絶望に反抗した結果、生まれ変わりました。 作:ラビリンス・ペンギン
これまでも捏造はありました。これからもあるかと思われます。
それでは、今回もよろしくお願いします。
「花ちゃん、本当に私が決めていいの?」
「はい。私はそういうの、良くわからないので…。」
ドレス類を専門とするデザイナーである義母さんに卒業式に着る服の選択を任せる。俺としてはあまりゴテゴテしたものは着たくないが、任せた方が良いだろう。
学校ではインフルエンザが流行っている。2年生と5年生は学級閉鎖、3年生が学年閉鎖となるまで追い込まれたこの状況で、人が集まる卒業式を実施しても良いのか、という声が上がっているらしいが…仕方ないよな、卒業式だし。
この時期のインフルエンザはまさに旬だからな。
ニュースを見ると、学級閉鎖に学年閉鎖。しいては学校閉鎖まで流れる始末。
そんな状況じゃ仕方ないと思うが…それに、肝心の6年生は全員無事に学校に来ていたりする。心配することはないが…中学校の方ではインフルエンザで学校閉鎖に成りかけるほどの被害が起こったらしい。
なんでも、ボクシング部の1年生がインフルエンザに気付くどころか体調不良に気付かずに学校に来続け、ていたらしい。
うん。なんとなく誰だか分かる気がする。
この間、京子が不安そうな顔してたし、了平さんだと思うが…京子が無事でよかった。
ちなみに、卒業式は明日。
なんでこんなギリギリまで服を決めなかったのかと言うと、ただ単に忘れていただけだったりする。
義母さんには分からないなどと言ったが、分かる分からない以前に失念していたのだ。卒業式に普段とは違った服を着るのは卒業生だけで、在校生代表として出席する5年生はいつもと同じ私服で出席だったため…言い訳だが、普段着で良いかと思っていた。
それが、今日の学校での児童間の話で思い出したということだったりする。
義母さんの鼻唄が遠くから聞こえてくることから、派手なものにならなければいいなと思った。
卒業式当日。
俺は、義母さんが選んだらしい、派手すぎない落ち着いた清楚なものを着た。
まさか前夜にお願いして今日着れるとは思わなかったが、それは義母さんに感謝だろう。
義父さんは、無理矢理有休を取ったらしく、朝にソファの上で屍となっていた。…いろいろと申し訳ないな。
学校に行くと、卒業生の胸元につける花を在校生につけてもらい、気が付くと卒業証書を授与され終わり、退場していた。
男子はそうでもないが、女子は涙を流す子が多かった。京子ちゃんも少し涙ぐんでいたが、周りの男子がそれをみて顔を赤くしていた。…男子、落ち着けよ。
担任の先生は、卒業生を初めて持ったらしく、感極まっている。
それを、なんとも言えない気持ちで俺は見ていた。
…実感がわかないのだが、それが普通なのだろうか。
義父母は急な仕事が入ってしまったらしく、電話に怒りながら話した後、俺に謝って帰っていった。
つまり、俺一人の帰り道だが…
家に帰る途中、何かが落ちていた。
青色でチェックの柄がついている…財布。
名前は書いていないかと見てみると、そこにはしっかりと
沢田綱吉
と書かれていたが、残念ながら沢田という知り合いはいないため、交番に届けた。
帰ることが遅くなってしまったが、交番の警察官にはお菓子をもらった。
お菓子といっても、ケーキ屋さんで売っているクッキーだ。1枚で100円はする少し高めのクッキー。
小学校を卒業した俺は、これからの医者への道のスタート地点にもまだたどり着いていない。これからが頑張り時だろうな…そう、思った。
次回からは原作沿いとなります。