Harry Potter Ultimatemode 救済と復活の章 作:純白の翼
第1話 予期せぬ訪問者
「
指輪に向けて死の呪文を放つ。指輪は、真っ二つに割れた。入っていた黒い物も、即ち変態ヘビの魂の欠片も消滅した。
「これで3つ目か。それにしても、バジリスクの牙で作った杖。やはり分霊箱の破壊に特化してるな。皆に報告しないよね。…………ん?」
指輪から奇妙な石が出て来た。何かのマークが刻まれている石だ。
『それは、君の進む道のターニングポイントになるものだ。』
声がした。いつの間にか、そいつはいた。まるで、どこかの教会で神父をやって良そうな感じだな。見た目だけなら、俺と同年代だろう。
「お前は……」
『君は今年度、あらゆる者を救済していくのが見えるよ。それが例え、立場上敵であってもね。』
「おい!それはどういう……」
その男は、突如として消え去った。何だったんだ。一体奴は。
考えても仕方が無い。俺は、気を取り直して指輪を念入りに調査することにした。これが、追っていた事件解決の最後のピース及び、これからの運命が決まる物とは、その時は知る由も無かった。そして、心の底では会いたいと思っていたあの2人との会話も。
*
7月15日。夏休みから2週間が経った。俺は、義祖父ちゃんと共にプリベット通り4番地のダーズリー家の前に立っていた。今回は、タクシーで来た。チャイムを鳴らす。
「どうも。ペチュニア・ダーズリーさん。1年ぶりになります。今日は、エリナを引き取りに来ました。」
「ええ。それではどうぞ。」
追い出したりせずに、すんなり入れてくれた。高級菓子と、資金援助の契約書類を持ってきた。まあ、資金援助は本当にロイヤル・レインボー財団にとっては微々たる額だが。
「あれ?ハリー、髪型変えた?」
「ん?あ、ああ。まあな。」
実は、清潔感溢れる様に整えた髪型から、横に流すように変えているのだ。ついでに、マントも新調した。今までは白だったけど、灰色に変更したんだ。
難なく話は済み、3人で付き添い姿くらましをした。
ロイヤル・レインボー財団本部。戻ってくると、団員の1人がいた。客がいる。アランと話をしたいから先に上がっていると言っていた。
急いで、待合室に行く。そこには、ホグワーツ魔法魔術学校の校長、アルバス・ダンブルドアが悠々と座っていた。
「この老いぼれめ、今更どの面下げてここに来た?また私の所から、自分の為に命を捨ててくれる駒でも引き抜きに来たのか?十数年前の事、忘れたとは言わせんぞ。」
お前は招かれていなという気持ちを押し出して、ダンブルドアに食って掛かってた。
「アラン。そう事を荒げないで欲しい。今回は、話がしたくての。それにのお、アルフォンス夫妻にアルフレッドの事、本当に申し訳ないと思っておるのじゃ。改めて謝罪させておくれ。」
「貴様と話す事は何も無い!さっさとここから出て行け!!」
「頼む。すぐに終わらせるから……急を要する事なのじゃ。それが、この国のマグル界と魔法界の為にもなる。」
「『より大きな善の為に』か。相変わらずだな。マグル界はともかく、進歩もしようとしないあんなクソみたいな世界など、私からしてみれば救う価値は無い。」
それを扉の前で聞いてる俺達。
「ねえ、アランさんってこの国の魔法界を凄く嫌ってるけど?」
「俺も詳しくは知らん。ダンブルドアが、何かやらかしたんだろ?前に聞こうとしたけど、誰も俺に教えてくれなかった。」
「ふ~ん。」
もう少し話を聞いてみる。どうやら、ある程度の情報提供くらいで話がついたようだ。
「我々ロイヤル・レインボー財団は、リチャード・シモンズの行方を追っていく中である組織に辿り着いた。」
「ある組織?それは一体何かね?」
「TWPF。Those who produce finish。『終わりを生み出す者』と呼ばれている。」
「特徴は?」
「殆ど分かっていない。だが、主要メンバーは10人。しかし、たかが10人と侮らない方が良い。1人1人が、国1つ滅ぼせる戦力を持っている。奴等との戦いは戦闘規模の話じゃない。もはや戦争だ。」
「新聞を読んだかね?」
「情報こそが大切だからな。気に食わないが、目は通している。」
「ならば話が早い。純血の名家が1度に2つも断絶したのじゃ。後、セブルスからの情報でマルフォイ家がリチャード・シモンズに襲われた。幸い、長男のドラコが痣を植え付けられた以外は無事だったがのう。アラン、何か事情を知っておるかね?」
「いいや。そして、私に開心術は効かんぞ。アルバス・ダンブルドア。」
「分かった。そう言う事にしよう。次は、ハリーは何をする気なのじゃ?わしはそれを手助け出来ればと思っておる。それが、災いを呼ぶなら、わしは全力で止める。」
「今年の行動の1つなら教えても大丈夫だろう。シリウス・ブラックの無実証明と名誉回復だ。」
「シリウスの事については、ジェームズが死ぬ前夜に話してくれた。本当の秘密の守り人についても。」
「それを知って、貴様はどうする気だ?まさか、あの子の邪魔をするのか?今迄みたいに、打算で愛を語って操り人形にしておいて。」
「いいや。見守ろう。そう言う事なら。」
「何故、リドルの奴を疑いの目で見ていた?貴様が、奴に最初に出会った教師だろう?同じ目線で接しなかった?ああ、分かるぞ。貴様も一歩間違えれば奴の様になっていたから怖かったんだろうな。その結果がこれだ。」
「悪いとは思っておった……騎士団の者達も……お主の家族の事も……ジェームズにリリー、メイナードの事も。」
「どうだかな。それに、アルフォンスとマヤを見せしめで殺したあいつを匿っている時点で、貴様など全く信用出来ない。それだけは覚えておくと良い。英国魔法界諸共、潰そうとしなかっただけでもありがたいと思え。」
穏やかじゃない会話のオンパレードだな、おい。
「ねえ、ハリー。シリウス・ブラックって誰?」エリナが聞いて来た。当然か。
「とりあえず、ここを離れよう。」
俺とエリナは、俺の部屋へ向かった。
「さあて。まずは、父様の交友関係から話すか。」
「パパのお友達?同級生がスネイプ先生くらいしか知らないんだ。」
俺は、エリナに話した。父ジェームズ・ポッターには3人の友がいた事を。ピーター・ペティグリュー、リーマス・ルーピン、そしてシリウス・ブラック。4人は本当に仲が良かったのだ。後に、4年後に入って来たアルフレッド・ローガーやメリンダ・ハルフォードも加わり、6人組となった。
「このリーマス・ルーピンって人は、ある症状を患っていた。満月の時にな。満月で思い浮かべるのは?」
「狼人間かな?」
「リーマス・ルーピンは、マジモンの狼人間だよ。人間だけを見境なく襲うね。」
「何でその人学校に行けたの?危険過ぎるよ。」
「それな。ダンブルドアの爺さんが、適切な処置をすれば入れるよ、って言ったんだよ。」
「その処置って何なの?」エリナが聞く。
「暴れ柳の中に作られた部屋に満月の時だけ隔離するっていう処置だよ。」
「あの木にそんな存在理由があったんだぁ。」
「それを父様達は知ることになるけど、それはまた後の話だね。とにかくだ。特に父様とシリウス・ブラックは、実の兄弟なんじゃないかと言われるほどの間柄だったんだ。父様が結婚しても、それは変わらなかった。」
「うん。」
「俺達のゴッド・ファーザーはこのシリウス・ブラックって人さ。」
「それなら、どうしてその人は、今まで会ってくれなかったの?」
「これからの展開でそれが分かる。ある時だ。ヴォルデモートは、理由は良く分かってないが父様と母様を狙い始めた。校長は、2人にある提案を持ちかけた。『忠誠の術』ならば、一番助かる可能性があるってね。」
「忠誠の術?」エリナが首を傾げた。
「とんでも無く複雑だ。生きた人間の中に秘密を魔法で封じるんだ。選ばれた奴は『秘密の守人』として、情報を自らの中に隠す。情報を見つけ出すのは、不可能だ。『秘密の守人』が暴露しない限りは、だが。」
「その人が、パパとママの『秘密の守人』に?」囁くように聞いた。
「……通説ではな。父様は、シリウス・ブラックなら情報を暴露するくらいなら死を選ぶってみんなに言ってたそうだ。校長は、俺達の両親に近い人間がヴォルデモートの配下になっているって予測してた。それでも父様はシリウス・ブラックを選択した。1週間と経たない内に、12年前のハロウィーンの惨劇になったんだ。」
「そんな!どうして、平気で裏切るような真似が出来るの!?」
「言っただろ。それは、あくまで通説だって。あともう少しで真相を教えるから、黙っててくれ。翌日、シリウス・ブラックは落ちこぼれと言われていたピーター・ペティグリューに追い詰められた。だが、返り討ちにした。12人のマグルを巻き添えに。そしてアズカバンに収監された。」
俺は、言い終わると同時に机に大きな分厚い本を置いた。
「何これ?」
「これは、12人のマグルとペティグリューの死亡した時の捜査資料だ。ロイヤル・レインボー財団が調査していた。義祖父ちゃんは、アルフレッドさんから親しかった5人の事を聞いてた。特に純血主義で有名な家の出身でありながら、家風に強い反発をしていたシリウス・ブラックには強い関心をね。だから、この事件を一から調査し直したんだ。」
俺は、ペティグリューの残った小指一本の写真のページを開いた。その前に、質問をしてみるかな。
「この話に入るその前に、ちょっと考えて欲しい。もしも、俺達の両親の敵だったならばだ。ターゲットは、自分の知らない所に隠れてる。それだったら、どうするかな?」
「ボク!?……そうだなぁ。取りあえず、ターゲットの身近な人を狙う…………あ!」
「そう。親友に『秘密の守人』を託して、すぐに裏切られて死ぬ。今までの話は端的に言えばそういう事だったんだよ。余りにも単純過ぎだ。物事は、もっと複雑に動くべきなのさ。」
コップと2Lコーラを用意した。
「俺がもし、『秘密の守人』を託される話が来たら、こう考えるよ。自分ではなく、もっと別の人間にやらせればいいんだって。誰も、そいつが秘密を握っているなんて思いもよらないだろうってね。」
「もしかしてハリーは、シリウス・ブラックは秘密の守人じゃないし、裏切ってもいないって言いたいの?それなら、どうして彼は翌日に事件を起こしたの?」
俺は、さっき開いたページの小指の写真を指差す。
「ペティグリューのわずかに残った肉片だ。」
「それが何?」
「おかしいんだよ。何故、シリウス・ブラックはマグルの通りでそんな大騒ぎを起こしたのか。死の呪文を使えば、落ちこぼれのペティグリューなんて一発で殺せる。間違い無くな。なのに、使ったのは恐らく爆破呪文。おかし過ぎる。」
「クィリナスがハーミーに使わせた緑の光線の事?死の呪文って。」
「その認識で正解だ。それと、もしシリウス・ブラックが裏切り者だったなら、逃亡中に身を隠すものだ。なのに、あんな騒ぎを起こすのは不自然過ぎる。一番疑問に思ったのは、小指一本遺して死んだ事。対して、マグルは12人も死んだ爆発。」
「ペティグリューって人は、死んじゃったマグルの人よりも体が丈夫だったんじゃないの?」
「もしそうでも、残された血痕があまりに少ないんだ。もっと多くても良い。それに、小指だけ残る爆発なら、もっと規模は小さくても良い。最悪、ペティグリューだけ死ぬレベルで十分だよ。」
コーラを2人分注いで、グビッと飲んだ。
「つまり、残った遺体の大きさと爆発の規模が釣り合わないってハリーは言いたいの?」
エリナも、コーラを飲みながら質問する。
「そういう事。極めつけは、残った小指の状態だ。それだと分かる位に残ってる。なら、他の身体だって残っても良い筈。なのに、小指だけ。不自然過ぎる。専門家に見て貰ったら、あまりにおかしいって判断が出たよ。マグルの専門家も侮れないものだね。」
「それで、本当の裏切り者って誰なの?どうやって知ったの?いくら調査を丁寧にやったからって、真犯人までは特定するのは難しいよ。」
「そうだな。断片的な証拠しかなかったから、シリウスが犯人じゃないって分かっても、誰が真犯人なのかは最近まで分からなかった。これを使うまでは。」
俺がエリナに見せたもの。それは真っ二つに割れた、金の指輪だ。中に石が入っている。
「これって何?」
「マールヴォロ・ゴーントという奴の指輪さ。サラザール・スリザリンの子孫だよ。」
「という事は、ヴォルデモートのお母さんの家族の物なの!?だって、リドルがこう言ってたじゃん。『母方の先祖は、サラザール・スリザリンだ』って。」
「覚えてくれて良かったよ。指輪の中に、石が入ってる。まさか、ただの石っころが父様や母様と会話出来たのは想定外だったね。だからさ。これが何なのかは、これからも調査する事にしたよ。」
「成る程。パパやママと会話して、あの時の事を教えて貰ったんだ。」
エリナが何かやりたそうな顔をしてる。
「使いたい?会話したい?別に良いぞ。後で話が終わったら、使っても。」
「ううん。今はまだ良いよ。気持ちはありがたいけどね。全部、ヴォルデモートの事が片付いたら終わったよって言いたい。それに、私的な理由で死んでいる人を、安らかに眠っている人をむやみにこの世に呼ぶなんて間違ってるからね。」
「…………分かった。俺も、使うのはその時の1回だけにしておくよ。また使うことがあるとしたら、ヴォルデモートを完全に倒してからにしようね。約束しよう。」
指切りで、俺達は約束した。
「うん!ボク達兄妹の約束でね!でも、この事件を解決出来たからそれはそれで良しとしようよ!」
「そう言って貰えると助かるわ。で、だ。母様は、あの時の事を話してくれたんだ。あの時の『秘密の守人』は、ピーター・ペティグリューだってさ。元々はシリウスがそうだったんだけど、死ぬ1週間前にシリウスの提案をのんで変えたんだって。」
「ペティグリューは死んでるんでしょう?」
「実は、生きている可能性が出てき始めたんだよ。さっきの会話からね。リーマス・ルーピンの話に入るけど良い?」
「何か繋がってるんでしょう?どうぞ。」
「じゃあ、お徳サイズのティラミス食いながら話しますか。」
ティラミスをよそって、皿をエリナに手渡した。コップが空なので、コーラも注いでおく。
「ありがとう、ハリー。」早速、ティラミスを食べ始めてる。
「じゃあ。リーマス・ルーピンの話だな。彼が狼人間だっていうのは知ってるよね?」
「さっき言ってたもの。知ってる。」
「アルフレッドさんを入れた5人組で活動して程無くの事。ついに、リーマス・ルーピンの秘密を知った。だが、父様達は拒絶するどころか何とか負担を和らげようと手段を探し始めたんだ。そして、見つけた。その名も、『
俺がその魔法を言った瞬間、エリナが椅子から思いっ切り立ち上がった。
「知ってる!マクゴナガル先生とね、去年から、やってるんだよ!もうすぐ終わりそうなんだよ!!」
「マジか。変身術の分野で、俺達の学年においてエリナの右に出る奴はいないとは聞いてたけど、本当に訓練をしているのかよ。まあいいや。話を戻そう。アルフレッドさんが作り上げた『
「どんな動物になったの?」
「父様は牡鹿、シリウスが黒犬、ペティグリューがネズミ、アルフレッドさんがホワイトタイガーでメリンダが鷹だ。」
「それって!繋がった!分かったよ!ねえハリー。ボクが一から説明して良い?」
「どうぞ。」
「まず、秘密の守人は最初シリウスが務めてた。でも、自分が狙われるのは目に見えている。だから、パパとママにペティグリューに変えた方が良いって言ったんだ。でもそれが命取りになった。ペティグリューがヴォルデモートの配下になっていて、パパとママの場所を教えたからね。それで、12年前のハロウィーンの出来事が起こって、ボクとハリーだけ生き残った。裏切りを悟ったシリウスは、ペティグリューを追跡。追い詰めたけど、ネズミに変身して逃げられた。ついでにペティグリューは、かわいそうなマグルの人達を12人殺した。自分の死を偽る為に、小指だけを切り落として逃げたんだよ。」
まだ話したい事があったのに、お得意のイマジネーションだけで俺の言いたい事全部言っちゃったよ。エリナ、凄過ぎだ。
「全部言われちゃったな。正解。」
「じゃあ早速シリウスの無実を魔法省に教えないとね!」
「それが出来れば、すぐにやってるけどな。生憎だが今の魔法省は、保身に走るから黙殺するよ。絶対にね。」
「そ、そんな…………」エリナが落胆している。
「ペティグリューを捕らえない限りは、シリウスの無実は証明出来ないよ。まずは、ペティグリューを探さないとな。ただ、少し気になっている事があるんだ。」
「気になってる事?」
「ナイロックが、ロンのネズミを人間の臭いがするっていつも報告するんだ。」
「ねえ、まさか。」
「今の所は、断言出来ないけどな。とりあえず、俺達だけでもシリウスの味方でいようぜ。」
「分かった。今を耐え忍ぶ。そうだよね?」
「ああ。」そうだ。今はまだ早い。情報が少な過ぎるからな。
「そう言えば、この事はイドゥンとエックス君には伝えるの?」
「曲がりなりにも同じ一族だからな。それに、8月の下旬、もっと言えば8月28日に来ても良いかって事を伝えてる。了解の返事も、既に貰ってるし。」
「ボクも行って良い?」
「良いよ。一緒に行こう。」
8月28日に訪れるブラック邸には、エリナも連れて行く事が決まった。
ダンブルドア視点
やはり、もうロイヤル・レインボー財団は分霊箱の存在に気付いておった。それにしても、レイブンクローの髪飾りからそれを知る事になるとは。それも含めて2つ破壊したとアランは言っておった。
賢者の石攻防戦におけるハリーの身に起こった出来事。クィレルの手により、確かに死の呪文を直撃した。ダーズリー家に送られなかったので、リリーの守りは既に消えているにも関わらず、彼は生きている。何が起こったのかは未だ謎じゃ。アランは事情を知っておるようじゃが、残念ながら教えてはくれなかった。ただ、予言にあった『魔を蝕む異物』が関係しているのは確かじゃろう。
そして、アルカディア。もう1つがTWPF。正式名称『終わりを生み出す者』か。闇の陣営よりも明らかに厄介な組織が2つも存在していた。わしの方でも独自の調査をしなくては。問題が多過ぎるのお。
帰ろうとした時、ハリーとエリナのいる部屋を訪ねてみた。別々ながら、それぞれ予言の子に選ばれた双子の姿を最後に見ておこうと思った。だが、ハリーが奇妙な石をエリナに見せておった。
間違い無い!あれは、わしが長年求めておった『蘇りの石』じゃ。何でも、ハリーによればマールヴォロ・ゴーントの家から回収したものだそうじゃ。ほ、欲しい!いや、そこまでいかなくても使ってみたい。そう思い、ドアを開けようとした。適当な理由をつけて自分が管理すると言えば、わしを否定的に見ているハリーも、エリナの説得ならば素直に聞いてくれる筈じゃ。
だが、やめた。エリナが、こんな事を言っておった。私的な理由で死んでいる人を、安らかに眠っている人をむやみにこの世に呼んではいけないと。
それを聞いて手が止まった。わしは、あの兄妹に比べたらどうしようもない人間だという事を改めて思い知らされた。ハリーは偶然にとはいえ、無実の人間を救う為に使った。エリナは、全て片付けてからヴォルデモートの犠牲者に対して、もう心配しなくていいと安心させる為に使うと言った。
わしは、この期に及んで自分の為にしか使おうとしなかった。わしは、あの子達に比べたら、あまりにも愚かだった。気付かぬ内に、ここを出て行こう。
*
「ゲブラー様。ご報告の時間となりました。」
ブライトンにいる謎の物体。隼を擬人化させて巨大にしたような感じだ。メカニカルな体をしている。また、サンダーバードにも、グリフォンにも見える外見でもある。
『もうその時間か。アステファルコン。じゃあ、報告とやらを聞かせて貰おうか。』
「はい。やはり、ロイヤル・レインボー財団は強大です。最後の攻略対象にするべきでしょう。」
『そうか。分かった。8月になったら迎えに来るから、それまでは見つからない様に財団の周辺を調査しろ。』
「了解しました。」
その者の名は、『稲光る極鳥』の異名を持つ隼型レプリロイド、アステファルコン。ゲブラーと名乗る者からの指令を受け取り、現在の人型から飛行形態に変化し、その場を去って行った。
前作から暗躍していた組織の名称が判明。その戦力は、ロイヤル・レインボー財団が総力を挙げても引き分けに持ち込むのがやっとな程。
次回、ポッター兄妹が実際にTWPFと接触します。特にハリーにとっては、これからの戦いに必要不可欠な要素です。
それでは、また来週に。