世の中に たえて光のなかりせば 藤の心はのどけからまし 作:ひょっとこ斎
若獅子戦からしばらく経った頃、塔矢くんが本因坊戦三次予選を突破して、リーグ戦入りを果たした。
ヒカルも触発されて、打つ手に力が入っていた。
私も続きたいところだけど、そもそも三次予選まで行けるかどうか分からない。森下先生ですら二次予選で負ける時も多いくらい、壁は分厚い。
だからといって、歩みを止めるつもりはない。ヒカルに期待外れだと思われないように、ただ横にいるだけじゃなく、ずっとそばで一緒に打つためにも、強くならないと。
気合いを入れたのが良かったのか、ヒカルも私も、大手合いで負け知らずの快進撃で、7月になる頃、二段になった。
ヒカルの家で簡単にお祝いをしながら、雑談が弾む。
「本当にヒカルはずるい。私が帰った後も、佐為に打ってもらってるんでしょ?」
「まあ、毎日打つわけじゃないけどな」
前世でも、佐為が消えたと思われる後も、凄い速度で強くなっていたはず。にも関わらず、今はずっと佐為に教わっているとか、羨ましすぎる。
「あかりは、ネット碁も使って勉強してるんだろ? 佐為は羨ましがってるぞ」
「あはは。佐為は色んな人と打つのが好きだもんね」
「相手がどんなにヘボくても、楽しそうに打つからなぁ」
私も下手だった期間が長いから、あまり上手くない人と打つのも苦痛じゃないけど、佐為のように楽しむまでには達していない。こればっかりは、才能というよりは性格の違いなんだろう。
「時々、一柳先生に打ってもらってるよ。凄く勉強になるの。越智くんとフクくんも、随分と鍛えられてるみたいだし」
越智くんやフクくんが鍛えられるのはいいんだけど、和谷くんの立場だと凄く大変になってる。
ただでさえ伊角さんや門脇さんが手強いのに、越智くんも院生成績だと和谷くんより上だし、フクくんは和谷くんと相性が良い上に強くなってるし。
「そうみたいだな。和谷から聞いたけど、伊角さんも予選受けてるってよ。囲碁をやめてなくて良かったって嬉しそうにしてたぜ」
「へえ。伊角さんが出ると手強いライバルになるけど、和谷くんらしいね」
人によっては甘いと思うかも知れないけど、親身に面倒を見る和谷くんの姿勢は尊敬している。私は当然、ヒカルも院生の時に随分とお世話になっている。
今年のプロ試験、通ったら良いんだけどな。和谷くんが通ったら、しげ子ちゃんと一緒にお祝いのケーキを作ろうって約束している。
でも、お祝いを作るのとは別に、ケーキ屋さんで食べたいとも言っていた。何やらこだわりがあるみたいだけど、恥ずかしそうにしていたから、聞かなかった。いつか教えてくれたらいいな。
そして、プロ試験の本戦が始まる直前の火曜日。森下先生の研究会で、みんなで和谷くんを応援した。
「和谷くん、いよいよ今週からだね」
「おう。去年は厳しかったし、今年も楽じゃねえけど、手応えはあるんだ」
最近、和谷くんは塔矢くんとも打っているし、アドバイスを素直に受け入れている。最初はどんな時でも涼しい顔をしていると思っていたみたいだけど、ヒカルと白熱した言い合いをしているのを見て、認識を良い方にあらためたみたい。
実際、持ち時間が少なくなっても慌てて適当に打つ手は減っていて、しっかりとした打ち筋になっている。
それに加えて、真面目で素直な手が多い中にも、相手の思惑を崩すのも上手い。
「和谷、行洋のせがれとの研究会までしておいて、プロ試験で落ちたらタダじゃおかねえぞ」
「はい」
あはは、と苦笑いしながらも和谷くんが頷く。塔矢くんも一緒の研究会を言い出したのは私だけど、森下先生なりの発破のかけ方だし、余計な口を挟まない方がよさそう。
去年私とヒカルが受かってるし、和谷くんも今年こそ受かろうと凄く気合いが入っている。
どんな組み合わせで、どんな結果になるか分からないけれど、和谷くん頑張れ。
そして、週明け。プロ試験の組み合わせがホームページに記載されたので、学校が終わった後に家でチェックをする。
和谷くんが日曜の2戦目で門脇さんと対局して、負けている。フクくんが伊角さんに負けて、越智くんが足立さんに勝ち。
和谷くんが負けちゃったか、と残念に思っていると、珍しくしげ子ちゃんから電話がかかってきた。
「あかりお姉ちゃん、こんばんは」
「こんばんは。どうしたの?」
「お父さんから、和谷くんが負けたって聞いたの。今年は頑張るって言ってたのに。電話したら迷惑かなぁ?」
「どうかな。私がかけると嫌がるかもしれないけど、しげ子ちゃんなら大丈夫だと思うよ」
森下先生の娘とはいえ、囲碁とあまり関わっていない子からの励ましなら、素直に受け取れるだろう。
そう思ってのアドバイス。
「でも明日もプロ試験があるし、あまり長い時間話さない方がいいと思うよ」
「うん、分かった。ありがとう」
4戦目で伊角さんと越智くんが当たって越智くんが勝って調子を上げていたけど、しげ子ちゃんの応援のかいがあったのか7戦目で和谷くんと越智くんが当たった時は和谷くんが勝っていた。
本田さんが1人だけ全勝だけど、片桐さんに勝ったくらいで、まだあまり実力者とは当たっていない。星の潰し合いは、ここからだね。
そんな感じでプロ試験の結果を追いかけていると、電話で明日美さんから駄目を出された。
「あかりちゃん、結果も気になるだろうけど、自分のことも気にしなきゃ。来週、女流棋聖戦の2戦目と3戦目があるでしょ」
「う。そうだね。でも、毎日ヒカルとも打ってるし、手は抜いてないよ」
「それならいいけどね。和谷といいあかりちゃんといい、冴木さんだって、森下門下の子は進藤を除いてお世話大好きだよね」
「ヒカルを除いてって……」
ああ見えてヒカルも結構優しいし、色々と考えている時もあるんだよ。
でも、明日美さんの言っているのも正しいと思う。私はそこまででもないけど、和谷くんのお節介度合いは相当だよね。冴木さんだって、若手の研究会も勉強になるって言ってるけど、フクくんを含めた院生の練習相手になってあげていたし。
「私も、和谷とあかりちゃんのおかげで実力アップできたし、感謝してるよ」
「明日美さんが強くなったのは、明日美さんが努力したからだよ」
「もちろん努力もしたけどさ。まさか私が塔矢先生の研究会に通えるとは思わなかったもん。で、それはそうと。あかりちゃんはあと2回、私はあと1回勝てば、トーナメント進出だね」
女流棋聖戦は、女流というだけあって人数が少なく、2回もしくは3回勝てば決勝トーナメントに駒を進められる。16人のトーナメントで4回勝てば、挑戦者になる。
「決勝トーナメントまで行けば当たるかもね。お互い頑張ろう」
「うん。私も明日美さんと打ちたい」
「前までは、私なんかじゃ無理だって思ってたけど、アキラくんもリーグ戦入りするし、のんびりしてられないよね」
「うん。リーグ戦入りってことは、塔矢くんは女流の誰よりも強いってことだから。誰と当たっても塔矢くんほどじゃないって思うと、少しは気が楽じゃない?」
「あはは。前向きに考えるとそうだね」
本当に、塔矢くんは別格だ。練習と本番での気迫が違う。森下先生によれば、リーグ戦入りするような奴はもっと凄いって話だし、私も早く強い高段者と打ちたい。
そして迎えた女流棋聖戦の2回戦。かなり時間を使って打つ、あまり周りにいない打ち筋の人だった。あえて言うなら、伊角さんが近いかな。伊角さんよりも緩い手が多く、何度かとがめているうちに、相手が投了した。
そして、昼から続けて3回戦。日程の都合もあるんだろうけど、女流の場合は同日に2局打つ場合もある。
相手は、伊角さんの先輩にもあたる桜野さん。
「私、3回戦まで上がるの久々なのよ。慎ちゃんがいつにも増してプロ試験頑張ってるから、気合い入っちゃって」
「プロ試験に合格しなきゃ、スタート地点に立てないですもんね」
「そうなのよね。まったく、慎ちゃんは実力があるのにもたついてるから、余計に心配になるわ」
やれやれ、とため息を吐く桜野さん。一瞬、色恋沙汰かと思ったけど、どちらかというと心配性のお姉さんといった風情だね。
「プロ試験でも慎ちゃんに勝ったみたいだしもう二段になってるみたいだし、油断しないわよ」
「もちろんです。よろしくお願いします」
そうして桜野さんが先手で始まった対局。無理な手を控えて、じっくりと打ち進める。すると、ヒカルや塔矢くんとは違って、序盤から中盤に入るあたりで緩手が目につく。相手の思惑通りにいかないよう、とがめていく。
しばらく打ちにくそうにしながら模索していたけど、終盤戦に入る少し前あたりで、桜野さんが投了した。
「いやー、慎ちゃんに勝つだけあるわ。っていうか強すぎない?」
「ありがとうございます」
桜野さんは、共通の知人がいるので話しやすい。時々挨拶や雑談をしていたけど、対局するのは今日が初めてだった。
伊角さんのプロ試験についての話題で少し盛り上がった。
いったん自宅に荷物を置き、ヒカルの家に行って勝ったと報告する。
今日は私と佐為が打つ日なので、打ちながら話をする。
「うん、おめでと」
「何だかあっさりね」
「だって、あかりが負けると思ってねえもん」
ふふふ、嬉しいことを言ってくれる。この調子で勝ち続けたいな。
「ヒカル、次はいつだっけ?」
「来週、大手合いだよ。まったく、いつになったら高段者と打てるんだか」
「慌てない。一歩ずつだよ。1年目はだいたい一次予選と、棋戦によって二次予選が始まる程度なんだから」
1年目から二次予選以上の対局が打てるのは、本因坊戦と名人戦だけ。他は、始まる時期の都合もあって、2年目以降になる。
そういう意味では、純粋に対局数が増えるけど、女流ってたくさん打てて有利かもしれない。
「そうは言っても、塔矢はどんどん進んでるし、焦るぜ」
「それを言うなら、私だってそうだよ。ヒカルより先にタイトル取りたいと思ってたのに、若獅子戦で先に取るんだもん」
今のところ、ちゃんとヒカルの視界に私が入っているのは間違いない。だから心配しすぎても駄目なんだけど、だからといって油断していいはずがない。
目標はたくさんある。
間近の目標は女流タイトル。もちろん混合戦も勝ち進みたいし、森下先生と公式戦で打ちたい。それに、唯一残ってくれた名人戦で塔矢先生とも打ちたいし、一柳先生とも打ちたい。
塔矢先生との対局が一番大変。みんな塔矢先生と対局したいから、名人戦のリーグ戦は一番激しい戦いになっている。興味なさそうなのは、桑原先生くらいじゃないかな。
「塔矢に勝つことしか考えてなかったけどな。でも、優勝って嬉しいもんだな」
「そうだね」
話しているうちに佐為との対局が難しい局面になり、少し考え込む。
佐為の一手で私の左辺が崩されて、厳しくなる。でも、とがめる手がない。何かできないか考えて、右上隅が若干薄く、左辺を潰される代わりにそこを荒らせば佐為の思惑通りにならないかもしれない。
そう考えて、崩しにかかるも、あっさりと守られてしまう。
それが決め手となって、勝負がついた。
「もう、全然勝てない」
「えーと。まだまだお2人には負けませんよ、だってよ」
「佐為、指導碁はしても手加減はしないよね」
「当たり前じゃん。こいつ、相当負けず嫌いだぜ」
本当に、凄く負けず嫌い。多分、ヒカル以上。
そんな佐為との対局で、できる限りの打ち方を吸収する。佐為はネット碁もよく打つからか、最新の定石もよく学んでいる。一柳先生とも時々打つのに、一度も負けてないって凄すぎるよね。
「ichiryuも強くなってるって、佐為が言ってるよ」
「うわぁ。タイトルホルダーで、今でも凄く強いのに。佐為と互角に打つために、一柳先生も必死なんだろうな」
「ああ。……それに、色々と試してるってよ。攻めるのが得意な分、押すと楽に勝てたのが、最近は厳しくなってきてるってさ」
楽に勝てたって、一柳先生が聞いたら怒るだろうなぁ。いや、もしかしたら笑うかもしれない。
そして日が進み、秋の気配が漂ってきた頃、名人戦の一次予選で塔矢くんと対局する日がやってきた。
棋院の入り口で、塔矢くんと明日美さんに会ったので、挨拶をかわす。
「藤崎さん、おはよう」
「おはよう。明日美さんも」
「おはよ」
塔矢くんとの対局。組み合わせを見た時には、思わず叫んでお姉ちゃんに変な目で見られちゃった。
明日美さんは女流棋聖戦の二次予選決勝。これに勝てば、私と一緒にトーナメントに進出できる。
「明日美さん。今日は頑張ってね!」
「うん。簡単に勝てるとは思ってないけど、精一杯打つよ」
「奈瀬さんなら大丈夫だよ」
あらら、私がいるせいで、塔矢くんが奈瀬さんって呼んじゃってる。うーん、お邪魔虫は退散するべきかな。
「私ちょっと先に行くね」
ヒラヒラと手を振って、中に入る。さて、どこで時間を潰そうかな。
「藤崎さん。早いね」
「おはようございます」
売店に顔を出すと、天野さんが声をかけてきた。
「今日は、誰と打つんだい?」
「名人戦の一次予選で、塔矢くんとです」
「ああ、それは……。頑張ってね」
「はい」
あはは。負けたなって顔してる。私だって勝てる目は薄いとは思うけど、そうあからさまに顔に出されると少し悔しい。
少し話していると、塔矢くんと明日美さんが入ってきたので、一緒に対局室へと向かう。
明日美さんの相手は、混合戦で何度か二次予選まで上がったことのある人。でも、二次予選での成績はあまり良くないし、単純な実力なら明日美さんの方が上のはず。
席に座り、準備をする。
「名人戦は、お互いに勝ち進みたい棋戦だね」
「え、どうして?」
私の言葉に、塔矢くんが不思議そうに首を傾げる。
「塔矢先生と公式戦で打てる唯一の棋戦だよ」
「ああ、そうか。うん、そういう意味では勝ちたいかもね」
もっと意識してるかと思ったけど、意外と淡白なのね。
でも、今はそれより何より。
「何にしても、塔矢くんと打てるのは嬉しいよ。若獅子戦から数ヶ月経ってるけど、塔矢くんだけじゃなくて私も強くなったんだよ」
「うん」
それで話を切り上げて、時間になり対局が始まる。
序盤は、穏やかな立ち上がり。佐為なら序盤から殴りに行けるかもしれないけど、塔矢くんも強引な打ち回しには案外強い。私はそういうのは苦手なので、この展開はありがたい。
しばらく打って、中盤に入る頃、お昼になる。
「藤崎さんは、saiの碁をよく勉強しているよね」
「え?」
「打ち筋が、saiを追いかけているのが分かる」
「まあ、saiは凄いからね。私もネット碁も打つし、参考になるの」
塔矢くんは、私の言葉に納得しかねる様子で盤面を見つめる。
「それにしては……」
塔矢くんが言いよどむ。先をうながすと、考えながら口を開く。
「進藤もそうだが、2人ともsaiの碁について理解が深すぎるんだ。僕は当然、高段の棋士たちもこぞって勉強している。でも、すべての手を理解できるわけでもない。きみたち2人は、まるで直接手ほどきを受けているような……」
和谷くんも相当saiが好きだけど、塔矢くんも大概だよね。
うーん、どうしたものかな。
「今の2人より、最初に打った時の進藤の方が……」
話しているうちに、深く考え始めちゃった。しかも限りなく正解に近い。
と、横に呆れた様子の明日美さんが立っていた。
「アキラくん。お昼だよ」
「ああ。明日美さんは何か食べたいのある?」
上の空で返事をする塔矢くん。一瞬経ってから、あっと気付いたように私にちらりと目を向けてくる。
気にしてないよって顔で、明日美さんの回答を待つ。
「うーん。暖かいものが食べたい」
「じゃあ、うどんとか?」
私が提案すると、2人とも賛成して食べに行く。
佐為の話も呼び方の話もうやむやにしたまま、午後からも対局が進み、私の投了で終局した。
「あー、また負けたぁ」
「でも、確かに藤崎さんも凄く強くなってるよ」
「昼から、ちょっと空気が変わったよね」
「そうかな。あのままだと上手く打たれると半目勝負になりそうだったから、気合いを入れて臨んだからかな?」
昼までは練習とさして違わない感じだったのに、午後からは空気がピリピリとしていた。良い手だと思って打っても、石から手を離した瞬間に、間違いだったんじゃないかと不安になった。そのせいで、先をちゃんと読む時間がなくなって、焦って自滅。
「本気で打ってくれて、ありがとう」
「手を抜いて打てるような、楽な相手じゃないから。読み合いは高段者に匹敵するんじゃないかな」
「どうかな、そこまではなかなか。でも、今日は本当に勉強になりました」
プロ1年目、早い段階で高段者と同等以上の気迫を経験できたのは、とてもありがたい。
こればかりは、練習だと分からないもんね。
「そうだ、明日美さんは?」
「どうかな、先に終わっていたけど」
部屋を出て、明日美さんを探すと、廊下で私たちを待ってくれていた。
「どうだった?」
「私の負け。塔矢くん強すぎる」
「ふふん。大したものでしょ」
「どうして明日美さんが自慢げなの」
冗談を言い合いながら、明日美さんにもどうだったか聞いてみる。
「勝ったよ!」
「やったぁ! 当たるところまで頑張ろう!」
「うん。早く当たりたいような、当たりたくないような」
「あはは。どうせなら決勝でやりたいね」
「いやいや。いくらなんでも、決勝まで残るのは難しいよ」
弱気な発言をする明日美さんに、塔矢くんが励ましの言葉をかける。
「確かに、女性でも三次予選まで進んだことのある人はいるけど、凄く強いって人は少ないよ。組み合わせにもよるけど、勝ち上がる可能性は十分にあると思うよ」
棋院で2人と別れて、1人で家に向かう。
「ヒカル」
「おかえり。どうだった?」
ヒカルが、学校帰りの格好のままで、駅前で待っていた。
「負けちゃった」
「そっか」
残念だったとも、どんな内容だったかとも言わず、ただ横を歩いてくれる。
こんな時だけ優しいなんてずるい。
「今日は、俺とあかりで打つぞ」
順番では、今日はヒカルと佐為で打つ日だけど、入れ替えてくれるらしい。
「ん。ありがと」
「別に、俺がお前と打ちたいだけだから。塔矢に負けたまま帰るより、俺に負けて帰る方がいいだろ」
「あー、なんで勝った気でいるのよ。私もヒカルに勝って、気分を入れ替えて帰りたいもん」
不器用なようで優しいヒカル。今日は、思いっきり甘えちゃおう。
2019.1.20 夏前に、あかりとヒカルの段位を二段に昇段させました。合わせて、桜野二段との会話を一部修正しました。