元アイドルであったものはデレマス世界で何を想う   作:しましまパンダ

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 とりあえず三話完成です~。相変わらず、何やってんのかわからなくなってくる今日この頃
 


元偶像は再起する。

 私は偶にこうして関係者席からライブを見させてもらっているけれど、今回は思わぬ収穫があったね。表舞台から消えたあの、綺羅ツバサと会うとはね……

 彼女であれば即スカウトしていたのだろうけど、今回は純粋に友人に誘われてきただけみたいだしそういうことは野暮というもの。

 

 それにしても、いつだったか。彼女が突然ダンス、歌唱などのコンクールなどに出てこなくなったのは。その時まで、出場してから無敗。少女のはずなのにベテランが使うようなテクニックに、若さあふれるエネルギッシュな動きで様々な賞をかっさらっていった鬼才が突然消えたんだから、美城を始め、彼女を狙っていたプロダクションからは落胆の声が聞こえた。

 特に綺羅ツバサにいつだかのイベントの審査員として出会ってから入れ込んでいた彼女の落ち込み具合は直接見た僕とかじゃないと今の彼女からは想像できないだろうね。

 

 とりあえず、アメリカにいる彼女に連絡しておこう。それにしても、速水奏と塩見周子に気に入られる娘か。特に入れ込みようが激しそうなのは奏くんかな? 何をしたのかわからないが、問題だけは起こさないでおくれよ、綺羅ツバサ。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「やっぱライブはちょー楽しいしっ★」

「美嘉ちゃんの言う通り今回のライブも疲れたけど楽しかったわ」

 

 今回のライブの中心メンバーだった美嘉や楓さんなどがライブについての感想を話している。確かに、今までにない規模のライブに参加して高揚感もあったし、楽しかった。でもあれはやりすぎたかしら……?

 

「お疲れー、奏」

「お疲れ周子。貴方にしてはライブ中にサービスが派手ではなかったかしら」

「それ言ったら奏の方がすごかったでしょ~。投げキッスなんてさー」

「周子もそう思うわよね……私も少しツバサが来ていることがわかったからってテンション上がりすぎたのかもしれないわ。でも、そういう周子も明らかにツバサ意識してたじゃない」

「まあ……見てほしい人がいるとそりゃね~」

 

 やっぱり、周子も気づいていないでしょうけどツバサの持つ求心力に惹かれているのね。私はまだまだ、大丈夫だけど学校の女子とかで宗教みたいになってる子もいるし。周子はどうなるかしら。多分、大丈夫だとは思うけど。

 それにしても、テンションが上がったからと言って投げキッスはないわよね……。ツバサはどう思ったか明日にでも直接聞かないといけないわね。

 アプリとかだと、政治家みたいな言い回しで逃げたりすることがあるから。

 

「フフーン、周子ちゃんも奏ちゃんも今日は張り切ってたね~」

「何かいい事でもあったのかな~?」

 

 周子とそんなこと話していると、フレデリカと志希が話に入ってきた。まあ、二人はツバサと直接会ったことないから友達の友達と言う感覚で話を聞いてくれている。

 それにしても、本当に今日は楽しかったな……

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 ライブが終わり、翌日学校で二人になったタイミングでライブでのパフォーマンスについて聞かれました。私がアイドルをしていた世界でもああいうのは結構あったので別に盛り上がってキャラがぶれないのであれば良いのでは、と言っておきました。一応、良いとは言いましたが私のサイドに居たファンは発狂していたことは伝えておきました。

 

 後、周子からメッセージが来ておりライブについて彼女からも感想というかどう思ったか聞かれました。彼女もアイドル歴が奏と同じように浅いにも関わらず、大きな舞台で良いパフォーマンスを発揮していたので、思ったことを素直に伝えておきました。

 そしたら、若干どもってたんですが何かあったんでしょうか。もしかすると、電波の調子が悪かったのかもしれませんね。

 

 そして、二人に今西さんについて聞いてみると優しいおじさんらしいです。特に目新しい情報はありませんでした。私が見て話して感じた今西さん通りなんでしょう。

 ライブが終わってからの私はどこか変わったのでしょうか。父や母、そして学校の隣人達から少し変わったといわれますね。

 自覚はありませんが、周りから言われるのでそうなのでしょう。奏とかがコレ察したときに肩掴んで揺らされましたからね。

 何があったと問われても何もなかったので要領の得ない回答しかできませんでしたけどね……

 気晴らしに思いっきり歌いたい気分なので週末奏とか予定が空いてるか聞いてみましょう。よくよく考えてみると今世でこういう風に遊びに誘うのは小学生以来ですね。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 どうも、ぼっちカラオケにきた綺羅ツバサです。どうして一人なのかと言えば簡単です。奏の予定が空いてなかったのです。本人は苦虫を嚙み潰したような表情をしていたのでもしかしたら、来たかったのかもしれないです。そうだとしたら、また誘ってみましょう。

 周子にも声は掛けたんですが此方もダメでした。それ以外の友人となるとそこまで仲良くないんですよね。 

 何というか線引きの外側にいる人ばかりで私に遠慮してしまうようなんです。今世でいまのところ友人枠にいるのは、奏で次点で周子です。周子は少ししか会ったことがないですが仲良くなれると私の勘が言っているので大丈夫でしょう。

 

 ……アレ、私もしかしなくても友達少ない?

 

 

 カラオケボックスに入ったにもかかわらず、自分の今を取り巻く環境に気づき一時は落ち込みましたが、アップテンポな曲を何曲か入れて集中して歌っているうちに大丈夫になりました。

 ここからは歌唱力が求められる曲を入れていきましょう。腹式呼吸とか姿勢とか色々と意識することはありますが、それが出来てきたら必要なのは曲に対するイメージが重要です。

 原曲の方と似たように歌うのか、それとも音程を外さない範囲で自分の歌いたいように歌うのか。そこをいつも私は意識しています。

 これは、前世からの癖のようなものです。カバーとかする時は原曲を意識したうえで歌っていました。

 

 途中でドリンクを届けに来てくれたバイトさんかな。固まってないでさっさとドア閉めて戻ってほしいのですが。

 我を取り戻したようで、失礼しましゅっと最後噛みながら出ていきました。そりゃ、私みたいなJKが古い曲を歌っていればそうなるかもしれませんけど出来れば気を付けてほしいですね。

 見られると思って歌っていないので少し恥ずかしいですし。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 久々に思いっきりうたったので体は疲れていませんが心のほうが若干疲労したように思えます。おや……彼女は確かこの前のライブに出ていた城ヶ崎美嘉さんでしょうか。

 

 変装はしているようですが、私の目はごまかせません。かつて週刊誌の記者を警戒するあまり、自分自身が週刊誌の記者以上の眼を持つことになりましたし。

 彼女は何やら焦っているようですね。誰かとはぐれたのでしょうか。見てしまっては放っておけませんね。こういうときに女性の体は便利ですね。

 

 男の体では女性を手助けするのにも問題があるときありますし。時折ナンパに間違われますから、その点女性から女性はなにも問題ないですから。

 でも逆に男性を助けるときに勘違いされたり、力足りなくて苦労することも増えました。なので、良い事ばかりではありません。とりあえず、話だけでも聞いてみましょう。周りに城ヶ崎さんの正体がばれないように配慮しないとですけど。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 莉嘉の奴どこいったんだろ……。少し目を離した隙に消えちゃった。あの子フラッとどこか行くときあるから大丈夫かな。

 最近小中学生誘拐とかあるし、大丈夫だよね……?

 

「そこの貴方。何か困っているようですが、よければ力になりますよ」

 

 不意に声をかけられてその先を見てみると、同い年くらいの女性がいた。ただ、それは見かけだけでパッと見ただけでなんというか惹きこまれるものを感じた。

 

「あのー、聞いてますか?」

「すいません。考え事してて……」

「えっと、お困りのようなので力になれればなと」

 

 どうしよう。悪い人ではなさそうだけど、初対面でしかも莉嘉と逸れたって子供みたいな話だし。でも、誘拐とか怖いし。少し、気が引けるけど頼もう。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 あれから二人で探して無事に莉嘉と合流できた。ついつい、珍しいシールを見つけてふらふらっと行ってしまったようだ。莉嘉もはぐれたのが分かって若干涙目だったから軽い注意で終えた。本当に無事でよかった。それも彼女が遠くて見つけにくい所だったのに見つけてくれたおかげだねっ。

 

「本当にありがとうっ! よかったらこの後食事でも行かない?」

「そうですね……」

 

 私が莉嘉を見つけることができてそのお礼の意味を込めて誘ったんだけど、彼女は少し考えるような感じになった。もしかして、予定でもあったのかな。だとしたら、悪いことしちゃったかも。こういうのって私が逆の立場だと断りにくいし。

 

「一緒に行こうよ~」

 

 莉嘉がえーっと、彼女の名前聞いてなかった……。私も何だかんだで自己紹介してないし、自己紹介だけでもしたいかな。

 私がそういう事考えてる間にどうやったのか莉嘉が彼女の説得に成功したようだ。流石、アタシの妹。

 

「さ、莉嘉も貴女もいこいこ」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 楽しい時間は一瞬で過ぎるっていうのはいつも感じるけど、今日は特に早く感じた。彼女──ツバサとの時間は楽しかった。莉嘉も帰り際にもう少し、もう少しって言ってたしねっ!

 話してみるとツバサがとても魅力的なのが同性の私からでもわかった。莉嘉なんて初対面の相手なのに甘えてたし。まあ、分からなくもないけどさー。

 

 ツバサは年齢詐称しているんじゃないかってくらい落ち着いていてよく見ている。うちの事務所にも年齢が私よりも結構上の人がいたりするけど、ツバサみたいな感じとなると部長さんとかが近いかな?

 流石にあそこまでじゃないけど。それに、ツバサがこの前のライブ来てたなんて予想外だった。そういう事が好きなようには見えなかったから意外。

 でも、彼女がステージで私と立っている姿が容易に想像できるのは何でだろう。とにかく連絡先は交換したし、仲良くしていけたらいいなっ★

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 今日は疲れましたね。カラオケに行き、城ヶ崎姉妹と出会い夕食まで取ってしまうとは。人生珍しいこともあるようです。

 ふと、家に帰り手に取ったものを見てみるとこの前あった美城のライブの一個前のBlu-rayでした。なんでしょうかこれは、ライブに行ってから度々こういう事が無意識に起こります。

 初めはそれまでライブに備えて色々見ていたのでその延長かと思っていましたが、これは……本当に考えないといけませんね。。

 ()がアイドルにまだ成りたいのかどうか。少々厨二病っぽいですが、奏がアイドルと言う事をカミングアウトしてからこれまでの日常がすこし変わってきたように、私自身も変わる時が来たのかもしれないです。

 何というかUTXとかが無かった事でどこか現実として認識してこなかったこの世界をしっかりと見て、その上で何を本当にしたいのか。第二の人生で前回と同じ生き方でいいのか。

 

 明日から少しずつこの辺りを散策してみましょう。そしてスペースがあれば少し野良で歌ってみましょう。昔、アイドルデビューする前にしていたようにストリートで色々と試してみましょう。

 もちろん、奏や周子には内緒ですけどね。二人に教えたら茶化しに来そうですし……

 そうと決まれば今日はストレッチして早めに寝ましょう。疲れがある状態では良いパフォーマンスできませんから。ストリートと言えど、手を抜くのは()の主義に反します。

 

 

 

 




 二話の誤字脱字の報告をいただきました。この場を借りてお礼申し上げます。報告して頂いた方々ありがとうございました。
 
 そろそろ、美城に入れそう?時系列は一応アニメ本編より前のイメージかな。


 次話もよろしくお願いします。

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