FGO<Fate/Grand ONLINE>   作:乃伊

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幕間の物語「聖杯空論」

> [1/1] 虚・空・正・言

 

 

「心っっ底、肝が冷えたわよ! こんなこと、今後は絶対に願い下げだわ!」

 

 オルガの堪忍袋が決壊している。

 聞けば、過日のファヴニール討伐戦の決着がギリギリのギリになったことに不満があるそうな。

 ……俺は護身モードに入ることにした。

 

「本来、ファヴニールなんて倒す必要はなかったのよ。一時的にせよアレを足止めできるだけの戦力はリヨンにいたんだから、『死守』させてでもマシュを聖杯回収に回せばよかったの。でも、聖杯の回収から特異点における異常の完全修復までには時間がかかる。ファヴニールなんて規格外の存在が残っていた場合どうなるかなんて想像もつかないわ。そうなると、修復完了までの間にどれほどの被害が出るか分かったもんじゃないでしょう? ああ、それもこれも、ロマニたちが『人理精算』仮説なんて余計なコト考え始めるから……!」

 

 ジンリセイサン?とやらはよく分からないけど、つまり最終的なNPC被害を減らすためにあえてファヴニールを倒したってことだろ? NPC保護なんていつも運営がやってることじゃない?

 

「それはそうだけど、だからと言って何でもやるわけじゃないわ。やれることだけよ。いい? 貴方たちプレイヤーは気にしたこともないでしょうけど、運営のリソースはそんなに余裕がないの。ああ、資金がないって意味じゃないわよ。魔力リソースの話。それも一般プレイヤーに割く魔力リソースの話だから誤解しないで。サーヴァントの運用は魔力を食うけど戦果が期待できる。でもプレイヤーはそうじゃないじゃない!」

 

 一息に喋り倒すとそのまま勢いよくグラスを空けるオルガ。中身は酒だ。

 

 オルガは今日オフとのことで、第一特異点のリヨン近郊に店を構えたプレイヤー経営屋台のカウンターで一緒に酒を飲んでいる。俺もオルガに頼みがあったので、正直渡りに船だった。

 ……昨日の夜なんだか妙な夢を見た気がして、寝起きからどうも調子が悪かったのだが、人と会っていると気が紛れる。一緒についてきたはずのクー・フーリンは、気がついたらどこかに消えていた。

 

 互いにやることのない暇な日とはいえ、太陽はまだ高い。

 照りつける陽光が汗をかいたグラスに反射して輝く……。

 

 ……昼間酒って最高だよな! 次どうする?

 

 俺はリアル飲酒エアプ勢であることを周囲に気取られないよう、流れるような動きで品書きを手渡した。

 

 実のところ、オルガへの頼みというのは金の無心である。双つ腕さんオススメの、あの超振りやすい剣が欲しいのだ。

 運営アカウントだからなのかオルガは裕福なプレイヤーであり、ろくに金を稼いでもいないのに金に困ってるところを見たことがない。というわけで、今日は一緒に楽しくお酒を飲んで、良い感じにほろ酔い気分になったところで『融資』をお願いしようかなーと思っている次第である。

 

 そんな俺の思惑を露知らぬオルガは、勧められるままに酒杯を重ねている。

 聞いた話じゃ、リアル酒飲みからするとVR飲酒はやっぱなんか違うらしいね。酒に酔うのと状態異常【酩酊】を付与されるのは別物とのこと。ゲーム的には毒の亜種みたいなもんだしな。法的にも非VRゲームで『酒』アイテムを使うのと同じ扱いで見逃されているという噂だが、それは単に法が『FGO』のチートVR技術に追いついていないだけなのではという感もあり……。まあ、そんなアレコレは知らんとばかり酒飲み連中はVR空間でも変わらず酒を飲むんだが。

 一方こちらは中身が善良な青少年だけに、この店で出てくる酒の良し悪しも正直ピンと来ていない。

 

「ピンも何もないわ。第一この店のメニュー、『ビール(エール)』に『林檎酒(シードル)』に『ワイン』しか書いてないじゃない。ワインが赤か白かすら書かれてないってどういうことなのよ」

 

 ワイン! と屋台の奥で仕込みをしているプレイヤーに注文を入れると、オルガはペラペラの品書きを裏返しながら不平をこぼす。既に酒が回ってきているのか、頬から耳のあたりにかけて赤みが差していた。

 

「すみませんね、お客さん。今うちはこの特異点(フランス)で仕入れられる酒を出してるんで、どうしても酒の種類くらいまでしかメニューとしてお約束できないんですよ」

 

 屋台の親父役をやっているプレイヤーは、金属製のグラスに入ったワインを差し出した。赤ワインらしい。

 

「とはいえ仕入元の時代が時代ってこともあって、どう工夫して美味しくするかは俺たちの腕の見せどころです。ま、これも試してみてくださいよ」

 

 促されるままにオルガがグラスを口に運ぶ。その眉が激烈にひそめられた。

 

「ハーブきつッ!?」

 

「あー、お口に合いませんでしたか。地場産の薬草やら香草やらを色々ブレンドしてみたんですが。普通のにします? お代は結構ですので」

 

「……いや、いいわよ。このまま飲むわ」

 

「まいどあり。楽しんでってください」

 

 そういって屋台奥に戻っていく親父。

 ちびちびと舐めるように謎のハーブワインを飲み進めるオルガに、話の続きを促した。

 オルガは露骨にため息を吐き出してみせる。……酒くさッ。

 

「……何の話だったかしら? ああ、思い出した。プレイヤーに魔力投資することの割に合わなさよ。一人ひとりに割く量は微々たるものでも、数が揃えば結構な負担になるのよね。それに【魔力リソース解放】。ホント、勝てたからいいようなものの、あれで倒しきれなかったらどうなってたことか。この特異点で地道に収集してた魔力の蓄えも吐き出しちゃったし、今から次の特異点が不安だわ……」

 

 そういってジロリとこちらを睨む。護身失敗の気配がする……!

 

「それもこれも、半分くらいは貴方のせいなんだから反省しなさい。結果的には早期修復完了につながったけど、あんな無計画な連戦に次ぐ決戦なんて二度とやりたくないの。バフの残り時間を見ながら胃がおかしくなりそうだったわ!」

 

 そうは言いますがね。俺は反論を試みる。結果と過程を一緒くたに評価するのはどうかと思う。結果ああいう事態に陥ったとして、過程に悪意があったわけじゃないんだから情状酌量の余地はあると思うわけですよ。

 

 運営には既にあの日の魔女ジャンヌやデオンさんとのやり取りを含め、俺の記録していた映像データを提出済みだ。というかどうせログ取ってるんだから勝手に参照すればいいじゃんとも思ったが、なんか事情聴取みたいなことまでされたので割と手間だった。収穫といえば、取り調べ担当のカルデア職員の人がデオンさんのスクショを高値で買い取ってくれたことくらいか。ムニエルさんだっけ? ネタさえあれば今後も上客になってくれそうだ。

 

「過程に悪意があったかはともかく、問題なら山ほどあったわよ!」

 

 オルガがツッコミを入れてくる。そうかな……そうかも。

 

「だいたい貴方の契約サーヴァント、あのクー・フーリンが情報を止めてなければ、貴方もあんな軽率に魔女を焚き付けたりしなかったでしょうし、こっちの計画通り事が運んだでしょうに……」

 

「──だが、マスターは『知らなかった』からこそ上手くやった。それは否定できねぇだろ?」

 

「クー・フーリン!?」

 

 おっと、いつの間に。いなくなったとき同様、どこからともなくクー・フーリンが戻ってきていた。

 珍しくフードを目深にかぶっているクー・フーリンは俺を挟んでオルガと反対の席に座り、手に持った長い杖をカウンターに立てかけると、屋台の親父に茶を注文する。

 

「知識、それも正しい知識は誰しも渇望するもんだ。だが、ただ口を開けて待ってるだけの奴に知識を与えても大して役に立たねぇよ。自分の目で見て、聞いて、考えて、それから初めて人は知識の意味と偉大さってものを知る。情報を伝えておきたいのは分かるし、むしろマスターには今よりもっと積極的に知識と情報を収集してほしいくらいだが……それでも今マスターがカルデアと『このゲーム』の裏事情について知りたがらない以上、アンタら(カルデア)のやり方は性急すぎだ」

 

「持論は結構ですけどね。こちら(カルデア)としては、サーヴァントのマスターには最低限の知識を備えておいてほしいの。貴方の運用コストは決して軽くないのよ? 今回たまたま良い目が出たかもしれないけど、あんな博打を続ける気はないわ」

 

「見解の相違だな。これから残り1年4ヶ月、6つもの特異点が残っている以上は先のことも考えて動かなきゃならんだろ。それに博打というほど分が悪い話でもねぇしな」

 

「は?」

 

「さっきウチのマスターが言ったように、過程と結果は区別すべきものだ。思考の結果が間違っていたとしても、その過程で考えたことは無駄にならない。過程の道筋が当初の目的に繋がるものでなかったとしても、道理を外さず考えを進められれば、それなりに意味のあるところへ辿り着くことはあるだろうさ」

 

「そんな抽象的な物言いで納得できると思う?」

 

 ……。

 俺を挟んだ左右でオルガとクー・フーリンがやり合いはじめたので、真ん中に座ってる俺はすごく気まずい。

 クー・フーリンが勝手に実施しているらしい俺への情報フィルタリングをどうするかという話らしいので、俺も無関係ではないのだが……正直やるならやるでいいし、やらないならやらないで良いんじゃねーのという感はある。無駄に後ろ暗いだろう運営(カルデア)の情報とか知りたくないだけで。

 

 エール! と店の親父を呼びつけグラスを交換させたオルガに、クー・フーリンがニヤリと笑って言う。

 

「それなら余興といこうか。実はオレにとっても、今回(オルレアン)の事の運びは予想の斜め上でな。マスター、アンタはオレの当初の見立てより愉快な野郎じゃないかと思ってたとこなんだよ」

 

 それ、本当に褒めてるか?

 

「褒めてる褒めてる。じゃ、そうだな……。カルデアの嬢ちゃんの顔も立てて、今後の役に立つお題にするか。マスター、アンタは始まりの特異点で『令呪』の性質について考えた。そして今回の特異点で『聖杯』について知っただろう。だから、聖杯にまつわる話をするとしよう。アンタはオレの話を聞いて、それから質問に答えてくれればいい」

 

 ふーん。聖杯の話ねぇ。別にいいけど。俺は承諾した。

 ……で、気軽に受けては見たが、改めて言われてみると聖杯って結局なんだっけ?

 

 あの、アレだろ。クリア条件の回収アイテム。ジル・ド・レェが聖杯パワーで創り出した魔女ジャンヌが聖杯そのものだったから、ケモミミは俺と魔女をまとめて担いで逃避行する羽目になった。デオンさんが言うには、そもそも特異点で訳分からん事態が起きているのも聖杯パワーによるものみたいな話だったか。現地サーヴァントも聖杯の力で召喚できるし、何なら願い事をすれば叶えてくれる。サーヴァントを狂化しろとか、逆に狂化解除しろみたいにな。

 そう考えるとハイパー令呪みたいなもんだな、聖杯って。

 

 聖杯絡みの記憶を掘り起こしたところで、クー・フーリンが話し始めた。

 

「アンタらも知っての通り、この戦いは本質的に『聖杯』の奪い合いだ。土地を変え、時代を変え、配役(サーヴァント)を変えても、それが聖杯を巡る争いであることには変わりない。ここまではいいな?」

 

 うん。オルガも何が始まるのかという顔で頷いている。

 

「よし。じゃあ今からひとつの特殊事例についてざっくり話す。オレが直接見聞きした話じゃねぇから詳しくない部分もあるが、そこは想像で補うなりしてくれや。

 その聖杯の奪い合いが起こった土地と時代は、そうだな、【特異点F】。要は西暦2004年の日本のどこかにしておこう。マスターとサーヴァントが集まり、戦いの果てに一組の主従が聖杯のもとへ辿り着くことに成功した。マスターたちは皆、聖杯の力で願いを叶えることが出来ると知っていたから、早速願いを叶えようとしたかもしれねぇな。

 だが、そこで問題が起こった。

 ……実はその聖杯は、既に【この世全ての悪】を取り込んでいたんだよ」

 

 ……?

 何を取り込んでたって?

 

「【この世全ての悪】。あるいは【アンリ・マユ】とも呼ばれていたか。それがそういうサーヴァントなのか、あるいは文字通りの悪神の類いなのか、はたまた全く違う別の何かだったのか。それは分からん。だが、とにかくそういうものが聖杯を汚染していたのは確かだ。で、それが魔力に満ちた聖杯から黒い泥の形となって溢れ出した。マスターとサーヴァントは命がけで聖杯を破壊し、【この世全ての悪】を止めた──」

 

「待ちなさいクー・フーリン! 貴方、一体何の話をしているの!? 聖杯の汚染って……」

 

 たまらずと言った調子でオルガがクー・フーリンを止めた。気持ちはわかる。え、俺たちがこれから聖杯回収しに行くとき、それが汚染されてる可能性も考慮しなきゃいけないの? みたいな。

 クー・フーリンは苦笑いしてその可能性を否定した。

 

「特殊事例だって言ったろ。特異点にバラまかれてる聖杯は原理的にまずそんなことにはならねぇし、本来アンタらが知る必要もない話だ。そもそもアレは元の儀式の性質からしてロクでもねぇ代物でな。いや、オレも散々な目にあった……」

 

 クー・フーリンがなにやら遠い目をする。

 おいおい、ここで更に過去話フラグまで立てられたら完全に収拾つかなくなるぞ? 俺は脱線しかけているクー・フーリンに元の話の続きを促すことにした。

 ……で、その【この世全ての悪】とやらは聖杯ごと滅んだんだろ? めでたしめでたしじゃねぇか。

 

「ま、そうだな。アイツらはよくやったよ。だが、アンタに聞きたいのはここからだ。いいか。

 『もし、聖杯が破壊されず【この世全ての悪】がそのまま地上に溢れ出していたとしたら、それで人類は滅んだと思うか?』」

 

 ……は?

 えーっと。それは、今のお前の話のif展開がバッドエンドルートにつながるかってこと?

 

「グッドでもバッドでもトゥルーでも何でもいい。アンタがどう思うかを聞かせてみろ」

 

 ふむ。ふむ……?

 直感ではノーかな。なんとなくだけど、まあ滅びないんじゃない?

 

「理由は?」

 

 いや、フィーリングでさ。

 

「大事なのは理由だ。つまりは結果に至る過程だ。先に言っておくが、人類が滅びたかどうかは誰にも分からん。実際には起こらなかった可能性の話だからな。だから答えはイエスでもノーでもどっちでもいいが、きちんとそこに至る理由(プロット)を考えろ」

 

 ええ……めんどい。

 なんか余興とか言ってたくせに、いざ蓋を開けてみたらクー・フーリンが思ったよりガチだった。今もフードの下でギラギラ光る片目が俺を見据えている。なにこいつ。こわ……。

 

「貴方がその質問に答えることに何の意味があるのか知らないけど、酒の肴にはしてあげるから考えてみれば?」

 

 オルガがそう言ってエールをグビッと飲んだ。酒カスぅ……。

 聖杯の汚染とやらが運営問題(マター)にならないと分かったためか、完全に他人事モードになったらしい。

 面倒くせぇ。帰りてぇ。あ、でもまだオルガに金策頼んでなかったわ。じゃ、やるか……。

 

 次のエールを頼んでいるオルガを横に、今の話を整理してみる。

 

 汚染された聖杯から【この世全ての悪】とやらが黒い泥の形となって溢れ出した、か。

 ……なんで黒い泥なんだ? いや、なんか汚染されてそうなイメージはビンビンに受けるけど。

 

「なぜ黒い泥だったのかはオレも知らん。そうだな、グノーシスの主義者に言わせれば、物質的(ヒューリコス)なものはすなわち泥的(コイコス)であるらしいぜ?」

 

 クー・フーリンに聞いてみると、謎の宗教豆知識(トリビア)が返ってきた。グノーシスって昔のキリスト教の異端だっけ? カルトの話はやめてくれないか。

 仮にこいつの言う通りなら【この世全ての悪】とやらがグノーシスかぶれだった可能性も否定できないが、まあ泥である理由そのものは気にしなくてよさそうだ。俺もそんな興味ないしな。

 

 で、その泥が溢れると人類が滅ぶって? WHY(なんで)? HOW(どのように)

 

「さて。それが仮にサーヴァントであるなら、そういう宝具でも持ってるんじゃねぇか? 人類を全員呪うような宝具とかな。少なくとも泥に触れたやつは死ぬより酷いことになったぜ」

 

 宝具て。クー・フーリンがメチャクチャ適当なことをいう。それが有りならなんでも有りじゃねぇか。

 まあいい。HOWはそういうことにしておこう。【この世全ての悪】とやらは接触即死の激ヤバ毒々野郎で、しかも呪い持ちと。

 WHYは? こっちもまあ、【この世全ての悪】っていうくらいだから悪いことするのが存在意義みたいな話かもしれない。

 

 クー・フーリン同様、【この世全ての悪】について雑にまとめていく。所詮は飲みの席の余興だ。むしろトンデモであればあるほど面白いまであるだろう。空想科学読本かな?

 

 よし、じゃあ一通り情報も整理できたし考えてみるか。

 日本のどこかで溢れ出た【この世全ての悪】の黒い泥。接触即死なので、まず出現地点はアウトだろう。日本列島も基本地続きなのでだいたいアウトだ。泥に埋まる青函トンネルや関門橋を想像すると変な笑いが出てくるが。

 

 問題はその先か。広がる海……。

 

 接触即死効果で全人類を殺すなら、泥が海を越える必要がある。地球の表面は七割が海だっけ? 俺はカルデアの電子資料を検索した(ググった)

 なになに、地球にある海水の体積は約14億立方キロメートルとな。で、水の質量は1立方メートルあたり1トンと。

 ということは、単純に立方キロメートルを10003 立方メートルに直して考えると、海水の質量は約14億×1000×1000×1000トン?

 えーっと、単位がでかすぎて分からん。億、兆、京、(がい)? 140京トンか……意味不明すぎるな。

 

 とにかく、【この世全ての悪】の泥が地球全域に広がろうとするなら、この140京トンの海水による容赦ない希釈を乗り越えねばならない。有史以来人類が常に大自然と戦ってきたように、人類の悪性も同じだけ大自然の脅威にさらされるのだ。「お前それサバンナでも同じ事言えんの?」って話である。島国日本で出てきたのが運の尽きだったな。どこへ行くにも海を越えなきゃ始まらん。聖杯からドンドコ泥が湧いてくるとして、その最大量はどれほどのものか? また考えてみよう。

 

 【この世全ての悪】……そうだな、まず善悪の概念を持つのは人間だけだと仮定しよう。これはつまり、宗教的、あるいは道徳的な倫理観を「発明」するに至ったのが人間だけということだ。動物にだって快/不快の延長としての良い/悪いはあるだろうが、それは善悪じゃない。EvilとBad、どっちも日本語だと「悪」に訳されちまうのが厄介なところだな。

 

 とはいえ、もしかしたら人間さん以外にも善悪の概念を持つ存在がいるかもしれない。だがそれを混ぜ始めると、今度は「なんでその『人間以外の悪』が人間を殺しにかかるの?」という話になってややこしいので、やはり無視しておくのが無難だろう。人間の『悪』はまず間違いなく人間を殺したがるだろうからな。邪悪なホモサピは話を楽にしてくれて助かるぜ。

 

 ということで、【この世全ての悪】=【この世全ての『人間の』悪】と仮定する。となると、それは『人間』の部分集合だ。だったら、【この世全ての悪】の最大量は『この世全ての人間』の最大量以下だと考えていいんじゃないか? 善と、悪と、善でも悪でもないものを持ち合わせるのが人間さんの良いとこでもあり悪いとこでもあるからな。

 しかし一口に人間と言っても老若男女いろいろだ。どうしようか? 全人類の体重合計とか、誰か暇なやつが計算してそうなもんだけど。また検索して(ググって)みる。うわ、出た。西暦2005年における全世界の成人の総体重推定だ(記事)。

 ドンピシャだな……!

 

 やけに都合の良い資料が出てきたので俺は楽しくなってきた。自動翻訳をかまして流し読む。

 ふむふむ、試算によれば……西暦2005年の全世界の成人体重は合計2億8700万トン!

 

 ……少ねぇ!!

 

 いや少なくはないんだけど。でも海水が140京トンでしょ? 桁が違いすぎるわ。

 なんかもう計算する気も起きないくらいアレだが、一応、希釈の結果を見てみよう。

 極めて好意的に──滅ぼされようとしている人類にとっては悪意的に──四捨五入して見積もり、3億トンの【この世全ての悪】の泥が全て海水に流れ込むとする。

 式は3億÷140京? 桁を整理すると3÷(1.4×1010)か。

 

 とりあえず計算してみる。電卓ポチポチ……計算結果、0.000000000214286!

 つまり海水中の【この世全ての悪】の濃度は約0.00000002%!

 ……ホメオパシーかな?

 

 まあ、ホメオパシーの効能はかの白衣の天使ナイチンゲールも認めているところではある。ヤブ医者が下手に薬を与えて悪影響出すよりは、最初から何の効果もない方がまだマシだという意味合いだが。プラセボ効果はあるかもな。

 

 ということで、極めて雑な計算の結果、全人類を殺すため七つの海を越えた【この世全ての悪】はホメオパシー程度には効きそうだ。そもそも一様に希釈されるはずがないので、実際そんな結果にはならんだろうが。「樽いっぱいのワインにスプーン一杯の泥水を入れたらそれはもう樽いっぱいの泥水だ」ってのはマーフィーの法則だっけ? でも人間そんな高感度に出来てないでしょ。俺は芸能人格付けチェックを毎回欠かさず視聴してるから詳しいんだ。

 ともあれ、【この世全ての悪】が太平洋を超えて南北アメリカ大陸に辿り着き、そこから更に内地を覆い尽くすのは無理じゃないかなーって感がある。

 

 

 ……直接的な接触即死効果では人類が滅びなさそうなので、今度は【この世全ての悪】の呪いを考えてみよう。クー・フーリンの言う通り、この世全ての人類を呪う宝具を持つとする。チートにも程があるぞ?

 

 さて。考えるにあたり、まず本当に全人類を呪いの対象に取れるのか?という疑問がある。が、そこを真面目に考えるとクソつまらない結論になる気がするので、とりあえず取れるということにしておこう。

 

 ついでに、呪いがあるなら「呪いを防ぐ結界」とか「呪い返しの術式」とか「呪いを浄化する秘跡」とかもありそうなもんだが、そういうオカルト空中戦は無理なのでそれも考えないことにする。世に隠れ潜む呪術遣いの皆さんは、各自の裁量でぼくらの未来を守ってほしい。

 

 となると、手を付けられそうなのは「この世」全ての悪という部分だ。

 字義通りに解釈すれば、それは「現在この世界に存在する」悪の集合体ということになる。数十年前、数百年前の戦争の怨念とかは含まれないと考えていいだろう。

 ……もしかしたら、「この世全ての悪」の色違い(バリエーション)じみて「あの世全ての悪」とか「その世全ての悪」とかもあるかもしれないが。くっ、許せないぜ。

 

 で、ここから想定される問題は、【この世全ての悪】がこの世の人間を殺せば殺すほど【この世全ての悪】の総量も減少するということだ。悪の根源(にんげんさん)があの世行きになった分だけ減っちまうからな。人間が減れば減るほど、【この世全ての悪】は弱体化する。要はチキンレースだ。どっちが先に力尽きるか。さらに言うなら、人類が滅びると同時に【この世全ての悪】も滅ぶことになる。人の夢と書いて(はかな)いと読むらしいが、人の悪もまた夢のように儚い存在なのだろう……。

 

 人間がいるから【この世全ての悪】がある。

 光あるところに闇あり、闇あるところに光あり。なんか昔のプリキュアみたいな話になってきたな。

 

 数十億人分の悪意のカタマリなら、そりゃあ呪いもすげぇもんだろう。だが、例えば残存人類(せかい)がもし百人の村になったら。全てを呪殺できるような呪いの強度を維持できるのか? ……分からんが、正直疑問ではある。

 もちろん、【この世全ての悪】が出現即全体即死呪殺宝具を使用できるなら話は別だ。しかし、だったらクー・フーリンの話に出てきた「マスターとサーヴァントが泥を垂れ流す聖杯を破壊した」なんて展開も不可能になるだろう。やはり排除して良い可能性に思われる。

 

 そして何より。

 極めて個人的かつ主観的な物言いではあるが、【この世全ての悪】なんてものが暴れだしたとして、じゃあ【この世全ての善】とか【この世全ての愛】とか【この世全ての生存本能】みたいなカウンターは働かないのかって疑問がある。

 

 繰り返しになるが、俺は善も悪も善でも悪でもないものもゴチャゴチャに持ち合わせているのが人間だと思っている。だから、その中で【悪】だけ取り出して人間が滅ぶとか滅ばないとか論じても意味がないと思うわけだ。何なら、歴史を紐解けば【善】とか【正義】の方がよっぽど人間を殺すのには貢献してきたんじゃねぇのかな。

 きっと悪意も善意も等しく地獄への道を舗装するのだろう。

 

 

 

 

 ……はい! というわけで【この世全ての悪】について考えてみました! 黒い泥が垂れ流されても人間は滅びないと思いますが、不明な点が多すぎてよくわかりませんね!

 いかがでしたか? 気に入った方は、金欠で武器も買えない俺に投げ銭してみるといいかもしれません! それでは皆さん、良い聖杯探索を!

 

 俺はにこやかに結論を告げた。

 ついでに対価(おひねり)を求めてみる。しかし反応は冷たかった。

 

「長ぇ!」

「長いわ!」

 

 ええ……。お前らがやれって言ったんじゃん。

 俺はズズーッと茶をすすった。オルガがジト目でクー・フーリンを見ながら言う。

 

「……それで? クー・フーリン。多少は興味深く聞かせてもらったけど、貴方はこれで何をしたかったのかしら。単なる余興というなら、今後はもう少し娯楽性(エンタメ)も考えてほしいものね」

 

 その手のグラスは、いつの間にかまたハーブワインに戻っていた。手元にはチーズが盛られた皿。俺が話してる間に何杯飲んだんだ、こいつ。

 クー・フーリンはニヤリと笑った。

 

「それが分かるのはここからさ。過程と結果は別物だと言ったろう。……マスター。今の話を聞いて、アンタが【この世全ての悪】についてどう考えたかはよく分かった。だが、オレは最初に聖杯の話をしようと言ったはずだ。だから改めて聞こう。この話の中で、アンタは聖杯についてどう思った?」

 

 ん? また質問か。聖杯。聖杯ね。

 今の話じゃ【この世全ての悪】を垂れ流す舞台装置程度の存在感しか無かったが……。

 

 ……そうだな。

 

 まず、今披露したネタ考察は仮定に仮定を重ねて妄想で味付けした極めてナンセンスな代物だ。

 で、その中でもとびっきりにナンセンスなのが、【この世全ての悪】を海水で希釈できるのかという話。

 

 言わせてもらえば、【この世全ての悪】にどのくらい体積や質量があるのかなんて、考えること自体馬鹿馬鹿しい話だぜ。

 だって今回たまたま黒い泥って形でお出しされたから計算してみたけど、そもそも善だの悪だの、そんなものに重さなんざ無ぇんだよ。形を持たない、つまり形而上の概念なんだからさ。

 

 じゃあどうして概念の重さなんて考える羽目になったかと言えば、それは聖杯のせいだ。聖杯が【この世全ての悪】という概念を黒い泥という形で現世に垂れ流したせい。

 

 ……だから結局、その【特異点F】の特殊事例とやらで争われた聖杯の本当の機能ってのは、それなんじゃないかと思うよ。

 

 願いを叶えるってのは、聖杯の機能のごく一部なんだろう。

 聖杯は【悪】という形而上概念を泥という物質として具現化し、願いという現実化されていない思念を具体的に現実のものにして叶える。サーヴァントを召喚するのだって同じことだ。意識とか人格とか魂とか、そういう形而上概念的な『人間性』に具体的な人の形を与えることで物質化する──

 

「ッッやめなさい!!!」

 

 突然、オルガが大声で怒鳴った。

 びっくりしてそちらを振り向くと、マジ顔で俺を睨みつけている。いや、俺だけじゃない。俺を挟んで向かいにいるクー・フーリンをも、彼女は敵意を込めた視線で見据えていた。

 

「……それ以上その話を続けるなら、こちらにも考えがあるわ。力尽くでも黙らせる」

 

 ゆっくりと酒のグラスを置いて、指先をこっちに向ける。ガンドの気配。何なんだ一体……。

 

「物騒だな、嬢ちゃん。オレとやり合う気か? このまま黙って話を聞くことを勧めるが」

 

 クー・フーリンが低い声で威圧するように応じる。その杖の周りの空間には、ほんの一瞬の間に大量のルーンが浮かび上がっていた。フードの奥で光る瞳が、ますますギラギラした目つきでオレたちを睥睨(へいげい)している。

 

 なんだこいつら……。俺はドン引きした。

 何いきなりマジになってんの? 突然喧嘩始めるとか、お前ら猫かなんかなの?

 クー・フーリンの変貌ぶりにオルガが気圧される。ヤツは俺に話しかけてきた。

 

「見込み通りだったぜ、マスター。()()()()()()()、結果的にアンタは正しく彼の地の聖杯の性質を言い当てた。だから教えておいてやろう。その本来の機能は『形而上の存在を汲み上げ、物質に転換する』こと。【第三魔法】と呼ばれるものの一部だ。称して【天……おっと!」

 

 俺の鼻先をかすめるようにオルガのガンドが飛んでくる。

 クー・フーリンは宙に浮かべたルーンの一つで容易くそれを防ぎ、お返しだとばかりに地面から生やした蔦でオルガをぐるぐる巻きにした。

 

「ッ……! クー・フーリン! 貴方、正気!? 貴方は良くても、このまま放置すれば貴方のマスターが只じゃ済まないわよ!?」

 

 あっという間に身動き取れなくなったオルガが藻掻きながら言う。俺は屋台の親父さんと一緒にカウンターの奥に隠れることにした。身を寄せ合い、流れ弾が飛んでこないよう気配を殺しながら震えて事態の推移を見守る。

 クー・フーリンは呆れたように、あるいは(さと)すように言った。

 

「やれやれ、真実を教えろと言ったり教えるなと言ったり、忙しい嬢ちゃんだな。いいか、只で済むようなマスターじゃねぇと分かったから、こうしてるんだろうが。このまま修復の旅を続ければ、いずれ第三に並ぶ……いや、もしかしたらそれすら凌駕するような神秘と対峙することになるだろう。そのとき、アンタらはどう対処するつもりなんだ? 使えそうなものは使えるようじっくり育ててやるくらいの度量は見せておけ」

 

「それを彼が望んだの!? 訳も分からないまま、小略奪公(リトル・エルメロイ)もどきに仕立て上げられることを!」

 

「嫌だと言われたらやめるさ。だが今のオレはドルイドでな、こいつ(マスター)に導きを与えるのが務めだと思っている。……それに嬢ちゃん、アンタ見誤ってるぜ。エルメロイ、あのカルデアにいる時計塔の魔術師を鑑識者、あるいは探偵とするなら──こいつはいわば作家だ。真実を見抜こうとして見抜くのではなく、複数の事柄を繋ぐストーリーラインを引いた結果、物語の展開ないし帰結として真実らしきものに触れることがあるだけさ。最初からそうだったのか最近そうなったのかは知らんが、見事にそういう方向へ転がり落ちている」

 

 作家て。いつぞやデオンさんにも同じようなことを言われたが、サーヴァントNPCの目から見ると俺はよほど探偵モノの噛ませ犬的なキャラに見えるらしい。普段から散々適当なことペラ回してるので仕方ないと言えば仕方ない。コナンとかわりと好きだしね。

 しかしこの話、俺はどういう立ち位置で聞けばいいんだろうな? これまでクー・フーリンの情報フィルタリングで困ったことはそんなに無いので、別に嫌というほどの感情も無いのだ。だが俺よりよほど俺の教育方針を憂慮しているらしいオルガは苦しそうに言い返した。

 

「っ、でも……彼は一般人なのよ!?」

 

「この『ゲーム』に関わった時点で、誰も一般人なんかじゃねぇさ」

 

 ……俺は一般人ではなかった? いや、ゲームに関わった時点でってことならプレイヤーはみんな一般人じゃないことになる。

 俺は隣で震える親父さんと顔を見合わせた。親父さん。アンタ、一般人じゃなかったのか……?

 

 

 クー・フーリンが反論に詰まったオルガを制圧する。俺はまだお金を貸してもらってないのに、どうしてこんなことになってしまったんだ。このリハクの目を持ってしてもこの展開は見抜けなかった。

 一般人じゃないはずの俺たちは、それでも仲間割れの様子を隠れて見ていることしかできない……。

 

 

 ……あ、いや。そうでもねぇな。

 なんか流れで逃げ隠れてしまったが、俺はクー・フーリンのマスターだった。

 俺は立ち上がり、マスターとしての発言権を行使することにした。

 

「そこまでだクー・フーリン。オルガも。河岸(かし)を変えて飲み直すぞ」

 

「あ? アー……。分かったよ、マスター。ま、今日のところはこれで終わりだ。続きはまたの機会にしよう」

 

 なんかあっさりクー・フーリンも納得し、するするとオルガの拘束が解かれる。

 

「魔術使ったらまたかったるくなってきたな……(だり)ぃ」

 

 クー・フーリンは被っていたフードを上げると、グッと肩を回して伸びをする。その反動まだ治ってなかったの?

 

「ドルイド的には人工物しかないカルデアで寝てるより、特異点の森か林で瞑想でもする方がずっとマシなんだよ。……で、マスター。あれこれ口を出しといて何だが、気が変わった。別に知りたかったら自分から聞く分には構わんぜ。この嬢ちゃんなり、アンタと付き合いのある【ノーリッジ】の魔術師連中なりからな」

 

 自然ねぇ。だったら森林浴でも企画しようと思っていたら、クー・フーリンが突然180度手のひらを返してきた。さっきのギラギラぶりはどこへいったのか。ひとしきり暴れて満足でもした?

 

「違ぇよ。アンタはオレを何だと思ってんだ。……カルデアの裏事情にしろ、この『ゲーム』の話にしろ、それ以上のコトにしろ、オレが本当に秘匿(フィルタリング)したい事項というのはひとつだけだ。そして、それを知ることなくマスターは特異点修復に大きく貢献した。であれば、その一点だけはカルデアに秘匿させ続けるような主張も通るだろうし…………それにアンタを見てると、勝手に『真実』に辿り着いちまう可能性も十分ありそうだ。だったら話のタネは多いほうが良いだろ、アンタが特異点で『戦う』ためにはな。

 ……オレはオレの考えでアンタを導こうと思っちゃいるが、本質的にはマスターの意思こそ優先される。フォローはしてやるから、また思うように動いてみろ。案外このオルレアンみたいに愉快な展開が待ってるかもしれんぜ?」

 

 ん、それは情報フィルタリング解除ってことか? どうやら封印が解けられたと考えていいらしい。とはいえ、当のオルガが今度はひどいことになっている。蔦まみれのボロボロだ。

 

「…………貴方達、本当に正気なの……?」

 

 地面に下ろされ解放されたオルガが虚ろに呟く。傷心の彼女のため、俺もフォローに入ることにした。落ち込む肩を強く叩く。

 

 ……何言ってるんだオルガ。正気で酒が飲めるかよ!

 かわいそうにな、酔いが冷めちまっただろ。でもまだ一日は長いんだし、楽しく飲み直そうぜ!

 あ、でも先に服だな。そんな蔦まみれ葉っぱまみれじゃ落ち着かないだろうし。こないだ【トレーニングルーム】行ったとき、良さげな服屋を見かけてさ。そこでなんか見繕って、そのまま近くの屋台に入ればいい。今日は俺のおごりだ。クー・フーリンが迷惑かけちまったからな。いや、アイツも最近疲れてんだよ。ファヴニール倒すのに無茶したみたいでさあ。だからって大目に見てやってほしいとは言わないが、オルガさえ良ければまた一緒に楽しく飲んでくれると俺は嬉しい。

 

「……別に私は、そこに怒ってるわけじゃないわよ」

 

 ならよし。いざ二軒目だ。俺はクー・フーリンとまだ呆然としているオルガを連れて屋台を出た。

 親父さんには迷惑料込みで色を付けて支払っておく。また金がなくなってしまった……。一刻も早くオルガから融資を取り付けねばな。

 

 いつしか日は沈みかけている。だが、俺たちの夜はこれからだ。

 話の流れで妙にシリアスな雰囲気になったが、所詮は飲みの席での与太話。

 俺の目下の問題は金欠であり、魔法にせよ俺の育成方針の話にせよ、その解決に寄与しない話題に用はないのである。

 

 


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