Harry Potter Ultimatemode 救済と復活の章 作:純白の翼
「ハアッ!」緑の閃光が、体格の良い男を吹き飛ばす。
ドローレス・アンブリッジは、監獄からの解放を掛けた殺し合いを行っていた。リチャード・シモンズ主催の下で。最後の解放候補者を死の呪文で殺した。
「やったわ!これで私は、ここから出られる!」
醜い顔をにんまりとさせるドローレス。こんな地獄とはオサラバしたい。そして、それが叶いそうだという思いに耽っていたのだ。
だが、そんなものはすぐに壊される事になる。彼女の前に、金髪で丸刈り頭の、女性用のクラシックチュチュを着用した男性が現れた。リチャード・シモンズだ。
「さあ!他の人間は殺したわ!1人になったから解放しなさい!わたs……」
異様な雰囲気を読み取ったドローレス。それ以上は喋れなかった。
「フフフ。ここから出してあげる。」
『マズイ!殺される!』ドローレスは、自分の最期を悟ったのだった。
「心配しなくて良いわ。あなたのその生への執着心、それは私の中で残留思念として残るのだからね。安心なさい。」
ドローレスの悲鳴が聞こえた。否、断末魔である。
『ジュニアから、ドラコの勧誘は出来たようだし、これから闇の陣営相手にあの魔法のテストも出来る。フフフ。楽しみだわ。』
シモンズの顔は、先程とは全く異なっていた。ピンク色のローブを着用しており、薄茶色の巻き毛、ガマガエルの様な顔となっていた。それを全身包帯で覆っていた。目だけは、瞳孔が細くなっている。
その後ろには、魔法使いが2人突っ立っていた。いずれも、最強最悪の闇の魔法使いと称され、死喰い人と呼ばれた者達である。ただ、自意識はなさそうだ。
「さあ、あなた達の力を見せて貰うわよ。ロジエール。ウィルクス。」
*
見知らぬ場所に着いたボクとグラント。古い墓地。手入れはされておらず、草がボーボーだった。教会に、古い館が遠くにある。館は、どこかで見た様な気がするんだ。
「ここはどこなんだろう?」ボクが言った。
「ここ……間違いねえ。リトル・ハングルトンじゃねえか!」
グラントがボクにそう教えてくれた。
「確か、スマイルって言う組織の活動拠点じゃなかったっけ?」
「おう。ちょっと歩くが、スマイルの本部はあるぜ。そこに行こう。」
「うん。道案内よろしく。」
グラントに付いて行くボク。でも、しばらくしてグラントの足が止まった。ある墓石の目の前で止まったんだ。
「おいおい。何でよぉ、ここに『トム・リドル』。俺の偽物野郎の名前があるんだよ!」
「もしかして、これってヴォルデモートのお父さんのお墓じゃないかな!?」
まさか。父親……骨。マズい。
「グラント!戻ろう!優勝杯までそんなに離れてない!ここにいちゃダメだよ!早く!」
「お、おう。分かった。走れば大丈夫だろうな。行こうぜ。」
その時、甲高い冷たい声がした。
「今頃気付いたか。だが、もう遅い。」
何の前触れも無しに、ボクの額の傷跡の激痛が走った。
「!?っ!あ、あ!ああああああっ!!!」
こんな苦痛は初めてだった。両手を手で覆うボク。杖が落ちる感覚がした。今にも頭が割れそうだ。
「エリナちゃん!どうした!傷跡が痛むのか!?よし、俺がおぶってやる。まずは杖を拾って……」
人影が見える。小柄で、フードを被っている。顔は隠している。その人物は、何か赤ん坊の様なものを抱いている。
「おい!んだテメエは!?近付くとギッタギタにすんぞ!」
グラントがファイティングポーズを取り、フードの人物に対して臨戦態勢を取っている。
「ワームテールよ。その小僧が邪魔にならない様にしろ。」
「
グラントの全身に包帯が巻かれた。
「な、何だこれ!きつ過ぎる!」
解こうとしているけど、出来そうに無いグラント。
「ピーター……ペティグリュー!あなただったのね!よくも!こんな事が!」
「口封じで殺せという意味だったんだがな。無能なワームテール。まあ良い。始めろ。小娘を縛り上げるのだ。」
ペティグリューは、ボクを大理石の墓石に引きずっていった。そして、縄で墓石に縛り付けられた。でも、その感情は何故か無表情だった。
「やめやがれ!ネズミ男!その汚い手で、エリナちゃんに触ってんじゃねえ!この変質者めが!死ねや!」
グラントが喚いている。
「急げ!」声がまた聞こえた。
そう言えば、大鍋があったんだ。それも人が入る位の、特大サイズのものが。そう思っていると、ボクは、墓石に縛り付けられたんだ。
大鍋に何かの液体が注がれ、今度は鍋底に火が付いた。鍋の中の液体はすぐに熱くなった。表面がボコボコ沸騰し始めたばかりではなく、燃えてるかのように火の粉が散りばめた。そうして湯気が濃くなる。
「準備が整いました。ご主人様。」
「良いぞ。ワームテール。ナギ二の餌にならなくて済んだな。運の良い奴よ。」
ペティグリューが包みを開ける。赤ん坊みたいなのが出て来た。気持ち悪い。髪の毛は無いし、鱗に覆われた感じの、赤むけのドス黒いもの。手足も細く弱々しい。顔は……絶対にあんな子供はいないという顔をしている。蛇みたいで、目が赤い。ハリーの、ウイルスモードの赤い目とは正反対で、禍々しく暗い感じだ。
「うわ!ヘビか!邪魔なんだよ!食ってやんぞ!杖を取らせろ!」
グラントが大蛇と格闘している。大蛇は、グラントに威嚇のシャーをした。
ペティグリューは、赤ん坊の様な何かを、大鍋に入れた。
「おい!何か気色悪い物体を入れやがったぞ!ネズミ男の野郎が!」
「ああああああ!!!」
その物体を見た瞬間、更に傷跡から激痛が走った。イヤだ。あんなもの、もう見たくない。溺れてしまえ。そう思ったボクだった。
「父親の骨、知らぬ間に与えられん。父親は、息子を蘇らせん!」
「俺がさっき見つけた、偽物野郎の名前が刻まれた墓の中から何か出て来やがったぞ!あいつ、骨って言ったのか!?」
ふと、ハリーの警告を思い出した。骨と肉と血。これで、ヴォルデモートは肉体を取り戻す気なんだ。ボクの血を使うつもりなのかな?鍋の液体は、毒々しい青になっている。
ペティグリューは、今度はヒーヒーと泣いている。恐怖に凍り付いた様な、啜り泣きに声が変わったんだ。
「しもべの――肉――よ、喜んで、喜んで差し出されん。――しもべは――ご主人様を――ご主人様を――」
「な、短剣か!?親指が欠けた腕を鍋の上にかざしている!肉って……おい!トチ狂ってやがるぜ!」
包帯と格闘しているグラント。
「やめて!ペティグリュー!」
ボクは、やめるように叫んだ。幾らなんでも、これから行う行動は止した方が良いと言いたかったから。
「蘇らせん!」
ボクは、目を閉じた。それでも、ペティグリューの悲鳴が襲ってきた。グラントも青ざめている。鍋は、燃える様な赤色になっている。
今度はボクの血が取られるのか。ペティグリューが近付いて来る。逃げようにも逃げられない。
「よせ!エリナちゃんには何もすんな!俺を代わりにやれ!」
グラントが叫んでいる。だけど、ペティグリューは無視してボクの方へ。
「その切り落とした腕で、動いちゃダメだよ。安静にしてた方が良いって!!」
「敵の、血……力づくで。」
「やめろ!やめやがれ!」
「力づくで奪われん。」
短剣で思いっ切り来る!覚悟しなきゃ!
「え?」
確かに痛みは走ったし、左腕に傷は付いた。だけど、まるで包丁で皮膚を切ったような感じだった。思った以上の痛みは来なかった。細長い切り傷だけで済んだ。それでも、ペティグリューは短剣でボクの血をある程度の量を採取していた。それで、薬瓶に血を入れた。
「汝は……敵を蘇らせん。」
よろめきながら大鍋の方へと戻るペティグリュー。ボクの血を、鍋の中に注ぎ込んだ。
「エリナちゃん!大丈夫か!?血を入れた途端に、鍋の様子が変わって来た!」
グラントの声が聞こえる。ボクの心配をしてくれている。
大鍋は、四方八方にダイヤモンドの閃光を放っている。余りの眩しさに、何も見えない。
大鍋は大破した。そこから現れたのは、骸骨の様にやせ細った背の高い男の黒い影。最悪だ。よりによって、あいつが復活するなんて。
「スーー。ハーー。」男が深呼吸した。
「ああ。そうだ。息もまともに出来なかったから、忘れていた。呼吸とは――自然の空気がこうも美味しいとはな。」
男は、ペティグリューからローブを着せられる。
「13年。いいや、14年か。身体を失ってから、畜生や弱者に取り憑いて来た。だが、自らの肉体がこんなに素晴らしいとは。」
次に男は、ペティグリューから杖を受け取る。
「この杖も14年待たせた。イチイの木に、不死鳥の尾羽根。34センチ。また存分に、その力を俺様が振るってやろう。」
男は、今度はボクの方を見た。悪夢で散々悩まし続けて来た顔だ。骸骨よりも白い顔。細長い、真っ赤な不気味な目。ハリーのウイルスモードとは真逆の印象を受ける。水に例えると、ハリーの赤い眼が真水なら、この男の赤い眼は泥水だ。そして、ヘビの様に平らな鼻。切れ込みを入れた様な鼻の穴。
「エリナ・ポッター。お前を生身の肉体で見るのは14年ぶりだ。この俺様から摘み取った14年。霊魂にも満たない、そこら辺のゴミムシにも劣る、犬畜生以下のくたばり損ないのクズとなっていた14年。俺様は、全てを憎んでいた。」
奴がボクを見る。残忍な笑みをしていた。
「いつまでも平和が続くとでも思ってたのか?凡人のまま、真っ当な生を送れると。恐れるものは全くない、全て自由。」
奴は言葉を切る。そして、また話し始めたんだ。
「これから俺様が、身を以って教えてやるのだ。破壊!混乱!殺戮!恐怖!絶望!この魔法界だけでなく、世界中全てにな。俺様の名前は、ヴォルデモート卿。死の飛翔。」
男は。奴は。いいや。ヴォルデモート卿は、今日復活したのだった。
*
人型の姿になったレインボーデビル。何もしてくる気配が全く無い。
「撃ち抜いてやる!」
右手にミラクルガンナーを持ち、レインボーデビル向けて発射。
「なっ!?コイツの体、ミラクルガンナーのエネルギー弾を吸収しやがった!!何て野郎だ!」
次に左手の杖で攻撃をする。
「
虹色の破壊光線を発射。やはり、ゲル状の部分にはどんな攻撃も通らないか。
「後は、あの頭部の役割を果たしていると思われるコアだけか。ピンポイントで当てるとなると、ちょいと難しいな。」
剣術は自信があるのだが、実を言うと、射撃は剣術程自信があるわけじゃない。そう考えていると、レインボーデビルは人型の状態から、いかにも這い蹲っての移動に特化した形態に変化した。その状態で、俺に近付いて来る。
慌てて距離を取ろうとする俺。しかし、少し遅かった。レインボーデビルが俺のすぐ近くに来るや否や、俺に巻き付いて来た。
「クッ!しまった!!」
何とか振り解こうともがく。右手がまだ自由だ。ミラクルガンナーを、レインボーデビルの頭部のコア目掛けて狙撃した。
その途端、俺に巻き付くのをやめたレインボーデビル。思った通りだ。あれが唯一、奴に攻撃が通じる部分だな。今後はあそこを積極的に狙って行こう。
「……」
ミラクルガンナーを仕舞い、右手を凶嵐に持ち替える。すると、レインボーデビルはまたもやゲル状の身体を形態変化させてきた。頭部のコアを、目玉に見立てた巨大な顔みたいな形へと。
「今度は一体何なんだ!?」
あの野郎。次から次へと変形しやがって。雑魚の癖に生意気な。思わず思ってしまう。あんなふざけたデザイン。今すぐにでも叩き切ってやりたい。
「!?」高く飛び上がったぞ。
すぐに地面に落ちて来た。そして、また飛び上がった。
「バウンド攻撃……なのか?」
見かけによらず、奴は結構トリッキーな攻撃をしてくるのが分かった。何も無い時はスライム、戦闘形態は人型、移動する時はスライムよりやや液体寄りな形態、空中からの攻撃は巨大な顔。もはやコイツは、この時代では再現不可能な技術を使ってる。それを戦闘に採用しているのだから、PWPEが卓越した科学技術を持ってる事を裏付けているわけだ。
魔法だけしか使おうと思わない闇の陣営の方が、かなり良心的ともいえるな。
バウンド攻撃を仕掛けてくるレインボーデビル。かなり不規則なパターンだな。軌道が規則的なら、そこから計算式でレインボーデビルの動きや、次にどこに来るのか割り出せるんだけど。
「厄介な攻撃をしてくるな。」
思わず舌打ちしたくなる。でも、レインボーデビル自身も制御出来て無いみたいだ。俺を狙おうとしても、思いがけない所にバウンドして飛び上がるみたいだ。
「俺に出来る事はたった1つ。凶嵐に魔力を纏わせる。切れ味と攻撃範囲、破壊力を最大限まで上昇させる。」
レインボーデビルが俺の近くに来た所を叩き切る。それだけだ。超感覚呪文でその隙を見つけてやる。
その攻撃のチャンスはすぐに来た。俺の目の前に、レインボーデビルがバウンドで地面に降り立ってきたのだ。
「そこだ!!」
魔力で出力を極限まで上昇させた凶嵐の斬撃をレインボーデビルに叩き込んだ。
「よし!」
だが、俺の喜びはすぐに掻き消された。
「コイツ!分裂しやがった!!」
何と、レインボーデビルは2つに分かれてしまったのだ。コアがある方と無いのとで。という事は、コアの方だけダメージが通るってわけだ。
しかも、バウンドの飛距離も小さくなった。だけど、数が増えた事によって迂闊な回避が出来ない。
「そう言えば、端の地面には全く来てない様な……」
バウンドの不規則な軌道は全く読めないけど、今いる空間の端っこには分裂前でも全く来ないのだ。
「距離を取ろうかね。」
取り敢えず、端っこまで移動した。レインボーデビルも来ようとするが、来るのは困難みたいだな。
「この安全地帯でもう1度凶嵐のチャージ攻撃を準備してやる。」
5秒あれば十分だ。
「1…2…3…4…5!!今だ!」
俺はダッシュした。コアのある分裂体目掛けて向かっていく。
「ハァッ!!!」一撃を叩き込んだ。また分裂した。
それと同時に、コアの無い分裂体も更に2つに分裂した。合計4つになったわけか。
「随分と小さくなったな。1つ1つが。」
分裂体が全て地面に落ちた。コアのある分裂体に向かって、ゲル状がスライム集まっていこうとする。
「チャンスだ!」レインボーデビルに近付く。
「ヒッフッハ!」凶嵐による3段斬りをお見舞いする。
「当たれ!」次に、ミラクルガンナーのフルチャージショットをコアに当てる。
「
アセビの杖で攻撃を仕掛ける。コアにヒビが、ある程度入り始めた。だけど、スライムが全て結合し、人型の姿に戻った。
「惜しいな。あと少しだったんだが。」
距離を取る俺。レインボーデビルは、次にてるてる坊主みたいな姿になる。小さなスライムを所構わずばら撒き始めた。
「変形は何でもアリってか!スライムには触りたくないし。あの液体、生理的に受け付け…………!?そうか!液体!」
しばらくしてから、スライムを回収するレインボーデビル。回収し終えた瞬間、レインボーデビルの、人型形態の両足が凍り付いた。やった。
俺が何をしたか。小さくばら撒かれたスライム複数個に、零界の翠氷を掛けておいた。スライムは、瞬時に凍った。それをレインボーデビルは回収したんだ。で、結果は足が凍ったわけだ。
「
ぶっつけ本番だが、左手に魔力で作り出した黄金の電撃を集め終えた。やった。杖無しの状態で、魔法が使える様になったぞ。
「これで終わりだあああああああああああ!!!」
レインボーデビル目掛けて突っ込んで行く俺。レインボーデビルは、俺を近付けさせまいとパンチをしてきた。
「無駄だ!」
ウイルスモードの見切りや洞察眼を駆使して、レインボーデビルの攻撃を回避。そのまま腕に飛び乗った。
狙いは、頭部の役割をしているコア。
「俺の勝ちだ!!!」
コア目掛けて、左手の突きを繰り出した。コアに見事命中した。
「……」コアが大破した。地面に着地した俺。
コアの残骸が外に吐き出され、レインボーデビルは姿形が維持出来なくなった。スライムも消滅した。
「や、やった!勝ったんだ!!」
レインボーデビルに、俺は勝利した。あの作戦が上手くいったな。脅威が去って、一先ず安心した。地面に座り込む俺。
「お見事だぞ。ハリー・ポッター。流石、リーダーが目を掛けるだけの事はある。」
ゲブラーの声がした。しかも、これから進んだ先から出て来た。
「今度は本当に本体みたいだな。俺を仕留めに来たのか?」
「違うな。何故だか知らんが、リーダーはお前を高く評価している。まさか、お前が呼び名にしているレインボーデビルをやっちまうなんてな。」
「何しに来た?」警戒をまた始める。
「フッ。お前に渡したいものがあってな。何。呪いはかかってないし、そう役に立たない物じゃ無い。それは本当だ。ホラよ。」
ゲブラーが俺の前に幾つか置いて来た。何かがぎっしり詰まった大きな袋。小さな金のカップ。そして、何かの液体が入った小さなボトル。
「こ、これは!?」
「賢者の石が100個詰まった袋。ハッフルパフのカップ。最後の1つは回復液だ。」
「賢者の石……最後の1つは俺が握り潰した筈だ。」
「ニコラス・フラメルの記憶を、死ぬ前に提供させたとしたら?」
「!?」
「隠しておかないと、ダンブルドアに全部取られるぞ。」
賢者の石の袋を口寄せ契約した。俺が持つグリンゴッツの金庫送りにした。
「ハッフルパフのカップ。まさか、本当に我が家の金庫にあったとはな。真正面から強盗せずとも取れたぜ。リーダーやダアトから聞いた時は、大変驚いた。」
「お前は……一体…………誰なんだ!?」
レストレンジの金庫に合法的に入れただと!?コイツ、一体…………
「俺の正体を知った時、純血の名家様達は驚くだろうな。」
ゲブラーがニヤリとした。
「ああ、そうそう。その回復液、飲んだ方が良いぜ。万全な状態で挑んだ方が良いからな。」
「…………礼は言わないぜ。」回復液を飲んだ俺。たちまち全快した。
「そのカップ。お前ならどうするべきか分かる筈だ。それじゃ、俺はそろそろ行くぞ。」
ゲブラーが、俺が来た道に向かって歩いて行った。攻撃する事も出来るとは思うが、逆に返り討ちにされそうなのでやめておいた。
ハッフルパフのカップ。ヴォルデモートの分霊箱の1つ。レストレンジの金庫にあったもの。俺は、ユーカリの杖を右手に持った。邪神の碧炎と火炎操作呪文を使用し、破壊する。カップは全身焼け焦げた状態となり、真っ二つになった。カップの残骸も口寄せ契約で仕舞っておく事にした。
「ワットは……直せるかな?」
そんな事を考えながらも、俺は先に進んだ。