Harry Potter Ultimatemode 救済と復活の章 作:純白の翼
エリナ達6人がバックビークを救出している頃の話。ルインに薬の概要を話した。
「これ、完成して発表したら魔法薬学の歴史に名を残すレベルよ。でも、本当に良いの?手柄を、全て私達にくれるって。」
「ああ、ルイン。何度も言った筈だ。協力する代わりに、薬は2人が開発した事にしてくれってね。それにしてもさ。いくらなんでも無いだろ。『魔法薬学の歴史に名を残す』ってのは。幾ら何でも誇張し過ぎ。」
冗談だろと笑う俺。だが、シエルは真面目そうな表情をしている。え?
「もしかして……俺ら。やらかした?」
ルインとシエルに尋ねる。2人共、息がピッタリ合う様に俺に頷いた。いやあ、リーマスを助けようとしただけなんだよな。正直言うと。
「ハリーは長年、日本にいたから事情を知らないのも無理はないわよ。」
シエルが慌てて俺のフォローに回った。
「だって、マグルや他の亜人との共存が出来てるし。でもねハリー。この国の魔法界では、これだけの進化した脱狼薬という課題は魔法薬学での最大の難関なのよ。」
「へえ。」
「で、これは何なのよ?」ルインは、少し離れた場所の薬品に指をさす。
「失敗作だよ。左から順に、蝙蝠になる薬、6ヶ月酔っ払いになる薬、性転換する薬、腕が4本になる薬、胸が大きくなる薬だな。ちゃんと解毒薬は作ってるけどね~」
最後の薬の事を言った瞬間、シエルが俺に詰め寄る様に近付いて来た。目が……目が怖い。
「最後の薬、いくらで売ってくれるの!?」
「シエル?何で目がマジになってんだよ?」
「シエル、あなたには相応しくないわ。やめておきなさい。」
「あら、ルイン。私が、ハリーの作った『胸が大きくなる薬』を飲んで、これ以上グラマーになったら困るものね。うふふふふふふふふっ!」
「何ですって!?あなたがそんなものを飲まなくても、私の方がずーっと胸は大きいもの!ねえ、そうでしょ!ハリー!」
女の戦いは怖い。シエルの方が、ある程度勝っている状態みたいだな。それにしても、脂肪分があるだけでこうも醜い争いになるのか。俺には分からないんだが。
「いや、そう言われても……どっちも見た事無いし、見たら捕まるから見たくねえよ。特にルイン。俺がそんな事をやろうものならスネイプに殺されちまうぜ。」
「何だろう?逆に返り討ちにしそうだわ。」シエルが呟く。
「服の上からでも分かるでしょ!普段、女の子のどこの部分見てんのよ!」
「俺は、女の胸に興味なんかない!!!つーか、胸の話をしに
一旦、その話題は無理矢理終わらせたのだった。本題として、真脱狼薬の話に入る。10分で説明をする。
「成る程。効能自体はクリアしていて、後は味の改善をしているというわけね。」
ルインが真脱狼薬シリーズのレシピを見ながら確認の同意を求める。
「ああ。その認識で間違い無い。」
「そうね。基本的に『飲みやすい、美味しい』薬程無味無臭なのよ。」
「それはシエルも言ってた。ある程度までは改善出来たけど。」
「ルイン。何か良いアイデアは無いかしら?」
「う~ん。そうねえ……あ!パラチノース加熱物はどうかしら?」
「何なの?それ。」シエルは、チンプンカンプンだった。
「糖質パラチノースが原料。食品の好ましくない味や香りの改善をさせ、それらを引き立てる効果を持つ。確かにそれなら出来るかも。その発想は無かったよ。」
「それじゃ、早速取り掛かりましょう。」
こうして、味の改善を成し遂げる為に作業に取り掛かった。ルインの提案通り、パラチノース加熱物を追加した事で、無味無臭となった。
「この状態なら、甘い物を入れても問題は無い筈だけどな。」
「ええ。シロップかハチミツを入れましょうよ。」
「少しでも栄養が摂れる様にミネラルをたっぷり含んだ加工乳も悪くないな。」
「この2人、更にプラスアルファをするつもりなの?凄過ぎるわ。」
ルインがポツリと言った。
「何か言った?」
「いいえ。別に。」
試行錯誤した結果、1時間で完成した。
「それじゃ、ハリー。お願い。」シエルが言った。
「了解。評価・査定せよ(タクショネミート・アステマティオ)。」
鑑定結果が出た。エメラルドグリーンの光が出た。という事は、成功している証拠だ。
「鑑定結果を見ましょうよ。」
《真脱狼薬δ
真脱狼薬γの進化版。その効果は、人狼の本能を完全無効化し、服用回数が1回だけで済む効果に比べて変身前の人間の状態も維持される真脱狼薬γの効果をそのままに、味の改善がされている。満月の日の、どの時間帯でも良いので服用する事。従来の脱狼薬をそれ以前に飲んでいても、問題無く効果が発動する。メープルシロップの味がする。更に、ミネラルをたっぷり含んでおり、健康や美容効果も併せ持つ》
「は、ははははは。」
「本当に出来ちゃってる。」
「遂に完成したんだ。」
「「「やったー!!!」」」
歓喜の声を上げる俺達3人。ハイタッチしあい、その喜びを分かち合う。
早速、職員室へ向かった。4種類の真脱狼薬をそれぞれのフラスコに移して。レシピはシエルが持った。何も持ってないルインがドアを4回ノックする。
「「「失礼します。」」」
「ミスター・ポッター、ミス・スラグホーン、ミス・ローズブレード。どうしましたか?」
最初に出迎えたのはマクゴナガル先生だった。
「というか、何ですか。この組み合わせは。」
「良いじゃないですか、スプラウト先生。細かい事なんて。ハリーにロン、ハーマイオニー、ゼロ、グラント、エリナなんてしょっちゅう共に行動していますって。」
「特殊過ぎる例を出さないでいただきたいですな。フォルテ。」
「それで、どのような用件ですか?今は会議中ですが。」
「例の薬が完成しました。」
会議を邪魔されて不機嫌気味になってるマクゴナガル先生の質問に、俺は淡々と話した。
「もしや、真脱狼薬を完成させたのですか?」
「はい。我々3人で。」
「俺は、手柄や名誉の類には興味ないんで……」一言付け加える。
「セブルス。」
スネイプにフラスコとレシピを渡した。じっくりと、αと書かれた紫の薬、βと書かれた明るい緑の薬、γと書かれたオレンジ色の薬、δと書かれた空色の薬を順番に見る。その後に、レシピを確認する。
「成る程。段階ごとに分かれているのか。効果の増幅、服用回数の短縮、変身させるが変身前の状態に見せかける、味の克服が。それに美容も期待出来る。強化薬にポリジュース薬、食品を主に使ったとは。我輩でも全くその考えは思いつかなかった。」
「それ程の効果なのですか?」フィールド先生が聞く。
「文句のつけようがない。完璧だ。」
スネイプの野郎、何か複雑そうな目で俺を見てやがる。俺は完全に、奴に対して憎悪の感情しか持っていない。さっさと視線を逸らしやがれと睨み付けてやった。
「早速ルーピン先生の所へ持っていきましょう。」
まずは、全員で校長室へ向かった。ダンブルドアに概要を説明した。実証はルーピン先生の部屋でという事になった。
「これが薬の説明は以上となります。」
「分かったよ。ありがとう、ハリー。そして、シエルにルイン。」
「別に。δなら飲めるでしょう?」
「早く飲んでください。」
「この状態のままなら、成功になりますから。」
「3人共。もっと喜んでも良いのじゃぞ?これは世紀の大発見じゃ。君達の発見で、世界中の人狼が救われるのじゃ。」
「今思ったんですよ。これ発表しちゃったら、ルーピン先生やめなきゃいけないじゃないですか。人狼化の苦痛から救う為に作ったのに、無職に追い込んだらそれこそ本末転倒なんですけどね。」
「そうですね。授業の内容は良かったから惜しいです。」
「あちゃあ~。そこまで考えてなかったわ。」
シエルも、ルインも戸惑っている。だが、リーマスは俺達3人に笑顔でこう言った。
「気にしなくていいよ。ハリー、シエル、ルイン。その気持ちだけ貰えば十分だ。私はまだマシな方さ。ロイヤル・レインボー財団から経済的な支援をして貰ってるからね。だけど世の中には、私よりも生活に困っている人狼がいる。今よりも人狼の立場が良くなるなら、私は喜んで受け入れよう。」
そして、次の満月の日になった。リーマスは、真脱狼薬δを飲んだ。どうやら、お気に召したようだ。この1日の経過観察をする。
結果としては、難無く1日を過ごせた。それは喜ばしい事ではあるのだが……
「クソ。逆に追い詰めた。こんな筈じゃなかったのに。」壁を殴りつける俺。
「よっぽど尊敬してたんだね。」
「というよりも、ハリーのお父様の親友で自分の後見人だからって理由の方が強いのよ、ルイン。」
「何度も発表はやめてくれって言ったんだよ。」
「それでも先生は首を振らなかったね。人狼の差別をなくす手段を明かさないわけにはいかないって。」
「その話は置いておきましょうよ。話題は変わるけど、エリナ達、バックビークを救出出来たみたいね。」
「それは知っている。何の障害も無くやり遂げたんだってな。」
エリナ達6人からの話で成功した事を聞いた。そして、ロイヤル・レインボー財団から無事に元気な姿を見せるバックビークの写真も送られてきたのだ。少しは、気持ちが落ち着いた。
先週からちょっと意見を聞いておきたいアンケートを活動報告で挙げています。
もしよろしければ、参照お願いします。