Fate/Grand Order【The arms dealer】   作:放仮ごdz

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ヴェルカム!ストレンジャー・・・どうも、山の翁が来てテンション上げ上げで書いていたら書きすぎて予定の所まで書けてないのに切る事にした放仮ごです。感想欄で言われた事を色々回収した回でもあります。

ロマニとダ・ヴィンチちゃんの会話、立香単騎VSヴェルデューゴ、そして立香に対するお説教などなどですが、楽しんでいただけると幸いです。
(※コンティニューカウンターは変動した時のみ記載する事にします)


ぶっ飛んでいるなストレンジャー

「所長、ヘラクレス・アビスの反応はこのまま南西の方角だ。ただスピードがあまりにも速い!彼に投与されたナニカは海に限りなく適応すると思われる。用心してくれ」

 

『分かったわ、ありがとうロマニ。メディアに使い魔を飛ばして追わせたし、それに今ドレイク船長と黒髭と航路を話し合っているから何とか追いついてみる。また連絡するわ』

 

「…ふぅ」

 

「お疲れ、ロマニ」

 

 

オルガマリーとの通信を終え、モニターから離れて一息吐いたロマンに紅茶を差し出すのはダ・ヴィンチちゃん。先程まで一緒に支援をしていたはずなのに何時の間にか離れて淹れて来たのはさすがというか、とロマンはふと笑みを浮かべてそれを受け取った。

 

 

「やあレオナルド。ありがとう」

 

「今回は最初から行方不明の通信途絶、回復したかと思えば巨大エネミーとの対決、そしてアステリオスの宝具の影響でまた通信途絶、回復したかと思えば黒髭来襲で戦闘のバックアップと大忙しだからね。多分ここらが佳境だ、私達も少し休もう」

 

「…そうだね。でも、まだ調べないと行けない事がある」

 

 

一口飲んだカップを置き、モニターに映すのは、人類最後のマスターこと藤丸立香の持ち得るかぎりのデータ。数日前、オルガマリーとマシュから「立香がバイオハザード関係者」という報告を受けて、しかし彼女の履歴にそんな事は書かれてなかったため調べていたのだ。

 

 

「僕はセラピストも兼ねているからね。それにマスター適正があったというだけでスカウトされた少女だ。何かあったら問題だからちゃんと調べないとね。

…彼女の履歴によると、幼少期にアメリカに旅行に行った際に両親が行方不明になっている。その後、親近者がいなかったため孤児院に引き取られた…とあるね」

 

「ふむ。それに、小学校も含めた学生時代は問題児だったとあるか。喧嘩沙汰は一切無いのは彼女らしいけど、口論がエスカレートして孤立した様だね。その原因は全て、学生によくある冗談である「死ね」か。…なるほど、その両親が行方不明になった時期にバイオハザードがあればビンゴという訳か。当時小学生にも満たない年齢だったのなら履歴から消されていても可笑しくないか」

 

「カルデアで事故が起きた際に切羽詰まった顔で僕の静止も聞かずにマシュを助けに行ったのもそれが関係していると睨んでいる。動揺することなく即座に向かうなんて余程の事を経験したんだろう。…っと、あった。ハーバードヴィル空港のバイオテロが同時期に起きている。生存者のリストに…彼女の名前を見付けたよ」

 

 

そう言って映し出したのは、何百人もの人間の名前が連なるリスト。カークが仲間入りしたおかげでパスワードなどを得て開く事が出来た、人理焼却の影響化でも運よく(・・・)辛うじて残っていたBSAAのファイルデータであった。ロマンと席を換わり、軽く閲覧したダ・ヴィンチちゃんは一声唸る。

 

 

「ふむ。詳しい記録によると、彼女は生存者の中でも特異な存在で最初に逃げ出せた集団の一人ではなく、警察に救出された生存者たちが抜け出した後に突入した海兵部隊に救出された様だ。一人で逃げ回って疲弊していたとある。…これが事実なら、精神への負担が心配だね。特に誰かを失う…なんて事を防ごうとする思いが実直だ」

 

「そうともレオナルド。実はそれが冬木の時からずっと気になっていた。さっきの血斧王に対する特攻もそれが影響したんじゃないかと思ってね。このままじゃまた無茶をするかもしれないからちゃんと把握していざという時は止めないと」

 

 

そう困った笑顔でロマンが言った言葉を聞いて思わず黙るダ・ヴィンチちゃん。藤丸立香のこれまでの行動を思い返したのだ。一言で纏めると、マスターと言うより執行者や代行者の方が近い問題児。

冬木だけでも、ロマン等の反論も聞かずにわざわざ自腹でディーラーから武器を購入、所長が襲撃された際には戦闘中だったとはいえマシュ等には頼らず自ら動いて迎撃、アーチャーやバーサーカーの存在があったのにもかかわらずにディーラーについて外に出て行く、などなど冷静に考えてみると問題行動が目立っていた。最後のセイバー戦やレフ戦ではさすがに大人しくしていたが、アレはアレで隙あらば介入しようとしてできなかった結果だろう。

 

 

「…………言って止まるようなら苦労しないと思うよ。あの子、石だけなんて飽き足らず、私に何か武器があるならくれって言うような子だよ?さすがに持って無かったけど」

 

「……だよね。サーヴァントがいるのに何で武器を求めるんだろう…」

 

「それは天才である私でも分からないね。でも、数いる英霊が来ない理由ぐらいなら分かるさ」

 

「? それは何故だい?」

 

「彼女、表面的には見せないけど仲間を増やそうとは思ってないのさ。守る人間が増えたら戦えなくなるからか、自分の采配で誰かが死ぬのが嫌なのかは知らないけど、そういう甘さが抜けきってない。それと…」

 

「それと?」

 

 

サーヴァントである自分とは異なり分からずに疑問符を浮かべるロマンを見て、ダ・ヴィンチはとある過去を思い出す。

 

 

 

―――「その杖とその籠手、ダビンチちゃんの武器だよね?どうやって使うの?」

 

―――「ダ・ヴィンチちゃんさ!それはそうとこれに興味があるのかい?杖からは標的に誘導するレーザーを発射して、この籠手からは炎や冷気を放射する他ロケットパンチにする事が出来る特別品だよ!残念ながら非売品だけどね」

 

―――「うん、いい武器だね。でも私には使いこなせそうにないなぁ…さっきオルタの剣を貸してもらったけど全然使えなかったよ。やっぱり英霊って凄いね」

 

 

ディーラーを守れるような英霊を召喚すると言って石を買い占めながらそう尋ねてきた立香の視線は、自分よりも己の持つ武器に向けられていた。それで、何で彼女の元に異常なほど英霊が来ないのか彼女…彼?は分かった気がした。

 

 

「…この稀代の天才たる私に一緒に来てくれない?と言わないぐらい、自分を守るサーヴァントよりもその武器を求める彼女に、応える物好きな英霊は少ないって事だね」

 

「…仲間になってくれるサーヴァントより武器か。それは確かに、誰も応えてくれなそうだ」

 

「おや、分かった気でいるのかい?ただの人間のロマニ・アーキマン君?」

 

「はは、ただの想像だよレオナルド。でもそう考えるとセイバーオルタ達はよく来てくれたね」

 

「そりゃあ、縁もあるし個人の趣味や信念もあるし、アシュリーに至っては好きな人がいると思ったから、だからね。それに対してオルガマリーは自分を守ってくれるサーヴァントを求めている。この違いがあの引きの決定的な差だろう」

 

 

セイバーオルタは彼女…というよりディーラーとの縁から。クー・フーリンは縁から。メディアは恐らくオルガマリーを蘇生するために必要だと願っていた結果。マイク/カークはその在り方故。アシュリーはディーラーの声に引き寄せられて。チェイサー…レッドピラミッドシングは、理由が分からないが「断罪」するため。

そしてディーラーは…彼女の願望である「武器を与えてくれる存在」だから。そう考えると納得のいく面子である。

 

 

「本人が自覚してないのが性質が悪いのかな。マシュ辺りが気付いて嗜めてくれることを祈るしかない、か。相談してくれれば乗るぐらいは僕にもできるんだけどね」

 

「私達にできる事はそれぐらいだろう。しかしこの事実が分かっただけでもオルガマリーに報告できるだけ進展だ。…なんにしても、無理して死なない事を祈るばかりだ。あの性格のオルガマリーだけではどうも心配だからね、人理修復ができなくなる最悪の事態は私としても避けたいところさ」

 

「うん、技術チームでも礼装の防御力を少しでも高める様にお願いしてみるよ。…最も、あのディーラーとマシュがいる限りはその最悪の事態は起こらないだろうけどね」

 

「ほう。そこまで言うとは。天才である私でも見当もつかないその根拠は何かな?」

 

「マシュに対しては僕の勘さ。ディーラーは……………彼の抱く鋼の如き信念は信頼に足る、って言う半端な理由さ。こればかりは信じるしかないよ」

 

「へえ、ロマニ。君が信頼、ねえ?」

 

 

再び紅茶を一口含み、笑みを浮かべるロマニの手袋に覆われた手を見やりダ・ヴィンチちゃんは意地の悪い笑みを浮かべる。

 

 

「なんだ、言いたいことがあるなら言えばいいじゃないかレオナルド。…まあとりあえず、暇なうちに今まで出てきたB.O.W.のレポートでも作るとしようかな」

 

「君は少し仮眠を取りなロマニ。それぐらい、この私がちょちょいと仕上げておくし何か起きたらダ・ヴィンチちゃん特性目覚まし時計(ディーラー監修、銃撃ver)で起こしてやるから。それと、今は言わないで置くよ」

 

「そうかい?じゃあ頼んだよレオナルド…」

 

 

なるほど、それは確かに論理的な根拠がなくとも信じるぐらいはできる、と今度は心の底から微笑むダ・ヴィンチちゃんに弱々しく応え、フラフラした足取りで仮眠室に向かうロマン。そんなカルデアを支える頭脳二人の心配を余所に…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巨大な地下迷宮を走る少女がいた。ハンドガンマチルダを手にし、ロケットランチャーを背中に担いで目的地へと急ぐのは、藤丸立香。それを追跡するのは、漆黒の異形ヴェルデューゴ。

 

 

「はあ、はあ、もうすぐ…そこ…!」

 

 

追い付かれては応戦し、追い付かれては応戦しを繰り返した立香は疲弊しており、懐から取り出した焼夷手榴弾を投げてヴェルデューゴを牽制しながら、目的地である柱の傍まで走る。対して地中に潜って炎の壁を突破し、立香の目の前に飛び出したヴェルデューゴ。

 

 

「!?」

 

「そりゃあ、私の前に飛び出してくるよね…」

 

 

そんな彼の足元にぼんやりと浮かび上がってきた魔法陣が光り輝き、立香がにやりと笑う。

 

 

「私は弱いけど、ディーラーから貴方の話を聞いて私一人で何とかするにはこれしかなかった。メディアさんの氷の魔術…!」

 

 

足下から凍り付いて行き、氷像と化して動かなくなったヴェルデューゴに、立香は足を振り上げ、その側頭部に蹴りを叩き込………もうとしたが足が上がらず、諦めてパンチを叩き込むも、モーションも力の入れ方も何もかも下手だったへなちょこパンチではビクともせず、逆に痛いと冷たいを同時に感じた拳を涙目でさする立香。

 

それでも諦めず、チョップ、ローキック、掌底打、肘鉄、頭突きと次々と試して逆にダメージを受けて涙を拭ってキッと氷像ヴェルデューゴを睨みつけた立香はやっとマチルダを構えるも、時既に遅し。全身を震わせて氷を振り払ったヴェルデューゴの軽めのジャブが立香の側頭部を捉え、意識が暗転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・先輩、何か言う事は?」

 

 

目を覚まし、石造りの床に正座をして黙りこくっている立香の前では、怒り心頭で腕組みしたマシュがジトッとした目で見下ろしていた。その背後では迷宮の主であるアステリオスと魔術のトラップを仕掛けたメディア、自分の手当てをしてくれたディーラー。そしてヴェルデューゴを背後に控えさせ肩にオリオンを乗せたオルガマリーがどこか呆れた様子で溜め息を吐いている。

立香は頭の中で取り敢えず考えた言い訳で何とかこの話題から逃げ出そうと試みた。

 

 

「………えっと、…必要最低限だって銃の扱いを教えてくれた私の保護者が、わざわざ戦う必要は無いんだって教えてくれなかった上に、日本に戻ってから空手やらを習おうとしたけど素質以前の問題だと言われて門前払いをされたぐらい、体術はからっきしダメです」

 

「そうじゃないわよ。手加減したヴェルデューゴが相手だったから何度も逃げれたし反撃に出れたけど…もしこれが実戦だったら貴方死んでたわよ?」

 

 

そう、オルガマリーの言う通りこれは模擬戦なのだ。ヘラクレス・アビス達を追ったもののあまりの速さに全然追い付けず、一先ず物資を補給するためにサークルを作るために立ち寄った島にて、ただ魔力を回復するだけではもったいないと、海賊組で航路を探っている間に立香の立てていた作戦が上手く行くかアステリオスに宝具を使用させて検証していたのだ。

マシュが怒っているのは、「マシュ達が居なくても私一人で戦えるから!」などと無謀な事を言いだして証明するべく奮闘していた立香が安の上、失敗したからであった。

 

 

「面目ない。いや、ディーラーからレオン…さん?が液体窒素で凍り付いたヴェルデューゴを蹴り砕いたって聞いたから私にもできるかなって…」

 

「馬鹿かストレンジャー。レオンは人間やめてる英雄様だぞ。銃を扱えるとはいえ元一般人の魔術師見習いのアンタが真似できるはずがある訳がないだろう。まあ策は褒めてやる。確かにこれなら、俺達の中の誰かとメディアが協力する事で此奴がもし敵に回った場合でも勝てる」

 

 

ちなみに、黒髭を一度ダウンさせた際に船から降りて乗っていた流氷もメディアが魔術で作った物であった。元々この作戦を、人手が足りなかったために立香本人がヴェルデューゴ相手にしようとしていた訳だが、オルガマリーに話したところ問題点を指摘され、そんなことないと立香が言いだしたために思い知らせていた訳である。

 

 

「だよね!策は大丈夫だったんだから、油断せず銃で撃っていたら私でも倒せて…」

 

「話は最後まで聞けストレンジャー。それはサーヴァントの場合だ。言っとくがレオンの奴だってそれを何度も繰り返してようやく勝てたんだぞ?どう足掻いても倒し切れずに復活した此奴の一撃で即死だ。アンタでも殺せるハンターみたいな量産型なんかとは違うんだぞストレンジャー。いやむしろハンター一匹だけにも勝っただけで驚きなんだが」

 

「あと、動きもなっちゃいないわ。体力はあるけど素人というかなんというか…魔術師見習いがまだマシってレベルね」

 

「そうですね。これでは先輩を絶対一人に何てできません。意地でも一緒にいます」

 

「何か最近後輩が怖い件について。ディーラーも所長も正論でぐうの音も出ません…」

 

「これからエウリュアレを救出しに行くって言うのに貴方に単独行動取られてヘラクレスに殺されでもしたら困るから勝手な行動は慎む様に。しょうがなかったとはいえバーサーカーに真正面から挑んで無傷で済んだのが奇跡としか言いようがないんだから!というかマスターが必要最低限以上に戦うなバカ!」

 

「はい…」

 

 

オルガマリーに怒鳴られ、シュンと項垂れる立香。これでも、ローマでアシュリーとカークをみすみす殺させてしまったことからの考えと行動だったのだが、こうまで否定されるとさすがに堪えた。

 

 

「まあ度胸と窮地での判断は評価するぞストレンジャー。特に礼装の魔術を咄嗟に自分に使った点だ。あの時、自分の命を最優先したのは正しい判断だ。もしアレでアルトリアを優先させて重傷を負っていたら俺が引導を渡していた」

 

「…冗談だよね?」

 

「それぐらいキレるぞって事だ。いいか、マスターはサーヴァントに守られるだけでいろとは言わない。特にこういう乱戦ではどうしても離れてしまう事もあるからな。だが必要最低限身を守るだけでいい。アンタに銃を教えた奴の言っていたのはそう言う事だ。自分から戦場に乗り込む必要はないんだストレンジャー」

 

「…でも、マシュ達だけになんて…」

 

「あの時、ヘクトールは先輩を狙っていました」

 

「え?」

 

 

ディーラーの言葉に反論しようとした立香の言葉を遮ったのはマシュだった。つい先刻の出来事を、淡々と語る。

 

 

「サーヴァント戦に置いて、マスターを狙うのは当たり前です。もしかしたらエウリュアレさんだけでなく先輩まで連れ去られたかもしれない。いえ、あの時彼は確かに先輩の命を狙っていました。もし早々に先輩があの場を去っていなかったら、先輩を庇う隙を突かれて敗北していたかもしれません」

 

「いい、藤丸。マスターと言うのはただサーヴァントの指揮官というだけじゃない、サーヴァントにとって弱点に等しいのよ。自分から殺されに行くのは、貴方のサーヴァント達にわざわざ弱点を増やす様な物なの。あのクイーン・ディードで貴女が負傷して気絶した際にわざわざ運んだのはそう言う事よ」

 

「先輩。お願いですから、一人で無茶をしないでください。貴女を守るために私の盾は在るのですから」

 

 

マシュとオルガマリーの言う事が正しいとは理解している、理解しているのだが…やはり心のどこかで納得できない物があった。真剣に自分を見つめて来る後輩に、出そうになった反論を飲み込み何とか頷く立香。

 

 

「うん、分かった。もう無茶はしないよ、約束する」

 

「はい、約束ですよ先輩?ディーラーさんも、マスターをわざわざ危険に駆り立てないでくださいね!」

 

「それについては約束できないな。俺は顧客(ストレンジャー)注文(オーダー)には必ず答える主義でね」

 

 

立香から受け取ったハンドガン・マチルダを整備しながらけろっと答えたディーラーに思わず無言になるマシュ。そうだ、このサーヴァントはそう言う人だった…と渋々ではあるが納得し、思い出す。むしろこのサーヴァントは無茶したマスターをカバーする存在であった。

 

 

「…分かりました。先輩が約束してくれたならいいです」

 

「藤丸への説教兼説得も上手く行ったし、そろそろ戻りましょう。黒髭から航路が決まったと念話が来たわ」

 

「うう…めでぃあ。えうりゅあれ、ぶじか…?」

 

「それについては大丈夫よ。私の使い魔によれば、まだ海の上だけど女神さまには何の危害も与えられてないわ。…それに使い魔に気付かないなんて歴戦の英雄のヘクトールも疲弊しているみたいね。ヘラクレスも本来の戦士の直感は随分衰えているみたい。これは勝機ありね」

 

 

オルガマリーの言葉で宝具を解除しながら零れたアステリオスの心配の声に、メディアが水晶玉を手にそう応える。マイク/カークが居ない今、偵察は彼女の仕事であった。

 

 

「それは僥倖ね。あとは高速で水上を移動する手段なんかがあればいいんだけど…こればかりはさすがに無いし、ドレイク船長と黒髭の考えた航路に期待しましょう」

 

「…あの、それなら…」

 

「何か案があるんですか、先輩?」

 

 

オルガマリーの言葉に弱々しく反応した立香が挙手し、マシュが問いかけると自身なさげに頷いた。

 

 

「………素人の考えですけど。高速で水上を行くなら、危険だけど多分これが一番速いんじゃないかって…」

 

「どうするのかしら?」

 

「…えっと、メディアさんとセイバー…じゃなくてメイドオルタの力を借りれば…」

 

「は?」

 

 

次に述べた立香の言葉に、目が点となり思わず無言になるオルガマリーとマシュとメディア。

 

 

「Hehehe…w Stranger…Stranger(ぶっ飛んでいるなストレンジャー)…!」

 

 

何でいきなり皆黙ったのか分からずオロオロするアステリオスと、元より無言を貫くヴェルデューゴの傍で何故か一人だけ爆笑しているディーラーの姿があった。




今回の一言、メディアさん万能すぎ。

カークの協力もあり立香の問題点を徐々に解明して行っているロマニとダ・ヴィンチちゃん。ロマニはディーラーを信頼しています(だからなんだよってのは置いときます)。

立香VSヴェルデューゴ。しかしレオンと違って超人ではない立香ではろくなダメージを負わせる事無く敗北する事に。オルガマリーのサーヴァントじゃなければ即死だった。

体術最弱で身の程知らずな立香についに怒りを爆発させたマシュとオルガマリー。当初、ヴェルデューゴはメディアが凍らせてネロが砕く、的な勝ち方を予定していました。

最後のディーラーの台詞はロケランなどを購入した時に発する台詞。響きが何気にお気に入りで、わざわざ売って買い戻して聞くぐらい好きです。

次回、立香の作戦でアルゴナイタイに殴り込み。次回もお楽しみに!よければ評価や感想、誤字報告などをいただけたら嬉しいです。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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