『倉元家』異世界に転生させられちゃう ~まさかの家族で異世界生活!?~   作:しげちゃん

2 / 6
親父捕まっちゃう

「倉元家緊急会議を行う!」

 

親父が腕を組み声を荒らげる。

普段おとなしめの親父だが、流石に現状況に困惑してるんだろうな。目が泳ぎまくっている。

この異世界に野ざらしにされたリビングの一室で会議とかどんな羞恥プレイなんだ。

 

お袋は談笑を終えてから椅子に腰かけると、何やら見たことない赤くトゲトゲした果実を机の上に並べ始めた。なんだこのリンゴ亜種みたいな果実は?

 

「はーい あ、これさっき近所で奥さんに頂いたのよー 食べましょー」

 

美味しそうな果実と甘い匂いなのはさておき……いつ貰ったんだ!さっきの獣耳奥さんにか!?

自分の母親とはいえ、この吸収力図り知れんな。何処でも馴染めそうだな。

それはそうとやはりこちらを見てくる視線がきつい……

 

「とりあえず場所移動しようぜ親父……町の人の視線がもっすごい恥ずかしいんだが……」

 

服装もパジャマですよ!!パ・ジャ・マッ!!

なんだこの異世界に突如現れた水玉パジャマ一家!!異世界in違和感だよ!!

この世界の為になる所か通行人の邪魔でしかないぞ!?救えねぇ!むしろ救って欲しい今この状況!!あぁ…… お願いですぅ こっち見ないでぇ……

 

「ここは俺の家で俺のリビングだ 一歩も動かん!!」

 

イヤイヤイヤ 明らかにこのままここには定住できないだろ!?

見てみろこれ!なんの公開処刑だ!見世物だよこれ!!

モニタ○ングされまくりだよ!バレてるよ!隠れてないよ!

 

「じゃあここからどーすんだ……よ?」

 

するとベ⚪キーではないが、割りと綺麗めの金髪の女性が声をかけてきた。

服装的に見回りか警備兵……といった所か?青の軍服っぽい格好で、後ろには二人の兵士が立っている。ここにも人間はいるんだなと思った矢先

 

「君たちここで何をしているんだ 通行の妨げになって邪魔だ」

 

ですよね。誰がどーみても邪魔ですよね。

 

「あ、すいません すぐどけますのでぇ」

 

おい、一歩も動かないと言ったじゃないか 

親父の威厳はどこへいったんだ 日本に置いてきたのか?

お袋に関してはもう何か買い物してんだけど、この世界のお金ないのに大丈夫?

 

「どっから持って来たんだこの木枠達は?よし解体しろ!」

 

「はっ!」

 

女性の連れの兵士達が手をかざすと

一瞬の魔法で解体された我が家のリビングは、あっという間に荷車に乗せられ運ばれていった。元リビングとして何かの材料にされることだろう。さらば思い出達よ。

 

「のぉぉぉぉ!!我が家のリビングがぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「がぁぁぁぁ♪」

 

言葉をぐんぐん吸収する妹は直ぐに真似をする。

これは気を付けねばなるまい。妹よお兄ちゃんがマトモに育ててやるからな!

親父が頑張って働いて建てた家だ。ここは感謝して見届けよう

と手を合わせ見送る。なーむー

 

「さて、緊急会議が急遽終わっちまったぞ親父 どーすんだよ?」

 

「ぐぅぅ……だが、まだ慌てる時ではない 一先ず整理して状況を確認しよう」

 

ガチャン と親父に人生初の手錠がかけられる。ほう、この世界の手錠も似たようなもんか。縄とか魔法の輪っかとかじゃないんですねぇ。スマン親父 こっち見ないでくれ。 

 

「交通妨害及び無断建築で連行する」

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

首根っこを掴まれ、ズルズルと連行される父親に

空中に浮く妹が無情で可愛い一言を放つ

 

「バイバイねぇ」

 

そうだなバイバイねーだな。何か差し入れでも持っていてやろうな。

それより俺も浮きたい 教えてくれお兄ちゃんにその魔法。

 

「あら? お父さんは何処にいったの?」

 

店で談笑を終えたお袋が帰ってきた。 

買い物袋を腕に下げているがお金は!? 日本通貨いけるのか!?

 

「えらく呑気だけど、親父なら人生初逮捕くらって連行されていったぞ」

 

「あらそうなの あ、今日の晩御飯お魚にしたからねー」

 

「我が家の主って晩飯以下の扱いなんだな」

 

買い物袋から取り出したお袋の手には、魚が……なにそれこわっ!!

……それ魚なの?足生えてっけど!?

サンマの様な魚に鳥の脚っぽいのが4本ついている。種族はなによこれ!?

まぁこの世界では普通だとして、仮に受け入れたとしても

 

「てゆーかお袋 リビングがねぇ ついでに言うと最初から台所がねぇ」

 

「あらーじゃあ お刺身にしましょうか 新鮮だしおいしいわよきっと」

 

ダメだぁー

もはや会話など成立していない!異世界とか関係無しにどうしても主婦をする気か!

なんてできた母親なんだ!ありがとうっ!!

そして浮いた妹に関しては、今度は噴水の水を操り自分の分身をつくって遊んでいる。

鏡みたいな光景だが超3Dじゃないですか。

 

なにこれどっから魔法覚えてんの?なんで作れんの!?

念じればいけるのか!? 

 

ふーーーんっ!!!

 

「・・・・」

 

チクショウ!!なにこれなんで!? あれか?邪念があると無理なのか?

あわよくば魔法使って、冒険者にでもなって誉めちぎられてモテモテになる!とかそんな野望あったりするとダメなんですかね!?

 

お袋をチラッと見たら何か魔方陣書いて、即席台所出現させた後でお昼の支度を始めとる。野菜とか空中でさばいとる。もう火とか水が自由に出せとる。

 

「俺が主人公じゃないのかこの世界……」

 

ー倉元家 親父捕まっちゃうー


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。