白き英雄への復讐   作:煌酒ロード

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長いんだ今回
いやすまない。書きたいこと詰め込み過ぎた
いつも以上にグダグダになってると思いますが、楽しんでいただけたら幸いです。


放課後の訓練と、生徒会長

side 風華

 

セシリアさんの昔話を聞いた昨日はその後解散し、今は教室で再びセシリアさんと一夏さんと一緒にいます。

 

「やっほ〜。いっち〜、ふ〜りん、セッシ〜。おはよ〜」

 

そこに、相変わらず袖がダボダボの癒しキャラのほほんさんが現れ、挨拶をしてくれました。

 

「おはようのほほんさん」

 

「おはようございます、のほほんさん」

 

「おはようございますわ、布仏さん」

 

そう言って挨拶を交わす。セシリアさんはのほほんさんに名前でいいよ〜と言われ、本音さんと読んでいた。

 

「今日はなんと〜、ビッグニュースがあるのです!」

 

そう言って胸をはるのほほんさん。ビッグニュース?

 

「ビッグニュース?なんだそれ?」

 

「なんとね〜、二組に転校生が来るらしいよ〜」

 

「転校生、ですか」

 

「恐らく一夏さん絡み、もしくは専用機テストの為ですわね」

 

そういったセシリアさんの言葉に頷く一夏さん。その時、教室の扉が開き、

 

「そう、専用機のテストの為に転校してきたの!二組の中国代表候補生凰鈴音よ!」

 

扉の前にはツインテールの猫っぽい女の子が立ってました。

 

「噂話みたいなのが聞こえてきたから乗り込んで来たんだけど、ついでだからクラス代表に挨拶しておきたいんだけど、誰かしら?」

 

そう言ってこちらを向き、交戦的な笑みを浮かべる。それに気がついたのか、セシリアさんが立ち上がり、

 

「一組クラス代表、セシリア・オルコット。イギリス代表候補生ですわ」

 

よろしくお願いしますわね。と言って手を差し出し、互いに握手を交わす。

 

「イギリスのセシリアね、覚えたわ。セシリアって呼ぶけどいい?」

 

「構いませんわ。こちらも鈴さんとお呼びいたしますわ」

 

「呼び捨てで構わないんだけどね」

 

そう言ってお互い笑い合う。そして一夏さんの方を向いて、

 

「アンタもこのクラスだったのね、ていうかクラス代表やらなかったの?持ち上げられて断れなくなって、ってパターンでアンタだと思ったんだけど」

 

「面倒はお断りしたいからな。俺はお前がIS学園に来た方が意外だったんだけど」

 

「まあ来る気は無かったんだけどねー。アンタ入ったから行ってくれってお偉いさんが五月蝿いし、私もまあ荒波に揉まれる時期かなーと思ってね」

 

なんだそりゃ。といって苦笑していた一夏さんが、いきなり真面目な顔になって鈴さんの頭上で何かを掴み、止める。よく見ると出席簿で、後ろにはブリュンヒルデ様が立っていました。

 

「注意喚起の一つもなく、制裁はやりすぎだと思うんですがね」

 

「・・・もう時間だ、教室に戻れ凰」

 

「・・・・・・言われなくてもそうしますよ。世界最強さん」

 

嘲笑の様な感じで世界最強さんと呼ぶあたり鈴さんも結構嫌いなのかも知れませんね、ブリュンヒルデ様の事。

 

「それでは、授業を始める。山田先生」

 

はいって言いながら山田先生が教壇に立つ。相変わらずブリュンヒルデ様は置物に徹するらしい。その後食堂で鈴さんがその時のお礼を言い、三人で御飯に、と思っていたがセシリアさんと合流。鈴さんが一夏さんの幼馴染である等の会話をしながら楽しく食事をした。

そして放課後、セシリアさんがクラス代表戦が近いので、訓練に付き合っていただけませんか?と声をかけてくれたので、一夏さんと三人で、アリーナに向かうと、そこには、

 

「待っていたぞ!一夏!」

 

訓練機を纏った篠ノ之さんが居ました。

 

「・・・・・・何故ここに居る。篠ノ之」

 

一夏さんが呆れを含んだ声で返す。それに彼女は堂々と、

 

「一夏が訓練をすると聞いたのでな!私が付き合ってやろうというのだ!」

 

そう言った。私も少し呆れている。秘密にしてはいるが、一夏さんのレベルは国家代表レベル。私も同じレベルを保っているし、セシリアさんは実力を知らないが、代表候補生に選ばれるという事はそれなりの実力のはずだ。その中に一般生が入って何をすると言うのか。

 

「篠ノ之さん。今日は私が訓練のために一夏さんと夜月さんをお呼びしましたの。それもここは一応私名義で貸し出されておりますわ。見学や場所を貸して欲しいと言うのであればせめて一言欲しいですわ」

 

「貴様は黙っていろ。私は今一夏と話している」

 

人の話ぐらい聞いてあげましょうよ篠ノ之さん。自分勝手だと友達無くしますよ?私は昔の篠ノ之さんの事を一夏さんから聞いているので仲良くしようとは思いませんけど。

 

「・・・・・・一夏さん。どうされますの?」

 

「どうするもこうするも、戯れ言だ。ここの貸出はセシリアさん名義なんだろう?無視でいい」

 

「わかりましたわ」

 

そう言ってセシリアさんは専用機〝ブルー・ティアーズ〟を纏う。それを見てから、一夏さんも専用機、〝黒夜(こくや)〟を纏って飛翔する。

 

「何をするんだ?」

 

「私近接戦闘が苦手でして、そちらをメインにしていきたいなと」

 

「近接戦闘ね、了解だ」

 

セシリアさんは右手にナイフ。左手には重心の短いサブマシンガンの様なものを。一夏さんは両手に両刃の直剣を構える。私はそれを観察し、何処が悪かったかをメモする為に、ペンを取る。と、

 

「私を忘れるな!一夏!専用機を持っているなら話が早い!やるぞ!」

 

そう言って篠ノ之さんが飛翔し、一夏さんに切りかかろうとする。が、

 

「な、なんだこれは!機体が動かん!」

 

篠ノ之さんが纏う打鉄が急に止まる。それを見て一夏さんが呆れたように、

 

「ワイヤーが絡まってるんだよ。大人しく見てろ」

 

とだけ言った。その時急激に篠ノ之さんの機体が引っ張られ、地面に落ちるのと同時にアリーナ外壁近くまで引きずられる。

 

「悪いな風華。助かった」

 

「大したことないですし」

 

私の左腕は部分展開で既に専用機、〝十六夜(いざよい)〟を展開して、ワイヤーで篠ノ之さんの乗る打鉄を捕縛し、邪魔が入らないようにしてから再び向き直ります。

 

「邪魔も入らなくなったようだしな。行くぞ!」

 

そう言って、一夏さんは突っ込みました。

 

 

side セシリア

 

私の訓練に付き合って欲しいと一夏さんにお願いし、訓練を初めて数十分。今しているのは、私が確立した近接戦闘パターン。それの繰り返しをどのような状況でも出来るようにする。という事を行っています。

 

「上!」

 

一夏さんの声を頼りに一夏さんの現在位置を把握。振り下ろされた片手直剣を受け流し、意図的に集弾率を下げたサブマシンガンを叩き込む。

このサブマシンガン、集弾率を犠牲に取り回しと威力を上げているので、近距離でなら十分に脅威になります。それを避けるために後退する隙を見計らってスナイパーライフル〝スターライトmkⅢ〟を構え、狙い打つ。この戦法は私が接近戦を苦手と理解した上での戦法です。

正直な所私は近接戦闘が本当に苦手です。才能がないと言えるレベルです。人並みくらいにはできますが、それで勝てるかと聞かれたら絶対に無理です。なのでまずは近付かれない事を優先としています。元々私のブルー・ティアーズは遠距離向きの機体。そして私の実力も射撃特化。でしたらわざわざ近接戦闘などする必要もありません。敵を近づかせなければ良いのですから。

しかしそれでも近づいてくる方はいます。そんな時のための近接装備として、近接用のナイフ〝インターセプター〟と、この近距離専用サブマシンガン〝ブルーレイン〟があります。この二つで強引に相手を引き剥がし、再び遠距離に持ち込む。それを主体に近接戦闘を今は行っています。

 

「強いですわね。一夏さん」

 

「まあこれでも専用機持ちだからな、それなりに訓練は積んでいる」

 

ブルーレインで下がらせて、スターライトで狙う。ここまでの動作を素早く、完璧に行うために高速切替(ラピッド・スイッチ)の習得も目指していますが、まだまだ上手くは行かず、少し展開が早い程度に収まっているのでその練習もしているのですが、やはりなかなか形にはなりませんわね。

 

「そこまでで一旦ストップしましょう。シャワー浴びる時間が無くなりますよ」

 

と言う夜月さんの声に従い、私と一夏さんは地面に降り立ち、ISを解除します。

 

「お疲れ様でした。お二人共」

 

そう言ってスポーツドリンクを渡してくれる夜月さんにお礼を言って、受け取り口をつけます。

 

「篠ノ之はどうした?」

 

「アリーナで練習の妨害をしてくる生徒がいますって言って先生に引き取ってもらいました」

 

一夏さんの質問に夜月さんが悪びれも無く答え、一夏さんもすぐに、そうか。とだけ言って気にしない方向で行くようです。

そう言えば一夏さんと篠ノ之さんの関係を私は知りません。後で聞いてみると致しましょうか。これから夕食の時間ですし、その時に聞いてみようと思いながら、私は着替えに行くのでした。

 

 

side 一夏

 

訓練後、セシリア、風華と共に食堂で食事を取りつつ、雑談をしていると。

 

「相席構わないな?」

 

と言ってこちらが断るまもなく腰掛けた篠ノ之。

 

「許可した覚えは無いんだが」

 

「構わんだろう?幼馴染なのだから」

 

テメエはガキか。と言いたくなるような言い分だがここで何かを言うと騒ぎ立てられるだけなので何も言わない。取り合わなければ大丈夫だろうと思っている。

無視して食べ、先程の訓練の話をする。

 

「セシリアの戦い方。あれは独自のものなのか?」

 

「そうですわ。私は接近戦が不得手ですので、ならば自分の得意な距離に強引にでも持ち込もうと考えてあの様な戦法を」

 

「確かに、あの機体じゃ近接戦闘なんて出来ませんからね。その戦法は正しいと思います。ですがライフルの展開が少し遅いですよね」

 

「ええ、練習してはいるのですが。周りに高速切替を使う人が居ませんでしたので。やはり難しいものですわ」

 

「俺も風華も高速切替は使っていないからな。近くに手本があるといいんだが」

 

こればかりは俺達ではどうしようも無いかもしれない。俺も風華も、高速切替は使っておらず、俺たちのバックにいる天災(篠ノ之束)に頼もうにも、あの人はおいそれと出てきていい人物では無い。

 

「貴方が、夜空一夏君?」

 

そう声をかけられ、そちらを向くと、水色髪の赤眼の女子が、口元に扇子を当てて立っていた。その人物に心当たりが無い俺は、取り敢えずハイと頷く。

 

「合っててよかったわ。私は更識楯無(さらしきたてなし)。この学園の生徒会長よ」

 

そう言うと同時に開かれた扇子には、生徒会長。と達筆で書かれていた。なんだその扇子。

 

「生徒会長・・・ですか」

 

「そうよ、ロシアの国家代表も兼ねているわ。よろしくね♪」

 

そう言って差し出された手を握ると、彼女は顔を近づけて来て、

 

「天災から貴方の護衛を頼まれたの。よろしくね」

 

と言われた。聞いたことある苗字だと思っていたが、束さんが最近今の日本代表候補性で凄い子が居るんだよねと言っていたこの苗字が更識だった記憶がある。最近彼女の家のお陰で隠れるのが楽なんだとか。

 

「ISも見てあげようかと思ったんだけど、さっきの訓練を見てた限りでは心配ないわね」

 

「まあ、そうですね。これでも鍛えられましたから」

 

束さんと風華に訓練を積んでもらい、俺はそこそこの実力はあると思っている。

 

「ああそれと、セシリアちゃんだっけ?ブルー・ティアーズの」

 

「はい。セシリア・オルコットですわ。よろしくお願いします。更識さん」

 

「楯無でいいわよ?あ、たっちゃんでも可」

 

広げた扇子には夜露死苦と書かれていた。ホントどうなってるんだその扇子。さっきと文字が違うし。セシリアは流石にたっちゃんは・・・と言って苦笑していた。楯無さんはお堅いわね〜と言って笑っていたが。

 

「セシリアちゃんはどうやら高速切替に苦戦してたみたいだけど、どうしてもわからなかったら山田先生に聞いてみるといいわよ」

 

「山田先生にですか?」

 

「そう。彼女は元代表候補生で、実力はかなりのモノよ。戦闘スタイルはリヴァイヴに積んだ大量の銃火器を切り替えながら戦うスタイル。勿論高速切替もお手の物よ」

 

山田先生先生の意外な面が顕になり、セシリアは早くも山田先生を頼る決意をしたようで、食べ終わっていたトレイを片付け、アドバイス、感謝しますわ更識さん。と言って優雅に去っていった。

 

「思いついたら即行動。いい子ね彼女」

 

そう言って微笑む更識さんと再び話をしようとしたところで、

 

「一夏、今日の模擬戦を見ていたが、なんだアレは」

 

篠ノ之さんが口を挟んできた。

 

「何だ。とは?」

 

「何故二刀流など使っている!しかもアレはキチンとした二刀流では無いだろう!それにお前は銃を使っていたな」

 

「確かに使っていたな。それがどうした?」

 

「飛び道具など邪道!キチンとした構えで正々堂々と剣で戦え!」

 

「馬鹿ですか」

 

横合いから飛んできた声に篠ノ之が振り向く。そこには底冷えするような凄惨な笑みを浮かべた風華がいた。

 

 

side 風華

 

「馬鹿ですか」

 

こちらを振り向いた篠ノ之さんに向かってもう一度言う。

 

「貴様!馬鹿とはなんだ!」

 

「言葉通りの意味ですけど?飛び道具が邪道?剣で戦え?正々堂々?馬鹿じゃないんですか?」

 

「貴様!」

 

叫ぶと同時に篠ノ之さんが掴みかかるが、それを交わす。

 

「アレは訓練です。あらゆる事態を想定して行うもの。相手が使う物は剣だけじゃないんです。銃、爆弾、盾etc・・・それらを使って戦うのがISです。というか」

 

ここで一度切って、正面から篠ノ之さんを見据える。

 

「戦場で正々堂々とか、おままごとのごっこ遊び以下のなんの役にも立たない理論持ち込んでどうするんですか?」

 

「何だと!」

 

「戦場で正々堂々なんて有り得ませんよ。少なくとも私はそう思っています」

 

そこで一夏さんが口を挟む。

 

「風華の言う通り・・・という訳でもないが確かに戦場に置いて正々堂々など不要だ。必要ならば闇討ちもするしどんなに卑怯と呼ばれる手でも使う。それが戦場だ」

 

もっともそれが正しいとも俺は思っていないがな。とだけ言って腕を組んで目を瞑る。これ以上は俺は関与しない。と決めた時の一夏さんはこうなるので、私が好き勝手言っていいって事だと思って続けます。

 

「私と一夏さんで考えは大体一緒ですかね。必要ならばやるんですよ。そうしないと勝てないんですから」

 

そう。勝てない。勝たなきゃ、意味が無い。

 

「誰もが誰もブリュンヒルデ様みたいに真正面からぶっちぎれるわけじゃないんですよ。正々堂々戦って勝つ。なんてのは強者のみに許された戦い方です。どんなに勇敢に戦おうが、どんなに素晴らしく戦おうが負ければ()()()()()

 

篠ノ之さんが黙り、肩を震わす。反論出来なくなって怒りが上がってきているのかは知らないが畳み掛けさせてもらおう。

 

「負けないために努力をして相手と戦う。それが正々堂々という意味だと思うんですけどね、相手が剣を使っているなら自分も剣を使え?相手と同じフィールドに立て?馬鹿ですか?」

 

最初と同じ質問を投げかける。

 

「黙れ・・・黙れえええええ!」

 

そう叫んでどこから取り出したのかわからないが篠ノ之さんは木刀を振るう。が、

 

「何!?」

 

私はその木刀を片手で受け流す。と言うかかなりの威力なんですが、木刀が当たった椅子凹んでますよ!?なんですかその馬鹿力!?

 

「口がでなくなったら暴力ですか。まるっきりガキですね」

 

立ち上がった一夏さんと楯無さんの後を追う。そこで振り返って、

 

「剣道大会の全国優勝が自慢みたいですが。貴方のソレは剣道ではなく只の暴力です。誇りを持って竹刀を降っていた人達なら兎も角、貴方のソレが私に、ましてや他のIS乗りに通じると思わないでください」

 

それだけ言い残して食堂を出ていく。その後食堂からブリュンヒルデ様の怒鳴り声が聞こえるが、知った事かと無視を貫き、部屋に戻った。




次回はクラス代表戦ですかね
それと、鈴との部屋騒動なんかは全カットします。理由として、ここの鈴ちゃんと一夏君は親友なので、鈴ちゃんが部屋に押しかける理由が無いからです。
酢豚うんぬんもやってません。

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