とある魔本と上条当麻   作:狸舌

4 / 6
エルクの特性

「―――――とうま、お味はどうかな?」

とあるアパートの一室。ちゃぶ台を挟むように向かい合いながら問いかけるのは2週間ほど前に出会ったばかりの銀髪の少女。

以前と違う点は綺麗になったワンピースと、額の石を隠すように巻かれた紅の布。

あいかわらずどこかネガティブな発言はあるが、自然な笑顔も見られてきている気がしていた。

でやけに美味い野菜炒めを買い換えたばかりの青い箸で口に運びながら、あの戦いの終わりから現在にかけての状況について上条は振り返る。

 

 

 

 

 

あの戦いの後すぐに気を失った上条が、次に目を覚ましたのは市立病院のベッドの上だった。

体を起こし、胸部からビリビリと伝わる痛みに顔をしかめながら周囲を見渡す。

幸い、デジタルの壁掛け時計からすぐに今日が戦いの翌日の正午であることは分かり、次に彼女の姿を探す。

しかし近くにあの銀髪の少女の姿は無く、視線をさ迷わせた末に包帯の巻かれた自分の右手を見下ろす。

レイシアは無事なのか、自分はどうやってここへ運ばれたのかなど浮かび上がってくるいくつかの疑問。

それを晴らすため、まずは枕元に置かれていたナースコールを押そうと手を伸ばし

 

「この部屋だな。・・・おお当麻!、良かった目が覚めたのか。思っていたより元気そうじゃないか。さすが、体の頑丈さは父さんそっくりだ」

「あらあら刀夜さんたら。このあいだ車に轢かれかけて鼻の下を伸ばしながら女性ドライバーさんと電話番号を交換したことを思い出しているのかしら」

部屋のドアを開け、息子が大怪我を負った割には明るい上条刀夜と、恐らく見舞いの品である果物の入ったバスケットを振りかぶった上条詩菜―――隣県で暮らしているはずの両親が入ってきた。

「父さんに、母さんもどうしてここに」

「どうしても何も息子が大怪我をしたんだ。病院から電話をもらってすぐに出てきたからに決まってるじゃないか」

「この子から話は聞いたわ。当麻さんたらまた女の子のために頑張ったみたいで、どうしてこんなに父さんに似てしまったのかしら」

この子。そう呼ばれ両親の後ろから出てきたのは綺麗になった空色のワンピースを着た銀髪の少女。

何故か申し訳なさげに俯く少女。だが、ひとまず無事であったことに上条は安堵の息をつく。

「なんでもレイシアちゃんを通り魔から逃がすために囮になったはいいものの、返り討ちにあった挙句商店街に野ざらしにされたんだって?もうすぐ警察の方が来るそうだからちゃんと話すんだぞ」

ピクリと肩を震わせる少女の顔から、なんとなく少女の表情にも予想がついた。

大方、両親に嘘をついていることへの罪悪感でも感じているのだろうと予想し、フォローするように上条も口を開く。

「まあ、それだけやっても返せないだけの借りがレイシアにはあったんだ。動かなかったら俺はきっと後悔してたよ」

「とうま・・・、そんなこと―――」

「ルームシェアしてるんだ。そりゃあ、ズボラなお前のことだから借りなんていくらでもあるだろう」

「・・・はい?」

「高校生のうちからそういうのは早いと私は思うのだけれど、今時の子は当たり前なのかしら?」

俯いていた少女が瞳を潤ませながら両手を合わせてこちらを拝む姿に、ようやく彼女が罪悪感を感じている相手が自分だと気付く。

魔界から来た彼女には住居どころか戸籍も無いのだ。おそらく何らかの理由で両親と合流した彼女は自分の身分を説明するためにどこかで聞きかじったルームシェアという言葉を使ったのだろう。

(といいますか。うちは学生寮だぞ、おかしいとは思わないんですかねこの夫婦は)

「お前の着替えをとりに行った時に管理人さんも『いま流行りのあれだろう。知ってるよ、確か先月ぐらいから暮らしてた気がするなぁ』なんて言っていたし、どうして早く教えてくれなかったんだ」

(管理人さん、先月出来ちゃった結婚で退去していった佐藤さんと記憶が混じってるじゃねえか‼)

御年87歳。定年をとっくに過ぎたご老人の顔を思い出し、心の中でツッコミを入れながらも今後の事について考え表情を暗く変える上条。

刀夜も表情を厳しいものに変えて言葉を続ける。

「とはいえ、規則は規則だ。あの部屋には入居者は一人だし、当然男女が一緒に暮らすなんて話が通るはずもない」

当然だ。問題が起きて困るのは上条とレイシアだけではない。そのことを言う前からしっかりと理解した様子の息子に、ふっと表情を優しいものにもどす刀夜。

「だから二人で住めるよう新しいアパートは用意した。荷物もお前の入院中には運び込まれてるはず」

「はぁ!?んな簡単に、・・・」

自分たちに都合が良すぎる。あまりに物分かりのいい父に驚き思わず身を乗り出すその肩を押さえ、無理はするんじゃないと笑う刀夜がさりげなく耳元で

『レイシアちゃん、訳ありなんだろう?』

『っ、それは・・・』

『良いさ。お前の父さん何年やってると思ってるんだ。細かいことは気にせず、お前はあの子を助けてやれ』

 

 

 

 

 

 

 

あのあと、すぐに『母さんと付き合うために似たようなことを昔したんだ。いやぁ、あの時は吸血鬼を斬った呪われた刀をめぐって3ヶ月は―――』などとのろけ始めた父が手配してくれたのがこのアパートだ。

ややくたびれた外観ではあったものの警備システムはそれなりであり、父が気を使ってくれたことが良く分かる。

「とうま・・・やっぱり美味しくない?」

「‼いや、美味いって。いやぁ、やっぱり人が作ってくれた料理は自分で作るより美味しいですなぁ」

「作ったのは魔物だけどね」

この少女。たまに自虐的なツッコミを入れてくるので少し怖い。

「あっ、そうだとうま・・・ちょっと買わなきゃいけないものがあるんだ。・・・お父様からいただいたお金を使うのは申し訳ないんだけど」

「ん?ああ、気にすんな。父さんだってそれはレイシアに、って渡したんだ」

少し頬を染めながら、口元を押さえて申し訳なさそうに話す少女にそう笑い返す上条。

良かったとはにかむ姿に、ふと

「それにしても、何か買うものなんてあったか?この前の買い出しでだいたいそろったと思ったが」

首を傾げると、体面に座るレイシアの顔が急に赤く染まる。

その小さな口を開こうとして、耐えるように一度引き結ぶ。

ぎゅ、と目を閉じ、そして

「あの、・・・お母様が一緒に一週間分は買いにいってくれたの。でも・・・お洗濯が間に合わなかったり・・・するから。その・・・ぱ―――――」

「すいませんでしたああああぁぁぁ‼この上条当麻が全面的に悪いのでどうかそれ以上は‼」

ワンピースの裾を強く握りしめながら言われれば嫌でも理解してしまう。

この場合早めに理解したおかげでセクハラ野郎という最低ラインは越えずに済んだことが幸いで・・・

赤面する少女と野菜炒めをかき込む少年が買い物に出たのはそれからすぐの事であった。

 

 

 

 

 

 

 

モチノキ町で買い物と言えばモチノキデパートが良いだろう。そう話し合い、二人はのんびりと徒歩で向かっていた。

この2週間、魔物の戦いについてや本と心の力、術についての情報共有は終わっているため今はどちらかと言えば人間界についての話題が増えてきている。

「やっぱり何回見てもびっくりしちゃうよ。このくるま?って乗り物こんなに速いのに、ぶつからないんだもの」

「魔界にはこういう乗り物は無いのか?なんつーか、馬車とか・・・竜とか」

ファンタジーならそういう感じだろうかと口にした上条に、とんでもないとブンブンと首を振る。

「竜族に聞かれたらとうま灰にされちゃうよ。この戦いにも竜族の――――」

「っと、悪い。そういえば来月の食費をついでに下ろさなきゃいけないんだった」

ふと視界に入った甲虫銀行の看板に、財布の中身を思い出す。

「でも、お父様からいただいたお金があるよ。これで買った方が」

「さっきも言ったろ、それはレイシアが使うべきだって。父さんのヘソクリらしいし、稼いだわけでもない俺が言うのは変だろうけど使ってくれた方が父さんも喜ぶって」

父が彼女に渡したお金は彼女が使うべきだ。というわけで銀行のATMを使うために進行方向を変えて甲虫銀行へ向かう。

ちょうどいい、思ったよりも外の気温が高くじんわりと汗もかいてしまっていたところだ。

レイシアも口には出さないが未だ慣れない騒音や臭い、アスファルトの照り返しにより少し疲れているように見える。

体調を確認するように隣の少女の表情を見ながら、音を立てず開く自動ドアを抜ける。

「校則で禁止されてなきゃバイトだってできるんだけどなぁ。うちの学校服装は緩いのにそういうところは妙に―――――――‐」

カチャッ、と。固いものが額に当てられる。

「クソッ、だから早くシャッター閉めろって言っただろうが‼」

確認していた少女の表情があわあわと唇を動かしながら青白くなっていく。

ゆっくりと少女から視線を移せば、長く黒い引き金の付いた棒を構え脂汗をかきながら焦ったように声を上げる男の姿。

どう見てもそれは銀行強盗以外の何者でもなく。

「不幸だ・・・・」

少女を巻き込んでしまったことを後悔し、申し訳ないと思いながらも口癖となっている言葉があまりの理不尽につい口から漏れてしまった。

 

 

 

 

男に銃で誘導されながらつれて行かれたのは人質達の集まる一角。そこに座りながら辺りを確認すると、老人から中学生ぐらいの女の子まで人質はいるようで、当然ながらその表情は暗い。

「っ、金をとったらすぐに逃げる筈だったんだ‼テメェらが早く金を用意しねえから警察が来ちまったじゃねえかよ‼」

上条たちが入った直後に警察が来たのだろう。サイレンの音はここまで響いており、その音に苛立った犯人は近くにあった椅子を勢いよく蹴り飛ばす。

(あいつら、包囲され始めて焦ってやがる。シャッターをしめるのももう諦めて、顔もさっきから平然と出して逃げ切る事も諦め始めてるってことは)

最悪だ。見る限りだいぶ頭に血が上っている男の姿に冷や汗が背中を伝う。

「近づくんじゃねぇ‼・・・・・近づくなって言ってるだろうが‼‼」

入口から外を眺めていた犯人がわめき散らしながら外へと銃口を向ける。

その次の瞬間、ドッ‼と想像よりも重い音が鳴り重い物が倒れる音。続いて怒号と悲鳴が銀行の外で鳴り響く。

「へへ、ざまぁみやがれッ。どうせ俺たちはもう逃げられねえんだ、テレビの前でてめえらみんな殺して、俺たちも死んでやらあ‼‼」

(ちくしょうが・・・このままじゃあ全員本当にやられちまう)

人質の数の多さから、日本の警察がすぐに踏み込んでくるとも思えない。

 

「泣いてんじゃねえ、さっきからテメエの声がずっとうるせえんだよ‼」

怒声に顔を上げると、先ほど自分を誘導した男とは違うもう一人の男が中学生のような少女に銃を突き付けていた。

思わず立ち上がりかけた体を、何とか止め頭を振る。冷静に動かなければいけないが、時間は無い。

少女へ怒鳴り続ける男に拳を強く握りしめ

(どうすれば――――)

そのとき、ギュっとTシャツの袖を握る小さな手に気付く。犯人を刺激しないよう、静かに首と視線を動かし振り向けば不安げにこちらを見つめ返す少女の瞳とぶつかる。

袖を引いたのは何かの合図と言うわけではないのだろう。不安なときにする、ここ2週間でも何度も見られた光景だ。

(奴らは本気で彼女を・・・俺たちを殺す気だ。自分たちに後がない事と極度の興奮で完全に頭に血が上っちまってる)

犯人は男二人。先ほど上条を誘導し、さらに外に発砲した男がショットガンを一丁持ち人質側から見て右側で外を警戒している。対して、もう一人の男がショットガンを右手、ハンドガンを左手に持ち少女を怒鳴りつけながら人質の動きを警戒するように上条から見て右斜め前に立っている。

周囲をさらに見渡し、少女に銃を向けた男に感じたある違和感。そして、すぐ後ろに立てかけてあった普段順番待ちに使われているのだろうパイプ椅子を見つけ、一つの作戦が上条の中で浮かび始める。

覚悟を決めるように静かに、大きく息を吐きパートナーへと後ろ手に指でサインを送った。

 

 

 

 

 

人質を監視する立場の男は相方に比べ寡黙であったが、内心では大きく荒れていた。あっさりと顔を見られ、おそらくすでに警察に身元がばれた相方のためにどうして自分も人質共と心中しなければならないのか。

もちろん死ぬ気などない。いざとなれば、チャンスが来れば相方を置き去りにして逃げる方向に彼の気持ちは傾いていた。

相方へのアピールのために少女へ銃を向けてはいるが引き金に指はかけておらず、万が一捕まった際の罪を増やさないよう計算している。

そしてもとより多くの人質を一人で監視しなければならない関係上、必ず監視しきれない一角が存在する。だからこそ

――――――――自分の側頭部を目がけて凄まじい速さで飛ぶ、銀色の光を帯びたパイプ椅子に気付くことができなかった。

ゴヅッ、と鈍い音を立ててぶつかった椅子と共に男の体は5m以上吹き飛び、いとも簡単に意識と共に両手から二丁の銃を手放していた。

 

 

 

この二週間で検証した結果、まず第1に術は小声で唱えても発動はする。第2にエルクと言う呪文は突き進むために邪魔になるものを魔力の限り押しのけようとする。空気はもちろんぶつかった対象も押しのけるための力が働く。結果が今吹き飛んだ強盗である。

 

響いた音に勢いよく振り向いた2人目の強盗。椅子を全力で投げ飛ばし終え、彼に向かってすぐに駆け出した上条はすでに距離を数歩の位置まで詰めていた。

「っ、てめえか、ふざけた真似しやがって‼・・・死ねやクソガキ‼‼」

だが、当然銃を向けてしまえば弾丸の方が速い。

間に合わない。胴体へ向けて銃身が向けられる。

人質の中から上がる悲鳴。凄惨な光景を見ないために目をつむるものや、手のひらで隠す者がいる中。

銀色の髪の少女だけは目を逸らさない。先ほど上条から送られたサイン。

親指と小指、それぞれを一度上げただけの簡単なそれは『自分の持った物』『敵の武器』を示すサイン。

よって、彼女が今見つめるべきは

「『エルク』‼‼」

銀行強盗の持つショットガン。エルクのもう一つの特性。干渉を受けず突き進むという特性上の利点であるそれは術をかけられた対象が内から形を変えること以外、外界からの衝撃や圧による変形を許さない点である。

人差し指を引き、馬鹿なガキを殺してやったと浮かべかけた笑みもガジッ‼と引き金に指を弾かれればすぐに消える。

「・・・ッ、なんなんだよコイツは‼なんで銀色に光って――――――」

つい反射的に銃を見下ろせば、銀色に淡く光るその光景に驚き、叫び

硬い床石を強く踏む音が眼前で響く。

対峙していた少年を思い出し、焦り顔を上げようとした瞬間――――‐ゴギャ‼‼と骨と骨がぶつかり、擦り合わせられたような音と共に重い衝撃が彼の顎を打ち上げた。

 

 

 

 

 

「・・・おお、・・・おおおおおおおおぉぉっぉ‼」

最初に叫んだのは誰だったのか。2人目の銀行強盗が倒れた瞬間、歓喜の歓声と死の恐怖から解き放たれた故の泣き声が響いた。

何人かの男性職員が犯人たちを取り押さえるために紐などを持ち出し、また歓声を聞いた警官隊が突入してくるとようやく張りつめていた空気が弛緩していく。

歓声をどこか遠くに聞きながら立ち尽くす上条の中で、ドッと今更ながらに心臓が早鐘を打ち始める。

もし椅子が外れていたら。犯人がすぐにショットガンを諦めナイフを出していたら。

考えられる失敗の要因はあり、勝率はあったが絶対に確実な策とは呼べなかった。

心臓を押さえながら、レイシアの姿を探すために動き出そうとするとドンっと腹部へぶつかる衝撃に足が止まる。

そこにいたのはカチューシャを付けた優しそうな顔をした中学生の女の子。

「えっ、と・・・」

「お、おなか‼撃たれてないですよね‼?あな・・・開いてない、うわーーーんよかったあ‼」

ペタペタとショットガンを向けられた腹部を確かめる少女に慌てて手をふり

「だ、大丈夫ですよー。なんだか弾詰まりしたみたいで、いやー上条さんの幸運に感謝ですわほんと」

ショットガンに弾詰まりなどあるのかは知らないが、目の前の少女にこれ以上心配をかけぬよう努めて明るく話す上条。

そこへ、銀行職員から事情を聴いた警官たちが近づいてくる。

「君が犯人を気絶させたそうだね。無茶な真似だし、被害を拡大させる危険だってあったんだ、あまり褒められたことでは無いのは分かっているね」

「はい・・・。すみませんでした」

しっかりと頭を下げ、謝罪する。無茶をした自覚はあるのだ、それに術の事を説明できない以上外から見ればなおさら無茶な行動にみえるだろう。

「でも・・・正直なところ我々も手が出せなかったんだ。君だけを責めるつもりもないし、僕個人としては君にお礼を言いたい」

ありがとう、と自分の父親ほどの年齢の人に頭を下げられれば、妙な気恥ずかしさと申し訳なさに慌てて、頭を上げてくださいとしか言えず。

「とりあえず、君の証言が欲しいから申し訳ないんだけど署まで来てもらってもいいかな?」

「えーと、連れがいるのでそれからでも良ければ。にしてもレイシアの奴どこに――――」

ここ最近で見慣れた銀髪を見つけようと視界を巡らせていると

「とうま・・・」

小さな声。そちらを上条が見るとそこにはなぜか不機嫌そうにこちらを見る少女の姿。

「どうして女の子に抱き着いてるの?」

そう言われてようやく未だにカチューシャの少女が体にぴたりとくっついていることに気付く。少女の方も全く意識しておらず、平和な笑みを浮かべているがレイシアからするとどこか面白くないらしい。

「いや、抱き着いてなんかいないぞ。ケガがないか見てくれてただけで・・・・」

徐々に、ゆっくりと銀髪の少女の顔に赤みがさしていく。なんだかだいぶ前に感じる数時間前の一騒動で見たような、とそこまで考えてあることに気付く。

「っ、まって下さいレイシアさん‼それはさすがにマズ――――――」「――――――早く一緒にわたしのパンツを買いに行こうよ、とうま」

 

 

空気が凍ったように上条は感じた。

ただ、買い物に行きたかっただけの言葉だろうが、周りが聞くとそれは中学生程度の容姿の純粋な外国人の少女につけこみ一緒に下着を買いに付いて行こうとする高校生の男という関係を想像させる。

「・・・・署まできてもらっていいかな?」

先ほどの優しい声音はどこへ行ったのかと聞きたくなるような警官の声に思わず口元が引きつる。

なんというか、これは・・・あまりに―――――

 

「不幸だあああああぁぁぁぁ‼」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。