魔女と怪異と心の穴───もしくは一ノ瀬巽の怪異譚───   作:タキオンのモルモット

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先に言っておきます。キャラ崩壊注意(今更)


ヤンデレ短編────仮屋和奏の場合────

 

最近、仮屋の様子がおかしい。

 

いや、別に挙動不審とかそういう話じゃなくて。よくモノをくれる······主に食べ物とか、ジュースをくれるようになった。

 

本人曰く「最近、料理にハマってて······男子の意見も欲しくてさー?でも保科は綾地さんが作ってきてくれてるし海道は味音痴で信用出来ないから」らしい。

 

まあ、美味いし食費が浮くので本当に助かっているのだが。だが────

 

「今日も美味しかった?それは良かった!!明日は何が食べたい?」

 

わざわざリクエストまで受け入れてくれるとは、サービス過多な気もするけど。

 

唐揚げが食べたいと素直に言うと、仮屋は笑顔で頷いて

 

「わかった、それじゃあ明日も楽しみにしててね!!」

 

と、受け入れてくれる。唐揚げもう今週入って三回目のリクエストだけどな。

 

 

 

 

 

「······なあなあ、和奏ちゃんってさぁ······お前の事好きなんじゃないの?」

 

唐突に海道がアホな発言をした。

 

何言ってるんだ、ンなわけねえだろ。そう返す。本心からそう思う。

 

「わざわざ弁当毎日作ってきてくれてるんだぜ······?」

 

いや、前々から普通にモノ分けてくれるし、根拠としては薄いだろう。そう返す。

 

実際入学して、一年の頃から一緒のクラスだが、毎日何かしらくれたので、特に不思議に思わない。

 

「お前······オカズ一品分けてくれるのと弁当作ってきてくれるのは違うだろ······?」

 

そうは言っても、仮屋が作ってくれるのはオカズだけだ。だから何が違うのかわからん。ちょっと量が増えたくらいだ。

 

何より弁当作ってきてくれるようになったのは本当に────大体三週間くらい前の話である。その時から弁当作り······というより料理にハマったらしいのでまだ飽きてないというだけなのではないだろうか?

 

「······三週間前?そういやお前告られてなかったか?」

 

そう言えば────確かに告られた。

 

ふったけど。

 

「勿体ない······別にあの娘顔もスタイルも悪くなかったじゃないか」

 

知らない人間からいきなり告られても困るだけなのだが。というかなにか裏があるとしか思えん。

 

心の底からそう思う。いや、本当に知らない奴だったし────そういや1年だったなあの娘。大方罰ゲームか何かでテキトーな先輩に告白しろ、とでも言われたのだろう。可哀想だなぁ······。

 

────思えば仮屋が食べ物だけではなくジュースをくれるようになったのもその時からだ。

 

······いや、何の関係もないだろう。

 

そう自己完結して、俺はケータイを起動してソシャゲをやり始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「······まさか、告白されるとは思って無かったな······」

 

そう言って仮屋和奏は自身の家の台所で呟く。

 

「断ってくれたからセーフとはいえ······そろそろ行動に移そうかな。······っと、できたできた♪」

 

そこに鎮座していたのは唐揚げ。リクエスト通りの品。

 

そこに仮屋和奏は怪しげな液体をふりかける。

 

「······さて、効果は抜群ぽいし······ふふっ、楽しみだなぁ······もうすぐ私だけのものになるんだ······」

 

あの日、告白された現場をたまたま目撃してしまった時、物凄く焦った。それはもう焦った。まさか彼に手を出してくる雌がいるとは思わなかった。

 

だから、計画を練った。

 

弁当に、中毒性のある媚薬を混ぜて食べさせた。

 

この媚薬の最大の特徴────それはセットで使わないと効果が無いということ。

 

Aの媚薬の効果を発動させるにはBの媚薬も混ぜないといけない。しかし効果は絶大、と書いてあった。

 

必ず両方同時に使用すること、と書いてある。理由はもう一つある。それはAの媚薬だけを摂取し続けると身体に残る、という性質。

 

Aだけを摂取すると少しづつ体内に蓄積し続けるのだ。

 

そんな身体にBを摂取させたらどうなるか?

 

答えは今まで蓄積させた分の効果が一斉に出る、という事だ。

 

被検体────というよりそれを試してみた秋田さん曰く「7時間くらいずっと犯られっぱなしだった」そうだ。

 

これを次の休みあたりに家に招待したときにBを盛った料理を食べさせて、襲わせて既成事実を作る。

 

少し罪悪感があるし────あっちから告白してきてくれたら嬉しいな、と思う部分もあるが、もうなりふり構っていられない。

 

犯された後に、優しい言葉を投げかけて、赦し、付き合う。完璧な作戦だ。

 

アイツは優しいから犯した責任を取って────ずっと私のそばに居てくれるだろう。

 

「────でも、その前に、あの雌は処分しないとなー······あくまで念のためだけど、殺っておいて損は無いよね♪」

 

その瞳は何よりも暗く染まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

後日、一人の一年生が姿を消した。

 

 





ヤンデレとは何かわからなくなってきました(白目)

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