幻想郷に移住してから50年の歳月が過ぎた。
そろそろ別居を提案しようと思っている。
この50年で咲夜ちゃんに農園を委譲したから、私が居を移しても何の問題もない程に廻っている。
なので、今日にでも提案しようと考えている。
「アズマさん、お昼が準備できました」
「ありがとう、咲夜ちゃん。それなりに大事なことを言いたいから、大食堂に全員集まるように言ってもらえるかな?」
「わかりました」
咲夜ちゃんは良い子だなぁ。
とは言っても、確実に混乱するだろうね。皆。
私もそろそろ所帯持たなくてはね。
天羅にも、巌蔵爺さんにも先を越されたから、流石に5263歳まで恋愛経験も、付き合った経験も無いのは不味いと思う。
とは言っても、良い人なんてそうそう居ないだろうけど。
考えている間に大食堂前まで到着したみたいだ。
中に入ると全員揃っていた。
「食事の前だけど聞いてもらいたいことがある
──私は紅魔館を出ようと思ってる」
「ちょッ!お父様!?」
「突然なにを言ってるんですか東さん!?」
「…………」〈飼い主に捨てられた子犬的表情
「あちゃー」
「おとぉさま!?」
「アズマ……」
六者六様の反応を見せてもらったが、私はそろそろ番──お嫁さんを貰わないと色々と不味いと思っている。
なので、先ずは幻想郷内から探して、それで無理ならば外の世界を回ろうと思っている。
私もそろそろ腰を据えようと思っており、それなのに妻が居ないのは少しばかり寂しいものなので、(番探しの)旅に出ようと思っているのだ。
「まあ、最後まで聞いてくれ」
『………』
「私もそろそろ歳だからね、何処かに腰を据えようと思ってるんだ───」
「それなら、此処に住んでても良いじゃない!」
「レミリア。話は最後まで聞くものだよ。
それで、お嫁さんを探しに行こうと思ってるんだ。とは言っても、見つけたとしても紅魔館には戻らない予定だけどね。私だって、新婚生活は新居で迎えたいからね」
『…………』
「だから、私は紅魔館を出ようと思ってるんだ。もちろん、お嫁さんを見つけたら幻想郷に戻るつもりだし、幻想郷内で見つけられるに越したことはない。けれど、少なくともこの館にはそう言った対象はいないし、今まで師事してた者達の中にも居ないからね。だから、旅に出ようと思ってるんだ」
「まあ、東さんに今後会えない訳では無いみたいなので、私は構いませんが、式には呼んでくださいね」
「…………」〈能面のような無表情
「初夜には是非、私特製のびや……ん゙ん゙。薬を使ってくださいね。いつでお渡ししますよ!」
「用事が出来たら使います……いえ、
「おとぉさま結婚するの!? 私もお嫁さんやりたい!!」
「………フラン。お父様、結婚の際は必ず招待してください。それと、良い人が見つかることを願っています」
この流れで食事をするのは厳しい。何が厳しいかと言えば、咲夜ちゃんの表情が厳しい。具体的に言えば、今にでも人を殺りそうな顔をしている。
私は逃げるべきだ。と、本能が警笛を鳴らしている。
「…………善は急げ。と、言うからね。私は此れから荷物を纏めよう。すまないが、食糧を幾らか貰っていくよ」
「………ッ! わ、わかったわ。道中(特に咲夜に)気を付けると良いと思います。ハイ!」
「ありがとう。では、私は失礼するよ」
久し振りに感じた死の気配が、可愛い妹分だとは………思いたくないが、紅魔館に帰ったときにナイフが飛んでこないことを祈ろう。
それと、咲夜ちゃん。
女の子がそんな殺気を滲み出させるのは正直なところ、お兄さんは反対だよ。
喩え、私を異性として好意を寄せていて、
それはそうと、先ずは豚、牛一頭と鶏三羽、野菜を一ヶ月分に果実を二週間分、魚を50㎏、米を300㎏巾着に(牛と豚、鶏に魚を)加工して放り込んで、
障らぬ
「戻ったら覚悟してくださいッ!!」
聴こえない。ナニも聴こえない。
咲夜ちゃんの声なんて聴こえないったら聴こえない。
「はぁ。出だしが悪いと結果も悪くなりそうだ、ッと!」
作中に出てきたアイテムの説明
①魔法の巾着
入れ口がほぼ無限に拡がる。また、内部が四次元空間になっているため、ほぼ無限に収納できる。
アズマが遊び半分で創っていたが、パチュリーからすれば仰天もの。
②魔法の風呂敷
包んである重箱に入るものなら、幾らでも収納が可能。また、収納してある物を自由に処理できるため、衣服の浄化に便利。
段毎に機能が変わる。
例:乾燥、浄化、保温・保湿など
あと、次回で(開始早々)旅が終わります。
旅の間は約、3日となっているので、旅の間は書く予定がありません。まあ、濃密な設定は組まれてますが。
例えば、鬼子母神と喧嘩したり飲み合ったりとか、風見幽香に追いかけられたりとか