制圧力を持つ、神秘の解放。漆黒に染まった、この世で最も有名な聖剣の放つ極光。

 

 

「光を呑め!・・・約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガ)ァアアアアアアアアアアアアアンッ!」

 

「はい、マスター!宝具、展開します・・・!疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)ッ!」

 

 

展開された魔法陣が極光を受け止め、マシュは押されながらもそれを耐え切った。耐え切ったならば、矛の出番だ。

 

 

「十分な働きだぜ、嬢ちゃん」

 

「後は俺達に任せな。ストレンジャー!」

 

「なに!?」

 

 

マシュが崩れ落ちると盾がずらされ、そこにいたのはマシュを信じて、ずっとそれぞれの銃を構えていた三人。シカゴタイプライター、ハンドガンマチルダ、標準ブレブレで及び腰のハンドガンブラックテイルが、それぞれ火を噴き、連射。

 

 

「マスターが攻撃だと・・・!?」

 

 

圧倒的な弾幕を、一跳躍して回避するセイバー。しかし、それよりも頭上に誰かが跳んでいて。

 

 

「急造品だが我慢してやらあ!オラア!」

 

「グアッ!?」

 

 

ルーンを足場に踏み込んだキャスターの薙ぎ払いがセイバーの腹にクリーンヒット。地面に叩き付け、今度はディーラーの取り出した使い捨てロケットランチャーが襲い、防御の間に合わなかったセイバーは宙に舞い上がり、再び地面に叩き付けられて呻く。

 

 

「・・・な、何故だキャスター・・・何故貴様が、槍を持っている・・・!」

 

「武器商人サマサマって奴よ!」

 

 

そう言ったキャスターの手に握られているのは、愛用の槍より少し短いが、黄金の柄で豪華な装飾が成された先端が鋭く尖った、まさしく槍。

 

 

「俺がレオンから買い取った物に「至高のロッド」ってお宝があってな・・・強度も十分だったんで、槍を頼まれたから急造だが改造して作った。地下墓地(カタコンベ)の棺から見付けた物だから霊的な力も強いだろうな。注文(オーダー)には応えたぜ、キャスター」

 

「おう、コイツは使い勝手がいいぜ!ありがとなディーラー!」

 

「礼はもういらん。謝礼に石をもらったからな」

 

「無料じゃないんだ・・・」

 

「商売なんだ。取れる時は取るさ。・・・持っておけ、ストレンジャー達はさがっていろ」

 

 

そう言ってキャスターからの報酬だと言う七色に輝く石を立香に手渡し、使い捨てロケットランチャーを取り出して構えるディーラー。もちろん、一筋縄ではいかない。

 

 

「なめるな・・・!」

 

 

立ち上がり、キャスターを斬り飛ばしたセイバー目掛けてロケランを叩き込む。しかしセイバーは魔力放出を利用してロケットの様に跳んで回避、天井に足を付けると蹴り込んで勢いよく急降下。咄嗟にディーラーを庇って前に出たマシュの盾に叩き付け、魔力放出で押し潰そうとする。

 

 

「くうっ・・・!」

 

「マシュ!」

 

「後ろががら空きだ!」

 

 

ハンドキャノンが零距離で火を噴き、セイバーの後頭部を貫こうと迫るがしかし、セイバーの魔力放出がバリアの様に作用して弾かれてしまい、続けて撃とうとするも再びロケットの様な動きで退避。マシュに当たりそうになり慌てて狙いを変えるディーラー目掛けてエクスカリバーを振り下ろすセイバーに、割り込む様にして槍を投擲するキャスター。

 

 

「弱いな」

 

 

しかし筋力Eで投擲された槍は大した効力も見せず、エクスカリバーで縦に真っ二つに叩き斬られ、セイバーは魔力放出でキャスターの眼前まで突っ込み、黒い星光を溜めこんだ聖剣を振り下ろした。

 

 

灼き尽くす(ウィッカー)・・・」

 

「遅い!約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガ)ァアアアアアアアアアアアアアンッ!」

 

 

洞窟が揺れると共に、衝撃波が立香達を襲う。ただでさえ強力なのに加えて零距離から放たれる聖剣の一撃がキャスターを飲み込んで行く。切札を切ろうとしたが時既に遅し。

 

 

「くそっ・・・があっ・・・」

 

「ほう。生きていたか。・・・奴の道具か、小賢しい真似を」

 

 

しかし、念のためディーラーから受け取り装備していたアーマーが30パーセントのダメージをカットした事により動けないまでも消滅せずにすんだキャスターを捨て置き、ディーラーを潰すべく歩み寄ってくるセイバー。ゆっくりと甚振る腹積もりらしい。

 

 

『駄目だ、彼女の魔力リソースは聖杯から流れている!彼女の魔力に、上限は存在しない!』

 

「キャスターまでやられて・・・どうするのよ・・・!ああ助けてレフ!」

 

「やるに決まっている・・・!」

 

 

迫るセイバーに向けてマインスロアーを乱射するディーラーであったが、それらは全て直感で斬り飛ばされ、あらぬ場所で無意味に爆発して行く。その内カチンカチン、と弾切れになり、慌てて弾込めした瞬間には魔力放出による移動でセイバーが目前に迫っていて、マシュが防御するまでもなく、ディーラーは一刀の元に切り捨てられた。

 

 

「次はお前だ。さあ、マスターを守って見せろシールダー・・・!」

 

「くっ・・・うわぁああああああっ!」

 

 

振り上げられる聖剣を、盾で弾き返すマシュ。しかしジリ貧。マチルダを手に援護しようと試みる立香であったが、手が震えて上手く狙いが合わない。今まで、ディーラーのおかげで難なく勝てて来た。しかし今回の敵は、ディーラーの武器がまるで通じない強敵。例えディーラーが生き返るとしても、やはり恐怖で竦んでしまう。・・・・・・・・・生き返る?

 

セイバーとぶつかるマシュの様子を横目に、気付かれない様に辺りを見渡す立香。そして見付けた、岩陰に隠れて何故か右手に持った閃光手榴弾と、地べたに置いてあるロケランを左手の人差指で交互に指して何かをアピールしているディーラーの姿を。

 

 

「・・・あ、そうか!マシュ、所長!目を!」

 

「・・・ッァ!?」

 

 

立香が叫ぶと、咄嗟に目を瞑るマシュとオルガマリーに疑問を抱いたセイバーはその一瞬後、立香から投擲された何かを反射的に斬り飛ばし、同時に後悔する。それは、一行が一人一個ずつ所持していた閃光手榴弾。

 

眩い閃光が至近距離から放たれ、視界を奪われ怯んだセイバーを余所に、慌てて目を瞑ったままのマシュとオルガマリーの手を掴んでディーラーの元まで走る立香。それを確認し、閃光手榴弾を懐に直して無限ロケランを構えたディーラーは、セイバーではなく、その頭上に標準を向けた。

 

 

「ナイスだストレンジャー。ここは戦場だ、マスターであろうと運命は自ら切り開け。GoodBye(コイツを喰らえ),Saber!」

 

 

連続で放たれたロケット弾頭が、セイバーの真上の天井に炸裂。地響きと共に岩盤が崩れ落ち、それに押し潰されるセイバー。その場にいた誰もが勝利を確信する。・・・しかし。現実とは無常である。

 

 

「・・・おいおい。アンタの方が俺なんかよりよっぽど化け物じゃないか」

 

「化け物とは心外だ。死んだ死体を残したまま生き返り、ここまで質量兵器を当然のように使うサーヴァントこそ私は知らないぞ」

 

 

魔力放出とエクスカリバーを包み込む風の鞘、風王結界(インビジブル・エア)の合わせ技で竜巻を起こし、瓦礫を巻き上げたセイバーの姿に思わずぼやくディーラーにセイバーは初めて無表情を崩し、嗤って返す。それに強者の余裕を見るディーラーは、傍で盾を手に身構えるマシュを見て覚悟を決め、セミオートショットガンとマシンピストルを両手に構える。

 

 

「だろうな。近代の英霊なんてそうないだろうし、居たとしても大概西部開拓時代だろう。商人(ディーラー)なんて言うエクストラクラスの俺じゃなきゃできない戦法だ。それに、一番銃器使いそうなクラスのアーチャーでも基本は弓を使うんだろ?」

 

「・・・アーチャーとは弓を使うのか?」

 

「は?」

 

「え?」

 

 

至極真面目な問いかけに、思わず固まるディーラーとマシュ。散々アーチャーに苦しめられたのでその質問は心外であった。

 

 

「・・・ふん、どうでもいいか。もうマスターは狙わん、貴様等二人だけを相手してやろう・・・!」

 

「っ!?」

 

 

瞬間、魔力放出で吹っ飛んで来たセイバーの振り上げで大きく吹き飛ばされてしまうマシュ。一人になったディーラーは右手に持ったマシンピストルを乱射してセイバーを牽制、近付いてきたところにセミオートショットガンを叩き込むが、元々ステータスがあまりにも貧弱なディーラーではスキル「商売の鉄則」で喰らい付くのが精一杯であり、弾が尽きた時にリロードする際に終わるのは明白であった。

 

 

(・・・どうする?直線的とはいえ速過ぎる上に、強力な武器を構えるとあの直感で避けられる。マインスロアーも弾かれる。だが、奴に勝つにはマグナムを数発叩き込むか、それこそ爆発をクリーンヒットさせるしかない。

だが、俺が手榴弾を巻いて特攻したところで吹っ飛ばされて一人死ぬのは目に見えているな。死んで移動する手も、さっきので完全にばれている。

盾の嬢ちゃんはまだ動けるが、キャスターは消滅まで秒読み・・・俺がどうにかするしかストレンジャーが生き残る手はないな)

 

 

弾が切れたマシンピストルを投げ捨て、ハンドガンに換えて乱射。とにかくセイバーからの攻撃を受けない事に徹するディーラー。セイバーオルタはその全てを見切って来ており、攻略されるのも時間の問題だろう。

 

 

(考えろ、俺やストレンジャーの考える作戦で駄目なら歴戦の英雄・・・レオンの奴ならどうする?)

 

 

 

以前、改造している間の暇潰しにと色々話したことがある。その中でも、面倒くさかったと話していたのは、彼をして強敵だと言わしめた「右腕」その名もヴェルデューゴ。単純なステータスならば彼に勝る奴はいないだろう。

 

 

―――「地力が強くて、スピードも速く、防御も堅い上に隙間から下水やら天井に入り込み不意打ちしてくる、強敵だった。挑発までする余裕もあったぐらいだ。戦った場所に液体窒素が無かったらあの場で殺されていただろうな」

 

 

自分に会えて本気で安堵していたその姿に、何とも不憫に思ったのを記憶に残っている。

 

 

―――「どうやって勝つかって?簡単だ、相手に当てるんじゃなく、逆にこちらに迫るのを利用して痛いのを浴びせてやればいい。少なくとも怯むから、そこを攻める」

 

 

あのラクーンシティ事件を行き残っただけあって何とも合理的だな、だが騎士王にはそんな手も通じない・・・と考え、そして思いつく。起死回生の一手を。

 

 

『ストレンジャー!』

 

『大丈夫なの?ディーラー!』

 

 

セイバーの突進を、ハンドガンを捨て手ぶらになった右手に握った閃光手榴弾を地面に叩き付け怯ませて避けながら、マシュを労っている己のマスターに念話で呼びかける。時間は無い、だから言うのは一つだけ。

 

 

『盾の嬢ちゃん、マシュを俺目掛けてタックルさせろ!奴に当てようと思わなくていい、俺に当てる様にただ一直線に突っ込ませろ!』

 

『な、なんで!?』

 

『話は後だ、俺にいい考えがある。俺を死なせたくないなら早くしろ!』

 

「う、うん!」

 

 

ついには手榴弾を投げて牽制し始めたディーラーを見て意を決する立香。何をする気かは知らないが、武器のプロである己のサーヴァントを信じる。今はそれしかない。

 

 

「マシュ!ディーラー目掛けて突進して!」

 

「!?・・・はい、了解しましたマスター!うおぉおおおおおおおっ!」

 

 

立香の指示を受け、盾を前にしデミ・サーヴァントによる脚力をフルに活かして前も見ずただただ突進を繰り出すマシュ。それに反応したセイバーがディーラーから離れ、マシュ目掛けて一直線に突き進む。

 

 

「面白い!まずは貴様からだ・・・!」

 

「ヒッヒッヒェ。・・・まあ、そうなるよな」

 

 

ガチャコン、と弾切れのマインスロアーに次弾を装填し、構えるディーラー。一発で十分だ。何故かあの盾に執着する英霊には、ただ突進するだけでもそれが最大の囮となる。真正面から斬り伏せようとする。今更己の思惑に気付こうとも、宝具を発動している彼女ではもう間に合わない。

 

 

「マシュ、宝具・・・!」

 

「ッ!疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)ッ!」

 

 

パシュッ、と言う音と共に、セイバーの聖剣と零距離で競り合う様に展開されたマシュの盾の表面に突き刺さる小型榴弾。聖剣が零距離で発動されようとしたその瞬間、セイバーの目の前でそれは起爆した。

 

 

「があっ・・・!?」

 

「二人共、決めて・・・!」

 

 

爆発の直撃を受け、満身創痍でよろめくセイバー。その姿に強者の余裕は感じられず、立香の指示を受けて動き出す両者。

 

 

「これで、倒れて・・・!」

 

「背中ががら空きだぜ、騎士王さん!」

 

 

マシュのシールドバッシュと、ディーラー・・・武器商人である彼のとっておき、レオンが決して使えない戦法・・・その両手に取り出した中折れ式マグナムとキラー7の二丁拳銃が連続して火を噴き、全弾撃ち尽くす。

 

 

「・・・ここまでか」

 

 

前からはシールドバッシュによる強打、背後からは強烈な銃弾の嵐。そんな攻撃に魔力放出も無しに耐え切れず訳もなく・・・セイバーはグラリと傾き、仰向けに崩れ落ちた。

 




題名はマーセナリーズの死神、ハンクの台詞から。処刑は無敵。

マグナム二丁拳銃とかマジチート。弾がもったいない贅沢な一撃によってセイバー撃破です。完全にオーバーキルなのは気にするな。セイバーオルタをヴェルデューゴに見立てるために真面目にチートにして見ました。

サラザール城の地下墓地でレオンが発見した至高のロッドを改造した急造槍で挑むキャスター、あっけなく敗退。筋力Eなんだからしょうがない。消滅しなかったのは武器商人の商品のおかげです。ディーラーはお宝をそのまま残しているので、もしかしたら聖遺物になるかもしれません(フラグ)

立香とオルガマリーも一緒に発砲したのは、少しでもセイバーの意表を突くため。見事に成功しましたが、実質ダメージは入っていなかったり。

ロケランによる崩落で押し潰し→からの復活、そして圧倒は、バイオあるあるの一つ。倒したと思ったら生きていて追いかけてくるパターンです。エイダ編やエイダザスパイでクラウザーとまた戦う羽目になった時は本気で動揺しました。

最後はレオンのヴェルデューゴ戦に置ける秘策を用いた、いわゆる「鎧アシュリー囮作戦」でセイバーに大打撃。スペコス2なら誰もがよくする手じゃないでしょうか?

次回は序章完結、レ/フ登場。ディーラーはどうするのか、所長はどうなるのか。ちなみにですが、オルレアンからは雑魚戦ぐらいしか考えていなかったのでさすがに投稿スピードが遅くなると思いますのでご容赦ください。こんなに人気が出るとは思わなかったんだ・・・
次回もお楽しみに!よければ評価や感想などをいただけたら嬉しいです。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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