Fate/Grand Order【The arms dealer】   作:放仮ごdz

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ウェルカム!ストレンジャー…年末までに今回含めてあと二話ぐらい更新したいと思っている放仮ごです。前回以降のお気に入り数があまり上がって無かったりしたのは関係ありませんよ、ええ。

今回は二日で書けてしまった題名通りのオケアノス編とロンドン編のつなぎの話。オケアノス後日談と、ロンドン編の予習、悪夢の競演。正直ロンドンヤバすぎて人理修復後を考えたくない件について。楽しんでいただけると幸いです。


第四特異点:死界魔霧感染都市ロンドンシティ
やっと折り返し地点だとよストレンジャー


 第四特異点。1888年、産業革命時代の霧煙るロンドン・シティ。沢山の人で溢れていた霧の立ち込める街並みは、今や死体と異形が跋扈する地獄へと化していた。

 

その原因の一つたるは、現在市街に立ち込めている、人を死へと誘う魔の霧。しかしこれだけで出来るのはただの死体だ。では何故その死体が動くのか?それは、110年の時と海を越えてとある街で起きた現象と酷似していた事から容易に推察できる。

 

その街の名は、アメリカ中西部にある小さな都市「ラクーンシティ」。1998年、9月末。Gウイルス争奪事件の陰でT-ウイルスが流出し、瞬く間に町中がゾンビで溢れかえり、化け物たちが跋扈する地獄と化し核ミサイルによって消滅した街である。

問題は、この事件より過去であるはずのロンドン・シティにてT-ウイルスを撒き散らせる存在が、人体に有害な程の濃度の魔力を含んだ魔の霧によって召喚された事である。

 

 

 エクストラクラス:追跡者(チェイサー)。また、その異形の反英雄(B.O.W.)が冠する真名は追跡者(ネメシス)

 

 

標的が存在せず暴れる彼の存在によって死体の群れはゾンビと化し、屋内に隠れて怯える者達は精神的にも追い詰められていく。

 

 

 

だが、それだけではなかった。ネメシスの魔の手から逃れた死体も何者かにより霧を通じて散布されたt-Abyssに感染し、霧から大量の水分を得て滴る者(ウーズ)と化し、そして徘徊するウーズの存在により湿度が上がった街の片隅で蔓延ったカビからサメの様な歯と鋭い爪を持つ人型の漆黒の異形(モールデッド)が姿を現し、カビは近くの死体をも侵食し同じく異形へと変えていく。

 

 

 

ゾンビ、ウーズ、モールデッド。その三種に加えて暗躍する魔術師がゾンビや生き残りの人間達を駆逐すべく放った機械兵 不明の怪機械(ヘルタースケルター)不格好な人造人間(ホムンクルス)の一団、そして自律機械人形(オートマタ)が蔓延るロンドンで、赤雷を纏い一人果敢に立ち向かうロンディニウムの騎士。

 

 

…とは余所に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女が二人、石畳の道を歩いていた。

 

 

「―――――おかあさん、どこなの…?」

 

 

一人は短い銀髪、顔に傷のついたボロ布のマントを着込んだ少女で、異形に出くわすたびに目にも止まらぬ速度で斬首、女性ゾンビに出くわせば「おかあさん?」と尋ねて、物言わぬと分かると即斬首。それを繰り返し血塗れになりながらも何かを探す様にトボトボと彷徨い歩く。

 

 

「イーサン、イーサン、イーサン!…………絶対殺す!殺す。許さない許さない許さない…」

 

 

もう一人は長い黒髪、黒のワンピースを着た少女で、黒の長靴を鳴らして何かに憤慨しながら歩いている。その周囲にはカビから湧きだしたモールデッドが連れ添う様に歩き、襲ってくるゾンビ達を次々と葬って行く。異形のボディーガードを付けた少女は一通り憤慨し終えると気がすんだのか、「どうしてみんな私を嫌うの…?」と決して答えの帰ってこない疑問を呟きながら虚空を眺め、トボトボとモールデッドを連れ添い歩く。

 

 

 

まったく別の離れた場所に現れた、どこまでも対照的ながらも共通した目的を持つ彼女達が、ばったり出くわすのは必然で。

 

 

 

「あなたは、わたしたちのおかあさん?」

 

「…お前はママじゃない!」

 

 

かみ合っていない会話の後に、苛立つかのように衝撃波を放つ黒髪の少女と、それを的確に避けてから持ち前の敏捷で駆け抜け、モールデッド一体を瞬く間に斬首した銀髪の少女の視線が重なり、一瞬の間が流れてから銀髪の少女の手に握られた特徴的な形状・色のサバイバルナイフと、黒髪の少女の黒く変色して変形した右腕の巨大な刃が鍔迫り合いとなり、双方共に力を強めた事で弾かれ、体勢を立て直す。

 

 

「死んじゃえ!」

 

 

先に動いたのは黒髪の少女。黒く染まった両腕が伸びて銀髪の少女の両肩を掴み、引き寄せると傍のモールデッドたちが一斉に襲い掛かる。しかし銀髪の少女は両手に握ったナイフを自身を拘束する腕に突き刺して逃れ、新たに取り出したナイフを振り回して一瞬でモールデッドたちを細切れにすると、自ら肉薄して一閃。

 

その首を切り捨てようとしたが、黒髪の少女の顔を見て何を思ったのか寸止めし、一言尋ねた。

 

 

「わたしたちは、じゃっくざりっぱー。あなたは?」

 

「…■■■■。私は、家族が欲しいの」

 

「わたしたちは、おかあさんにかえりたいの。いっしょに捜そう?」

 

 

ナイフを仕舞った銀髪の少女、ジャックの提案に黒髪の少女は少し考え、頷いた。自分はママになってくれる人を。ジャックはおかあさんにかえりたい。理由は違えど、目的は一緒だ。

 

 

「…うん、一緒に行こうジャック。………………でもジャック、か」

 

「どうしたの?来ないの?」

 

 

脳裏に浮かんだ、自分の父親であろうとした初老の男を思い出して複雑な気持ちになる■■■■を心配げに見つめるジャック。見ようによってはほっこりする状況だが、彼女達がつい今まで殺し合いをしていて、その周囲にはモールデッドたちがうじゃうじゃ湧いている。その光景は狂気に塗れていた。

 

 

「ううん。…前の家族を、思い出しただけ。ジャックとは全然似てない。行こう、ママを捜しに」

 

「うん、おかあさんを捜しに」

 

 

そうして、共に歩き出す。怨霊の集合体と、人理焼却された世界ではありえないはずの反英雄である彼女達から、遠く離れた区域で…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰かに呼ばれたかの様に霧の中から出現した三角頭の大男が、無言で異形の集団を次々と両断しながら歩いていて、もう一人の追跡者と遭遇していた。

 

 

「スタァアアアアズ!!!」

 

「………!」

 

 

放たれるロケットランチャーと、振るわれる大鉈。周囲の建物は倒壊して爆音を轟かせ、その騒ぎの元に異形達が、それを追うロンディニウムの騎士が向かって行った。

 

 

 

 

 

 

その間でも、各所で動きがあった。

 

 

ロンドンの、とある屋敷にて、一人の男が霧の謎を解明すべく頭を捻らせながら同居人の帰りを待つ。

 

ロンドンの、とある本の散らばる書庫にて、一人の男がゾンビから隠れながら本を開き内容を紐解く。

 

ロンドンの、とある地下道にて三人の魔術師がどうしてこうなったと溜め息を吐き、状況を打開するべく案を募る。

 

ロンドンの、とある墓地に出現した一組の男女が、斧と御札を手に異形の群れを薙ぎ払いながら文句を吐いた。

 

そして、どこでもない場所に存在する玉座で、人理焼却の黒幕である“王”が一人、こればかりは予想外だと嘆息し立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!」

 

 

飛び起きる。嫌な、夢を見た。殆んど覚えてないけど、それは分かった。見覚えしかない三角頭が脳裏をよぎる。他には何が…?

辺りを見渡し、見慣れたマイルームだと気付くと安堵の息を吐いた。すると扉が開いて相棒と後輩が顔を出した。その手にお盆と洗面器があるところから私の額に置かれていたタオルを替えに来たのだと分かる。

 

 

「ん?起きたかストレンジャー」

 

「先輩!よかった!丸一日寝込んでいたんですよ!」

 

「…ディーラー。それにマシュ。私は…」

 

 

そうだ、エウリュアレや船長たちと別れの挨拶をして、第三特異点が崩壊するかと言う所で私、倒れたんだ。無事にレイシフトは出来たらしい。けど、二人が言うには意識がほとんどなかったんだとか。何でだろうか。私、バイクにしがみ付いていただけで殆んど何もしていなかったはずなのだが。

 

 

「もう忘れているのかストレンジャー。さすが、自分を楽観視している頭だな」

 

「先輩はお忘れかも知れませんが、仮にも英霊の、オルタさんのバイクの全速力にしがみ付いていたんですよ?魔術礼装の防護機能が優秀だったため難を逃れましたが普通はミンチになっています。もし手を放していたら真っ赤な染みになっていました」

 

「え゛」

 

 

もう必死になってしがみ付いていたけどそんなにヤバかったのか。

 

 

「無茶が過ぎたがヘラクレス相手にスピードを遅める訳にもいかんし、緊急事態だったから何も言わんかったが何だ、やっぱり分かっていなかったのか?」

 

「ドクターが言うには先輩の筋繊維がいくつか千切れていたらしく、内臓もいくつか傷付いていたそうです。さらに所長共々高山病の兆候が見られたので先輩は一週間は、所長は数日だけ養生しないと行けないそうです。所長は精神的にも参っていたらしく、現在ドクターのカウンセリングを受けています」

 

「肉体的な傷は俺が治しておいた。それにストレンジャーが大人しく寝ていたからコンティニュー回数も戻った。あとはストレンジャーの回復待ちだな。無茶な作戦のツケがこれだ、覚悟はできていたんだろう?」

 

「…まあ、ね」

 

 

色々混乱し過ぎて、ちょっと自棄になっていたような気がする。特にバイオハザードを目の当たりにしたことだ。宝具による再現とはいえ、あの船の中は私が見たことある地獄の様な光景だった。助けに行ったと思えば出てきた巨漢とかのショックが凄まじくて、さらに電撃も浴びてあの時から少し錯乱していたのかも。

 

今回は無茶をしたと自分でも断言できる。死ななかったのは、黒髭達を犠牲にしてしまって、死ねなかったからだ。

 

 

「次の特異点は?見つかった?」

 

 

夢が正しければ、次の特異点は恐らくロンドンだが……

 

 

「いえ。まだ見つかっていません。ドクターの見立てだと先輩たちが全快する頃には見つかってるだろうとの事です」

 

「そっか。……よかった」

 

「先輩…?」

 

 

思わず口に出てしまった。もし正夢だとして、今の精神状態であの地獄に行くのは無理だ。トラウマの塊過ぎて発狂する自信がある。何だかんだほっとしてしまったのはしょうがないと思う。

 

 

「まあ何にしても養生だな。クー・フーリンにハーブを使った焼き魚を作ってもらったが、喰うか?」

 

「今の先輩に固形物は大丈夫なんでしょうか!?」

 

「卵もあるぞ」

 

「あ、じゃあ卵はもらうよ」

 

 

ディーラーから受け取った茶色い卵を割って、中身を一気に飲み込む。…………気付いてしまったことがある。これ、ヘビの卵だ。5歳ぐらいの時に飲んだ事がある。そして多分、ディーラーはこれに気付いてない。卵なら全部同じだろって感覚だろう。私には分かる。

 

 

「起きてる藤丸!?」

 

「あ、所長」

 

 

すると扉が開いて息絶え絶えの所長が現れた。顔も真っ青だし、どうしたんだろう?

 

 

「き、清姫が!ロマンのカウンセリングが終わって外に出たら清姫が…」

 

「あ、はい」

 

 

納得した。そう言えばクィーン・ディードから脱出する際にロマンが清姫を止めるのに苦労しているとかそんなことを言ってたっけ。多分だけど、空元気で大丈夫だとか言ったらウソ認定されて追われていると見た。蛇の卵を回想している時に清姫の話題を出して欲しくなかったなあ。

 

 

「えっと、そこのロッカーにどうぞ?」

 

「恩に着るわ!」

 

 

よし、もし変に匿ったりしたら嘘吐き認定されて焼き殺されるから私は寝よう。とか思っていたら扉を飛び蹴りで破壊して清姫が着地を決めていて。

 

 

「立香さん、マシュさんディーラーさん。旦那様を知りませんか?」

 

「「……」」

 

「そのロッカーに隠れてるぞストレンジャー」

 

「「ディーラー(さん)!?」」

 

 

マシュと二人でダンマリして切り抜けようとしたが、ディーラーがあっさりと自供した。ズルズルとロッカーから引き摺りだされ、涙目の所長。ああ、何だかこの感じ久し振りだな。

 

 

「そこでしたか。ま・す・た・ぁ?嘘はいけませんよ、私にはお見通しです」

 

「この裏切り者!?き、清姫?私は大丈夫だから、ね?」

 

「いいえ。大丈夫なんかじゃないので、私が誠心誠意お世話させていただきます。不安などにはさせませんよ?フフフ…」

 

「別の意味で不安よ!?アルトリア!ネロ!藤丸でもマシュでもいいから、助けて!?」

 

「すみません所長。あの二人は今メディカルチェック中で、私と先輩ではどう足掻いても無理です」

 

「そんな殺生なー!?」

 

「フフフ、さあ行きますよ旦那様?」

 

 

ああ、何だ。焼いたりとかはしないんだ。清姫なりに所長を心配していたのかな。それが分かっていてディーラーはあっさり自供したのか。何というか、自分が恨まれてもどうでもいいって感じだよね。

 

 

「ああ、それと立香さん?」

 

「あ、はい。何か?」

 

「……………………自分の心に嘘を吐いたら駄目ですよ。自覚の無い嘘ほど性質の悪いものはありません。私はそんな貴方が嫌いです」

 

 

そう言って清姫は所長を連れて去って行った。自覚の無い嘘とかよく分からないけど。真っ向から嫌いと言われると、堪えるなぁ。

 

 

 

 

・・・・・・・・どうしてみんな私を嫌うの、か。何があったのかは分からないけど、もしそう尋ねられたら私は、どう返せばいいのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年◇月▽日

 オケアノスの特異点を修復したが、今回はあまりにも犠牲が多かった。目を離した隙にやられていたマイク/カークだけではない。黒髭、パーカー、ヴェルデューゴ。一度は敵対しても共に戦ってくれた人達と、私とエウリュアレのために単身立ち向かったアステリオス。

 みんな、私達を守るために戦って、散って行った。私はそうならない様に頑張っていたはずなのに、何もできなかった。マスターとして力不足だ。

 

 帰って来た後にカーク経由で名前を知ったあのクジラのB.O.W.マラコーダとの戦いでネロの「皇帝特権」でクラスチェンジして水着姿となったオルタとネロだが、どうやらカルデアに帰還するや否や元のクラスに戻ってしまったらしい。でもネロの気分次第でまたなれるそうだ。

 機動力が足りない私達に、ライダークラスのオルタは頼もしかった。マイク/カークは空の機動力だしアシュリーはライダーなのに乗り物を持ってないし…(ここから何ページか自身の運の偏り具合についての文句がつらつらと記載されている)

 

 また、メディアリリィ(メディアさんとややこしいのでこう呼ぶ事にする)に支配種プラーガを与えてそのまま消えたアルバート・ウェスカー(アーチャー)のその後だが、ディーラーの宝具の余波で吹き飛んだのをアルトリアが確認したらしい。知らないところで消えるとか哀れ・・・・・・と笑いたいが、「あの御方」の差し金としてまた出てくる可能性もあるので要注意。ディーラーからも危険度ならばヘラクレスより上とか評価がされた。私もそう思う。

 

吐き気がするのでこのまま休む事にする。

 

 

 

 

 

 

 

2016年◇月〇日

 オケアノス攻略から数日、体調が快復したのでロマンのカウンセリングを受けた。幼少時代の事が知られたのは意外だったけど、あとは当たり障りのない会話だけだった。

 終わった後に訪れた食堂で見かけたのだが、何か所長と清姫の距離が縮まったように見えた。恨めしそうに見つめるアルトリアとネロと言う珍しい光景も見えた。何があったし。

 

 昼食後、所長とマシュ、セイバーオルタと一緒にディーラーがカルデア内の空き部屋を改装して作ったと言う、木製のからくり的を使った射撃場で訓練を行った。

骸骨、ゾンビなどが通常ポイント、いくつか弱点を撃たないと行けないGカリギュラなどのボスが大量ポイント。それらを連続で取った際に一番後ろの方でちらちらと現れた小さいボーナスポイントの的がサドラーの顔だったのは絶対私怨だと思う。

 結果、通常のハンドガンを使った私が一位でマシンピストルを使ったマシュがほとんどポイントを取れずストックというアタッチメントをディーラーから購入して少しマシに。セイバーオルタは百発百中だったが途中でマイナスポイントのアシュリーを撃ってしまったことで私が勝利した。

 一番意外だったのが所長で、冷静にブラックテイルを使って私のポイント数に肉薄していた。もう冬木の頃の所長の見る影もなくなった気がするうぐらいに成長していると思う。すぐヘタレるけど。

 

 

 

 

 

2016年◇月★日

ついに第四特異点が判明した。予想通りロンドンだった。嫌な予感しかしない。腕の一本は覚悟しないと行けないかもしれない。ディーラーのハーブでもさすがに切られた腕とかはくっついたりしないだろう。

 ところでロンドンの惨状を夢で見た、と報告した時皆驚いていたのは何でだろう。予知夢でも見れるの?と所長には聞かれたけどそんなことはないし、ロマンの言う様に誰か知っているサーヴァントがそこにいた訳でもない。…何で私は夢を見たのか?あれは正夢なのか?分からないが、覚悟した方がいいのは明白だった。ここまで順調に難易度というか面倒くささが上がって来ている。…誰も死なせない様に、頑張ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…っと。さすがに今度の特異点は心の準備をしないと耐えられないだろうと思って夢に介入してみたけど、余計だったかな?…キャスパリーグも君の在り方に興味を持っている。マシュ・キリエライトにしか興味を示さなかった彼がだ。これは私も興味を持たざるを得ないとも、人類最後のマスター。そのうち私もファンになってしまいそうだ。だって実に見ていて面白い」

 

 

遥か遠い理想郷の高き塔の上で、空中に浮かんだ映像を見て男はほくそ笑む。ツッコんでくれる相棒がいないのは寂しいが、独り言はいつもの事だ。大抵、生粋のキングメーカーと呼ばれる自分の育てた王の話だが。

 

 

「でも彼女を理解する人が少ないからネットに記録を残したりとか回りくどくサポートしてみたけど意味があったのかどうか。トラウマが多く過去の事を話したがらない女の子の扱いは難しい。…それは彼女も一緒かな?」

 

 

そう言って映像を切り替え、ジャックと共に歩く黒髪の少女を眺める男はどうしたものかと眉をひそめた。

 

 

「人理焼却し存在しないはずの未来から召喚された反英雄。彼女がいる事は人理は続くという証明か。それとも誰も知らない凶悪な力で人理を完全に滅ぼさんとする悪意か。…こればかりは計り知れないね。彼女の生涯を知って、キャスパリーグが決断しないといいけど」

 

 

少なくとも、第七特異点を越えるまでは待ってほしい。男は切実にそう願う。だって、その先にはきっとハッピーエンドが待っているはずなのだから。




いつぞやのロマンが立香の過去の資料を見付けられたのは「彼」の介入によるものでした。うちのスタメンでもありますがそろそろ出張ってもらいます。

追加されたのは追跡者と三角頭のホラーゲームを代表する追跡者コンビ。
ゾンビ、滴るゾンビ、不細工な友達と感染度が可笑しいゾンビ連中。
バトルをした後は友達みたいなノリで共に行動する連続殺人鬼と黒髪の女の子という最凶タッグ。
そしてよりにもよって怪獣大戦争の真っ只中に突っ込んで行ったロンディニウムの騎士。
つまりどういう事かというとラクーンシティ以上の生物災害です。あまりにヤバいので一足早く日本鯖コンビが既に参戦してます。隙あればあるバイオ主人公も出したいところ。

オケアノスにてかっこよく去っていたと思ったら描写される事無くやられていた事が判明したアルバートさん。ヘタレウェスカーはかっこよく終われないのです。
そして何故か清姫とオルガマリーの仲が深まった、何をしたんでしょうかねえ。清姫が立香を嫌う理由も判明。

ロンドン編は原作をちゃんと読み直してから書くので少し遅くなります(正直時系列表的な物が欲しい)。なので年末年始は未定ですが一足先に監獄塔編を書くかもしれません。
とりあえず次回もお楽しみに!よければ評価や感想、誤字報告などをいただけたら嬉しいです。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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