絶望に反抗した結果、生まれ変わりました。   作:ラビリンス・ペンギン

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捏造ドラゴンボール要素少し強めです。


小学生編
そして黒川花になる。


朝目が覚めると、俺は外を見る。

それは、“昔”から変わらない習慣だった。

 

 

太陽の光を浴びて、外の景色を見て…そして、修行に明け暮れる。朝見た景色が変わっていないことを確認して明日もまた頑張ろう…そう思っていた。大切なものはなくしてから気づくってのは本当で、だからその日その日を目に焼き付ける、それが見られなくなってしまわないよう…

 

雀の囀りが鼓膜をくすぐる。

 

俺がいるのは、属にいう孤児院というところで、俺は俺を引き取りたいと言う物好きな夫婦と面会するために別室で待っていた。

子供らしい無邪気な姿はどうしても演じられず…俺は一人静かに本を読んでいるタイプだった。…少しでも医者に近づけるように、知識を蓄えることは怠らなかった。大人が来ても愛想1つ振り撒こうともしなかった俺を引き取ろうということなのだから、物好きと言っても良いだろう。

 

昔は無邪気に笑っていたのに、戦闘に明け暮れる日々のせいで大分すれてしまっているのを感じる。きっとお母さんが見れば気絶するだろうと確信できるレベル。笑顔だって、意識すれば引きずっている。

 

 

 

 

「こんにちは、花ちゃん。」

 

「こんにちは。」

 

「今日は、花ちゃんにプレゼントを持ってきたんだ。」

 

 

ガサゴソと紙袋の中から綺麗に包装したものが出てくる。俺は人の気配には敏感で、この夫婦が心の底から笑っているのは感じ取れる。俺はプレゼントを受け取ると、開けてみてと微笑む女性に促されその包装を外した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから月日は過ぎ、俺はその夫婦に引き取られることになった。……あのときのプレゼントの中身は手編みのマフラーだった。…外はしんしんと雪が降り積もっていて、防寒着や防寒具は取り合いになっていたことを知っていたのだろう。

 

紫色の毛糸が主で、緑色のストーンがワンポイントになっているそれは、師匠(先生)を思い出させる。…師匠(ピッコロさん)は肌のほてどが緑色で、紫色の胴着に白いターバンとマントをしていた。小さい頃は、お父さんより不器用だけど近くにいた師匠が好きだった。…でも、そんな師匠も、人造人間から俺たちを逃がすために、囮になった。それから、強くて優しかったお父さんと師匠のようになろうと、俺は紫色の…兄さんは橙色の胴着を着て戦っていた。

 

話を戻して、俺は最低限の荷物を持って車に乗り込んだ。空を飛ばない、浮かびもしない車はビックリしたけど、それがこの世界の普通だと知って納得した。この世界にはホイポイカプセルがない。ブルマさんに原理を聞いていたから作り方も忘れていなければ覚えてけど、ブリーフ博士の作り出したホイポイカプセルがないというのは不便でしかない。

質量保存の法則をガン無視したそれは、荷物をコンパクトに、手軽に持ち歩けるものだったから利便性がものすごく高かった。そのホイポイカプセルがないとなると、そこまでの科学技術が進歩してないってことになる。

 

 

 

「今日から花ちゃんは黒川だよ。黒川花ちゃんだ。」

 

「なにか困ったことがあったら、いつでも言ってね。…これから小学校にご挨拶に行くけれど、いいかしら?」

 

 

 

この世界でのごくごく普通サイズの一軒家。住宅街のなかに位置していて、これから通うことになる小学校も歩いていける距離。……正直なことを言うと、こんな平和に暮らしているのが辛くなる。

俺は、この世界では今度こそ医者になろうと決めた。…でも、学者になることのできなかった(夢を閉ざされた)兄さんのことを思えば、胸が締め付けられるように痛む。

 

 

 

「胸が痛い?」

 

「どうしたの?」

 

 

新しい両親が胸を押さえて俯いた俺を心配する。

それに、俺は笑みを貼り付けて何でもないと言った。

 

そう、どれだけ後悔しても、これはきっと世界を救うことのできなかった俺へ課せられた罰なのだろうから。…お父さんのところへ行けなかったのも、きっととそのせい。いつも足手まといだった俺は、最期の最後まで足手まといで…だから、その罰。

 

 

 

 

俺は、荷物を家の玄関へと置き、学校へ向かうためにもう一度車に乗り込んだ。




黒川花
 ・前世は孫悟鈴という少年。今は少女
 ・親友は笹川京子
 ・記憶を取り戻してからはもしもの時のためにこっそり鍛えている
 ・子供は好きだが、怖がられるため近付かないようにしている
 ・4月20日生まれのA型

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