Harry Potter Ultimatemode 救済と復活の章 作:純白の翼
1993年7月31日。エリナを連れて来てから16日が経った。俺とエリナが誕生日を迎えたのだ。食事は豪勢な物となっていたし、ロン、ハー子、ゼロ、グラントは予想出来たが、イドゥンとエックスのブラック姉弟からプレゼントも来た。これは想定外だった。
エリナと一緒になって、残った宿題をやって、もう終わらせていた。この4日後に、日本へ行く事になった。
ロンはエジプトにいる。なんでも、ウィーズリーおじさんがガリオンくじを当てたそうだ。そして、新しい杖も買って貰うらしい。
ハー子は、フランスに行っている。ゼロとフィールド先生は、イタリアに存在する超古代遺跡で探索をやっているらしく、グラントは相変わらずのパーティーという名のギャングの抗争をやってるそうだ。
ハグリッドからは、怪物の本という何か奇妙な本を貰った。襲い掛かって来たけど、エリナがナデナデしたら大人しくなった。俺も真似してみると、本当にそうなった。
そして、ホグワーツから教材のリストとホグズミード行きの許可証が入っていた。俺はすぐに義祖父ちゃんに書いて貰った。しかし、エリナは絶対にダーズリー達は許可をくれないと絶望していた。
「手紙を書こう。事情を話す。」
「それで無理だったら?」
「あくまで最終手段だけどね。奴らのエリナへの所業を、世間にバラシてやる。」
俺は、ニヤリと言った。後にエリナから聞いたが、絶対にこの世には敵に回してはいけない人間がいると悟ったそうだ。それはともかく、俺は最大限丁寧な手紙を書いてポストに投函した。無論、許可証も同封して。
翌日の8月1日。日刊預言者新聞の一面大見出しにこう書いてあった。
『シリウス・ブラック脱獄』
一瞬フリーズした。これでは、無実証明と名誉回復どころかさらに重罪を重ねるだけじゃないかと、俺は頭を抱えた。
「ハリー。この人だよね。前に話したお話の人って。」
「ああ。だが脱獄なんて、聞いてねえぞ。」
その時、ノックがした。どうぞと声を掛ける。ドアが開いた。エイダ義姉さんが入って来た。新聞を持っている。シリウスの話かと悟った。
「ハリー。それにエリナちゃん。緊急の会議があるから、私と一緒に行きましょう。」
「大方シリウスの話でしょう?」
「そうです。」
というわけで、会議室まで移動になった。既に、義祖父ちゃんに、アドレー義兄さんとイーニアス義兄さんがいた。後、ここに知らない男女がいる。男性の方は、顔が青白く病人の様にやつれ、ライト・ブラウンの髪には白髪が混じっている。極めつけは、継ぎ接ぎだらけのローブを纏っている。女性の方は、黒髪をショートにしており、いかにも刑事と言った服装だ。サングラスをかけているけど、よく見たら茶色の眼だった。
「この人達は?」
俺が、見知らぬ男女の事を他の皆に質問する。
「紹介しよう。彼らは、リーマス・ルーピンにメリンダ・ハルフォード。リーマスの方は、9月からホグワーツ魔法魔術学校で闇の魔術に対する防衛術を担当するが、元々はあらゆる種類の魔法生物の捕獲や駆除、戦闘の仕事をこなしている。メリンダは、魔法使いながらロンドン警視庁の刑事だ。」
義祖父ちゃんは、俺達兄妹に紹介した。せめて授業の質は、ロックハート以下で無い事を祈ろうか。
「へえ~。新しい先生なんだ。」エリナが、興味深そうにルーピンを見ている。
「やあ。君達がハリーにエリナだね。アランさんが話してくれたように私がリーマス・ルーピンだよ。」
俺とエリナは、ルーピンに握手した。
「特にハリー。君には言っておきたい事があるんだ。」
「何ですか?」
「生きていてくれて本当に良かった。そして…………いや。またの機会にしよう。今は、シリウスの話だね。」
「そうですか……あの、メリンダさん。魔女だって事、警視庁の人は知っているのですか?」
「上層部でも、ほんの一握りだけです。私がホグワーツを卒業した魔女だと言うのは、トップシークレットになってますよ。」
少ないながらも、それなりにマグル世界にも魔法使いの存在を知っている人はいるもんなんだな~。あ、話が始まった。
話の内容は、やはりシリウスの真実に関して。そして、ペティグリューが生きている可能性が極めて高い事。ナイロックが、ロンのネズミを人間くさいと言っている事を話した。
「ロンのネズミ……か。ピーターかも知れないね。」ルーピンが口を開いた。
「どうでしょうね?断言は出来ませんよ。」アドレー義兄さんが返す。
「ですが、シリウス先輩が闇の陣営に同調しているとなれば、色々と矛盾が出て来ます。」
メリンダが、事務的な口調で告げた。
「そのハリーのフクロウの言ってる事も妙なものだ。確かにナイロックは、人間の18歳位の知能を持ってはいるが。」
イーニアス義兄さんが冷静に分析している。
「何それ。何気に凄いんだけど。」エリナは、大変驚いている。
「とにかく、魔法省よりも前にシリウスを保護しなくてはな。無能の頂点、ファッジなら彼に吸魂鬼のキスをしかねん。」
というわけで、義祖父ちゃんが結論を出した。シリウス、又は黒い犬を見つけ次第保護する事が決定した。ホグワーツにも、こんな感じで行動すると伝えた。メリンダは、また仕事場に戻って行った。
宿題を終わらせているので、遊んだり、ロイヤル・レインボー財団本部の中で魔法の特訓をしたりした。コンビネーションの特訓も欠かさずに。
「ねえ。そう言えば、去年の決闘クラブで何も言わずに魔法を使ってたけど。あれ、何?」
「無言呪文の事か?あれは、心の中で呪文を唱えるんだ。相手からすれば、どんな攻撃をしてくるのか分かったもんじゃないから、覚えておくのも悪くないかもな。」
「どれ位使えるの?」
「武装解除、失神、呼び寄せ、中級までの盾の呪文、火炎操作の呪文。この5つだな。」
「す、凄過ぎる!」ビックリ仰天するエリナ。
「お得意の武装解除呪文だけでも出来る様にしておくか?」
「お願いします!」
無言呪文の特訓が始まった。最初から出来るなんて思っちゃいない。始めて1時間くらいのタイミングである提案をする。
「実は、ある程度魔力の量がある人なら出来る、とっておきの修行法があるんだ。それでやってみようかと思うんだけどね。」
「あるの!?」
「だけど、気を付けろ。疲労やストレスは何倍にもなる修行法だ。その代わり、経験値はたんまり手に入る。」
その修行法に早速入った。その方法とは、俺が、主に宿題を早期決着する為に使っている『
修行は午後に切り上げた。窮屈だろうと思ったからだ。なので今度は、エリナを連れてブライトンを観光する事にした。ブライトンピアやシー・ライフ、ロイヤル・パビリオン、ノース・レーンを案内したんだ。本人も満足そうだった。
午後6時になって、本部に帰ろうとした。
「ねえ。豪華な鳥さんが空を飛んでるけど、あれも観光の名物?」
何と、極彩色の大きな隼が空を飛んでいるではないか。
「いや、あれはいくら何でも有り得ない。」
「魔法使いの差し金かな?」
「さあな。一応、この事態を連絡しておくか。」
ナイロックを呼び、手紙を持たせてロイヤル・レインボー財団本部まで飛ばした。
町の外れまで来た。随分来たな。
「あれを見て!」エリナが指をさす。
極彩色の大きな隼が、空中で人型の様なものに変形した。
「ここであったが100年目。私はゲブラー様の部下、アステファルコンだ。」
「お前は何者だ?」
「私は、機械生命体レプリロイド。その中でも強力な力を持った、ミュートスレプリロイドだ。」
明らかに、現代の科学力を超えたテクノロジーで生み出されてるんじゃねえかよ。
「見つかったからには、容赦はしない。覚悟!」
アステファルコンが突進してくる形で襲い掛かって来た。ニンバス2000を口寄せし、上空へ逃げた。
「小癪な!トリプルアロー!」
アステファルコンは、非情に細長い弾を発射。それも、トリプルの名に違わず3方向に。
「危ね!」俺は、地面に着地した。
「隙アリだ。」アステファルコンが、腕を開く。何をする気だろうか。
「!?」突然、アステファルコン側に吸い寄せられた。
「くたばるが良い。」そして、叩き付けられた。
「グハッ!」
口から血を吐いてしまった。直前にウイルスモードを発動したので、大事には至らないだろう。だから、また立ち上がった。
「ほう。人間の子供にしては、相当頑丈なようだな。良かろう。」
突然、アステファルコンが空に跳び上がる。しばらくして、おれのいる場所から少し離れた場所に飛び掛かる。
「ライトニングフォール!」地面を伝う電撃が発生した。
『どう避けようかな?……あ、そうだ!』
早速杖を取り出す。天魔の金雷を極僅かに発生させる。それを、アステファルコンが放った電撃と同調させて無効化し、逆に自分の力にしたのだった。
「何だと!?」流石のレプリロイドも、これには驚愕したようだ。
「お返しだぜ!食らいな!
単体で発動するよりも効果の大きい黄金の電撃が生成された。アステファルコン目掛けて発射し、奴に直撃させたのだ。
「グオオオオオオオッ!!」
思わぬ痛い一撃を食らい、悶えるアステファルコン。
「
エリナが光球を当てた。
「
続けて虹の破壊光線を撃つ。アステファルコンは、かなりの重傷を負ったようだ。
「さよならだ。でもまあ、お前みたいな奴がいるって事が分かったから感謝しているよ。
アステファルコンを凍てつかせる。だが、俺の左腕も凍傷を負ってしまった。
「
俺はとどめに、アステファルコンを粉砕した。これで、戦いは終わった……筈だった。
「おいおいおいおい。釣れたのは、唯のガキじゃねーか。魔法使いがターゲットだったのになー。」
声がした。グラサンの男だ。厚ぼったい瞼をしている。艶やかな黒髪をしている。パッと見は、そいつの服装はボディーガードのようにも見えた。それに、何だこれは。とんでもない魔力をしてやがる。現に、黒紫のオーラを纏ってやがるし。
「アステファルコンは、お前の差し金なのか?」俺が聞く。
「まあ、いわゆる特注品ってやつだよ。ホドって俺の仲間の傑作でね。ブライトンには、成人した魔法使いが複数名存在してると聞いてな。まさか、魔法の存在に驚かない奴もいるもんだな。こんなガキで。しかも、ぶっ倒しちまうし。」
男は、指をパッチンと鳴らした。すると、青い人型のロボットの様なものが8体ほど出現したのだ。しかも顔は、赤いレンズ状でメットは円を三方から囲むような形になっている。
「そいつらは?」
「パンテオン。遥か大昔の、現代の科学力を遥かに超えた技術で作られた量産型レプリロイドさ。」
「レプリロイドって何?」エリナが聞いた。
「人間に近い思考回路を持つロボットと言えば分かりやすいかな?自ら考えて、物事を処理する事が出来る。」
「明らかに現代のロボット技術を超えてるじゃねえかよ。そいつらが造られた技術。」
「そう。ある時期を境に滅び去った超古代文明の産物さ。こういうのを……あー……何て言うんだっけ?」
「……ロストテクノロジーか?」
「そうそう。それそれ。つー訳で、お前らの力を見せて貰おうじゃねえか。やれ!パンテオン!!」
パンテオン達が襲い掛かって来た。
「ハリー。どうする?」
「……対魔法用の対策を仕掛けている可能性が高いな。ならば……」
魔封石の効果を遮断するグローブを両手にはめ込んだ。
「ホワチャー!!」
早速パンテオンを機能停止させた。こいつらの身体、魔封石で構成されてたな。若干動きが鈍ったし。
「何でカンフー映画みたいに怪鳥音出すの?」
「マホウトコロに、中国人武術家の一族出身の先輩がいてさ。その人からジークンドー教わったら、癖でそうなった。」
「そうなんだ……でもボクからすれば、このロボットさん達強過ぎるよ!!」
エリナも応戦しているが、たった1体に対してかなり苦戦していた。
「
6体の分身を出し、パンテオン達と交戦する。腕を銃口に変えてくる前に、さっさとぶっ倒したのだった。
長すぎたんで、分割します。続きは凡そ半日後に投稿する予定です。
それと同時に、今回と次回のアナザーストーリーをEXシナリオに載せます。イタリア旅行に来たゼロとフォルテの話で、時系列は全く同じです。
パンテオンとアステファルコンは、いずれも元ネタはロックマンゼロシリーズに出て来るレプリロイドです。前者がザコ敵、後者がボスキャラとなります。
今作のパンテオンの強さは、マシン帝国バラノイアの戦闘員『バーロ兵』並の強さになってます。尤も、原作でも人間からしてみればアステファルコン共々脅威そのものに変わりはないですけどね。