捻くれ者と強すぎる艦娘。   作:ラバラペイン

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過去編です。軍学校について細かく突っ込まれると私は泣きます。


提督になる時

 

ーー1年前ーー

 軍学校に入れられ、中将の息のかかった先輩(というか実弟)に可愛がって貰いながら(とてもオブラートに包んだ表現)、上下関係縦社会を嫌という程学び、それでも挫けずになんとか、なんっっっとか2年間余りを乗り越えた頃。訓練の合間の休憩中に家から持って来たマッカンを飲んでいると、唐突に現れた先輩に腕を掴まれ引きずられ、来賓用の応接間に連れてこられた。尚ここまで先輩は笑うばかりで一切の説明をしなかったことをここに記す。

 

「それで先輩? なんだって俺はこんなとこに連れてこられんですかね? いい加減説明があっても良いんじゃないですか?」

 

 いきなり連行されよく知らない部屋に連れて来られる。俺としては何だかデジャブを感じる流れである。

 

「はっはっは、それはあの方が中で話す」

 

 そう言いながら先輩は応接間の扉をコンコンコンとノックし(そこはあの先生と違った)、

 

「大将! 比企谷八幡を連れて参りました!」

 

「はっ!? 大将!? ちょっと待っ」

 

「よし、入れ」

 

 待ってくれないかぁ……。

 

「失礼します! ほらお前も入るんだ」

 

「え、えぇ……。し、失礼します……」

 

 戸惑いながらもそろそろと応接間の中に入る。

 中で待ち受けていたのは、

 

「久しぶりだな、比企谷クン?」

 

「ちゅ、中将!?」

 

 俺を極めて強引にスカウトした中将だった。え? 金に目が眩んだ? アーキコエナーイ。中将が俺に対し色々便宜を計ってくれているのは彼の弟である先輩から聞かされてはいたものの、実際に会うのは久しぶりである。

 

「はっはっは、君がのんびりやっているうちに大将になってしまったよ」

 

 あんたはどこの国家錬金術師だ……。

 

「し、失礼しました大将。それで、なぜ俺は呼ばれたんでしょうか……?」

 

 面倒ごとの匂いがプンプンするから、出来れば早く帰りたいなーって……。連れてきた先輩に恨みの視線をぶつけようとしたら、先輩は既に居なかった。あれ? 先輩!?

 

「あぁ、彼は既に下がらせた」

 

 大将は俺の顔から疑問を読み取りそれに答えた後、大仰に言い放つ。

 

「喜べ比企谷クン。君の才能が漸く役だつ時が来た!」

 

「妖精とコミュニケーションが取れるってやつですか」

 

 現状ハーヴェストごっこにしか役に立っていない才能。いや、妖精さんノリノリで遊んでくれるもんだからつい。

 

「そうだ。予想外にデカいポストが空いてな。丁度君しか適任がいなさそうだから私の権限でねじ込んだ」

 

 何余計なことをしてくれてんだこの大将? デカいポストとか嫌な予感しかしない。

 俺は恐る恐る質問する。

 

「えっと、そのポストとは一体……?」

 

「聞いて驚け、そして誉れに思え。引退した元帥の指揮していた艦娘、その提督になってもらう!」

 




大将の脳内CVが何故か堀内賢雄さん。

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