Fate/Grand Order【The arms dealer】   作:放仮ごdz

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ウェルカム!ストレンジャー…どうも、風邪を引いて症状が納まるや否や連日徹夜で書いているため頭痛に悩まされている放仮ごです。赤王の頭痛持ちの辛さを実感してます。なので今回はほぼ徹夜テンションでぐだぐだしているのはご了承ください。

今回はジル、エヴリン、ジャックが宝具解放。変異ナーサリーとの決着戦です。楽しんでいただけると幸いです。・・・あ、前回に引き続きナーサリー好きの方はプラウザバックをお勧めしておきます。


クリティカルって奴だストレンジャー

ロンドン各所。濃霧に紛れてそのナニカはテラテラと輝いて人知れず壁や天井、物陰などに張り付いていた。

 

 

ロンドンの家屋の一つの窓に張り付いたソレが鎧のサーヴァントと子供のサーヴァントが入っていく光景を見る。――――そこが奴等の本拠地か、捨て置こう。

 

 

ロンドンの墓地近くにて、水浸しのゾンビを雷電を纏った斧で薙ぎ払う金髪グラサンの大男と、呪符で黒い異形を燃やし尽くす狐耳と尻尾を持つ露出の激しい女性が見える。――――ここにも邪魔者か、どうしたものか。

 

 

ロンドンの路地裏のゴミ山から、槍を手にした三角頭の大男が頭を握り潰したゾンビを引き摺る光景が見える。――――アレが件のメフィストフェレスを殺した野良サーヴァントか。手駒にしたいが触らぬ神に祟りなしか。

 

 

ロンドンの時計塔付近にて、頭部がえぐれて沈黙する破損したコートの大男が横たわる姿が見える。――――こいつはまだ使えそうだ。

 

 

ロンドンのウェストミンスターの家屋の屋根下に張り付いたソレが、幼い少女二人と対峙している奇妙な一団を見付ける。――――そこにいたか、纏めて始末してやろう。

 

 

ロンドンのスコットランドヤード付近の花壇にて、高速で走るサーヴァントと人間の少女が横切るのを見る。――――ここに来るか、返り討ちにしてくれる。

 

 

ロンドンのウェストミンスター橋の欄干にて、我が子のウイルスの影響か異形と化した少女のサーヴァントが暴れているのが見え、巻き添えで潰された。――――まあいい、替えはある。あの様子なら放っておいても終わるだろう。

 

 

「どうやら邪魔者がここに来る様だ。どうする、P?」

 

「ではそうですね、戦力を整えて返り討ちにしましょうか」

 

 

それぞれの視点から情報を得た謎の美青年、Mは閉じていた目を開け、目の前で死体の後始末をしていた白衣の男に語り掛け策を練る。

 

 

数多くの視点を得るサーヴァント。その者は、全てのバイオハザードの原点(Zero)そのものであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――それは、ジルがナーサリーライムと交戦し始めた頃。一触即発、とも言える立香達の戦いが始まる前に乱入して来たゾンビ・ウーズ・ホムンクルス・オートマタ・ヘルタースケルターの集団を前に、やむなく共闘する図があった。

 

 

「私は、エヴリン達とは戦いたくない」

 

「今更怖気付いたの?私をあんなに虐めたのに!」

 

 

蟹の様な両腕の鋏を振りかざして襲い来るウーズ・ピンサーを相手にハンドガンマチルダを零距離でぶっ放して撃退した立香の背後で、生み出したブレード・モールデッドでヘルタースケルターの剣と鍔迫り合いして押し返したエヴリンが苛立ちのままに叫ぶ。

立香は苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべて俯くとその隙を突いて襲い掛かって来た、一度倒されたものが復活し赤く染まったゾンビ・クリムゾンヘッドの突撃をマシュが受け止めた事で我に返り、ナイフをその顔面に突き立てて沈黙させるとエヴリンに答えた。

 

 

「それは本当に申し訳ないと思ってる。でも、ジキルさんから貴方達がまだ誰も殺してないって聞いて・・・戦う必要はないんじゃないかって」

 

「・・・・・・ママかジャックのおかあさんかなと思ったら全部ゾンビだっただけ」

 

「それでも、人を殺してないなら戦う理由も嫌う理由も無いよ。私が貴方にしたことの報いは必ず受ける。でもさっき、私のサーヴァントと約束したの。この先に居る人を必ず助けるって。先にその約束を守らせて」

 

 

言いながらディーラーから受け取ったライオットガンでエヴリンを狙っていたオートマタを粉砕する立香を、エヴリンはブレード・モールデッドの物にした腕でホムンクルスを真っ二つにしながら睨みつけ、怒りのままにゾンビ二体を串刺しにして吹き飛ばす。

 

 

「私にしたことを許してくださいって?絶対に許さない。お前に私の気持ちが分かるもんか!」

 

「許さなくていい。でも、必ず贖罪するから。・・・だからお願い、今だけでいい。力を貸して」

 

「先輩・・・エヴリンさん、私からもお願いします。今はマスターを守れる戦力があまりにも足りません。お二人に力を貸していただければ頼もしいです」

 

 

真剣な面持ちで見つめて来る立香とマシュに、エヴリンは少し考えてから溜め息を吐く。その間にも襲い掛かってくる輩を呼び出したモールデッドで撃退するのも忘れない。

 

 

「・・・じゃあ、ジャックのおかあさん(マスター)になるなら。私はいい、お前だけは絶対家族にしたくない」

 

「う、うん・・・それでいいなら。ありがとうエヴリン」

 

「ヒッヒッヒェ。随分と嫌われた様だなストレンジャー!下手これている場合じゃないぞ、早速新入りに働かせろ。そら、これだ」

 

「よろしくね、おかあさん(マスター)!ひとり、ふたり、さんにん。いっぱい。いっぱい。殺してあげるね!」

 

 

ディーラーから投げ渡された通常のハンドガンと共にナイフを振り回すジャック。すると的確に頭部・鳩尾・頸椎・肩口と急所を一撃で粉砕し、ヘルタースケルターとオートマタ以外の周囲に群がっていたエネミーが撃破され、立香は一度茫然としてから「え?」とディーラーに振り向いた。

 

 

「ストレンジャーにはまだ説明してなかったな。お勧めはしないハンドガンの限定仕様だ。持ってるだけで急所に的確に決まりやすくなる、って言う少しギャンブル性の高い物だが「殺人鬼」っていう人体を知り尽くしたジャック・ザ・リッパーが使う事で真価を発揮したという訳だ。機械共には通用しない様だが」

 

「じゅ、十分すぎる・・・」

 

「先輩、今の攻撃で包囲に穴が開きました!」

 

「急ぐぞ、マスター!」

 

 

そうやってジルの元へと駆け付けた立香たちであったが、対面したのはさらなる地獄であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グシャリ。ゾンビに気を取られていた所をその巨大な腕で踏みつぶされ、ディーラーはまた一つその命を散らす。だが気にしてなどいられない。すぐさまその場に姿を現したディーラーは反撃の如く自らを潰した腕をナイフで斬りつけるも意にも介さなかった。

 

 

「ウフフッ!嬉しいわ楽しいわ悲しいわ楽しいわ寂しいわ楽しいわ愉しいわ!」

 

「ちっ、ふざけたB.O.W.だ!」

 

 

そう言いながら取り出したキラー7を頭上に向けてぶっ放すディーラー。しかしそこに胴体があったはずの少女だったものは二本の巨大な腕を伸ばして器用に視界の端から端を這いまわり、しかもどこぞのサドラーと違って地面に接している腕も二つしか無いため狙っても直ぐに動かされ、非人型であるため型に嵌らない動きに翻弄され、交戦し初めて二度目の死がディーラーを襲う。

 

 

「ディーラー!」

 

「こっちの心配をしている暇があったら頭を働かせろストレンジャー!」

 

 

その頭部が転がり落ちて立香が絶叫、しかしすぐに死体の傍に現れた次のディーラーはバンダースナッチの伸ばしてきた腕に死体を掴ませて隙ができたところにキラー7を発砲。弾を装填しながらディーラーは現状を見定める。

 

 

「繰り返すページのさざ波、押し返す草の栞──すべての童話は、怪物たちは、お友達よ!」

 

「クソッ、またか!奴の魔力はどうなっている!?」

 

『恐らく魔力源はこの魔霧だ!つまり、オケアノスのヘラクレス・アビスと同じく無尽蔵と考えた方がいい。くそっ、どうすれば・・・?』

 

「せめて、ゾンビやウーズとかの邪魔が無ければ彼女に集中できるのにね」

 

 

もう何匹目か分からないバンダースナッチを斬り捨てたセイバーオルタの怒号に通信のロマンが応え、困ったようにジルが視界の端にちらほらする蜘蛛の様な動きのそれに注視しながら、襲い掛かって来たゾンビの頭部にナイフを突き立て奥の連中に突き飛ばす。

 

 

「ああ・・・・・・楽しいわ楽しいわ楽しいわ楽しいわ楽しいわ楽しいわ!」

 

 

巨大な二本の腕を動かしてウェストミンスター橋の周りを蜘蛛の様に這いまわるナーサリーライムは、狂ったように同じ言葉を繰り返しながら人形の腕の指を振るいながら詩を謡って飽きることなくバンダースナッチを呼び出し続け、さらに無駄に五月蠅いその声に引き寄せられてきたゾンビなどのエネミーも合流。圧倒的な物量がウェストミンスター橋に集まって来ていた。

 

立香達は互いに背中を預けて対抗、エヴリンの召喚するモールデッドやディーラーの渡す武器を使いこなすジルの活躍もあり拮抗する。しかしナーサリーライムはバンダースナッチを召喚しながら動き回るに飽き足らず、欄干の下に入ったかと思えば死角から鎌による攻撃で執拗に首を狙い、さらに隙あらば人形の腕で拘束し締め上げる。

 

 

「あはっ、もっともっと楽しみましょう!」

 

 

さらには人形の腕の指を振るい、炎、氷、風で妨害して来た。炎でモールデッドが弱るは、氷で銃が無効化されるは、風で体勢を崩したり吹き飛ばしたりとやりたい放題である。

 

 

「鬱陶しい!どうにかならないのママもどき!」

 

「ママもどきとは先輩の事でしょうか!?」

 

「多分そうだと思うから答えるけど、あの小さい方の腕さえ何とかなれば多分・・・」

 

 

生み出したモールデッドがあっさりと焼かれて苛立ったエヴリンの怒号に、ヘルタースケルターを殴り飛ばして他のエネミーに叩きつけるマシュの傍で立香は自分の考えを述べた。バンダースナッチの召喚こそ(詠唱)を謳っているものの、彼女の攻撃は鎌攻撃以外が全てあの人形の腕の動きに直結している。アレさえ破壊できれば、と考えたのだがそれは土台無理な話であった。

 

 

「なら聞くがジル・バレンタイン。あの敏捷Cの動きにマグナムを当てられるか?」

 

「無理ね。あのでかい足でも当てられないのに小さい方の腕なんて、多分クリスでも無理よ」

 

『銃の名手と謳われるクリス・レッドフィールドでも無理だとするとビリー・ザ・キッドレベルの歴史に名を遺すガンマンじゃないと無謀ってことさ立香ちゃん。まずは動きを止めないとだね』

 

『あんな無理な変異、何か弱点があるはずだ。炎、氷、風・・・それ以外ならあるいは・・・?』

 

 

デカい図体の割に本体が小柄な所為か推定:敏捷Cの素早さでノンストップで動き続けるナーサリーライムに攻撃を当てる事は不可能。動きを止める手段を考えるのはカルデアに任せ、立香は有象無象の足止めに専念する事にしてマチルダの引き金を引く。しかし三連バーストの弊害か、弾切れしまっていた。

 

 

「くっ・・・!」

 

「先輩!?ハアアッ!」

 

 

襲ってきたウーズの掴みかかりを、慌ててマチルダを両手で構えて押し付けて食い止め、マシュのシールドバッシュでウーズが殴り飛ばされた事により一息つく立香。予備の弾倉を、と懐を漁るが見当たらない。完全に弾が尽きた。外してないのに無くなったのは、一度に三発撃つ特性故かそれとも単に敵が多すぎるのか。

 

 

「しまっ・・・ディーラー、弾を!」

 

「こんな時にか・・・待ってろストレンジャー、コイツを倒したらすぐに行く!」

 

 

ヘルタースケルターの剣をライオットガンで受け止め鍔迫り合いしているディーラーを見て、時間がかかると判断した立香はナイフを抜いて構えた。エヴリンを圧倒こそした物の、体格差と勢いに任せただけであって立香は接近戦は得意ではない。こんなことなら他にも購入しておけばよかった、とは後の祭りだ。

そう考えながら飛び掛かって来たオートマタに身構え、すぐにその堅い体に通用しないんじゃないかと思い至り身構えた瞬間、横からマシュがシールドバッシュを叩き込んで退けた。

 

 

「先輩は私が守ります・・・!」

 

「ありがとう、でも無茶はしないでねマシュ」

 

「先輩にだけは言われたくないです。あ、そうだ。これをどうぞ。私では使いこなせませんが先輩なら」

 

 

そう言って手渡されたのは、マシュがディーラーから購入し愛用していたマシンピストル。残弾250発。これだけあれば、と立香は中腰で構えた。

 

 

「私の打撃では機械人形はともかくゾンビやウーズには通じません・・・先輩、お願いできますか?」

 

「任せて。マシュ、フォローをお願い!」

 

「・・・マシンピストル。そうだ、それなら・・・ねえ、そこの貴女!セイバーオルタ、だったかしら?」

 

 

応戦する立香とマシュを見て何を思いついたのか、傍で弾が切れたのかセミオートライフルの銃身を投げ付けてゾンビの脳天をかち割っていたセイバーオルタに声をかけるジル。

 

 

「なんだ、何か策でもあるのか歴戦の英雄殿?生憎と私はピクト人の殲滅なら慣れているのだがな、ゾンビは何時も商人頼りだ」

 

「そんな大層な物じゃないわよ?・・・それで、頼みたいのは援護なのだけど・・・できる?」

 

「何か逆転の手でもあるのか?」

 

「一応ね。でも無防備になってしまうから援護を頼みたいの。今は頼れるパートナーがいないから、任せられるかしら?」

 

「・・・愚問だな」

 

 

言いながらジルを背後から襲おうとしていたナーサリーライムの鎌を、ジルの顔横に突き出した剣先で弾き返すセイバーオルタ。その早業に満足気に笑いながらジルは欄干に手を付け身を乗り出した。

 

 

「頼もしい事ね。任せた!」

 

「任された!」

 

 

飛び降りるジルに襲い掛かる人形の腕やウーズ・トライコーンの矢をセイバーオルタが剣戟で弾き返し、その背中から襲い掛かろうとしていたウーズ・ピンサーに気付いた立香がマシンピストルで妨害すると、ジャックがピンサーの首を斬り飛ばした。

 

 

「ありがとうジャック。無事、セイバー?」

 

「助かったぞマスター。だが無茶はするなよ?」

 

「もう誰も犠牲にはしない、させない。ブラッドのためにもこの場を切り抜ける!ディーラー、マシュ、エヴリン、ジャック!セイバーオルタと一緒にジルさんの援護をお願い!」

 

注文(オーダー)には応えるぜストレンジャー。ほら、予備の弾倉だ」

 

「先輩は私が守りますので、皆さんは援護に専念してください!」

 

「元から守る気はないんだけど。・・・気が向いたら守ってあげる」

 

「解体するよ!」

 

「ウフフッ!楽しそうね私も混ぜて?!嬉しいわ楽しいわ悲しいわ楽しいわ寂しいわ楽しいわ愉しいわ!」

 

 

一塊になり四方八方から襲い来る外敵に備える立香達の頭上に胴体を浮かばせ、狂喜の笑みを浮かべながら人形の腕を伸縮させる凄まじい勢いのまま振り下ろしてくるナーサリーライム。

 

 

「っ!」

 

「遊んでくれないの?つまんないつまんない!」

 

「ハンターの首狩りより凄まじい威力・・・長くは持ちません、先輩!」

 

「ディーラー、一緒に!」

 

 

ブレードを出したエヴリンとマシュが受け止め、立香の弾を装填したハンドガンマチルダとディーラーのキラー7がナーサリーライムの頭部を捉えるも血が出たのみでビクともせず、振り下ろされた鎌の斬撃をジャックがナイフ二本の振り上げにより何とか弾き飛ばすと、今度は炎・氷・風による連続攻撃が放たれセイバーオルタの卑王鉄槌が吹き飛ばす。ジリ貧。そんな言葉が立香の頭をよぎる。

 

 

「セイバーオルタのエクスカリバー・モルガンなら・・・」

 

『待つんだ立香ちゃん!倒せるかもしれないが、こんなところで撃てば街にまで被害が及ぶ。それよりディーラー、手を思いついた。電撃グレネードだ。彼女の攻撃に存在しないその属性ならば可能性があるぞ』

 

「ウーズがうじゃうじゃいるここでは切札だが使わない手は無いか。だがこうも近いと俺達までもろに電撃を喰らうがどうするストレンジャー?」

 

「え!?えっと・・・ジルさんの秘策が何かも分からないし、どうすれば・・・?」

 

 

上からはナーサリーライムの猛攻。横からは路地裏から次々と現れるゾンビとホムンクルスの群れ。下からは湧き出してくるウーズ。数分前から機械兵は何故か現れず、モールデッドもエヴリンがすぐに支配下に置いているのでまだマシになった方だがジリ貧なのに変わりない。万事休すか、と思われたその時。

 

 

「――――私は暗い穴の中で育てられた。仮釈放もない囚人のように。やつらは私を閉じ込めて魂を奪った。やつらが作り上げたものを恥じるがいい」

 

 

聞き覚えのある詠唱がすぐ傍から聞こえた。見れば、ブツブツと呟くエヴリンの足元から湧き出した黒いカビが下の川に流れ、そこから何か巨大な物が複数のオレンジ色の眼をぎょろぎょろさせながら出て来るのが見えた。

 

 

「私は彼を呼んだ、そして彼はくるだろう。彼は手を伸ばすだろう。愛する彼女を取り戻すために。そして彼女は私を愛してくれない彼を殺すのだ。

――――必要なのは(特異菌)水辺(所縁ある場)。来て、私のパパだった嫉妬深い男、私の知ってるもう一人のジャック。イーサンに何度殺されても家族のために戦う優しいパパ。

ようこそ、私の家族(ウェルカム・トゥ・ザ・ファミリー)

 

 

それはエヴリンの宝具の真名解放。現れたのは、もはや人型でもない黒く巨大な目が異様に多い異形の化け物。全身が黒い泥の様な物で出来ていて、膨れ上がった胴体から生えた複数の手と全身がアンバランスであり、伸びた首の先にある逆さ顔面にある大きな右目と小さな左目がエヴリンを襲うナーサリーライムを睨みつけた。

 

 

「お願いパパ、ジャック・ベイカー。そいつを殺して」

 

「これは、大質量を伴った魔力の塊・・・エヴリンさんが喚び出したのはサーヴァントに限りなく近いナニカです、先輩!」

 

『出せるのはモールデッドだけじゃないのか・・・!?彼女は一体、何者だ?』

 

「ウェスカーの宝具と同種か・・・ストレンジャーも厄介なサーヴァントに嫌われたものだ」

 

「・・・これ以上嫌われない様に努力はするよ」

 

 

無言で自らの体を引き摺って橋の上に上がり、その巨体と両腕を以てナーサリーライムに組みつくジャック・ベイカー。それを見ながら立香は顔が引きつるのを感じた。

 

 

「あはっ、私と同じなの?ならいっぱいたくさん遊べるのね!愉しいわ愉しいわ愉しいわ!」

 

 

するとナーサリーライムはすっかり立香たちから興味の対象がジャック・ベイカーへと移り、取っ組み合いを始める。それはまるで、すぐに次の玩具へ興味を移す子供の様。しかしそれが、立香達にはちょうどよかった。

 

 

「エヴリンありがとう。みんな、ここを離れよう!」

 

「巻き込まれたら俺でなくても死にそうだ」

 

「いや、待て。今奴は知能を殆んど失ってる・・・商人、奴を川に落とせば行けるぞ」

 

「なるほどな。ストレンジャー!」

 

「うん、エヴリン!ナーサリーライムを川に突き落とせる?」

 

「・・・殺して、パパ!」

 

 

立香のお願いに嫌々と言ったエヴリンの言葉に、ナーサリーライムの細い胴体を黒い拳が捉え、橋から引き剥がして川に叩き落とすと追撃とばかりに自らも落ちて大質量の圧し掛かりがナーサリーライムに飛来。しかし仕返しとばかりに巨大な両腕で受け止めたナーサリーライムの鎌がジャック・ベイカーの顔面の目に突き刺さり、反撃として伸ばした複数の腕がナーサリーライムを殴り飛ばして川の中でキャットファイトが始まる。

水飛沫が飛び散り、水柱が立て続けに起こるその乱闘はさながら怪獣大決戦。(キャット)なんて可愛らしい物ではないが、戦いと呼べるものでも無かった。

 

 

「水遊び!濡れるのは嫌だけど愉しいわ愉しいわ愉しいわ!」

 

「・・・・・・B.O.W.同士が戦う光景なんてそう見れないわね・・・」

 

 

未だ原型を保っている可愛らしい衣装をびしょ濡れにしながら歓喜の声を上げ、巨大な腕を鎌と共に攻撃に回して自らの足で立ってピョンピョン跳ねるナーサリーライムと、無言のまま取っ組み合うジャック・ベイカー。霧がなければ綺麗な虹が見れた事だろう。

アイテムボックスを整理していてソレ(・・)を取り出した瞬間に水飛沫を受けてびしょ濡れのジルがその光景を見ながらぼやくも、すぐに気を取り直して上へと声をかける。

 

 

「準備は出来たわ、カルデアのマスターさん!」

 

「分かりました!今だ、ディーラー!」

 

「そろそろ悪夢から醒めようか。なあ、ストレンジャー(お嬢ちゃん)・・・!」

 

「ッ、キャアアァアアアアアアッ!?」

 

 

その瞬間、立香の指示で正確に狙いを定めたディーラーの投擲が取っ組み合う両者の真ん中に飛来。電撃グレネードが炸裂し、蒼い電光と共に両者に電撃が襲い掛かる。濡れている為威力も増して逃げる事も出来ず、予想だにしない衝撃にナーサリーライムの悲鳴が響き渡る。

中途半端に自我がある分こういうところが心苦しいが立香は心を鬼にして目を背け、襲い掛かって来たゾンビをマシンピストルで怯ませ後頭部を掴んで川に突き落とした。

 

 

「みんな、ゾンビやウーズをできるだけ川に突き落として!ジルさん、お願いします!」

 

「了解よ」

 

 

それは、ジル・バレンタインがラクーンシティから脱出する際に見付けた、軍が使用したと思われるガトリング銃。ゾンビの大群を前に使ってみたはいいものの、あまりにも強い反動と重量から殲滅した後にその場に残してきたものがどういう訳か宝具になったもの。

宝具となったそれは、詰め込まれた道具箱(アイテムボックス)から取り出す際に所持枠を全て圧迫するが、代わりに魔力が続く限り文字通り無限の弾丸を連射し続ける事が可能という破格の性能だ。ディーラーが持つ反則武器と同じである。・・・・・・・・・あちらがスキルなのはクラスの差異からだ。

 

ディーラーが「いい武器だ」と唸る。立香が感嘆の声を漏らす。ロマン達がモニターの向こうでおよそター●ネーターが持つであろうそれを軽々と腰の位置に抱えて顔を出したジルに絶句した。

 

 

「一気に制圧するわ!無限の弾丸(アンリミテッド・ガン・バレル)!」

 

 

未だに痺れているナーサリーライムに、ジャック・ベイカーやどんどん突き落とされて来るゾンビやウーズごと狙いを定める。大まかで結構、例えゾンビの大群であろうと殲滅できる代物だ。腰の位置に抱えたそれの複数の銃身が高速回転、多数の弾丸の嵐が放たれた。

 

 

「痛いわ苦しいわ悲しいわ!どこなの!?貴女はどこにいるの?ありす!」

 

 

ジャック・ベイカーの巨体の陰に隠れて盾にするも直ぐに粉砕され、圧倒的暴力を真面に受けたナーサリーライム。頭部を何度も撃ち抜かれ、両足は砕かれ、腕を何度も千切られるも、執念からか再生し続けながら狂乱したかのように当たりかしこに人形の腕を伸ばす。

 

 

「ひとりぼっちはさみしいわ。わたしよりも小さな人たちでお人形遊びをしてみたけれどつまらない!いいえ、やっぱりさみしいわ!みんな笑顔のハッピーエンドがいいわ、バッドエンドはもうたくさん!」

 

「これでも倒し切れないの・・・!?」

 

 

這い上がろうとしているのか、欄干に伸ばした巨腕も気付いたジルの掃射で砕かれて落ちるナーサリーライム。足が砕けて立てなくなったためか跪きながら五つの腕を周囲に伸ばして暴れ、銃身がオーバーヒートを起こして排熱するために一度下ろしたジルを鎌が襲う。そのピンチを救ったのは、飛び降りて来たセイバーオルタの剣だった。

 

 

「・・・助かったわ」

 

「任されたと、言っただろう?・・・冷えるまでどれぐらいだ商人?」

 

「恐らくは十数秒だな。それでも規格外だが、その前に奴の再生が終わるぞ」

 

「ちっ・・・埒が明かないな」

 

「恋しいアナタ(ありす)と寂しいワタシ(アリス)、一つの夢を繋ぎましょう――物語は永遠に続く。か細い指を一頁目に戻すように。あるいは二巻目を手に取るように。貴方達に終わりはないわ。みんな一緒に終わりましょう?」

 

 

再生し続ける祈る様に跪いたその小柄な体躯から、およそ質量を無視したバンダースナッチの腕二本と人形の腕二本、鎌を備えた球体関節の腕が一本縦横無尽に駆け巡り、さらに呼び出されたバンダースナッチ数体が腕を伸ばす様はまるでタコの様。その顔には、痛みからか引き攣り始めたものの笑顔を張り付けたままであり、必死に抵抗する己の獲物を凝視していた。

倒すには一撃で、もしくは再生できない程の強力な連撃で倒す必要がある。しかし銃弾による攻撃は時間を少しでもかければすぐに再生し、先程の絶え間ない不意打ちから変わったとはいえ攻撃の雨。とても近づけない。ナーサリーライムを観察していた立香はそれに気付いた。

 

 

「ジャック、宝具でとどめを!」

 

「うん、殺しちゃおう」

 

「右側から狙って!」

 

 

立香の指示を受け、橋上のゾンビ狩りを止めて飛び降り、五つの腕の乱舞の中に飛び込むジャック。飛んで火に居る夏の虫と言わんばかりに攻撃が殺到するもジャックはアサシンとしての高速軌道でそれらを回避して行く。

 

 

()よりは地獄。“わたしたち”は炎、雨、力――――」

 

「ジルさん、もう一回お願いします!ディーラーも!」

 

 

現在のナーサリーライムは、元々の人形の腕である左腕を伸ばして背中からもう一本生やして、球体関節の強みを生かして角度を無視して伸ばしており、セイバーオルタに斬られた右腕から巨腕と鎌を、胸部の傷口から巨腕を伸ばしている。先程までは巨腕を足代わりにする必要上、右腕側を下に前にして左腕側を後ろに回していた。

これが何を意味するのか。巨腕二本とその間に生えた鎌を前にしている為、どうしても顔が左側を向きやすく、右側に視線をやるには首をぐるっと回す必要があるのである。つまり元が人型で自我をある程度残しているが故のどうしても生じる死角だということだ。

 

 

「ええ!活路を拓くわ!」

 

「いい注文(オーダー)だ。終わらせるぞストレンジャー」

 

 

それを理解したのであろう、銃身を冷却し終えたジルの、ディーラーのシカゴタイプライターも加えた援護射撃。前面からの銃撃に気を取られ、ジャックの迎撃から意識を移してしまうナーサリーライム。否、その瞬間ナーサリーライムはジャックの「情報末梢」のスキルにより完全にその存在を忘れてしまっていた。

 

 

「殺戮を此処に……解体聖母(マリア・ザ・リッパー)!!」

 

 

疎かになった右側から猛スピードでナニカが自らの体を大きく斬り裂いたのを感じたのを最後に、ナーサリーライムは文字通り崩れ落ちた。我に返って見てみれば、そこにあるのはバラバラに切断され水没した自らの肉体だった物。

 

スキル「情報抹消」によって事前に対策を立てない「対処不能」、守りを固めて耐えようと物理攻撃ではなく極大の呪いであるため「防御不能」、どんなに逃げようと霧の中ならば必中の「回避不能」、使えば相手を確実に絶命させる「一撃必殺」のこの宝具。

 

成立させるのに必要な条件は「時間帯が夜」「対象が女性」「霧が出ている」の三つ。満たされば、狙われた女性に命は無く、問答無用で解体する。それが切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の宝具だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

水面から顔が半分上がり、傍に浮かぶ自らの人形の腕の残骸をぼんやりと見詰めると視線を上に向ける。橋の上から自らを見下ろし悲壮感に満ちた表情を浮かべる少女を見て、金色の粒子に包まれながらナーサリーライムは納得し小さな笑みを向けた。

 

 

「・・・やっと気付いた。お人形遊びをしていたけれど、本当のお人形は(アリス)だったのね。私は用の済んだパーティーの飾り。血まみれの大衆芝居(グランギニョル)じゃなくてみんな忘れた物語なのだわ。今更そんなことに気付くなんて。

バッドエンドは悲しいわ。みんなが笑顔のハッピーエンドが、一番だけど・・・でもここには、ここには・・・やっぱりあの子(ありす)はいないもの。わたし(アリス)にハッピーエンドは来ないのだわ・・・だからせめて、血塗れた絵本(わたし)を最後まで読んで(戦って)くれた心優しい貴女には、ハッピーエンドが来るように祈っているわ」

 

 

そう言葉を紡いでから誰かの為の物語(ナーサリー・ライム)は水没し、跡形もなく消えた。最期の笑みを見てしまった立香は欄干に手をかけたまま顔を伏せて蹲り、マシュは何も言えず、戻ってきたディーラーが声をかける。

 

 

「気にするだけ無駄だストレンジャー。ウイルスやプラーガは一種の麻薬の様な物だ。ありもしない幻想を見せる。だから手を出す奴は後を絶たない。あの物語も、居もしない読者を夢想し続けたからああなったんだ。いや、確かに居たんだろうな。ここではないどこかに。サーヴァントもどきの奴があの姿を取る理由になった少女が。いたからこそあそこまで必死になってたわけか」

 

『あの異様な変異も、不安定な魔本だったからこそだろう。何にしてもよく彼女のウィークポイントに気付いた。お手柄だよ立香ちゃん』

 

「・・・そんなことない。今回力を貸してくれたジャック、エヴリン、ジルさんがいなければ私は何もできなかった・・・このロンドンで、私は何もできてない・・・」

 

 

つまるところはそこだ。このロンドンにて、立香がした事といえばマイクを犠牲にジャックとエヴリンを仲間にして、ウイルスに感染したサーヴァントを止めただけ。

対してオルガマリーは着々と異変の中核に迫ろうとしている。先刻ジルに、一般人じゃないのか?と心配された事を思い出す。自分は居なくてもいいんじゃないか、そんな考えが脳裏を埋め尽くしていた。それを見かねたマシュが意を決して口を開いた。

 

 

「いいえ。先輩がいなければジルさんはここで死んでいました。先輩がジャックさんとエヴリンさんを説得したからジルさんを助ける事ができた。・・・ブラッドさんとの約束を守れた。それは確かな事実です」

 

「さっきはあんな事を言ったけど、訂正する。貴女は立派に戦っている。何もできてないなんてことは無いわ、絶対に。サーヴァントにマスター。少し変わっているけどパートナーの形の一つ、いいものね。特に貴方とそこのマシュって子。・・・それと商人さんとセイバーオルタと呼ばれていた彼女。あと、ジャック?とエヴリン。いい信頼関係だと思うわ」

 

「あ、ありがとうございます・・・」

 

 

同じ女性で数多のバイオハザードから生還したと尊敬していた人物から褒められ、顔を赤らめたじたじの立香。そんな余韻を崩す様に通信機が電子音を鳴らした。

 

 

『立香ちゃん、緊急事態だ。できれば君のカウンセリングをしたいところだがそうもいかなくなった』

 

「どうしたんだドクター。またゾンビの群れか?そいつは勘弁して欲しいな、ストレンジャーの体力が持たないだろう」

 

「待って、もしかして所長に何か?」

 

『君も知っての通り所長はスコットランドヤードに救援に向かったんだが警官隊は全滅。現在所長が清姫・アルトリア・モードレッドを率いて謎のサーヴァント二名と交戦中だ。恐らくはこの魔霧を発生させた三人の魔術師と思われる。それよりも問題はこちらの拠点だ。急いで戻ってくれ!』

 

『単刀直入に言おう。君達と戦っていたゾンビの群れの一部が、ジキル氏のアパルメントを襲撃している。どうやらあちらの一人が、ウェスカーと同じゾンビを操る術を持つ様だ。急いでくれ!』

 

「ええ!?」

 

 

一難去ってまた一難。どうやらバイオハザードに墜ちたロンドンで休息の時間はそう簡単に訪れないらしい。




・何故今回一万字越えしたのか?
変異ナーサリーをバイオハザードのボスっぽくしたら当初の予定より強くなりすぎてぐだぐだなっただけです。こんなバイオのボスがいたら詰める気がする。

・ロンドン各所で見張るナニカ
前回登場した「M」の持つ数多の視点。宝具の片鱗です。これで正体はほぼ確定ですね。

・エヴリンとの和解
止むを得ない共闘からの、ガチ謝罪+懇願。嫌う理由も無い、と言ったのが一番大きかったり。未だに許されてないので割と危険ですが、少しでれてきた模様。なお、作者はバイオ7本編のエヴリンは許せますがEndOfZoeのエヴリンの所業は許せなかったりします。

・限定仕様ハンドガン+ジャック・ザ・リッパー
何時だか感想で教えてもらったネタ。限定仕様ハンドガンは、ハンドガン&体術&ナイフによる攻撃のクリティカル率アップという、ジャックだけでなくビリーにアサエミ、式さんやマルタさんにもお得な品。ただしディーラー本人もよく分かってないからあまり使われない不遇さんです。ギャンブル性より堅実さ。しかしこれの効果もあった宝具は変異ナーサリーには完全にクリティカル決まってました。

・二回死んだディーラー
変異ナーサリーは、右腕と胸部から生えたバンダースナッチの腕による踏み潰し、鎌による首狩りと即死攻撃持ち。ディーラーだったからよかったですが立香やジルとかでも即死してます。バイオシリーズの即死攻撃はハンターを始め初見殺し過ぎると思う。

・変異ナーサリー(第二形態)
バンダースナッチの腕でクモの様にワシャワシャ橋の周りを動きながら鎌による不意打ちを繰り出す戦法の他、上記の即死攻撃や複数の厄介な能力を所持している、ラスボス手前のボスをイメージした強さ。子供の癇癪の様に暴れ回ったり興味が直ぐに移ったり、変異前よりもその行動は幼児に近くなっており、途中から「愉しいわ」しか連呼しなかった事から分かる通り、あの子(・・・)を捜す事よりも玩具で遊ぶことの方を優先させる様になっている。
結構身軽で腕を使って軽々跳躍したりするが、着地直後に一瞬硬直する。弱点武器は電撃グレネード。弱点部位は変異していない頭と足と、壊せば再生しない人形の腕。

 ・バンダースナッチ召喚
第一形態から使っていた能力。「繰り返すページのさざ波、押し返す草の栞──すべての童話は、怪物たちは、お友達よ!」と詠唱して呼び出すお友達。腕の伸びる範囲内が彼女の「工房」と化しており、言い終えればポンッと出せる。なお呼び出している途中でハンドガンでもいいから頭を撃ったりで喋らせなければ止めれるが、動き回っているので困難。

 ・狂ったように同じ言葉を繰り返す
これがある意味一番厄介。何故か周囲に集まっていたゾンビなどに五月蠅い大声で居場所を知らせて呼び寄せる、いわゆる無限ゾンビ湧き。

 ・人形の腕による締め付け
左腕と背中から生えて自在に伸ばせる人形の腕による防御不可能の締め上げ。すぐに振りほどかないと軽く首をぽきっと折ってしまう怪力。また、伸縮させる勢いを利用した叩き付けはマシュとエヴリン二人がかりでやっと止めれる程。

 ・三つの属性攻撃
元々使える炎、氷、風の三つ。これによりそれぞれ冷凍弾、火炎弾、炸裂弾とジルの持つグレネードを無効化できる上に、氷で銃器を凍らせて来るディーラーの天敵。人形の腕の動き(ゲームでの攻撃モーションと同じ)に直結しているため、人形の腕さえ壊せば・・・なのだが動き回っているので困難。

・ハンドガン・マチルダの弾が切れた立香
これまでこまめに弾を補充して来たものの、今回のあまりの物量についに切れてしまった。元々弾が減る頻度が他の銃の三倍なので、連戦だとこうなりやすい。持て余していたマシュのマシンピストルを拝借、マシュよりも使いこなしていたりする。立香の得意武器は連射系であり、エイムはかなりいい方。

・エヴリンの宝具「ようこそ、私の家族(ウェルカム・トゥ・ザ・ファミリー)
文字通り、自らの有する「特異菌」の副産物である「家族」の力を借りる宝具。ウェスカーの宝具の特異菌版とも言える宝具。特異菌で構成されている物なら再現・形成して召喚する事が出来る。
なお、「お願い、パパ!」などと言っているがジャックをやる気にさせる為でありエヴリン本人は新しい親を求めていたりするナチュラル外道である。
何気にディーラーと同じく「ウェルカム」で始まる宝具だったりする。

・呼び出されたジャック・ベイカー
番外編にて登場した彼の成れの果て。イーサンとのチェーンソーデスマッチで大ダメージを負った肉体が過剰代謝により膨れ上がり復活した姿。全身に在る目が弱点だがその攻撃は大振りで、割と避けやすい。ちなみに今回はエヴリンが呼び出した物であるため喋らなかったが意思はあり、本来は戦っている最中ずっと喋っている。

・ジルの宝具「無限の弾丸(アンリミテッド・ガン・バレル)
ぶっちゃけバイオ3の隠し武器。ネメシスさえ直ぐに鎮圧できる凄い武器。ディーラーはこれとほぼ同じ性能の武器をスキルで使えたりする。
詰め込まれた道具箱(アイテムボックス)に全部のアイテムを預けるというデメリットの上で使用可能となる。名前は似てるが某無限の剣製とは無関係。台詞はPXZ2から。

・変異ナーサリー最終形態
足が砕かれて跪き、生への渇望から尋常じゃない再生能力を得て今まで移動に使っていたバンダースナッチの腕も攻撃に転用して来た形態。ジルの宝具とディーラーの電撃グレネードにより少し正気に戻ったものの、ありすを探し求める「手」を伸ばして竜巻の如く振り回し周囲を蹂躙する。元ネタは「深夜廻」のとあるボスとバイオ5のウロボロス・ウェスカーの竜巻攻撃、FGOのアビゲイル・ウィリアムズの攻撃モーション。
通常のバイオハザードならロケットランチャーでとどめを刺すべき相手。その攻撃は防御も兼ねていて攻撃を跳ね除けるが、右側の防御が疎かであり立香の指示でそこをついたジャックの宝具によって討たれた。最期に正気を完全に取り戻すも、自らの惨状に気付いてそのまま消滅を受け入れ、立香の心情にまた変化を促した。

・ジャック・ザ・リッパーの宝具「解体聖母(マリア・ザ・リッパー)
個人的にバイオ史上最悪の悪女であるあの蜻蛉女にも勝てるのだろうかと思っている、女性限定最強宝具。ウイルスの再生力に勝てるのか否か。今回の敵鯖は男が多いためここで使ったという裏事情があるが、ナーサリーライムの凶行を彼女の宝具で止めれてよかったと思ってる。

・自らの力不足を悔いる立香
今回一番難産だった部分。なまじ今回のオルガマリーが優秀すぎて自信を喪失していた立香さん。マシュとジルに肯定され元気を取り戻すも・・・?

・ジルとエヴリン
片や駆逐する側、片や駆逐される側という関係。ジルは生前の面識こそないが薄々彼女の正体に気付いているものの様子見の段階。味方である限り害する気はない。なおエヴリンからはママ候補と思われていたりする。

・襲撃されるジキル邸
バイオで言うならセーブ部屋にゾンビが押し寄せる事態。時系列はちょうどアンデルセンとアシュリーが到着した頃。立香達は間に合うのか。


この形式にしても長いあとがきで本当にすみません。次回はオルガマリー視点を描いてから一気に展開を進めます。いい加減ロンドンを終わらせたい。次回もお楽しみに!よければ評価や感想、誤字報告などをいただけたら嬉しいです。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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