骸骨魔王と鬼の姫(おっさん)   作:poc

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二本立てです。


─番外編2 あの時この時、らしい

━━あのとき━━

 

「──いずれ階層守護者全員に渡すからそう畏まらなくていい」

 

「もう[あるべど]には渡してあるから、堂々として大丈夫ですからね。それと、外に出る時は必ず誰かに預けること。良いですね?」

 

『はいっ!』

 

姫はその時の二人が余りにも可愛過ぎたのか無意識のうちに二人の頭を撫で回していた。アウラの髪は()()()()としていて心地良い。マーレの髪は()()()()としており気持ち良い。あゝ、素晴らしき忘れ形見よ。死んでないけど。

三人の目が恍惚に満ちて夢心地の静かな時が過ぎていく。そんな姫の頭にそっと骨の指が添えられる。その数五本。慈悲に満ちた御手は濡れ羽色の艶やかな髪で覆われた頭を優しく包み込み、しっかりと()らえて例えるならばそれは骨で出来た檻。徐々に指の一本一本に力が入り、檻が狭められていく。檻の中の姫はその事態にようやっと気付き、逃れようと頭を振るが檻は頑丈でとても動きそうにない。万力の如き膂力はさながら中世の拷問器具のように頭を締め付ける。

 

「いーだーいー!──あ」

 

「いい加減に!──あ」

 

思わず力が入り鋭い指先がめり込んだ。めり込んだというよりは突き刺さった。それはまるで豆腐の塊に箸が刺さるように深く深く。その豆腐と箸の隙間から赤い液体が流れ落ちて──。

 

『──お母さん!?』

 

「うおお!?やっちまった!?あっ…〈伝言(メッセージ)〉!ペストーニャ、円卓の間に来い!急げ!」

 

沈静化により急激に冷静になった魔王が叫び、双子は涙を流して必死に母を呼ぶ。頭に五つもの穴が空き、()()()()と血を流す姫は死にかけているというのにそれはもう満面の笑みを浮かべて大層穏やかだった…。

 

 

 

 

「──って言ってる場合か!ポーションを…」

 

魔王が虚空に手を突っ込み、中の物を掻き混ぜるようにして目的の物を探すがなかなか見つからない。沈静化により一時落ち着くも後から湧いてくる焦燥感に手元が狂う。その間にも姫の身体を揺する涙目の双子の手や服は流れ出る赤い血に染まる…ことはなかった。

心情的には真っ赤なのだが最高品質の魔力が込められた装備はこの程度で汚れは付かない。まぁ、このナザリックにおいて御方の血は汚染物どころか至高に貴いものという認識ではあるのだが。

そんな中でようやく目当ての小瓶を取り出した魔王はすかさずその小瓶の蓋を開けて姫の上で逆さにする。()()()()と頭に治癒の薬が振り撒かれるが、出血が酷いためなのかいまいち効果が薄い。何故と疑問に思う前に気付いた。振り掛けているのは赤い液体。

 

「──ってコレじゃねぇよ!」パリン!

 

「ぅぐ…なに、一人漫才…やってんの…うぅ…」

 

少しばかり傷が癒えて回復した姫からツッコミが入る。先程まで桃色の出ちゃいけない物体が頭からはみ出ていたとは思えないほどの回復だがまだ予断は許されない状況だ。そんな中で扉の外から拍子抜けするほど穏やかな声が掛かる。

 

──コンコンコンコン。

 

「お待たせ致しました、ペストーニャです…わん」

 

「来たか!挨拶はいいから早く来い!」

 

「失礼致しま…夜想サキ様!?」

 

「ペストーニャ、どうし…母上!?」

 

驚きの声と共に優秀な執事とメイド長が転がり込んできた。犬頭のメイドの姿を確認した双子は〝早く早く!〟と手招いて急かしている。いつもは使用人のトップとして粛然としている二人だが、その役職に似つかわしくない()()()()と音を立てて姫の傍に寄り添う。

 

「ペストーニャ、早く治癒を!」

 

「かしこまりました!──〈大治癒(ヒール)〉!」

 

様々なスキルを駆使して最大限に効果を高めた治癒の魔法。魔王にとって決して楽観視できない大ダメージを与える事が出来るほどに強力なそれは、姫の傷を瞬く間に癒やしてくれた。ゆっくりと起き上がった姫を見た全員に安堵の顔が浮かぶ。一人を除いて。

 

「…サキさ「ぺーちゃんありがとうね、お陰で助かったよ。あーちゃんとまーちゃんもありがとうね」

 

『あ、ありがとうございます』

 

声を掛けられた三人は頬を染めて恥じらう。こんな時でなければ魔王も心が和んだだろう。

 

「せばやんも心配掛けたね」

 

「滅相も御座いません、ご無事で何よりです」

 

「あ、あの「それじゃあ、こんなことをしでかしてくださった我らが魔王殿からありがたーいお言葉を頂戴仕りましょうかねぇ?」

 

「」

 

その言葉に子供達は一斉に襟を正して跪き、真剣な目つきで魔王を見つめる。一言も聞き漏らすまいとする態度や心構えはいつものことなのだが、その視線はまるで責められているように感じられた。ただでさえ罪悪感しかない魔王は故意に謝罪を遮られたこともあって言葉に詰まる。

 

「うっ…」

 

「…魔王殿はお困りのご様子だねぇ。あーちゃん、まーちゃん」

 

『はい!』

 

双子の通りが良い子供らしい元気な返事は、今の魔王からすれば追い打ちを掛けるかのように惨めな気持ちにさせ、姫が何を言い出すのか戦々恐々だった。

 

「もし、の話だけど…あなた達が私に怪我をさせたらどうする?」

 

「そんな!あり得ません!」

 

顔を青褪めて否定する姉の言葉に何度も頷いて同意する弟。例え話でも御方を害するなど考えたくもない、そんな想いがありありと見えて姫は嬉しさと少しの罪悪感を感じながら再度問い掛けた。

 

「双子は良い子だねぇ…でも、酷なようだけど聞かせてほしいな?」

 

「うっ…わ、分かりました…。──その時は死で以って償います!」

 

「ッ!」

 

涙目になりながらも答える姉に()()()と目を瞑って必死に頷く弟の構図は魔王からしても罪悪感が押し寄せてくる。姫はそんな二人を謝りながらも抱き締めて頭を撫でた。

 

「うんうん、辛いことを言わせちゃってごめんね…。──だってさ?」

 

振り向いた姫の顔は微かに笑っていた。それがどういう意味を持つか知らない魔王ではないが、念の為に確認を取る。

 

「…それは俺が死ねってことですか?」

 

その言葉に子供達の顔色が一気に驚愕に染まった。〝まさか、そんな。〟そういった呟きが零れて消える。一時の静寂が部屋を包み、ゆっくりと双子から離れた姫は魔王に近付いて一言だけ言い放った。

 

 

 

 

 

「んなわけねーじゃん。ばーかばーか」

 

「あぁ!?…ぐっ」

 

一瞬で沸騰した魔王は急激に襲い掛かった沈静化によって冷静になる。それでも燻る苛立ちまでは収まらない。先程までの罪悪感は何処かへすっ飛んでいた。他の仲間にこんなレベルの低い煽り方をされたところで大して苛つかないのに問題児(こいつ)にされると凄い腹が立つのは日頃の行いがなせる業か、それともタイミングが絶妙だからなのか。

 

「ふふー、やっぱり煽るのは楽しいねぇ…ふぅ」

 

そんな楽しげにする姫にも沈静化は牙を向くが、大して意に介していないようだった。魔王は尚も苛立ちが続くが、それでも聞きたいことはあった。少し冷静になれば何処かへと飛んでいった罪悪感も戻ってくる。

 

「…やり過ぎだ、とか怒ったりしないんですね」

 

「まぁ、いつもの事ですし。この程度で怒ったりなんかしませんよ」

 

ゲームとは違って痛みもあるようだし、ましてや本当の意味で死に掛けたというのに『この程度』で済ませられる友人に脱帽する。シャルティアの件は我が子が相手だし自分でもきっとそうなるだろうと納得していたのだが。そういえば、ユグドラシルの頃から()()()()()()で怒っている姿は見たことがない。

 

「そういうわけだから、あなた達が私を怪我させたり殺したりしても私が許すからね」

 

振り返ってそう宣言するが、子供達は目を見開いて危害なんか加えないと全力で否定する。しかし〝なんであろうと家族であれば私は許すよ。〟と言うと子供達は暫し呆然としたのち涙を流して賛美する。曰く〝なんと慈愛に満ちた慈悲深き至高の母君。〟と。さっきの双子のことを気にしていたのだろうかと半ば呆然としつつ考えていたが、ふとあることに気付いた。

 

「…ってことは、これから行う説教も許すってことですね?」

 

「あー…それは許さない!」

 

「いや、おかしいだろ!そこに直れ!」

 

()()()()と円卓の周りで追い掛けっ子を始めたいつもの御方達の姿に子供達は安堵する。

──魔王が崩御なされたら、姫がそれを肯定していたら。

在りもしない妄想に一同は身震いするがはしゃぐ御方()を見てそんな光景は無かった、と頭の片隅から追いやることにした。後に経緯を聞いたセバスから二度とこんな事が起きないよう自身が供回りをすると熱い視線を浴びた魔王は根負けしてそれを許可するのだった。

 

 

 

──おわれ。

 

 

 

 

 

━━くりすます━━

 

 

〜どこかの時系列〜

 

「[ももんが]さん、[ももんが]さん」

 

「はい?何です?」

 

そこはシックで落ち着いた雰囲気の魔王の執務室。大きな執務机が中央奥で陣取り、応接用として黒檀の小テーブルが一脚とそれを挟むようにして総革張りのソファが二脚、部屋の壁際に置かれている。そのソファの片方に姫が()()()()と座り、対面では魔王が大柄な身体をソファに預けるようにして座っている。姫が話し掛けてきたのは魔王が執務に追われ、精神的に疲れを感じて〝大事な相談事がある。〟というもっともらしい理由で人払いを済ませて一息ついた、そんな時だ。

 

「[くりすます]やんべ」

 

「…『聖なる夜をゲームで明かすモテない男同盟用苦しみますツリー』狩りですか?こっちにもいるんですかね?」

 

懐かしい名前に姫は興味を惹かれたが、今重要なのはそちらではない。

 

「いや気になるけども。そっちじゃなくて」

 

「…あー、アレですか。リア充御用達のクソイベントの方ですか」

 

「また懐かしい[ふれえず]を…」

 

これもまた懐かしさが込み上げてくる。モテない男同盟に属する男どもは〝リア充爆ぜろ。〟の意志の下に結託してクソイベントと連呼していた。クリスマス自体はどうでも良かった姫も面白がって参戦していたのはいうまでもない。

 

「ハハッ、合言葉みたいなものでしたよね。ナザリックの中は変わらないですけど外は冬ですし、頑張ってる子供達を労う意味でも良いと思います」

 

「決まりですね、皆を集めましょう」

 

「了解です。──〈伝言〉」

 

魔王が魔法を唱えてアルベドに繋げるのを姫は黙って見つめていた。余計な茶々は入れない。楽しい時間は既に始まっているのだ。

 

 

 

 

 

「守護者統括アルベド、並びに階層守護者各員、領域守護者二名。お呼びにより参上致しました」

 

アルベドの堅苦しい挨拶から始まる。これはもう様式美のようなもので魔王や姫が何度言ってもこういうのだけは頑なに曲げず、あの姫が折れた程だ。

 

「うむ。集まって貰い感謝する」

 

「そんな、感謝など畏れ多い…当然の事で御座います」

 

「それでも「はいはい!そんな当然を超える驚きを発表しまーす!」ちょおま」

 

早速しびれを切らした姫が無理やり割り込んできた。アルベドは睨み、デミウルゴスを始めとする子供達は『驚きの発表』の言葉に微笑みすら浮かべていた表情が神妙な面持ちへと変化する。

 

「チッ…サキ?モモンガ様のお言葉を遮るなんて相変わらずいい度胸しているのね?」

 

「ま、まぁまぁアルベド、私は気にしていない。それよりも皆に「[くりすます]やろうぜ!」お前いい加減にしろよ?」

 

「まぁまぁ、おやじ様。アゲアゲの…プッ…おふくろ様に…クッ…構っていたら、身が持ちまッハッハ!」

 

姫が待ち切れないといわんばかりに再び割り込んだ。その息子たるヨシツネはマザコンのためか親が上機嫌だとナザリックのトップが相手だろうとお構いなしに声を上げて笑う。ナザリックの最高権力者や最上位のNPC達に凄まれても平気なのは世界広しといえどもこいつらだけだろう。大人しくしてろっつったのに言うこと聞きやしねぇ。

本来ならばヨシツネは極刑でもおかしくはないのだが、肝心の魔王が赦している上にヨシツネが笑うと何故か少しだけ魔王の機嫌が良くなるのだ。そんなヨシツネを周りの子供達は疎ましくもあり羨ましさも感じていた。

実際のところはナザリック内で声を上げて笑う事こそが琴線に触れる事由なのだが、それを不敬だと考えている内はそこに気付ける筈もない。

 

「親子揃ってこいつらは…!──あとアゲアゲってそれ死語だからな?」

 

『えっ』

 

「…モモンガ様、よろしいでしょうか」

 

二人が固まったところでタイミングを伺っていたデミウルゴスがすかさず手を上げた。余程よいタイミングだったのか魔王が()()と指差したくらいだ。

 

「お、デミウルゴス。良いタイミングだ」

 

「お褒めに預かり光栄で御座います。クリスマスやろうぜ、とのことでしたが…?」

 

「うむ、クリスマスパーティを開きたいのだ」

 

『おお!』

 

「──ももやん、死語だなんて嘘じゃろ…?」

 

復活した姫が()()()()と胡散臭い弱った演技をしつつにじり寄る。魔王は呆れたように眼窩の光を小さくしてそれを見ていた。

 

「誰が『ももやん』か。何でそんなにショック受けてんですかアンタは…それよりも段取りの方が大事でしょうに」

 

「その通り。諸君![くりすます]とはなんぞや!?」

 

急に人が変わったように子供達に向けて演説じみた事をしだした姫を魔王はただ面食らって眺めるだけだった。まぁ、偏った知識しか持っていないようだから確認は必要なのかもしれないがどんだけテンション高いのだろうか。

 

「ハッ。クリスマスとはイエス・キリストなる人物の誕生祭であり、その時に飾り立てる木をクリスマスツリーというそうですね。ウルベルト・アレイン・オードル様(のたま)わく〝リア充御用達のクソイベント。〟〝派手に散らしてこそ悪の華。〟と…つまり、煌びやかに飾り立てたその木を破壊する催しであると愚考致します」

 

「オオ、ウルベルト・アレイン・オードル様ガ…!」

 

「うふふ、なんて素敵な祭りでありんしょう。人間を吊るしてそれなりに着飾ればさぞや楽しくなりそうだわえ」

 

「うーん…」

 

「ど、どうしたの、お姉ちゃん?」

 

なるほど。断片的な知識を俺達の言葉で補っているのか、そりゃ偏るわな。と変に納得する御方二人を置いて子供達の話は続く。愉しそうに話す子供達に割って入るのは何だか申し訳なく、見ていて微笑ましいのもあり二人は黙って見ていることにした。

 

「いや、ウルベルト・アレイン・オードル様のお言葉を疑う訳じゃないんだけどさ。ぶくぶく茶釜様とやまいこ様、餡ころもっちもち様がお話されていたんだけど…ちょっと違うみたいだよ?」

 

『えっ』

 

これには御方(親バカな)二人も興味がそそられる。あの三人が集まってどんな話をしているのか、あまり知らないのだ。姫でさえちょっと恐ろしくて突撃出来なかった領域である。

 

「なんと…アウラ、詳しく聞かせてくれないかい?」

 

「うん。ぶくぶく茶釜様が〝もうすぐクリスマスだね。二人は予定あるの?〟と聞かれて、やまいこ様が〝ボクは仕事。冬休み明けのテストの問題、作らないといけなくて。〟と仰って餡ころもっちもち様が〝やまちゃんも大変だね。まぁ私も仕事だけどね…かぜっちは?〟と聞かれてぶくぶく茶釜様が〝いやー、私も仕事が…とほほ。デートとかしたいなぁ。〟と仰ったの。それで──」

 

全部敬称付きのフルネームで台詞丸ごと言うもんだから大変そうに思えるが、そこは自分達を至高と崇める子供達。アウラは凄い楽しそうに話すし、聞いている周りの子達は目を輝かせて聴き入っている。アルベドは真実を知っているためか一歩引いた様子で話を聞いていた。いつもなら既にモモンガ様の御前で云々と小言を言いつつ止めに入るのだが、その肝心の魔王がジェスチャーで大人しくしてろと止めたのだ。

アウラの話を要約すると折角のクリスマスなのに私達仕事。デートとかしたいけど男いねーって話だ。結局のところ、自分達のいうクリスマスとは何かを壊すのではなく雰囲気を楽しむお祭りみたいなものなのだが…。

 

「──なるほど。そういうことですか」

 

「お、でみやん。なんか分かった?」

 

期待に胸が膨らむ姫はどこか楽しそうにしてデミウルゴスに問い掛ける。

 

「はい。クリスマスとは男女がペアになって雰囲気を楽しむということで御座いますね?ケーキ、というお言葉から飲食もするようですね」

 

「んん、概ね正解!」

 

「有難う御座います。しかし、概ねと言いますと?」

 

「うむ、クリスマスに男女ペアである必要はない…皆でパーティを楽しもうではないか」

 

『おお…!』

 

魔王の慈悲深いお言葉に子供達の目に涙が溜まる。我々も至高の御方と同じ時を過ごすことが出来る。これ以上の喜びがあろうか。

 

「じゃ、準備すんぞ!会場決めからな!」

 

『ハッ!』

 

よっぽど楽しみなのか、いつもは魔王に譲る姫が珍しく音頭を取り真剣な眼差しで進行を務め始めた。そんな姫を見ているとヨシツネではないが、微笑ましく感じる魔王だった。

 

 

 

 

 

当日までの数日間、御方主導のクリスマスパーティは大々的に宣伝されナザリック中にパーティ準備の詳細が伝えられる。パーティに参加する者は皆すべからく白いボンボンがついた赤い帽子を被り、会場に決まった第六階層を飾り付けるために大勢のシモベやNPCが集まっていた。というか、警戒網に組み込まれた者以外の全員がいた。円形劇場(アンフィテアトルム)前の開けた場所で行うのだが、多過ぎて一部が森の中に入ってしまっている。奥の方の奴らには声すら届かないんじゃないかと思う。

それは置いといて、このパーティの一番の目玉はアウラとマーレの住居である巨大樹を飾り付けてクリスマスツリーにしてしまうことだ。本来使われる品種とは異なるのだが、距離がある劇場前のここからでもよく見えるほどに大きい。

どのように彩られるか期待に胸が膨らむ魔王を余所に、姫が一歩前へ躍り出る。それに気付いた魔王が声を掛けるより早く、手を振り上げて高らかに宣言した。

 

「諸君、これより状況を開始する!気合入れろ!」

 

『オオオオオォォォ!!』

 

いつか玉座の間で味わった巨大な音のうねり。姫が発破をかけたことでその何倍もの波が第六階層中に響き渡る。これだけの数の雄叫びは地震とさえいえるほどの揺れを起こした。

 

「すげ…」

 

「〈天地改変(ザ・クリエイション)〉でも発動したのかと…」

 

御方達が地鳴りに驚く間にも恐るべき速さで準備が着々と行われていく。あっという間に周辺の飾り付けが終わってしまい、巨大樹をクリスマスツリーにすべく動き始めている。これほどの速さを可能としているのは明確な上下関係とナザリックの頭脳といえる三人の的確な役割分担及び指示内容、そして下された命令のみを機械的に実行するシモベ達だ。なるほど、これでは確かに姫の言うとおり虫と変わらないのかもしれない。人間であれば疑問に思ったり諍いが起きたりなど無駄が多く、遅々として進まないこともままあるがこのシモベ達にはそれが無い。まぁ、仲間によって生み出されたNPCも機械的に動いているがそれはそれ。愛着が違う。

 

「…やることないですね」

 

「発破掛けるからじゃないですかね?」

 

「…なんかこう…もっとほのぼのを期待したと言いますか…」

 

「あー…和気藹々とした感じで飾り付けをしたかったと?」

 

どこか沈んだ様子で頷く姫。その気持ちは分からなくもない。確かにメインはパーティだがこういう準備も楽しいものだ。趣旨は違うが仲間達と冒険の準備に勤しんだ記憶も今や懐かしい…あの時も楽しかったな。しかし、子供達は御方が動くことを是としない。まぁ、自分も飾り付けをすると言わなかったのが悪いな。そんなことを考えているとほとんどの飾り付けが終わってしまったようだ…速過ぎじゃね?

指揮を取っていたアルベドを筆頭にデミウルゴスとパンドラが近付いて恭しく頭を下げた。

 

「モモンガ様、パーティの準備も残すところ一つで御座います。最後の仕上げとして大樹の頂きに『星』をお乗せして頂きとう御座います」

 

アルベドのその言葉に魔王と姫が顔を合わせて、()()()()と飾り付けられた大樹の頂上を見上げると確かにそこだけ何もなかった。大まかなデザインや素材などはこちらで指示、細かい部分は任せっぱなしだったのだが仕上げの部分(おいしいところ)は上の者にやって貰うということか。要は接待だな。

しかし、周りを見ても肝心のモノが見当たらない。あの大樹の上に乗せるということでやたらデカく作ったのだが。

 

「…アルベド、その星が見当たらないのだが?」

 

「大樹の下にご用意しておりますわ。申し訳御座いませんが、ご足労願えますでしょうか」

 

「なるほど。大樹までは距離があるしな…よし、案内してくれ」

 

『ハッ』

 

こうしてアルベド達に先導され、姫と共に大樹へと続く遊歩道を歩く。色鮮やかなモールや〈永続光(コンティニュアル・ライト)〉を宿した飾り等に彩られた木々に挟まれた遊歩道は見事な調和を生み出していた。モールの色合いが互いに邪魔をすることなく、また金銀で作られた玉や箱、人形などが良いアクセントとなって見ている者を飽きさせない。今はまだ昼間で〈永続光〉も大した役割を持てていないが、夜になればどんな幻想的な空間を作り出してくれるのか期待させてくれる。

 

「…ふむ、見事だ。日が落ちるまで待ち遠しいな」

 

「お褒めに預かり、光栄で御座います」

 

「誠に!デミウルゴス殿のセンスにはこのパンドラズ・アクターも脱帽致します!」

 

そう言って文字通り軍帽を脱いで手を掲げる問題児(我が息子)。え、ここ笑うとこ?

 

「…これ、でみやんが考えたの?」

 

「ハッ、畏れ多くも色合いなどは私が提案させて頂きました」

 

「へぇ…[うる]さんもこういう[せんす]は良かったからねぇ。知ってる?玉座の間の大まかな[でざいん]って[うる]さん原案なんだよ」

 

その言葉にデミウルゴスの眼鏡が光った。瞼の中の宝石が光ったのか眼鏡のレンズが光ったのか判断に迷う。

 

「おお…!」

 

「他の人達から装飾とか柱の数とか諸々の変更はあったけどね。余談だけど、玉座の間に罠が無い理由は[うる]さんの美学が支持されたからなのさ。さて、どうしてでしょう?他の二人も答えてね」

 

周りの景色を眺めながら懐かしい話を振る姫を見て、魔王もさてどうだったかと思い返す。あの人は『悪』に拘っていた。その美学に賛同する人もいたし、防衛力に不安があると反目する人もいた。でも、結局は…。

 

──…あゝ、懐かしいな。

 

「ウルベルト・アレイン・オードル様の美学…『悪』で御座いますね。ふむ…愚か者が玉座の間へ到達する前に叩き潰す絶対的自信がおありだった、と愚考致します」

 

「…ふふー。二人は?」

 

デミウルゴスの自信に満ちた答えに対して姫は満足そうな笑みで返す。その仕草は正解といっているようなものなのだが。

 

「デミウルゴスと同意見ね。神聖な場所を下賤の者の血で穢すわけにはいかないのではなくて?」

 

「…私も、と言いたいところですが…私は嘗て、かの御方から演技のご指導を頂いた覚えが御座います。御方の演技力、それはそれは見事なものでした。そのことを踏まえますに…死を潜り抜けた勇者を玉座の間にて歓迎する、そんなおつもりだったのでは──」

 

「──パンドラズ・アクター。君は知らないのかもしれないが、栄光あるナザリックは嘗て大軍勢の侵攻に遭ったのだよ。しかし、至高の御方々は大いなるお力でそれらを撃滅なさった…第八階層でね。そのことを鑑みれば自ずと答えが見えてくるのではないかね?」

 

デミウルゴスの言葉には少し棘があった。

…俺がパンドラ(こいつ)を創ったきっかけはたっちさんの引退。その時はまだウルベルトさんはユグドラシルを続けていて、パンドラの設定にも協力してくれた。演技の指導とはきっとその時のことだろう。それに嫉妬してムキになっているんだと思うと微笑ましいが。

 

「あははは!…ふぅ。でみやん、嫉妬かい?[うる]さんが羨ましいね」

 

「はっ。あ、いえ…お戯れを…」

 

どうやら予想は当たったようだ。頬を赤らめるデミウルゴスが可愛いと思ってしまった俺は末期なのだろうか。しかし、声を上げて笑うのは珍しい。

 

「でも残念。ぱんちゃんが正解」

 

『!』

 

「…詳細をお聞かせ願えますか?」

 

驚愕する二人を置いて浮かれることなく冷静にパンドラが聞き返す。いつもこうだと助かるんだけどな…マジで。ホントに。

 

「ふふー、簡単だよ。私達は悪で[ももんが]さんはその親玉。つまり、魔王がおわす玉座に果たして小賢しい罠が必要なのか?ってこと。有り体に言えばそれは格好悪い…この[なざりっく]を踏破できた者はまさしく勇者だ。そして魔王がこう持ち掛ける。『世界の半分をお前にやろう』ってね」

 

遥か昔のゲームの台詞だ。確か、魔王が勇者に言う台詞だったか。しかし得意気に話しているが、この子達がそれを知っているわけもない。パンドラは感心するように頷いているが、アルベドなんか〝何言ってんのこいつ?〟と言いたげだ。しかし、何も知らないデミウルゴスが立ち止まって震え出した。悪い予感がする。

 

「…なんと…既に世界をその手中に…その上──」

 

「──ちょ!デミウルゴス!今のはゲームの台詞だからな?勇者を迎え撃つ魔王の決まり文句だからな!?」

 

慌てて魔王も立ち止まり、急いで訂正する。何でもかんでも真に受けるのはちょっと困りものだ。いい加減に他の子達にも話してもいいのかもしれないと思う。今日はその日ではないが。

 

「も、申し訳御座いませんでした。これはとんだ心得違いを…」

 

「よい、赦す。お前の全てを赦すぞ、デミウルゴス」

 

「ふふー、流石に全ての『世界』は難しいね。せいぜい十一個が…あ、十二個か」

 

「いやそっちの話じゃないからな?」

 

「モモンガ様、そろそろ…」

 

アルベドに声を掛けられて、もう目の前のところまで来ていることにやっと気付いた。というか、大勢のNPCと大量のシモベ達が跪いて(こうべ)を垂れていた。さしずめ、社長クラス達の雑談が終わるのを待つ社員といったところか。下っ端だった頃を思い出し、罪悪感のようなものが滲み出てくる。

 

「ぅ…待たせたようだな?」

 

「待つなど、そのようなこと「皆今か今かと心待ちにしておりましたぞ!おやじ様!」…何なんでありんすか」

 

問題児(クソビッチ)の影響なのか、ヨシツネまで割り込んできた。元凶を盗み見ると目を僅かばかり細めて遣り取りを見ており、額面通りに受け取れば微笑ましく見守っている母親の『それ』だ。しかし、魔王は知っている。おっさんがやる気持ち悪いにやつきだと。まぁ、子供達の遣り取りは昔見た子猫同士のじゃれつきを彷彿とさせるものがあるから気持ちは分からんでもない。現実(リアル)の顔が重なって見えなければなぁ、と密かに嘆く魔王だった。

 

「ちょっと、ヨシツネ?人の台詞に割り込まないで欲しいでありんす」

 

「ふっふー、正直になるでありんす。その方がおふくろ様もおやじ様も喜ばれるでありんす」

 

「…あん?」

 

間違った廓言葉を真似されて、眉を顰めていただけだったシャルティアが殺気立つとヨシツネの後ろにいたシモベ達が震えながら一斉に後退った。あの村で出会った人間程度なら片手でひねり潰せるであろうシモベですら怯えるというのは相当なものだ。そんな睨み付けるだけで人を殺せそうな殺気を真正面から受けてもヨシツネは怯えるどころか心底愉快そうに体を揺らしている。本当、どういう神経してるんだか。

 

「…下手くそな真似はやめなんし。お前がお母様のご子息でなければ殺しているところでありんすえ?」

 

憎たらしげに毒を吐くシャルティアの言葉に納得出来る部分はある。しかし、隣にいる友人は保身なぞ関係なく相手が誰であろうと面白いと思ったことを躊躇なくやる人だ。他の仲間達も似たところはあったし、だからこそ皆は爪弾きにせず受け入れてきた。まぁ、決定的な違いはブレーキが壊れているとしか思えないところだが。

仮にもそんな友人の息子がそのような後ろ盾を笠に着て人をおちょくるだろうかと疑問に思う。

 

「ふっはっは!それは失礼!しかし、正直になった方がお二人も喜ばれるというのは事実…そうで御座いましょう?」

 

「…ふふー、流石は我が息子…そう、遠慮は要らない。それは私が夢見る家族像の一つだからね」

 

──ああ、なるほど。だからこいつ(ヨシツネ)に遠慮というものがないのか。

 

これで合点がいった。ヨシツネは親の願いを汲んでそう振る舞っているのだ。多少やり過ぎなのは親譲りなのか真似ているだけなのかは分からないが。俺の願いも届いてほしいと思いつつ、他方のパンドラ(黒歴史)に視線をやれば何を思ったのか敬礼を返してきた。あゝ、綺麗な敬礼ですね…。

 

「…あなたの場合は遠慮というものを覚えた方が良いと思いますけどネ…さて、それじゃあ最後の飾り付けをしましょうか。星はどこだ?」

 

「ハッ、アチラニナリマス」

 

コキュートスの巨体で隠れていたが、コキュートスが横に逸れると同時にまるでモーゼの十戒の如く、子供達とシモベ達も左右に分かれ道が出来た。その先にあるのは金色の巨大な飾り星。よしよし、指定通りちゃんと五角形だな。頂上がどちらかといえば平べったい大樹に乗せれるよう丸くて大きな台座も下にくっついている。

 

「…でっかいなぁ」

 

「腐るほど余っていた金の延べ棒を存分に使いましたからね…ただ、あれだけ大きいと重量が気になるな」

 

「問題は御座いません、モモンガ様。中は中空になっており、厚みも可能な限り薄くしておりますので木の枝一つ折れることはありません」

 

魔王の疑問に今回の計画の中核を担ったデミウルゴスが誇らしげに答えてくれた。大樹も至高の御方々により創られたもの。枝一つ折ることは赦されず、しかし御方の希望に沿えるべく綿密な計算に計算を重ねた結果完成した代物であり、今回において最高の出来といえよう。

しかし、魔王と姫的には頂上の枝が折れたところで勝手に修復されるだろうから何も問題はなかった。見えないし。修復代もユグドラシル金貨が何枚か減る程度だが、そんなことより持てるかどうかが重要だった。

 

「…ぐっ…重い…」

 

いつの間にか飾り星のところにいた姫が頑張って持ち上げようとしているが少しも上がらない。周りの子供やシモベは手伝いたいがこれは御方の役目であり、どうにも出来ず困惑している様子だ。そんな中で誰とは言わないが一人だけだらしないやつがいる。顔があったら鼻血垂らしてそうなのが雰囲気で丸わかりだ。鼻息荒いし。

それは置いといて、飾り星に近付いて見てみればビル三階分くらいの大きさあるんじゃないかと思える大きさだった。でけぇ。姫に腕力が無いとはいえ、ああも重たそうにされると魔王でも持てるかどうか不安になってくる。

 

「…そんなに重いのか?」

 

「い、いえ…それほど重くない筈なのですが…」

 

聞けばアウラでも一人で持てる程度だという。守護者の中で一番非力なアウラでも持てるというのだからかなり軽い筈だが…。

 

「ふむ…。──よいしょ。うわ、軽ッ!」

 

魔王が驚くのも無理はなく、大きさに反してあり得ないほど軽い。体感的には軽めの盆を持った程度だが逆にいえば、これが持てない姫の腕力の無さは推して知るべし。流石のデミウルゴスも姫の脆弱さは計算外だったようだ。魔王もここまで非力だとは思わなかった。

 

「うー…ずるい」

 

「いや、あなたが特殊過ぎるだけですからね?」

 

「ぐぬぬ…」

 

僅かに眉間にシワを寄せて唸っている。表情に出ているところを見るに本気で悔しがっているようで、ちょっと可哀想に感じた魔王は仕方なくマーレに命じることにした。

 

「…ハァ。マーレ、【パワー・オブ・ガイア】をサキさんに」

 

「は、はい!パ、【パワー・オブ・ガイア】!」

 

このスキルは対象の力をアップさせる効果を持つ。これで多少はマシになる筈だ…なるよな?

 

「…おお?何か温かいですよ、これ」

 

「そうなんですか?」

 

「何かに包まれているというか…漲ってきますな」

 

淡い光に包まれた姫が()()()()と手を動かして…なんか動き方が卑猥なんだが。この人こんなキャラだっけ?

 

「ふふー…さぁさぁ。私にも持たせるのです」

 

「はいはい。じゃ、そっち持って下さい」

 

興奮する姫に魔王が目線で場所を指示すると巨大な飾り星を一旦地面に下ろして端の方へと移動する。力を渡したマーレや企画者のデミウルゴスは元より、周りの子供達が固唾を呑んでその様子を見守っていた。アルベドだけは〝モモンガ様が持てるのならば結局は手を添えるだけのことよね?〟と不思議そうに見ているが。

 

「せーの!」

 

「よっ!」

 

『おお!』

 

魔王のお陰かマーレのお陰か。無事に飾り星を持ち上げることに成功(?)して歓声が上がり拍手が鳴り響く。しかし、姫は腕が()()()()と震えており、それどころではなかった。

 

「(お、重た…)」

 

──これ、もしかしなくても手を離したらサキさん潰れるよな…。

 

巨大な星で遮られて見えないが魔王の耳に不穏な呟きが届き、あらぬ事を考えてしまう。マーレの力を以ってしても依然として一人で持てそうにない、どこまでも非力な姫であった。

 

「…サキさーん、もう行きますよー?〈マス・フライ(全体飛行)〉!」

 

反対側にいる姫に届くように声を張り上げた魔王が魔法を発動させると二人の体が浮き上がった。姫は相変わらず歯を食いしばって持ち上げようとしており、返事がないところを鑑みるにさっぱり話を聞いていないようだった。しょうがないのでそのまま頂上へと二人の体を飾り星とともに運ぶ。子供達は小さくなっていく御方々を驚異的な視力で以ってしっかりと捉え、その視線は神聖な儀式を見つめる信者の()()だ。

 

「…あ、上がらないぃ…」

 

「…『(俺だけで持ち上げてるようなもんだよなぁ…コレ)』

 

なんとも締まらない神聖な儀式であった。

 

 

 

 

 

「──ぐ…ぎ…」

 

「サキさーん!もう着きましたよー!」

 

やがて大樹の頂に辿り着き、魔王の操作によって二人の体がゆっくりと下り立った。空を飛んでいる間ずっとこの調子だ。諦めが悪すぎる。

 

「ももやーん!もてない!」

 

「誰が童貞かッ!」

 

「そっちじゃねーよ!持ち上がらないの!」

 

「分かっとるわッ!もう下ろしますからね!?」

 

そう言った魔王はゆっくりと降ろし始める。慌てて〝もうちょっと!もうちょっとで上がりそうだから!〟と往生際が悪い姫の言葉は無視してそっと大樹へ飾り星を下ろした。デミウルゴスの計算も見事なもので、確かに枝一つ折れた様子がない。

 

「…うーん、流石デミウルゴス。言葉通りだな」

 

「ここじゃなくて本人の前で言ってあげて下さい」

 

「フフッ…分かってますよ。皆待ってるでしょうし、早く下りますか」

 

こういうところは急に真面目になる友人が何だか可笑しくて、つい笑いを溢してしまう。不思議そうに首を傾げている姫を置いて〈全体飛行〉を再び唱えると二人の体が宙に浮かび、姫はもう飽きたのか分からないが大人しくされるがまま魔王とともに地上へと下りた。

下りる途中で振り返って大樹を見てみたが、いい感じに飾り星が存在感を放っている。夜になるのが実に楽しみで、きっと良いパーティになる。そんな想いを馳せる魔王だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…え、終わり?[ぱーてぃ]は?」

 

「間に合いませんでした」

 

「中止?」

 

「まさか。この後ちゃんとやったじゃないですか。雰囲気を壊さない程度に予定を引っ掻き回すっていう随分器用なことしてましたよね?」

 

「…あぁ、そういやそうでしたね。いやー、しゃるちゃんがまさかあんなことをしてくるとは…」

 

「いや、それ以上にびっくりだったのはアルベドですよ。あんなベロンベロンになって…貞操の危機を感じましたよ」

 

「あれはほんと面白かった。女の子みたいな悲鳴上げてましたね」

 

「うう、恥ずかしい…穴があったら入りたい」

 

「まさに墓穴」

 

「うっさい!面白くねーわ!」

 

 

 

──つづかない。

 




筆者がパーティに間に合いませんでした。すみません。
きっと面白おかしくて楽しいパーティだったことでしょう。ツッコミどころ満載なのは勘弁な!

因みに人化の指輪使って飲み食いする予定でしたが、今回は見送りです…いずれ本編で使ってもらいたいと思います。

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