魔女と怪異と心の穴───もしくは一ノ瀬巽の怪異譚───   作:タキオンのモルモット

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投票の結果和奏に決定!!
いやー、これで番外編が書けるぞお!!

和奏「何?クリスマスに早速書くの?」

はなしおもいつかないむりしぬ

「「「マジで!?何もしない!?」」」

うっせえボックスガチャは回転数がすべてなんだよそろそろコミケも近いし……

めぐる「ならしょうがないですね」
紬&和奏「いや、だめでしょ!!」

つったって何も思いつかないし……クリスマスとか俺からしたら滅びろ死ねって思ってるし……

めぐる「てかコミケ参戦するんですね、いつ行くんです?」

一応三日間参加しますけど?

「「「え!?」」」

本当は二日目参戦する予定無かったんだけど……おのれゆずめ……茉子セットとか買いに行くしかないんですけど!?

めぐる「正気ですか、二日目企業って……」

まあ、初日に行こうかくそ悩んでるから未定だけどね。
それでは投票してくれた皆さんありがとうございました!


囮物t…怒られるからやめろや

 

 

1

 

「······さて、どうしたものかなぁ······」

 

一ノ瀬巽は一人呟く。

 

復讐相手が怪異になったのは問題じゃない。そもそもあれは単なる実行犯に過ぎない可能性まで出てきた。

 

────まあ、殺す事には変わりないのだが。人が人じゃ無くなっただけで。

 

「······問題はそこじゃない······」

 

今現在、彼は気配を消してとある一軒家の上に登り、新S区とS区の境目を見ていた。

 

そこに彼女達······椎葉紬、因幡めぐる、綾地寧々、保科修史────そして仮屋和奏。

 

全員が、立ち入り禁止テープの前に待機している。

 

「······まずいな······仮屋にバレたか······」

 

あいつは昔を知ってるから何れ辿り着くだろうとは思っていたが、ここまで速いとは。

 

ていうかなんで新S区にいることまでバレてるんだ。

 

海道が教えたか?いや、それなら学校へ向かってるはず······まさかあいつら俺の家に······?

 

いや、入れたとしてもあそこの隠し部屋のパスワードはわかる訳······あ、因幡いるじゃん、終わったわ。

 

という事はこれからはかなり慎重に動かなきゃならんな······。

 

「流石に俺も親友を手にかけるような真似は極力したくないからね 」

 

それは裏を返せば必要があれば親友だろうと邪魔をすれば容赦はしない、という事だが。

 

「······まあ、それはどうでもいいとして────どうやってアイツを倒そうか?」

 

取り敢えず後回しにして、今回の怪異の事を考える。

 

「ポピュラーな怪異だったら既存の倒し方で倒せるんだけどなぁ······」

 

怪異は理不尽の権化だとか言われる事があるが、実は割とそうでもなかったりする。

 

例えば口裂け女は「ポマード」という言葉、もしくはポマードそのものが弱点であるように、河童は頭の上の皿が弱点であるように。

 

倒すだけなら、方法はある。そしてそれがあるならそうしたい。何故なら────

 

「······くねくねの時みたいに周りが田んぼだったり家が無かったりしてりゃゴリ押してるんだけどなぁ······流石に家屋ごとぶっ潰したら怒られるし······」

 

一撃必殺級の威力の弊害。周りの被害が甚大になる。くねくねの時は周りに何も無かったからクレーターで済んでいるがもし周りに外壁があったら衝撃でぶっ壊れているだろう。

 

と、そこまで考えたところで思いついた。思いついてしまった。

 

思いつきさえしなければ、一ノ瀬巽はまだ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……そうだ、空中で粉砕すればいいのか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2

 

数分後、新S区とS区の境目にある椎葉家のリビングにて。

 

「ねえ、海道。なんでそんなのに騙されるかなぁ……」

 

「いや、ほんと、すんませんした」

 

巽を除くオカルト研究部の全員と和奏が海道を尋問していた。哀れ。

 

 

「……まあ、知らなかったんだからそんなに責めなくても……」

 

「それにどちらにせよ俺たちが着いた時にはもう新S区自体立ち入り禁止になってたんだ。仮に海道が連れてきてもあっちには『超特例措置による捜査協力義務』とか何とか言われてあっちに逃げられるのが落ちだろう。ここで海道責めてもしょうがないだろ、何躍起になってるのかは知らないけど、少し冷静になれよ仮屋。」

 

「うぐ……」

 

紬と柊史に諭され、和奏は唸り、俯く。

 

「……というか、如何するつもりだったんですか?……その、一ノ瀬君を止めたいのは解るのですが……どうやって?」

 

「……確かに。センパイは説得されて止まるほど覚悟がない状態で行動する人でも無いですし、となると物理的手段になりますがぶっちゃけ世界中のマフィアや警察、……いや、下手したら軍隊でも勝てませんよ。というかあの人にゼロ距離で核ぶつけても死ぬイメージがわきません。」

 

そりゃ言い過ぎだ、と柊史は言おうとしたが、言えなかった。

 

冷静に思い出してみる。

 

一年の時、「打ち合わせに間に合わねえ!!」と言いながら窓から飛び降り、人とは思えない速さで帰宅したり、美術の時間に「ここは彫刻刀で削るとミスりそうだな……」と言いながら指で木を彫ったり、ゴキブリが出たとき「うわきもっ!!きもっ!!」と言いながら塵すら残さずに新聞紙で消し飛ばしている姿を見ていると……核云々はやはり言いすぎかもしれないが、生き残るだけなら余裕かもしれない……。というか核を投げ返しそうだ。

 

「……物理的にも、止められるわけ無い、か……」

 

改めて思う。理不尽以上のナニカが一ノ瀬巽なのだと。

 

でも────

 

「「────だけど、友達が、殺人を犯そうとしているのを、ただ黙って見過ごす理由にはならない。」」

 

そうだ。()()()()()()()()()()友達が人の道を外れようとしているのを見逃す理由にはならない。

 

例えそれが人を超えたナニカだとしても。

 

「……でも、どうするんです?仮屋先輩に保科先輩。そりゃめぐるだってセンパイのこと止めるんなら止めたいですけど……センパイに立ち向かうとしたら残機が足りなさすぎます、いえ、例え残機が無限にあっても勝てるかどうか……」

 

「……そこなんだよなぁ……」

 

決意しても、手段が何一つ思いつかない。

 

「センパイは割と目的のためなら手段を選びません。恐らく私達のことも平然と蹴散らすでしょう……いや、センパイの性格からして私達が止めようとしているのをわざと泳がせて、その間にねった策略全てを余すところなく受けて一つ一つ潰すでしょうね。」

 

「……い、一ノ瀬君ってそんなに強いの?」

 

「強いなんてレベルじゃない、やることなすこと人智を超える事を平然とする神みたいなやろーだ。勉強もあい……まてよ?」

 

その言葉に反応した海道が答え、止まり、考えるようにしてその場に座り、口を開く。

 

「……ねえ、和奏ちゃん、確か和奏ちゃんって昔一ノ瀬から色々と習ったって言ってたよね。」

 

「「「「え?」」」」

 

「……あー、そうか。海道は私達の出会ったときのこと話したっけ。」

 

思い出したかのように仮屋は呟く。

 

「そうそう、小学1年生の時に無抵抗に同級生と上級生に虐められてたのを見かねた巽が和奏ちゃん色々と教えて最終的に和奏ちゃんだけで虐めてた奴ら全員にお灸を据えた話。」

 

「「「「はぁ!?」」」」

 

嘘だろおい、と皆は心でそう呟く。

 

「……別に言う必要あったのか今の!!あれはその……若気の至りってやつで……」

 

「いや、そこは重要じゃないんだよ和奏ちゃん。重要なのは()()()()()()()()()()()()()()()()()があるかどうかなんだ。」

 

そう言って、海道秀明は語り出す。

 

「ずっと前から気になってたんだけど────」

 

その話はあまりにも荒唐無稽で、ただの賭けでしか無くて────

 

でもそれは一ノ瀬巽を物理的に止められるかもしれない唯一の手段だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3

 

「……と、言うわけで氷室さん。夜中のうちに決着を付けようと思うんだ。」

 

「……正気か?」

 

夕方、公園で幼女と戯れていた氷室さんを発見し、俺は話を持ちかけた。

 

内容は至極単純。『本気出してでも粉砕するから新S区から人払いしてくれ』と頼んだだけだ。

 

「……君の知り合いが新S区近くに住んでいて危ないのは解っているが……」

 

「それだけじゃねえよ、危ないのは氷室さんもだ。少し休んだ方がいい。」

 

「何?」

 

勿論、こんなこと微塵も思っていない。正直氷室さんの事なんてどうでも良い。だが、ここから追い出す理由として、非常に都合がいい。

 

「あんたはただ怪異に少し耐性のある一般人なんだ。俺どころか姫野よりも禄に耐性のないあんたが、ハッカイのコトリバコを一人でどうにかしたときにダメージを負っているはずだ。……そのままだと本当に死ぬぞ。冗談抜きで。」

 

「……だが、俺は職務が……」

 

「俺が本気出すって言った、という事実があれば納得されるさ。ある意味怪異よりも俺はヤバいんだから。」

 

特務科は人員不足だ。氷室さんを失うのは惜しいだろう。

 

「……と、言いつつ君は……どういう訳かは知らないが、あの怪異を懲らしめたいだけだろう?」

 

「……バレてましたか」

 

おかしいなぁ、完全に隠したつもりだったのに……

 

「……まあいい、確かに君に任せた方が早く終わるのは確かだろう……ただし何かあったら直ぐに待機している俺の方へ連絡を入れること。」

 

「……了解」

 

……まあ、概ね計画通りにいったから良しとしよう。

 

「しかし、どうやっておびき出すつもりだい?」

 

「……あの怪異、憑き子を狙ってるんですよ、んで、新S区から全員人を避難させれば、自ずととある場所に行くはずです。そこを叩きます。」

 

そう、この区の憑き子を狙ってるなら全員避難させれば、近くの憑き子の家系に辿り着く。もし辿り着かなくてもこっちには氷室さんがいる。

 

「だから、氷室さんも待機するなら目の前でお願いしますね」

 

椎葉紬の家の前に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深夜零時。

 

「おい、紬!!おきるのじゃ!!」

 

椎葉紬は自分のアルプであるアカギの声で目が覚めた。

 

「んっ…どうしたのアカギ……まだ零時……」

 

「それどころじゃない!!何かよくない気配がこちらに近づいておる!!」

 

しかし、その注意は少し遅かった。

 

 

バンッ!!

 

「ひっ!?」

 

ベランダに顔がぐしゃぐしゃに潰れた男が、立っていた。

 

「な、なんじゃあいつ!?」

 

流石にある種の同類であるアカギすらもあれはキモかったのかドン引きしている。

 

「というか、何故この家にそんなピンポイントで降りたって……ぬ?」

 

一瞬、目を離した隙に、その男は消え去っていた。

 

「あ、アカギ……もういない?」

 

「あ、ああ。どうやらもう居ないようj」

 

ドガン!!

 

 

再び、ベランダから轟音。

 

「今度はなんじゃ!?」

 

 

 

それは、あまりにも信じがたい光景だった。

 

流石のアカギも夢を見ているのでは、と思ったくらいには。

 

 

 

 

 

 

 

 

そこに落ちていたのは、人の頭部だった。

 

 




安定のタイトル詐欺

次回は年明け番外編、皆で鍋パーティーして柊史君や海道君との面白エピソードを語る予定!!

秀明「なお、作者の笑いの沸点は人とはズレてるので皆さん期待しないでくださいねー」

やっかましいわ!!

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