Harry Potter Ultimatemode 救済と復活の章   作:純白の翼

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第7話 三大魔法学校対抗試合

玄関の中に入った。周りはびしょ濡れ。俺、ロン、ハー子、ゼロ、グラント、エリナ、ネビルはほぼ無傷だった。

 

「ハリーが教えてくれた防火・防水呪文を使ったら、とても楽チンだったよ!ありがとう!!」

 

「エリナ!早く行くわよー!」

 

「良い席を取りましょうよ。」

 

ハンナとジャスティンがエリナを呼んでいる。2人は俺を見るなり、挨拶をしてきた。だから、俺もする。

 

「早く行ってあげな。」

 

「うん。じゃあね。」

 

エリナがバイバイと手を振りながら、走り去っていった。

 

「俺達も行くか。」

 

大広間に着き、席を確保する。後から来た人によると、ピーブズが水風船を投げつけて来たらしい。早く行っておいて良かったよ。ゼロとグラントとは、一旦別れた。

 

「飯も食いたいが、マリアの組み分けも見なくちゃな。」

 

「彼女とどんな関係なの?」ネビルが聞いて来た。

 

「ロイヤル・レインボー財団で保護された娘だよ。その縁で俺と仲良くなったんだ。」

 

「ハリーの人脈が相変わらず凄過ぎるわ。」

 

「俺は他の魔法学校の人とも交流してるぜ。マホウトコロは当たり前だろ。そもそも俺、そこからの留学生でホグワーツに来てるからさ。後はイルヴァーモーニー、ワガドゥー、カステロブルーシューだな。」

 

「全部、国際魔法使い連盟に登録されている一流の魔法学校じゃないの!広過ぎるわ。」

 

「そんなに驚く事か?俺から言わせれば寧ろ、逆にこの国の魔法界の視界が狭過ぎるんだがな。」

 

キッパリと俺の意見をハー子に言ってやる。丁度その時、2人こっちに来るではないか。エックスとコリンが。

 

「わーい!ハリー。」

 

「お久しぶりです、先輩。」

 

「コリン。エックス。」俺の直弟子2人が来た。

 

「弟のデニスも新入生なんだ!」

 

「良かったじゃん。後は、組み分けでグリフィンドールに来れると良いな。俺も祈っておくよ。」

 

「ありがとう!!」

 

「それでは先輩方、僕等はここで失礼します。」

 

エックスがお辞儀をして、別の席へ向かっていった。大体の2年生以上がテーブルに着き終わったと同時に、マクゴナガル先生が1年生を引き連れてきた。組み分け帽子を置くと、帽子は独りでに歌い出したのだ。

 

「2年の時は居眠りをしてたけど、歌の内容って毎年違うんだな。初めて知った。」

 

「ハリー。あなたって人は。まあ良いわ。何も言わないわよ。」

 

「そうして貰えると助かる。」

 

「名前を呼ばれたら、帽子を被って椅子に座りなさい。アッカリー・スチュワート!」

 

名前を呼ばれた男の子が、恐る恐る前に出て、椅子に座る。そして、帽子を被った。

 

『レイブンクロー!』

 

スチュワート・アッカリーはすぐに帽子を脱いだ。歓声の上がっているレイブンクローの席へ向かった。ゼロやシエル、チョウ・チャンと握手している。

 

「バドック・マルコム!」

 

『スリザリン!』

 

大広間の向こう側のテーブルから歓声が上がった。ドラコやグラント、イドゥンから歓迎を受けているマルコム・バドック。

 

「ブランストーン・エレノア!」

 

『ハッフルパフ!』

 

「コールドウェル・オーエン!」

 

『ハッフルパフ!』

 

連続でハッフルパフに組み分けされた両者。エリナからの熱烈な歓迎を受け、新入生2人は気持ちがハイになっている。

 

「クリービー・デニス!」

 

デニスは急ぎ過ぎた余り、躓いて転んだ。すぐに立ち上がって、帽子を被る。

 

『グリフィンドール!』

 

デニスがこちらに来た。俺、ロン、ハー子、ネビルと次々に握手した。

 

その後も組み分けは続く。1人、また1人と組み分けをされていく。もうそろそろLで始まる苗字が終わる。

 

「早く終わってくれ。」ロンが呻いた。胃の辺りをさすりながら。

 

「食事よりも、組み分けの方が大事ですよ。」

 

サー・ニコラスが諭す様にロンに言った。それと同時に、ローラ・マッドリーがハッフルパフに組み分けされた。

 

「ああ、そうだとも。死んでなければね。」

 

「今年のグリフィンドール生が優秀だと良いですね。まあ、今の4年生が規格外過ぎるだけなのですが。」

 

ナタリー・マクドナルドがグリフィンドールの席に着くのを拍手で迎えながら、サー・ニコラスが言った。

 

「優勝杯をハッフルパフから奪還したいですから。」

 

「……」俺は対抗杯に興味無いがなという気持ちで何も言わずに聞いている。

 

「マルフォイ・コーヴァス!」

 

ドラコの弟、コーヴァスが帽子を被る。超感覚呪文で聞いてみるか。3兄弟の中で、一番頭が良いのか。結構なインドアで、家風とは正直釣り合っていないのではと考えているらしい。グリフィンドールかレイブンクローハッフルパフがあっていると帽子は判断した。しばらくして、組み分け帽子が行くべき寮を叫ぶ。

 

『レイブンクロー!』

 

レイブンクローに行くコーヴァス。彼は、兄を見る。ちょっと悲しそうな顔をしていた。

 

「どうしてなんだ?まあ、レイブンクローなら父上も母上もそんなに言わないだろうな。」

 

ドラコが混乱している。

 

「マルフォイ・スピカ!」

 

続いてドラコの妹、スピカが組み分け帽子を被る。超感覚呪文で調べてみたが、彼女自身は純血主義ではないようだ。寧ろ、今の家風を変えたいと思っている。それでもスリザリンに組み分けされるだろうと予想を立てていた。皆も、どうせ今度こそスリザリンだろうという気持ちで見ている。

 

『ハッフルパフ!』

 

今年の組み分けの儀式最大の番狂わせが発生した。上級生は、皆戸惑いの声を上げている。ヒソヒソが絶えなかった。それでも、ハッフルパフは歓迎してはいたが、心中穏やかではないのだろう。

 

「マルフォイの家って、皆スリザリンだよな?」ロンが周りに聞く。

 

「ああ。だが、家系で良く似てくるのであって、必ずしもそうじゃない。ブラック家だって殆どがスリザリンだったろ?でも、シリウスやエックスはグリフィンドールじゃないか。それに、ポッター家だって時々グリフィンドール以外に組み分けされるんだぜ。」

 

スリザリンの席でも動揺は収まらなかった。ドラコは混乱している。

 

「どうしてスピカが!?コーヴァスと同じ、レイブンクローならまだしも!!」

 

「良いではありませんか、ドラコ。私やエックスの様な例だってありますし。」

 

イドゥンがドラコを説得している。

 

一方のハッフルパフ。エリナやセドリックはいつも通りだが、やはり他は混乱していた。そうだよな。純血主義の、それも死喰い人の中でも最上位の家系の人間が、闇の魔法使いの発生率が1番低い寮に組み分けされたなんて知って冷静になる方がおかしいよな。

 

「ハッキリ言おう。カオスだ。」

 

「それに同意です、ハリー。」サー・ニコラスも同調した。

 

「プリチャード・グラハム!」

 

『スリザリン!』

 

「クァーク・オーラ!」

 

『レイブンクロー!』

 

「テイラー・マリア!」

 

マリアが帽子を被る。皆、特に俺以外の男全員がマリアを見ている。超感覚呪文で聞いてみるか。

 

『ううむ。頭は良いな。それに、心優しい。だが、心を開いた人間以外にはかなりの恐怖心が持っているようだな。』

 

「あの、グリフィンドールはダメですか?」

 

『いいや。君は確かに勇気も持っているが、あそこは君には向かないだろう。そして、スリザリンも。この2つは、結構人間関係を重視する傾向がある。君の過去に起こった出来事が、他人との関わりを拒絶している。君に相応しいのは知識だ。なので寧ろ……』

 

『レイブンクロー!』

 

マリアは、レイブンクローに組み分けされた。ビクビクしながら席に座った。レイブンクローの席では、喜びの声が上がっていた。美少女を獲得したので。でも他は、残念そうにしてた。

 

「ウォルパート・ナイジェル!」

 

『グリフィンドール!』

 

「ホイットビー・ケビン!」

 

『ハッフルパフ!』

 

ようやく終了した。マクゴナガル先生は、帽子と丸椅子を回収した。それが終わると、ダンブルドア校長が微笑みながら口を開いた。

 

「今夜言うのはこれだけじゃ。思いっ切り、搔っ込め!」

 

「良いぞ!良いぞ!」ロンが大声で囃した。

 

「うおおおお!!メシだああああああ!!!」

 

スリザリンの席でグラントが大声を上げる。周囲が大爆笑の歓声に包まれている。それをあんぐりした表情で見ているスネイプ。

 

料理が出て来た。相変わらず美味い物を作ってくれるな。今度、厨房の屋敷しもべ妖精から料理のレシピでもいただこうかね?それはともかく、皿に食べ物を山盛りにした。

 

「腹が減ってたんだ。」ステーキの塊を頬張りながらそう言った。

 

「今晩は、ご馳走が出て来ただけでも運が良かったんですよ。」

 

サー・ニコラスが言った。

 

「何があったんだ。サー・ニコラス。」

 

「厨房で問題が起きました。またピーブズです。」

 

「何だと?」あの野郎、碌な事しねえな。

 

「あ奴は祝宴に参加したいと言い出しましてね。」

 

「無理だな。100%。確実に。」

 

「ええ。そうですとも。無理な話です。行儀も碌に知らず、食べ物の皿を見れば投げつけずにはいられないような奴です。ゴースト評議会でも、太った修道士以外は万上一致で参加させてはならないという決断に至ったのです。」

 

「だから水風船を後から来た人に投げつけてたのか。」ロンが苦々し気に言った。

 

「絶対何かあると思ったよ。」ネビルも話に参加する。

 

「それを聞いたピーブズは、祝宴を台無しにしようと厨房で暴れたのです。」

 

そうか。成る程。オシオキ決定だな。

 

「サー・ニコラス。続きを。」

 

「ハリーから出て来るオーラ。何だか途轍もなく真っ黒いよ。」

 

「ネビル。ハリーはね、料理を自分で作る程のグルメなのよ。それを踏みにじったピーブズは、決して許せないのよ。」

 

「へ、へえ。今度ハリーにご馳走して貰おうかな?」

 

「話を戻しましょう。何もかもひっくり返しての大暴れ。鍋を投げる、厨房はスープの海。屋敷しもべ妖精がものを言えないほど怖がったのです。部屋の隅に隠れて震えていました。」

 

「ありがとう。サー・ニコラス。詳しい話をしてくれて。」

 

にこやかな笑みをサー・ニコラスに送った。サー・ニコラスは、何か引き攣っている。その時だ。ガチャンという音が聞こえた。ハー子が金のゴブレットをひっくり返したのだ。かぼちゃスープがだらりと流れ込む。俺の周りは清めの呪文で綺麗にしておいた。

 

「屋敷しもべ妖精ですって!?そ、それこそ冗談でしょ!?」

 

「知らなかったのかハー子。俺は3年前、ハッフルパフ生から既に聞いているぜ。時々菓子とか貰ったり、料理用の材料をいただいたりしてな。」

 

「?ハーマイオニー、それは至極当然の事ではありますが。」

 

「今度彼らからレシピを貰おうと思ってるんだ。杖に頼らない魔法もある程度教わってるしさ。」

 

「そういう事で片付く問題じゃないのよ!ねえニック。彼らはお金やお休みは貰っているんでしょう?」

 

「彼らはそんなものを望んでいません。」サー・ニコラスがキッパリと言った。

 

ハー子は、自分の皿を遠くへ押しやった。それは、俺が有り難く頂戴した。

 

「ハー子。お前が絶食したって、意味ないだろう。それでも食いたくなきゃ、俺が頂くけどな。」

 

「勝手にすれば良いわ!!奴隷労働よ!!」

 

あ、こりゃ相当な重症だ。無視して、食事を堪能しますか。

 

しばらくして、デザートに変わった。糖蜜パイ、蒸しプディング、チョコレート・ケーキ等々。ブラックコーヒーを飲みながら、デザートを食べる。ロンがハー子にちょっかいを出している。ハー子は、マクゴナガル先生と同じ目つきをしてやめさせた。

 

やがて、デザートも消えた。そこで、校長の長ったらしい演説が始まるわけだ。

 

「皆良く食べ、良く飲んだ事じゃろう。」

 

ハー子は「フン!」と言ったが、素通りしよう。めんどくさいし。

 

「幾つかお知らせがある。管理人のフィルチさんが持ち込み禁止品を追加した。確認したい者は、チェックじゃ。尤も、バレなければ問題無いがの。」

 

それ、言っちゃって大丈夫なのかよ。

 

「いつもの通り、校庭内の森は寮監から許可を貰った者以外は立ち入り禁止。許可を貰った者も、ハグリッドの付き添いが必要になる。そしてホグズミード村も、3年生以降からじゃ。」

 

関係無いね。魔法使いらしく、無様な見つかり方とバレを防止すれば良いだけの話だからな。

 

「そして、これはわしも言いたくない事じゃ。誠に残念な事じゃが、今年度のクィディッチの試合は取りやめじゃ。」

 

「えー!?」

 

「ふざけんな!」

 

「グリフィンドールに勝ち逃げされてたまるか!」

 

特に、クィディッチをこよなく愛する者や選手達は、絶句と罵倒の声を上げた。

 

「皆の怒りはご尤もじゃ。その代わりとは言ってはなんじゃが、皆が大いに楽しめるイベントを用意しておる。ホントジャヨー。」

 

最後が棒読みになってるぞ、ジジイ。

 

「今年、ホグワーツで――」

 

雷鳴と共に、誰かが来た。魔力感知をしようか。

 

ああ、そうか。一度、シリウスの家に来て俺とも出会った事のある人だ。アラスター・ムーディ。何でここに来てるんだろうかと思っていると、校長から説明があった。今年の、闇の魔術に対する防衛術の教師としてきたのだ。

 

ん?ムーディってこんな魔力だったっけ?夏休みに出会った時とは、明らかに違うな。まるで別人だ。もうちょっと様子を見て見ようかね。

 

「で、さっきの続きに戻る訳じゃがの。10月から数ヶ月にわたって、我が校では100年ぶりとなる心躍るイベントの主催校になった。わしとしても大いに嬉しい。今年のホグワーツでは、三大魔法学校対抗試合(トライウィザード・トーナメント)を行う!」

 

「ご冗談でしょう!」フレッドが大声を上げた。

 

「ありえねー!」ジョージも然り。

 

殆ど全員が笑いだした。ジジイは、その状況を楽しんでやがる。

 

「ウィーズリーのツインズ。わしは決して、冗談など一言も言っておらんよ。」

 

ダンブルドアが言った。

 

「この試合は過酷での。大体700年前、ヨーロッパの3つの魔法学校の親善試合として行われ始めたのじゃ。我がホグワーツに加えて、ボーバトン、ダームストラングでの。各校から代表選手を1人選出し、3人が3つの課題に挑んだ。5年おきに開催して、その度に開催校を変えて。若い魔法使いに魔女達が国という壁を越えて絆を生み出し、育んでいく最高の手段だと判断されたのじゃ――夥しい数の死者が出るに至って、競技そのものが中止されるまではの。」

 

夥しい死者だと?参加はしないに決定するか。

 

「何世紀にもわたって、この試合を再開しようと、幾度も無く試みたのじゃが、どれも成功しなかった。じゃが今回、『国際魔法協力部』と『魔法ゲーム・スポーツ部』が開催決定をしたのじゃよ。死者が出ないように、この夏は身を粉にして我々は努力しておった。」

 

ふ~ん。その努力の結果とやらを聞かせておくれ。

 

「ボーバトンとダームストラングのそれぞれの校長が、代表選手の最終候補生を連れて10月に来校する。そしてハロウィーンの日、選手が3人選ばれる。優勝杯、学校の栄誉、選手個人に与えられる賞金1000ガリオンを賭けて戦うのに、誰が1番相応しいかを公明正大なる審査員が決めるのじゃ。」

 

「俺は立候補するぞー!」

 

フレッドが叫んだ。それに続くように、段々と騒ぎ声が大きくなった。

 

「諸君らがホグワーツに優勝を齎そうとする姿勢は大いに評価しておる。しかしそれは、気持ちだけ受け取っておこうかの。今回の審査基準には17歳の、つまり成人した者だけが立候補出来る仕組みとなっておる。これは、未成年の者にとっては余りに課題が難し過ぎると判断したからじゃ。」

 

反発の声を黙らせた。

 

「1000ガリオンかー。欲しいなあ。ハリーなら出来そうだけど。」

 

ロンが俺に振って来やがった。

 

「パス。ジジイが目を光らせるだろうし、何より命が大切だ。観戦した方がお似合いだよ。」

 

「さてと。夜も更けてきた事じゃろうから、明日からの授業に備えてゆっくり休む事じゃ。ハッキリした頭で臨む姿勢が大切じゃと、皆そう思っておるじゃろうからの。それでは就寝!ほれほれ!」

 

ダンブルドアは再び腰掛け、ムーディと話し始めた。さっさと談話室に戻る事にした。その時、声が聞こえた。ドラコとスピカ、そしてコーヴァスが言い争っている。というより、一方的にドラコが2人を攻めているだけだ。最終的にそれぞれの寮生に仲裁されて、引き離されたけど。

 

「何をやってたんだろう?」ロンが首を傾げる。

 

「大方、弟がレイブンクロー、妹がハッフルパフに行った事に対して、いちゃもんでもつけに行ったんだろうさ。」

 

その後は、フレッドとジョージの愚痴を聞いたり、ネビルが無理そうだと嘆いたり、ロンが立候補するかもと言ったり、ハー子が奴隷労働と連呼していたのを適当に聞き流しながら、ベッドに寝た。クィディッチが無いから、趣味の料理や新術開発に取り掛かるかな。

 


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