元アイドルであったものはデレマス世界で何を想う   作:しましまパンダ

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 あー、クオリティが下がっている気がしますー。
 後、誤字だらけで本当にすいません。
 ルーキー日間に入ってました。ありがとうございます。


自覚と芽生え

 あれから家からある程度歩いた辺りにある大きな広場で個人的に此方で気に入った曲を学校から帰った後に歌うのが日課になりつつあります。 

 ここは結構色んなストリートの人達がバンドで演奏していたり、私みたいに歌っていたりするので選んだんですよね。でも、最近めっきり曲などを演奏したりする人が減ってしまいました。

 

 私が今準備している所も本来ここで古参だった人の場所だったんですけど、待ってても来ないのを知ってからは此処で歌わせてもらってます。

 上から目線のようですけど、ここにいた人はプロでも十分通用しそうなレベルだったんですけどね……何かあったのでしょうか。

 

 昔と比べたら全然少ないですが、この世界に来て初めてできたファンです。今日もこの人たちが聞いてよかったと思えるような歌を歌いたいです。

 何というか、此処で始めてから私がこんなにも人の前でこうしたことをして満足してもらうのが好きなことを改めて自覚しました。

 なので、今はとても充実しています。アイドルにならなくても、此処で私は楽しくできてますからね。

 

「それでは、そろそろ始めさせていただきます。よかったら聴いて行っていただけると嬉しいです」

 

 さあ、今日も始めましょう。今はマク〇スではありませんが私の歌を聞けえって感じの気分です。

 

 

 

 ふう……今日も良く声が出ていてよかったと思います。聴きに立ち止まってくれた方が皆さん拍手してくれたり、集金とかしてないのにチップ渡されそうになって断ったりで色々と大変でした。

 

「あのっ! 少しお時間いただいてもいいですか?」

 

 家に帰る準備をしている私に声をかけてきたのは女の子でした。制服を着ている所を見ると高校生みたいです。私に何か用でもあるんですかね。プロでもなんでもないけど。

 

「えーっと、私でいいんですよね。何でしょうか」

「とても歌が上手だったので、普段どんなことをしているのかなって思って……気になって……」

「歌が上手ですか、ありがとうございます。それと、そんなに緊張しないでも大丈夫ですよ。どんなことをしているのか知りたいんですね?」

「そっ、そうです!」

「それじゃあ、少し移動しましょうか。ついて来てください」

 

 なんとも熱心な娘ですね。プロでもない私に聞きたいことがあるとは。ついて来ている娘(名前分からないので)をちらりと見てみると、可愛いですね。

 奏や周子、美嘉とは違った可愛さです。何というか純粋に良いなって思いました。こう、ビビッと来たみたいな。

 

「何でしょうか~?」

 

 おや、見ていたのが気づかれてしまったみたいです。特に何にも用はなく見ていただけなんですけど、名前でも聞いておきましょう。

 

「貴女の名前を聞いていないことに気づいたので、教えてもらえませんか。ちなみに、私は綺羅ツバサと言います」

「そっ、そうでしたぁ~。すみません。私、島村卯月って言います。よろしくお願いしますっ!」

「島村さんよろしくお願いします。あのお店に入って話しましょうか」

「はいっ!」

 

 素直で年相応の良い娘です。それに元気もいいです、第一印象としてはそうですね──普通の女の子って感じですかね。

 にしても、初対面の私にホイホイついてくるとは本当に純粋な娘ですね。

 

「そういえば、島村さんは何で私に歌の事を聞こうと思ったんですか」

「えーっと……私、アイドルになりたいんです……」

 

 そこから島村さんはポツリポツリと私に聞こうと思ったところまでを教えてくれた。島村さんはアイドルになるために昔から養成所に通いレッスンを受けているらしい。オーディションなどもたくさん受けているのに中々受からず行き詰っている時に私に会い、何か得られないかなと思ったそうだ。

 ふむ……行き詰っているアイドルの卵に助言をするのも先達の務め(今は違うけど)ですからね。人肌脱ぎましょう。

 

「島村さん何でも聞いてください。私が力になれることなら答えましょう」

「ありがとうございます~。それじゃあ──」

 

 

 

 

 此処までは島村さんに聞かれたことを一つ一つ答えていた私ですが、ふと思ったことを口にしていました。

 

「歌とは関係ない話ですけど、島村さんはアイドル事務所との面接で特技と聞かれたりしたときに何て答えてるんですか? 答えにくければ答えなくても大丈夫です。ふと気になったものですから」

「大丈夫ですっ! 特技って聞かれたときは私、笑顔だけは自信があるので笑顔って答えてます!」

「──ッ!? 笑顔ですか……今見せてくれた笑顔も良い笑顔でしたよ。皆を元気にしてくれるような本当に良い笑顔でした」

 

 きっと、どの事務所も笑顔と言われて誰でもできるって思っていて落としているのかもしれません。ですが、あの笑顔は特別良いものだと私は思います。

 アイドルの卵は星の数ほどいて、その中から選び抜かれた強運の持ち主がさらに厳選された後に残った人がトップアイドルっていう謎の称号をゲットするという狭き門にこれからも挑戦するはずです。

 入り口で立ち止まっている娘に手を差し伸べるのは決して悪い事ではないと思いたいですね。

 

「偉そうに聞こえるかもしれませんが、よかったら個人的に時間がとれる日は島村さんに少しばかりレッスンしましょうか?」

「本当ですかっ!?」

「でも、無理は禁物ですよ。休むのも練習ですからね」

「気を付けます~」

 

 その後、連絡先を交換してから帰りました。島村卯月さんですか……私も何をとは言いませんが頑張りましょう。

 仮にも彼女の先生になるわけですから、やって見せ、言って聞かせて、やらせて見せ、褒めてやらねば人は動かじ。この私の好きな言葉通り彼女に教えるときは実践して意識すべき点を教えなければいけません。

 ──これからは本格的にやりますか。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 あれから、私はストリートで歌うことを続けて合間合間に島村さんにアドバイスをしてきました。そのかいあってなのか彼女の歌唱力は多少なりとも向上したでしょう。

 その中でダンスについても聞かれた時があり、それに対しても思ったことを言ってみたらできるようになったと言っていてダンスというかそういう方面も少しばかり助言させてもらってます。

 

 彼女はアイドルになると言っていますから、体力、柔軟性、体幹の三つを重視しています。ダンスは養成所でできるはずですから、私は本当に人間としての基礎の基礎を伸ばすことに集中しています。

 ただ、その中で私も一緒にトレーニングをやっているんですが、ダンススクールなどに通っていた時よりは体が鈍っていて満足のいくお手本に慣れなかったのでそれも自主練習するようにしました。

 島村さんと出会ってから学校へ行き、放課後歌い、基礎トレーニングをするという日々を過ごしていたある日、私がいつもの広場で歌っていた時でした。

 

「あの……アイドル、興味ありませんか?」

 

 初対面だと思いますが、男性の方にアイドルとしてスカウトされました。

 

「えーっと、貴方は何処の誰なんでしょうか?」

「あっ、すいません。こういうものです」

 

 自分に自信が無さげな男性はおずおずと自らの名刺を渡してきました。その名刺に書いてあるプロダクション名を見て、少々驚きました。

 

 ──美城プロダクション アイドル事業部 プロデューサー 風見 和人

 

 そう書いてありました。美城プロ……奏、周子、美嘉の三人が所属している所でしたか。それにしてもあそこは結構就職などの倍率も高いと言う噂を聞きますが失礼ながらこんな人でも受かるものなんでしょうか。まあ、そこらへんはどうでもいいですか。

 

「それで……受けてもらえるでしょうか……」

「後日日程を改めてお話だけでも聞かせてもらえることはできますか」

「大丈夫だと思います……。それじゃあ、後日日程合わせてお願いします。こちらのアドレスに連絡してもらえますか?」

「畏まりました。それでは空いてる日程が決まり次第連絡いたします。それではまた」

 

 プロデューサーという男と別れ、名刺を見て私は思いました。何故、断れなかったのかということです。以前ストリートで一般のお客さんを楽しませられればそれで満足と思っていました。

 ですが、今私の手の中には名刺があります。あそこで受け取らない手段があったにもかかわらず受け取ってしまいました。

 ……燻っているという事を自覚するべきですかね?

 

 

◇◇◇

 

 

 

 スカウトをされて話を聞いてからぼーっとしていることが多くなった気がする。それに気づいたクラスメイト等は心配してくれているが、こればっかりは私個人の問題なので、どうしようもない。

 プロデューサーに何故スカウトをしたのかと聞いたらよくある歌が良かったとかではなく、現状に満足できてなさそうだったからと言われたときにドキッとした。

 自分にすら無意識に嘘をついてきた事を初対面の累計年齢で言えば年下の男に一発で言い当てられるとは思いませんでした。

 

「ちょっとツバサ、話を聞いてるの?」

「ごめんなさい。少しぼーっとしていました」

「最近そういうの多いけど、何かあるなら相談に乗るわよ。友達でしょう?」

 

 ……暈して話す程度なら大丈夫でしょうか。いい加減一人で考えるのも行き詰っているところでしたし。どうしても、私の中で完結させようとするとグルグルと、逃げ道を作りがちになっていましたので。

 

「そうですね。奏、相談に乗ってもらえますか?」

 

 

◇◇◇

 

 

 

 ツバサが自分の事を他人に言うなんて本当に行き詰っていたのね。彼女はいつも一人で完結させてしまう癖があるから放っておけないのよね。

 なまじスペックが高いから結構な無理もできてしまうから周りもそれが普通だと思って、何でも任せちゃうの。ツバサ自身も人に頼られるのが好きみたいで、明らかに予定では忙しいだろうって言う状況でも彼女は断らない。 

 

 一度聞いたことがある。どうして、他人のためにやれるのかと。そうしたら、彼女は私にできることは他の人の期待に応えて行くことくらいだって言ってたわ。

 自分の事は二の次なのかもしれないわね……。だからこそ、自分にできた私欲ともいえる~をやってみたいっていう感情に整理が付けられないのかもしれない。

 ツバサ、何に悩んでいたのかは私には断片的にしかわからないわ。でも、貴女ならどの選択をしても大丈夫だと思う。でも、無理だけはしないでほしいわ……

 

 

 

◇◇◇

 

 

 人のためではなく、本当に自分のためにやってみるのもいいんじゃない……か。奏に相談して正解だったかもしれません。

 私はこの状況に至っても誰かに背中を押してもらわなければ一歩が出ないようです。昔からそうだったかもしれないです。周りにやって、やらないかと言われやり続けたのですから。

 そうと決まればこのままぼーっとしているわけにはいきません。早速行動を起こしましょう。

 

「もしもし、風見さんのお電話でしょうか。私、綺羅ツバサと申します。アイドルのお話、受けようと思います……が、最後にあの広場で歌わせてもらえませんか?」

 

 

 




 ようやく、事務所に入れそう……
 主人公と出会ったことにより、卯月のダンスとヴォーカルステータスがぐぐーんと上がった(パワプロ並感)

 プロデューサーの名前は適当です。そして、性別も最後まで悩みました。ぶっちゃけ、女性でもいいかなって……結局男性にしましたけど。

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