絶望に反抗した結果、生まれ変わりました。 作:ラビリンス・ペンギン
「え、お葬式…?」
小学校6年生のある日のこと、俺は義父母まで失った────
────なんてことはなかった。
「そうなのよ。親戚の方が亡くなってしまって…。私達、明日から明後日まで留守にするけど、ご飯はしっかり食べるのよ。」
「戸締まり頼むぞ。」
親戚で何方かが亡くなったらしい。俺は、返事をすると見送りをし、そのまま部屋に閉じ籠った。
閉じ籠っていると、二人は勉強していると認識して俺を邪魔しませんモードにはいる。まぁ、勉強していることは事実なので放っといているが、最初は物好きだと思っていた義父母は、一人でもどうにかなりそうな子供を探していたらしい。
…一人でもどうにかなりそうな子供を探す時点で複雑だが、その辺りは個人の認識だし仕方ないな。
さて、俺はこれから何をしようか…。朝突然言われたことだったために見送りで時間をかけてしまったものの、二人がいないとなると修行に当てる時間が増える。当初の予定では1日勉強にあてる予定だったが、体を動かすのもいいかもしれない。
こういった自由に何かをする、という時間が普段はないために余計に何をしようか迷う。きっと、これが普通なんだろうなぁ…。
結局、俺はそのとき思ったことをして1日を過ごすことに決めた。たまにはゆっくりとしよう、そう考えてのことだ。
魚が釣りたくなったけど…この辺りに釣り堀はないし、川魚よりは海の魚が見たい。…釣りはやめよう。
無難に図書館でもいこう。学校からの宿題は終わっているし、たまには時間を忘れるくらい本を読み漁るのも楽しそうだ。
俺は、身支度を整えると図書館に向かった。
図書館はとても静かだった。
何故か倒れる中学生ほどの男が大勢いる廊下を通り、わりと有名な作家の話から手をつけ始める。
京子ちゃんを誘おうかと思ったが、一人もなかなか気楽でいい。
それに、廊下に倒れていた男たちは群れたことによってやられたんだろうし、もしその犯人(…ってこの町で言って良いか分からないが)に見付かりでもしたら何か言われるに違いない。
一人でいる方が何かと目立たずにすむだろう。
そこまで考え、本を選び終わると窓側の日当たりのよい席に向かった。
そこは、日差しがやわらかく、本を読みやすいのだが…どうやら先客が居たらしくその席は埋まっていた。
…綺麗な黒髪に黒い服、二の腕辺りに赤い腕章が見えた辺りから踵を返した俺は悪くない。
別に、緑中受験できないということを根に持っているわけではなく、純粋に近づきたくないだけだ。
俺は、その席からかなり距離のある席を選び、しずかに1日を過ごした。