書いてみたかっただけの話です
どぞ
尚、主人公のモデルはMUGENの殺人姫の三つ編み見たいにしてる部分がなくなったVer.です
わからない人はpixivで殺人姫で検索ゥ!
それは突然だった。その日は何の変哲もない休日で、みんな思い思いに過ごしていた。
全世界から日本というちっぽけな島に向けて、ミサイルが放たれるまでは
各国は慌てて対応しようとした。それも虚しくミサイルは発射されたが、その牙が日本に届くことは無かった。
日本海上空に突如として現れた一機のパワードスーツ。それが全てを切り払った。
世界各国はこのパワードスーツを纏った女性を捕縛しようとしたが、そのパワードスーツの女性は嘲笑うかのように、軍隊をも切り倒していった。
現行兵器が全く通じず、軍隊を壊滅させた白い騎士は、日暮れと同時に姿を消した。数多くの謎を残して。
この後、日本のある天災が、IS〈インフィニット・ストラトス〉を発表。
白い騎士を造ったのは自分だと言う言葉と共に、宇宙に行くための、パワードスーツとして。
しかし、世界はコレを兵器とみなした。現行兵器を超える最強の武器として。しかしそんな事をすれば世界情勢なんて簡単にひっくり返ってしまう。
世界はアラスカ条約を締結。ISを兵器として使う事を禁止した。
その後ISの欠陥。女性しか使えないという事が明らかになり、世界は男性を軽視し、女性を重視した。
ISが発表されて十年で世界は様変わりした。
それでも変わらなかったこともある。
ISと言う宇宙にすら簡単に行ける道具を手に入れて尚、人類は地球に、地面にへばりついていた。
天災は嘆いた。何でこうなってしまったんだろうと。
天災は憎悪した。こんな事態を招いてしまった自分を、親友を。
そしてその天災の元で、悪鬼は笑う。
「殺しますよ。自分が知る限りの残虐な方法で、
―――――――
「クソッ・・・」
ボロボロの廃墟の中に連れ込まれたと思ったらこのザマだ。つっても暴行を加えられたわけでも何でもない。俺は両手に手錠の様な物を掛けられて繋がれているだけだ。
「よう、元気かよ織斑一夏君」
「アンタらのおかげでな、水くれると助かるんだけど」
ほらよ。と俺を誘拐した人間の一人がストロー付きのペットボトルを放り投げる。礼を言って受け取り、口をつける。
「来ると思うか?織斑千冬は」
その言葉に顔を上げる。そして、
「来ないんじゃないですかね」
少し苦笑いで答えると、それに苦笑で返す。
「そいつは大変だ。俺達の目的が達成出来ねえ」
この人達の目的は織斑千冬の二連覇の妨害らしい。それ以上は教えてくれなかった。
「あの人は俺が虐められてるのに気づきもしなかった。世界最強とまで言われたにも関わらずね」
そう言うと苦笑で、
「お前さんも難儀な姉を持ったなぁ」
と返された。それと同じくらいにドアが開き、もう一人の男が顔をだす。
「作戦失敗だ。織斑千冬は決勝戦にでて、優勝した」
そう告げた。
「お前さんの予想が当たったわけ、か」
そう言って俺を見る。
「作戦変更、これより撤退する。人質の解放だ」
そう言って俺の手錠を外していく。自由になった両腕に少しの紙幣と、荷物が渡された。
「この廃墟を出て南に歩いていけば街だ。そこまでは何も無いが、水とクソ不味いレーションで良ければその中に入っている。餓死するって事は無いだろう」
渡されたリュックサックの中身を見ると、本当にそれらが入っていた、俺の携帯も。
「俺達は撤収する。本当なら街まで送ってやれるといいんだがな」
そう言って先ほど水をくれた男は苦笑した。
「アンタら、誘拐犯だろ。何で・・・」
「プロだからな」
そういった男は、マスクで目しか見えなかったが、真剣だった。
俺は礼を言って廃墟から出た。言われた通りに、南に向かって歩く。その時、上空を何かが通り過ぎた。
「・・・?」
通り過ぎた
「・・・貴方が、織斑一夏?」
黒いIS。目元をバイザーで覆い隠し、バイザー越しでもわかる端正な口元と、綺麗な銀髪。全体的に装甲はスマートで、腹部から太ももにかけては露出していて、そこからつま先まではスリムな脚部装甲に覆われていた。胸と両腕も装甲に覆われており、口元を隠しているであろう部分は、今は開かれていた。そして背中にある。大きな翼の様な
「質問に答えてもらえると嬉しいです。」
その姿に見惚れていた俺は、その言葉で我に返る。
「あ、ああ。そうだけど」
それを聞いた目の前のISはどこかへ連絡を取っていたかと思うと、こちらを向いて、
「確認しました。私の恩人が呼んでいますので、同行願います」
それだけ言って、俺を抱き抱えて、飛んだ。
――――――――――
ドイツの外れで拾われ、俺は日本まで連れてこられ、ホテルに連れ込まれた。そして今ISを解除した少女と一緒に、部屋に向かっている。
「・・・なあ、俺を呼んでいる人っていうのは俺の知ってる人なのか?」
帰ってくるのは、沈黙。それでも居心地は悪くない。声をかければ罵声が帰ってくるよりマシだと思ってしまうのは俺もおかしいからなのかもしれない。
エレベーターが開き、通路を歩く。そして部屋の前で止まり、少女が扉を開けた瞬間
「いっくぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!」
「ゴフッ・・・!?」
何かが俺に体当りしてきた。
「よかったああああああああ!生きてるよおおおおおお!」
そう叫びながら、俺に抱きついてくるエプロンドレスの女性。
「束さん!?」
そこに居たのは、束さんだった。
「なんで束さんがここに?」
「もち!いっくんが誘拐されたと聞いて助けに来たんだよ!」
そう言って束さんはサムズアップする。助けてくれたのは嬉しいんだが、
「・・・この事、千冬姉には?」
「・・・言ってないよ。だから今頃必死でいっくんを探してるんじゃないかな?」
そう言っていつもと変わらない笑を浮かべる束さん。
「束さん。ずっと前から聞きたかった事を、聞いていいですか」
「何かな?」
束さんが真剣な表情になる。それを見て俺は問う。
「俺には貴方達が何を考えているのかわからない。白騎士事件を起こし、多くの人々の命を奪った貴方達の考えが!」
思わず声を張り上げてしまう。それでもいい。ここで言いたい事を言ってしまわなければ二度と聞けない気がするから
「ISを作ったばかりの頃、貴方は言いましたよね。これで宇宙に行くんだって!すごくキラキラした目で!あの言葉は嘘だったんですか!最初から兵器として使うつもりだったんですか!」
束さんが俯く。それでも顔を上げ、真っ直ぐな目で俺を見る。
「私はね、本当に宇宙が見たかった。自分の手で作ったISで、自分の手で宇宙を見たかった」
呟くように語り出す。
「でも私がやったことは間違ってた。ミサイルをハッキングして飛ばして、それを撃墜させれば世界はISを認めてくれる。私はどんな形でもいいから自分の作った物を認めて欲しかった」
痛々しい程の後悔。その裏にあるのは子供なら誰でも持っている、自分を認めて欲しいと言う欲求
「今更私が何を言っても意味無いかもしれないけどね。でもねいっくん」
一度目を瞑り、再び開く。その目にあるのは、初めて束さんがISを見せてくれて、夢を語ってくれたあの時と同じ光。
「私は今でも諦めていない。ISで宇宙に行くことを」
そうハッキリと言われてしまった。言い訳とかそういうのが出てくるのかとも思った。でもそんなものは無くて、
「・・・・・・束さんにとって、ISってなんですか」
「夢だよ」
即答で帰ってくる。
「私の・・・夢」
綺麗な目で、綺麗な表情で言われてしまったら信じるしか無くて
「・・・そうですか」
今までずっと良く分からなかったものが理解出来た気がする。それでもまだまだ色々言いたいことはあるんだけど
「・・・そういえば、言ってませんでしたね」
首を傾げる束さんに右手を差し出す。
「お久しぶりです。束さん」
「・・・うん!久しぶり、いっくん!」
そう言って握手をする。どこまでも純粋なこの人を、俺はもう一度信じてみようと思うから
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