元アイドルであったものはデレマス世界で何を想う   作:しましまパンダ

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 ああ、見切り発車で完結するかわからない作者です。
 デレステのコミュ見てたら突然やってみたくなったのでやってみました。
 主人公の口調どうしよう……


全ての始まり

 本日の目覚めはいつも通りスッキリとした目覚めではありました。しかし、夢で逢ったことを振り返るのであれば何か変わる予兆なのかもしれません。なーんて、詩人ぶってみる。

 私の目覚めに遅れて鳴り始めた目覚まし時計を止め、洗面台へ向かいます。朝起きてそのままというのは何だか気持ち悪いからね。

 

 自室から出る時に私の目に入ったのは現在通っている高校の生徒手帳と学生服でした。学生服はまあ、自分が着る事を考えなければ文句なく可愛いです。

 そして、生徒手帳へ目線を移すと、そこに貼ってあるのは肩にかかるか掛からない程度に伸ばしている客観的に見て可愛い女生徒が写っている。

 氏名欄に目を移せば、綺羅ツバサという名前が書かれています。その名はこの世界における私の名前です。名前を聞いて某学校アイドルに出てくるライバルグループのセンターを思い出す人もいるかもしれません。

 そうです、その綺羅ツバサです。外見はね。外見以外は、唯のどこにでもいるモブ男です。

 中に男が入っている辺り、何があったのかと思いますが、良く二次創作とかである憑依転生系なテンプレなアレ。

 

 前世は若いころはアイドルやってて結構有名だったんですよ。何で転生できたといえば、神様曰く、お前もうちょっと自己に対する欲を覚えんかいってことらしいです。

 その癖に、女性へ転生させるあたり神様とはいっても完璧な存在ではないようですけどね。神様に会った時に言われたことについて聞いてみたんです。

 そしたら……

 

『お前の事暇だったから見てたんだけどよ。お前、生きてるうちで相手をどれだけ楽しませられるかだったり、相手が不幸にならないようとかそんなことばっかり考えて生きてたろ。』

『そうですかね。ゲームとかもある程度やってましたけど……』

『それだって、友人に言われたからだろ。そんで、人に色々やってた結果病み女共に刺されてDead Endだったじゃねえか。その後正気になった女どもが取り乱してる時にお前聖人みてえなこと言って落ち着かせて死んだじゃん。』

『ん~まあ、そんなこともありましたけど。向けられる愛とか異性に対する事とか良く分からないので変なことを言ったかもしれないですねえ』

『俺はよ、そういうのばっかやって、自分のために生きてないお前の人生を見たわけよ。だから、ここは神様の俺がチャンスやろうってわけよ。』

 

 こんな感じの流れで転生させられました。中身男な私が女性になったところで何が変わるのかって話ですけどね。

 それで、神様からもたらされた転生先がこの綺羅ツバサの肉体だったんです。この体になり、名前を知ったときはラブライブ!っていう前世で少しハマっていたアニメの世界に来たと思ってました。

 

 流れを変えないように昔の私のように踊るも良し、歌うもよし、演技するも良しの三拍子そろったスクールアイドルになるためにせっせと無理しないように練習していたわけです。

 子供からあの日までの夢はA-RISEとして主人公達の壁となってラスボスっぽくなりたいなと思ってました。

 

 あの日ま…「おはよう、ツバサ。顔を洗いに行くのか」

「おはよ。そうですね、とりあえず寝起きなのでさっぱりしたいので行ってきます。」

 

 先ほど廊下で話しかけられたのは父の綺羅聖一(せいいち)さんです。ルックスもツバサの父だけあってイケメンという奴ですね。アイドルをやっていてもおかしくないでしょう。

 年齢は四十代に入っているはずです。累計年齢で言えば私の方が上ですね。そんな相手を父と呼ぶのも変な感じはしましたが、今では慣れました。

 

 あの日と言うのはこの世界に音ノ木坂が無いのを知ったときです。廃校になったわけでもなく、純粋に存在しないようですでした。

 中学二年生の冬でしたか。進学先を決めるために初めて高校について調べたんです。そうしたら、UTXも音ノ木坂もなかったので神田や秋葉原へ向かい直接確認しに行ったんですよね。

 そしたらUTXはUDXという何か名前変わっていて学校ではなかったですし、音ノ木坂の有るはずの場所にも普通に別のものがありました。

 

 それからですね、アイドルがどうこうという事無くなり、何をすればよいのかわからなくなったのは。この日以来、通っていたダンススクールも辞めて、ボイストレーニングであったり全て辞めました。

 必要なかったからです。どのスクールの先生も残るように言われました。この先、頑張っていけば必ず大成し、世界へ名前を轟かせることができるってことも言われましたが、どうにもそういう事には興味がなく、両親にも興味が無くなったと言って辞めさせてもらいました。

 

 両親はこれまで精力的かつ、すべてを賭してやってきたことに対して突然興味がないと言えば何か聞きたくなると思うんですがそこは、二人ともお前がそれでいいなら良いと言ってくれて嬉しかったです。

 

 ただ、この名前を世界へと言われたときの話を聞くと、野心がある女の子や男の子は頑張れるらしいですね。

 多分、こういうのが神様が言っていた私にない欲なのでしょうか。こんなことを考えている間にもうそろそろ朝食の時間です。

 

 椅子へ座り、机の上に用意されている朝食をちびちびと食べていると、横から女性がコップにリンゴジュースを入れてくれました。

「急がず、慌てずよく噛んで食べるようにね~」と、優しいのほほんとした声に短く「はい」と答えました。

 リンゴジュースを入れてくれた女性の正体は、綺羅翡翠(ひすい)さんです。綺羅ツバサと成った私の母親に当たる人物です。

 この人も美人です。綺羅ツバサの母親なのですから当たり前なのでしょうが、つり目と反したとても包容力のある女性です。

 

 朝食を食べ終わり、歯を磨いていると玄関の方で「いってきます」という声が聞こえました。多分、父親が会社に向かったのでしょう。つまり、私が家を出る時間も少しずつ迫っているという事です。 

 父親は大手の社長らしいです。五代目と言っていたので結構昔からある会社なんじゃないでしょうか。ですが、家はそこまで大きいものではなく、中の扱っている家電などに力を入れています。

 

「ツバサ~、貴方もそろそろ制服に着替えて学校へ行く準備をしなさ~い」

 

 ゆっくり歯を磨いていたら母から注意されてしまいました。それでは、さっさと流して部屋へ戻りましょう。

 

 

 制服を着て部屋にある鏡で私の姿を確認してみます。かる~くポーズ何か決めていると、ツバサが何故A-RISEというスクールアイドルトップのグループで不動のセンターでいられたのかを嫌でも自覚できます。

 まず、体から滲み出るオーラがそこらの人とは違います。そして、何か人を惹きつける魅力のようなものが備わっていると思います。

 前世に在った英霊同士が戦う物語風に言えばカリスマB~Aであったり、魅了Aというところでしょうか。

 

 そんなことを一人でしているとスマホのアラームが鳴り、家を出る時間であることを教えてくれました。

 それでは、学校へ向かいましょう。

 

 

 

 数駅を経て駅から歩いて学校へ着いた私へすれ違う多くの生徒たちが挨拶をしてくれます。

 教室へ入ると、クラスの男子の視線が集まるのを感じます。一部はばれてないと思っているようですが、女性の体となり前世のアイドル時代よりも視線に敏感になった私には通用しません。

 わかりますよ、女性を凝視しているのはカッコ悪いと思うのはね。そういう興味ないですよっていうアピールして硬派気取るのは結構前世もいましたからね。

 

「おはよう、ツバサ。相変わらず人気者ね」

「おはよ、奏。ふふっ、そうかしら。」

 

 明らかに高校生とは思えない色気を放つのは速水奏。この高校へ入り仲良くなった女生徒です。彼女は人を引き付ける魅力のようなものを纏っています。

 アイドルや女優になれば瞬く間にその階段を駆け上がり、トップアイドルや主演女優に成れるでしょう。前世で多くのアイドルや女優、俳優、芸人を生で交流し見てきた私が言うのだから間違いありません。

 

「そうだ、ツバサ。テレビとか見ない貴方は知らないかもしれないけれど私、アイドルやってたのよ。今度のライブのチケット一枚上げるから見にこない?」

「へ……?」

 

 

 

 

 その後SHRが終わり、奏から先ほどの事を細かく聞きました。彼女は少し前から美城という大きな企業のアイドル部署でアイドルをしていたようです。すでにデビュー曲なども出していたようですが、私にはもっと有名になってからビックリさせてやろうと思って黙っていたとのことです。

 

 それくらいしないと、貴方と釣り合わないと言われたのはよく意味が分かりませんでしたが、奏のことですからそういうこともあるとは思ってはいました。

 そして、今度ある美城プロダクションの主催する大きなライブに出ることが決まり私に見てほしいという事らしいです。つまり、彼女の有名と言うラインを越えたという事なのでしょうか。

 

「……ツバサ、話を聞いてる?」

「ああ、ごめんなさい。考え事していて聞いてませんでした。」

「素直に謝ったし、許してあげる。もう一度言うわよ。今度のライブ来る?」

 

 奏は聞いてはいますが、その目は当然来るわよねって悠然と語っています。まあ、答えは決まっています。

 もともと、予定もありませんでしたし、行くことにしましょう。殆どの事にやる気がない今、こういった刺激を受けるのは良い事でしょう。そして、此方のアイドルがどういう存在であるのかにも興味あります。

 

 ……アイドルと聞いてやはり、少し高揚した気分にもなるのは未練でもあるのでしょうか。あの日に今世におけるアイドルは切り捨てたと思ったのですが。

 ツバサの体がアイドルになり、多くのファンを魅了することを求めているのでしょうか、それとも俺が再びあの舞台の上で、多くの民を興奮させ、活力足りうる存在になる事を求めているのでしょうか。

 今の私にはその答えを出すことはできません。多分、今度のライブで分かるかもしれませんね。

 

「ツバサ……来るわよね」

「行きますよ。どうせ家に居ても勉強や軽く体を動かすくらいですし」

 

 私がそう言うと奏はほっと胸をなでおろしているようでした。おそらく、大きな舞台に立つ自分を見せたかったのに私がなかなか答えないので不安になったのでしょう。

 

 今日は、授業の合間の休み時間であったり、昼休みは奏とライブの事ばかり話していました。他のアイドルの事を聞いた時に若干不機嫌になりましたが教えてくれました。

 確実に自分より上のランクにいるアイドルでステージ上(強調)の高垣楓と言う女性を奏は少し尊敬しているようですね。

 

 本人はそうでもないって言ってますが、言動の端々にそれが見て取れました。ただ、川島瑞樹さんというアナウンサーから転向していたり、楓さんのように二十台過ぎてからモデルから転向など、美城というところは中々チャレンジャーなようです。それにそうした年齢を跳ね返す才能を持つアイドルの卵を発掘している辺り、プロデューサーの目の確かさが伺えます。

 ただ、大きい会社の力でゴリ押しているようなところとは違うようですね。話を聞いた限り奏を任せても大丈夫そうですね。

 って、奏の父親にでもなったつもりになっていたようです。彼女自身が決めたことに口を出すのは野暮というもの。彼女の成功を祈りましょう。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「それじゃ、私は直接事務所へ向かうわ。寄り道してはダメよツバサ」

「貴方は私の母ですか」

「ふふっ、それじゃあ」

 

 奏と駅で軽口をたたいて挨拶をして駅で別れました。

 それにしても、あの奏がアイドルですか……ポテンシャルはあるとはいえ、奏は少し変わっているのでどうやってスカウトしたのか気になりますね。

 あの子が自分から応募するのは考えにくいですし。あ、あの人……

 

「そこの貴方。何かお困りですか?」

「えーと、うん。ちょっとねーストラップ落としちゃってね」

「どのようなものですか。手伝いますよ」

 

 私がそう言うと、色素の薄い髪色をしていて、奏でにも勝るとも劣らない可愛さを持っている女性は困ったように顎に手を当てると

 

「気が引けるけど、お願いしよ~かな~」

「困ったときはお互い様です。どういった形状なのでしょう」

 

 さて、探しますよ。昔っからこういう人助けは好きなんですよね。何というか、救われている人を見るのが好きと言うかなんといいますかね……

 あれ、これって探している奴じゃないですかね。持って行ってみましょうか。

 

 

◇◇◇

 

 

「あっ、これだよ~。ありがとね。助かったよ!」

「いえいえ、見つかって何よりです」

「そう言えば、自己紹介してなかったね~。あたし、塩見周子。シューコって呼んでいいよ~」

「そうでしたね。私の名前は綺羅ツバサ。気軽にツバサと呼んでくださいね」

 

 周子ちゃんですか。彼女も変わってはいますが、人を魅了する資質はありますね。何でも飄々とこなして、周りをからかったりするタイプなのでしょうか。

 まあ、深く付き合っていないのでよくわかりませんが、奏と言い、周子と言い私はそう言った女性と知り合う運命に今世はあるようですね。

 

「ふ~ん……奏の言ってるのはもしかしてツバサの事かな~?」

「奏を知っているんですか」

「何を隠そうシューコちゃんはアイドルなんだよ~。それで事務所が奏と一緒ってわけ」

 

 なんと……彼女も美城のアイドルで奏と知り合いとは世間は狭いものです。




 批評などあると思いますが、読んでいただいてありがとうございます。
 感想などありましたらよろしくお願いいたします。

 文字数は次回以降増えることはないと思います……。劇的に減ることはあると思いますけど。

 二次創作口調が難しい……
 後、主人公が丁寧すぎるかな。もっと砕けたほうがいいですかね。



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