Harry Potter Ultimatemode 救済と復活の章 作:純白の翼
エリナ視点
ボクが倒れていた時のやり取りをエイダさんから聞いた。ちなみにだけど、監視付きの条件でスネイプ先生は自由になっていた。話を戻すけど、もう真実を知っている以上、シリウスを信じないっていう選択肢はボクの中には存在しないんだ。だから、大きな声で宣言する。
「ボクは、シリウスを信じているよ。もう1ヶ月前に答えを出したからね!」
「そんな!…………あ、ああ、シリウス。助けてくれ!君の友達だったじゃないか!」
シリウスのローブに触ろうとするペティグリュー。しかし、シリウスが蹴飛ばそうとしてきたので、思わず後退りした。
「触るな。俺のローブは充分に汚れた。これ以上お前に汚されるのはゴメンだね。返り血以外はな。」
「リーマス!」ペティグリューは、今度はルーピン先生の方に駆け寄って来た。
「闇の帝王の恐ろしさを君は知らないんだ。だ、だ、だから僕は無理矢理……」
「悪いがピーター。ヴォルデモートの恐ろしさは私も良く知っている。ジェームズやリリー、シリウスもね。そしてメイナードも。私の同族がいるから、こっちに来いと何度も奴に詰め寄られたんだよ。でもジェームズは、何度も奴に真っ向から杖を持って立ち向かったんだ。私の心を救ってくれた彼らをどうして裏切る事が出来るんだろうって思った。だから私は……君のその神経が理解出来ないね。」
ルーピン先生が冷たく言い放った。
「メリンダ!君は、マグルの世界で警察をやっているんだろう?それなら、シリウス達のやろうとしている事は法律に反している。お願いだ。助けてくれ。」
「私は殺さないわよ。でも、あなたをどうするかなんてシリウス先輩が決める事。だから、助けるつもりも無いわ。」
事務的な口調でそう返すメリンダさん。
その後、エイダさんにイーニアスさん、アドレーさん、キットさんの所へ行った。
「ロイヤル・レインボー財団の皆様。僕は、闇の陣営に関する情報を持ってます!助けてくれたなら、幾らでも情報は提供いたします。」
「あなたなど、殺す価値もありませんよ。」
「どこまでも生にしがみ付くとは。哀れな男だ。」
「既に、とある手段で闇の陣営にいた連中の動きなんて完全に把握しているのにも関わらず、まだそんな事を抜かしてくる人もいるものですね。兄上。」
「それに、俺の弟分の人生を歪ませたんだ。無事で済むと思うなよ?ネズミ男。」
エイダさん、イーニアスさん、アドレーさん、キットさんの順に言い放った。怖くなったペティグリューは、次はスネイプ先生の所に来た。
「ああ……セブルス。君は、シリウスを憎んでいた筈だ…………だから、シリウスのやる事全てが間違っていると思って……」
だけどスネイプ先生は、シリウスやルーピン先生に見せていた以上の憎しみの視線で黙らせた。周りに人がいなければ殺してやるという顔になってた。
グラントとゼロに駆け寄る。こう言うのもなんだけど、懲りないね。
「君達。これから行われる残虐な事を見過ごす気は無い筈だ。僕は死にたくないんだ。」
「いい加減しつけえぞテメエ!潔く殺されろ!!!」
グラントが殴り掛かろうとするが、ゼロが盾の呪文で阻止した。
「やめておけグラント。こんな野郎、殴る価値も無い。お前の拳は、この男の血で赤く染める必要はねえ。」
それでもゼロは、ペティグリューに対して怒りの視線を投げかけた。怯えきったペティグリュー。次は、ロンの傍に転がり込む。
「ロン……僕は良い友達……良いペットだったじゃないか。僕を殺さないでおくれ、ロン。お願いだ……君は僕の味方だろう?」
だけどロンは、不快そうにペティグリューを睨む。
「今思うと怒りが込みあがって来るよ。お前みたいな悪党なんかを……自分のベッドに寝かせていた僕自身に!!!」
「優しい子だ……情け深いご主人様。」ペティグリューがロンの方に這いよって来る。
「助けておくれ……殺さないでおくれ……僕は君のネズミ……良いペットだった。」
「人間の時よりネズミの方がさまになるとはな、ペティグリューよ。我輩には理解しかねるがね。」
スネイプ先生からの厳しい声が聞こえた。ロンは、キットさんの近くまで逃げた。
次はハーミーのローブの裾を掴んでいる。
「優しくて賢いお嬢さん…………あなたなら――あなたならそんな事をさせないでしょう?……こんな惨めな弱い者苛めなんて……助けて……」
ハーミーは怯えきった顔でローブにしがみ付くペティグリューの手をもぎ取り、窓際まで下がった。今度はイドゥンとエックス君の元に行く。
「ブラック家のお嬢様にお坊ちゃま……君達なら分かってくれる筈だ……これから行われる残酷な事を……君達は賢い。」
イドゥンのローブの裾を掴もうとするが、イドゥンは逆に手を踏みつけた。
「人の心の強さに、圧倒的な個人差があるのは認めるよ。僕はグリフィンドールだから違うけど、実家はスリザリンの家系だ。理念は狡猾さや友愛。あなたの行った行為は、道徳的にはともかく1つの生きる手段だとは思ってるさ。僕はね。」
エックス君は静かに言った。イドゥンに視線を向ける。今度は、イドゥンが口を開いた。
「ですが、所詮それだけです。あなたほどの外道は、スリザリンどころかこの地球上を全て探してもそうそういませんわよ。」
そう言ってイドゥンは、ペティグリューの手から足を退ける。だけど、今度は頭を踏みつけた。
「友人を裏切った挙句に、生き残った家族の人生を歪ませたんだ。あなたは。それだけでも僕は許せない。そして、その相手が僕の目標になっている人間だから余計に許せないんだよ!!姉ちゃん!!」
「ペティグリュー、貴様の様な人間には地獄が相応しい。やりましょうか。エックス。」
エックス君とイドゥンは、杖先をペティグリューに向けた。2人同時に武装解除呪文で、シリウスとルーピン先生の所まで弾き飛ばした。そしてペティグリューは、ボクに近付いてきた。近付きながら、こう言ってきた。
「あぁ、エリナ……君は……君は両親の生き写しだ。顔は全体的にリリーで、目はジェーm」
シリウスとスネイプ先生が、ボクとペティグリューの間に割って入って来た。共通の敵がいるからなのか、不思議と息はピッタリだった。
「黙れ!!!エリナに話しかけるとは、どういう神経だ!?この子に顔向けが出来るのか!?よりによって、ジェームズとリリーの事を話すとは!!どの面下げて出来るんだ!」
「エリナ。君もご両親に似て優しいのだろう?助けておくれよ。僕はまだ死にたくない、お願いだ。」
シリウスとルーピン先生、スネイプ先生の3人は大股にペティグリューに近付く。彼の肩を掴んで、床の上に仰向けに叩き付けたんだ。ペティグリューは座り込んで、恐怖にヒクヒク痙攣させながら3人を見つめた。
「お前は、ヴォルデモートにジェームズとリリーを売った。否定するのか?」
シリウスが体を震わせながら言った。ペティグリューがワッと泣き出した。おぞましい光景だったんだ。育ち過ぎた、頭の禿げかけた赤ん坊みたいな感じだったんだよ。
「シリウス、リーマス。僕に何が出来たって言うんだい?闇の帝王は……君達には分からないんだ。あの方には、君の想像もつかないような武器がある。怖かったんだ……シリウスにリーマス、ジェームズにメイナードみたいに僕は勇敢じゃなかった。僕は、やりたくてやったわけじゃない……闇の帝王が無理矢理…………」
「嘘を付くな!ジェームズとリリーが死ぬ1年も前から、お前はあの厨二野郎に密通していた!お前がスパイだった!!」
「あの方は――あらゆる所を征服していた!あの方を拒んで、何が得られたんだろう?」
「史上最悪の魔法使いを拒んで、何が得られたかって?」
シリウスの顔は、凄まじい怒りに満ち溢れていた。
「それは、何の罪も無い人々の命だ!ピーター!!!」
「君には分からないんだ!シリウス!!」
ペティグリューが、情けない声で訴えかけて来た。
ハリー視点
目を開けると、ペティグリューがイドゥンに踏みつけられていた。エックスも怒りの表情を見せる。2人は、ペティグリューをシリウスとリーマスの足元まで転ばした。そして今度は、あろうことかエリナに近付こうとした。だが、同時にシリウスとスネイプが間に入った。この2人の息がピッタリ合うのは、これが最初で最後だろうな。性懲りも無く、命乞いをしている。清々しいまでのクズ野郎そのものだ。
「僕が殺されかねなかった!仕方なかったんだよ!分かっておくれ!」
「ならば死ねば良かったんだ!友を裏切るくらいならば、死ぬべきだったんだ!俺もジェームズもリーマスも、お前の為にそうしただろう!現にメイナードはそうだっただろうが!」
「君は気付くべきだったんだ。ヴォルデモートが殺さなければ、私とシリウスが
その言葉、ポッター家を再興したら家訓に加えようかな。
ペティグリューは、俺の姿を見た。最後の希望が見つかったと言わんばかりの表情をして、俺の前にゆっくり跪き、ゆっくりと顔を上げた。無表情で聞く事にした。最後に言い残したい一言としてな。
「ハリー……ハリー……君はジェームズに生き写しだ……目だけは違う、リリーの眼だ。そっくりだ……君もきっとエリナと同じ様に、ご両親に似て優しいのだろう?助けておくれよ。僕はまだ死にたくないんだ。何でもしよう。約束する。」
「いい加減にしろ!エリナのみならず、ハリーにまで話しかけやがって!どういう神経をしている!?」
シリウスが大声を出す。スネイプも然りだ。
「何でもする…………か。」
「そうだよ。何でもするよ!」
「ハリー!耳を貸すな!」リーマスがそう言った。
「今から立ってみろよ。」俺は、ペティグリューに命令をする。
「た、立つ?」予想外の展開に周囲は唖然とする。
「そ、それ位ならお安い御用だ。」ペティグリューは、俺の目の前に立った。
「俺は今、欲しい物があってね。それをいただこうか。」
「ほ、欲しい物かい?何でも与えるよ!」ペティグリューが希望に満ちた表情になる。
バカめ。これが後々命取りになるというのに。
「ハリーの奴。ペティグリューから何を貰う気なんだ?」ロンが呟く。
「俺の欲しい物。それはな……」
アセビの杖から
「何なんだ、あれは?」シリウスが疑問を口に出した。
「あれは、
エリナが驚きの声を隠さずに言い放った。
「な、何を?」ペティグリューが信じられないという表情で言った。
「俺の今欲しい物はな、ペティグリュー。お前の命だ。」
長い時間を掛けて導き出したんだ。この答えを、そう簡単に覆すつもりは全く無いのさ。
「ずっと前の事だ。俺は、自分の素性を知った。だから、必死に強くなる為の修行をしてきたんだ。父様と母様の死の真相を知ってから、俺はヴォルデモートや死喰い人を思いっ切り憎んだんだ。俺の野望は、ヴォルデモートと死喰い人に復讐を行い、完全なる抹殺をする事なんだよ!」
俺は、自らの魔力を開放する。というより、俺の感情に呼応して変質していく感じだ。ロンとハー子は青ざめている。ロイヤル・レインボー財団の関係者以外の他の皆も、動揺している。この際構わないさ。
「さっきから聞いていれば下らない事ばかりほざきやがって!」
術を解除したと同時に、ウイルスモードを発動。ペティグリューの腹部を蹴り飛ばす。床に倒れたペティグリュー。こいつの顔を、俺は足で思いっ切り踏みつけた。
「ずっと……お前をこうしてやりたかったんだ。」
踏みつけた足をグルグリしながらそう言い放つ。
「だ……誰か……助け……」
ペティグリューが命乞いをしている。しかし誰も助けに来ない。正確には、誰も動けないのだ。
「何なのですか?この魔力は。まるで、あの時の……2年前の最初の魔法薬学の……」
イドゥンが言った。
「これが、あいつの魔力の質だってのか。いくらなんでも異常過ぎる。」ゼロが答えた。
「白くて、暖かくて、神々しかったのによぉ。今は黒くて、冷たくて、禍々しい感じになってるは気のせいかよぉ?」
「気のせいじゃねえぜ。あいつは、魔力の質が極めて上質なのさ。」
グラントの疑問に、キットが答えた。
「こうなるだろうとは思っていたけどさ。あれだけ殺すのはナシだって、散々釘を刺しておいたのに。」
アドレー義兄さんは、半ば呆れた様に言った。
「ですが、アドレー。気持ちは分からなくは無いですよ。私は。」
「親の仇の1人を間近で見て、正気を保てという方が無理だ。まあ、いざってなったら無理やりにでも止めるがね。それでもハリーを納得させないと無理だ。しばらくは、様子見と行こうじゃないか。」
エイダ義姉さんとイーニアス義兄さんの会話も聞こえる。それにしてもあの4人、俺の魔力の質や、闇の陣営への復讐という野望を知っているのもあって涼しい顔をしているな。
「あの時の……あの魔力の質だ。闇の帝王など比ではないあの…………」
スネイプも怯えている。
「今までは、どう表現すれば良いのか分からないけど。白くて、暖かくて、神々しい感じだったのに……今は、何かこう…………黒くて、冷たくて、禍々しい……感じに……」
「エリナ。どうして分かるんだい?それに、ハリーのあの赤い目。メイナードと同じ、ウイルスモードか!?あの子もW-ウイルスの適合者だったのか!」
シリウスが聞く。それと同時に、俺がウイルスの保菌者だって事も看過した。
「直接的にじゃないけど、シリウス。ボクには、なんとなく分かるんだ。」
「恐らく、双子だから直感で分かったんだろうな。クソ。足がすくんで動けないぜ。止めなきゃいけないのに!」
ゼロが悔しそうに言う。
「俺自身の手で引導を渡してやろう。まずはお前から血祭りにあげて、その五体をズタズタに引き裂いてやるよ。それをアズカバン逃れした死喰い人共の家に送りつけて、宣戦布告してやる。」
許されざる呪文を使うまでも無い。
「シリウス。それにセブルス。君達、やけに冷静だね。」リーマスが2人に声を掛ける。
「ハリーの、あの怒りと憎しみを見てみたら、俺の怒りなんてちっぽけなものだったんだなって思った。」
「あのおぞましい魔力を、今は闇の陣営だけに向けているからまだ良い。今は、何も言わん。だがな、どんな事があっても、決してポッターから目を放さないようにすると誓ったのだ。」
3人が俺に視線を戻した。よし、腹は括ったぜ。もう後戻りなんて出来ない事は覚悟したんだ。このまま殺してやろう。
「さらばだ。ピーター・ペティグリュー。あの世で父様と母様に詫び続けるが良い。」
尤も、あの世に行く予定の魂も焼き尽くされるけどな。俺は踏みつけるのをやめ、後ろに下がった。そして、左手でアセビの杖を持ち、再びペティグリューに向けた。ペティグリューは恐怖の余り、失禁している。
「アルカ……」
その時だった。エリナが俺とペティグリューの間に割って入って来た。
「やめてハリー!!!」
両手を広げて、まるでペティグリューを守るかのように立ち塞がったのだ。