捻くれ者と強すぎる艦娘。   作:ラバラペイン

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話が全然進まないぞこれ!?
中身が薄い!


こうやってアホみたいに強くなっていくんだな(達観)

 望月の無線機を使い演習終了を告げると、艦娘達が戻ってきた。

 艤装を解除して陸に上がった艦娘達。

 わかってはいたが死屍累々である。

 見ちゃいけないと思いつつ目に入ってきてしまう、肌色。

 ……俺は空を仰ぎ見る。いやぁいい天気だなぁ。

 

「いやいや、どこ見てんだよこっち見ろよ」

 

 俺が必死に見ないようにしていると呆れた様な表情をした木曾が声をかけてくる。

 

「自分の格好見てから言ってくれませんかねぇ……」

 

 お前中破してるからね? 色々見えてるんだよ!

 セーラー服は胸元破れて形のいい胸部装甲が見え隠れしているしスカートは縦にバックリ裂けてるし!

 

「ん? おう! 島風とItaliaにはしてやられたからなぁ!」

 

 味方が強くなって嬉しそうですねぇ。

 違うんだ。お前随分やられたなーハハハって言いたいワケじゃないんだ!

 

「そうじゃねぇよ隠せってんだ。恥じらいとかどこいった。曙を見ろ」

 

 そう言って俺が視線を向ければ、

 

「こっここここっちみ見んなクソ提督!!」

 

 ニワトリ? 良ーい反応が帰ってきた。

 因みに曙は大破しているため木曾よりもボロボロである。つまりほぼ下着姿。早いとこ反省会終わらせて入渠させてやらねば。

 てちょ、ワカメ投げんな。

 

「ーーと、あれが正しい反応だ」

 

「いやあれもあれでどうなんだ……?」

 

 言いながら俺の肩に引っかかったワカメを取ってくれる。良い人か。

 取りつつ木曾は言葉を続ける。

 

「まぁ露骨にジロジロ見られたら流石にオレでも少し恥ずかしいがな、ザッと見て損傷チェックする為なら怒らないぞ?」

 

 というかいい加減慣れろ、と苦笑しながら言われてしまった。

 さっき望月にも言われたばかりである。

 

「んぐ、努力はしてるんだがな」

 

 本音を言えば俺だって男だし見たくないと言ったら嘘になる。だが彼女達は真剣に戦って負傷した結果こうなっている訳で。だからこそ邪な気持ちで見てしまうことは失礼だとわかっているし、申し訳ない気持ちにさえなる。じゃあそもそもそういう気持ちで見れないんじゃないかと思うかもしれないが……そう簡単なら苦労はしない。目の前でポヨンポヨンしてたら目が追ってしまうのが悲しい男の性である。その後全力で逸らすが。

 

「はーい、そんじゃ反省会するよぉー」

 

 詮無いことを考えていたら、いつの間に起きたのか望月が仕切っていた。起きたとは言っても座ったままだが。

 

「おぉ、起きたのか。……あれ、そういえばカジキは?」

 

 気付けばあの巨体がいつの間にやら消えていた。誰かが運んだのか?

 

「え、司令官気付いてなかったの? ほっとくと傷んじゃうからだいぶ前に妖精さん達に運んでもらったよぉ。青葉が来る直前くらいかな」

 

 マジで? カジキを運ぶ妖精さんを想像するとちょっとシュールなんだけど。重ちーを運ぶハーヴェストみたいな感じかね?

 

「青葉が来た時はすでに何も有りませんでしたねぇ。というかカジキ釣ったんですか!?」

 

 俺と望月の会話を聞いていた青葉が驚いた声を上げる。あぁ、やっぱり艦娘でもカジキを釣るのは凄いのね。まぁいくら膂力があっても技術は別物だしなぁ。

 

「いえすカジキィ。今頃鳳翔さんが今日の夕飯の一品に加えてるはず」

 

 などと言いつつサムズアップする望月。

 

「望月さんの釣りがF作業の域を超え始めていますねぇ……」

 

 それは確かに。釣りというよりもはや漁と言いたくなってくる。いや、厳密な区分は知らないよ?

 

「まぁカジキはいいよ、反省会反省会。みんな今日はどうだったー?」

 

 反省会といっても、後で旗艦に報告書を書いてもらう決まりなので、これはほぼ雑談みたいなもんである(気楽)。

 今は全員が見やすく横並びになったところで望月が呼びかけたのだ。俺や望月、青葉から見て左から木曾、曙、夕立、加賀、龍驤、瑞鶴、島風、Roma、Italia、足柄、大井の順で並んでいる。

 

 もちろん大破してる奴らの服装が果てしなくやばいので俺の目は泳ぎまくっている。泳ぎすぎてちょー気持ちいいとか言いそう。ってダメだ、この場でちょー気持ちいいはマズい。何も言えねえにしとこう。

 

 俺が目をバッシャバシャ泳がせていると木曾から今回の演習の反省、というか感想を言い始めた。

 

「んじゃオレから。案外超距離砲撃も当たるもんだな!次からは実戦で使えそうだ。それから島風とItaliaは強くなったな!」

 

 そんな砲撃普通は出来ないからな。ましてやウチの艦娘に当てるとか……。マジどうやって当ててるんだよ。後やっぱり後進が育って嬉しそう。

 んで次は曙だ。

 

「悔しいけど……今回わたしはあまり役に立ってない。……次は生き残ってみせるから!」

 

 曙はそう言って悔しそうにしている。確かに撃破数のような明確な戦果で見ればあまり活躍は無いように見えるが……。

 

「そうか? 撃破こそしていないが夕立とのコンビネーションはかなりの物だったがな」

 

「ですです。曙さんの援護能力はかなり高水準だと思いますよ?」

 

 俺や青葉がそう言うと曙はまるで変なものを見たような目で俺を見てきた。いや、俺がフォローするのがそんなにおかしいかよ? ……おかしいね。

 

「提督達の言う通りっぽい! 曙ちゃんのおかげで夕立は好き放題出来たっぽい! 逆に曙ちゃんが居なかったら夕立はすぐにやられてたかも。曙ちゃん、ありがとうっぽい!!」

 

 どこまでも真っ直ぐな夕立の感謝。それに狼狽える曙。

 

「ううぇっ!? そ、そんなの知らないし! 何か勘違いしてない? あんたが自分で頑張っただけじゃないの!?」

 

 曙ちゃん、若干ツン失敗してますよ、それ。

 そんな曙に対し夕立はもはや言葉はいらぬと抱きついた。ゆるゆりゆるゆり。大破してさえなければじっくり見たものをっ……! 夕立って結構大きいんですね。

 

 こほん。

 さ、さぁて次は、と隣を見る。

 

「で、加賀よ、お前小破じゃなかったか? なんで中破になってんの?」

 

 そう、明らかに被害が大きくなっているのだ。演習終了直前までは服が軽く裂けている程度だったが、今や黒い胸当ては何処かへと消え去り、スカートもだいたい千切れて無くなっていた。

 

「予想外ね」

 

「いや予想外ねじゃなくて」

 

「今回、生まれて初めて艦載機を全て落とされたわ」

 

「「ぃやったー!!」」

 

 唐突に語り出す加賀。そして視界の端で瑞鶴と龍驤がハイタッチ。

 生まれて初めてって、それはそれで凄いな。今まで敵なしだったってことだぞそれ。加賀も結構古参のはずだが。

 

「その状態で島風との戦闘、さすがに気分が高揚しました」

 

 なんでだよ。ドMか。

 

「……そ、それで?」

 

「攻撃手段を考えて、咄嗟に蹴りを採用したのだけど……」

 

「けど……?」

 

「やっぱり船底で攻撃するのはダメだったみたいです」

 

「ですよねぇ!」

 

 船底ってかなり重要部位だもんな! こいつ真面目な顔して実は結構アホなんじゃないか。

 

「うっはは、加賀って割とアグレッシブだよなー」

 

 望月が苦笑する程か。というかアグレッシブで済むのか。

 

「それで沈んだら笑い話にもならねぇしなぁ、もうやんなよ?」

 

 瑞鶴とか絶対泣くぞ。

 

「心配をお掛けして申し訳ありません。ですが提督」

 

「ん?」

 

「初めて攻撃手段を失って気付かされました。私は近接に対処する方法を身につける必要があると。なのでむしろ、膝や肘など艤装のない部位で戦う訓練をする許可をください。それなら損傷しないはずなので」

 

 近接に対処する空母って何さ……。そう思うも加賀の目は真剣そのもの。この技術はいつか必ず役に立つと確信している目だ。こういう強さへの貪欲さが今の加賀を作っているのかねぇ。因みに肘や膝で攻撃すれば良いというのは、俺にも心当たりがある。いつだったか川内が駆逐イ級を膝蹴りで撃破したという報告を貰ったことを思い出す。その時の川内は特に損傷していなかった筈。

 

「……まぁ演習ってそういう自分の弱点を見つけることも目的の一つだしなぁ。実戦で慌てるよりは良かったと言えるか……。わかった。その訓練で少しでも沈む確率が下がるなら良い。つか、俺の許可なんかいらんだろ。名ばかり提督なんだし」

 

 俺がそう言うと、加賀は何故か薄く微笑み、

 

「少なくとも、私にとって提督は提督だと思っていますから」

 

「なんだよそれ……」

 

 その表情を見ているとなぜか気恥ずかくなり、目を合わせずらくなったので視線をスライドさせた。少数だとは思うが評価が妙に高い艦娘がいるのは何なのか。木曾にも同じようなこと言われたし。

 

「司令官、照れてますねぇ?」

 

「うるさいよ」

 

 青葉がニヤニヤしながら聞いてくるのが非常に鬱陶しい。っていうか望月や木曾もニヤニヤしてる。止めろォ! 俺をそんな目で見るな!

 

「次、はい次龍驤、はよ!」

 

 話を逸らすべく次を急かす。

 まぁすぐそこに居るのだが。

 

「はいはい、目の前におるで照れー官」

 

 こ、こいつごみぃちゃんみたいな造語を……。

 

「うちは瑞鶴と一緒でええやろ。大体同じことしとったし」

 

 龍驤の言葉に瑞鶴が続ける。

 

「そうね。見てただろうし大体わかってると思うけど、加賀の艦載機を二人で全部落としてやったわ! まぁ相打ちだからその後何も出来なくなったけど……」

 

 そう言って口を尖らせる瑞鶴に龍驤も苦笑する。

 

「せやなー、しゃーないから曙煽って遊んどったわ」

 

「あれ遊びだったの!?」

 

 驚愕の事実に叫ぶ曙。遊びだったのかよ……。まぁ深海棲艦に言葉で煽っても効かなそうではあるし、そりゃそうか。

 

「やめてやれよ……」

 

 そう俺が(一応)苦言を呈すも、

 

「いやーでもええ表情するんよ! うちSのつもりは無いんやけどなぁ」

 

 悪びれない龍驤。

 そこで曙を見る。ぐぬぬ顔である。

 

「わかる」

 

「わかるなクソ提督!」

 

 ワカメが飛んできた。しまった、うっかり本音が。もう少し龍驤を注意するつもりだったのに。

 

「ま、まぁ程々にな。はい次島風」

 

 ワカメが無くなった為攻撃手段が手や髪の水飛沫になり始めた曙をスルーしつつ(濡れる濡れる)、五分の四裸ガール島風に訊ねる。島風はこちらにずずいと近寄る。いかん見える見える!

 

「はい! 島風頑張りましたよ!」

 

「おう、(今回は)観てたぞ。一人でよく頑張ったな」

 

 もし島風が木曾を真っ先に抑えていなかったらどうなるか。

 木曾を抑えず曙と夕立の相手をしていたとしよう。そうすると二人を相手にしている隙を突かれて木曾に落とされる。その後曙と夕立は木曾のバックアップをもらいながら悠々とBチームに攻め入り余裕を持ってAチームを壊滅させていただろう。それほど木曾の存在はでかい。ただ島風的には戦果よりも速さを重視してほしいらしい。

 

「えへへー、今日も速かったでしょ?」

 

 褒められてはにかむ島風は褒め言葉のおかわりをご所望のようだ。まぁ180ノットとか実際速すぎるし素直に褒める。

 

「速かった速かった。いやマジで速かった。すごいすごい」

 

「やったぁ!」

 

「司令官適当すぎひんか……」

 

 龍驤から呆れた様に突っ込まれるが知らーん。喜んでるからいいんだよ。

 

「んで次はRomaか。どうだった?」

 

「今回駆逐艦達がほとんど近寄って来なかったから凄く戦い辛かったわ。一番最初に大破してしまったし……」

 

 表情にはあまり出ないが明らかに意気消沈しているRoma。まさにしょんぼりと言った様子である。

 確かRomaが大破した理由は木曾の狙撃だったか。

 

「いやあれは仕方ないだろ、他の艦の相手してる最中に狙撃なんて避けられるかよ」

 

 俺がフォローすると同じく狙撃を受けた瑞鶴も、

 

「そうよ。回避に専念してた私や龍驤も当たっちゃうのよ? 意識の隙を突く砲撃っていうか……。あれは来るって分かってないと避けられないでしょ」

 

 と慰める。

 実際狙撃にいち早く気づいたItaliaが木曾を止めに行かなければ、それだけで壊滅していたかもな。

 

「Romaさんは大破した後撤退しつつもしっかり砲撃してましたし、艦隊での貢献度は高いと思いますよ?」

 

 実際に見ていた青葉が言うのだからそうなのだろう。俺はその時島風見てたからなんとも言えんが……。

 

「確かに、Romaさんの砲撃が無ければItaliaさんを止められたかもしれないっぽい! ちょっと掠って驚いたもん」

 

「ほーん、やっぱ役に立ってんじゃん」

 

 夕立の話を受けて俺がそう言うと、Romaは恐縮したように、

 

「そ、そう。なら、良かったのだけど」

 

 と顔を赤くして縮こまった。なんだこいつ可愛いな。

 

 というかこうして話を聴くとこいつらの連携入り組みすぎだろ……。まだ3人残ってるんだぞ? 今日初めて組んだ即興パーティでこれである。凄いしか言えないと曙に怒られるが、凄いとしか言えん。

 

「んで次はItaliaか。木曾を止めに行ったんだよな?」

 

 Italiaの胸元の繊維は完全に無くなっており腕で要所を隠している状態だ。というか下着(上)はどうした! 巨乳の艦娘ほどブラ付けない風潮なんなんだよ! と、言える筈もないので視線を顔に固定した。

 

「はい。狙撃に早めに気づけて良かったですねー。キソーは私が見た時には既に中破してたので、そのまま大破させるつもりだったんですが、逆にやられちゃいましたぁ。強いですねぇキソーは」

 

 おおうItaliaの喋り方聞いてるとなんかホワホワしてくるな……。俺の知り合いに居ないタイプだ。え? そもそも知り合いが少ないだろ、ってやかましいわ!

 

「いや正直危なかったぜ? 弾薬の残りも怪しかったし、上手いこと懐に潜り込めなかったら、やられてたのはオレだった」

 

 木曾も感心したようにItaliaを見る。あんだけバカスカ撃ってるから弾薬が無限に見えるが、一応上限はあるんだな。

 

「そう言ってくれると頑張った甲斐がありますねー。次は撃破を目標にしちゃおうかしら?」

 

「お、言うね! 楽しみにしてるぜ!」

 

 木曾がイケメン過ぎる件について。こいつ女子校とか通ったら絶対モテるだろ、女子に。

 

「でー、次は足柄か? あ、カツサンド美味かったぞ」

 

 俺が礼を言えば望月も思い出した様に言う。

 

「あ、あたしも美味かったよー。さすがだねぇ」

 

「ありがと! カツサンド、また作るわね! で感想だけど、旗艦って難しいわねぇ。私は前線に出てドンパチやるのが性に合ってるし。なんたって飢えた狼ですもの!」

 

 確かに旗艦はあまり最前線で戦うもんじゃねぇな。むしろ庇われる側だし。

 ところで関係ないけど足柄さん、隠さないんすね。俺を恥ずか死させる気ですか。何に飢えてるのか分からなくなっちゃう!

 

「でもいい経験になったのは確かね。後何回か経験してみてもいいかも!」

 

「そ、そうか。もしかしたらまた任せるかもな……」

 

 ここの艦娘は向上心の塊ばっかなの? だからモリモリ強くなっていくんですね、知ってた。

 

「楽しみにしてるわね!」

 

「お、おう。で次が最後、大井だな」

 

 言いつつ目を向けた大井の損傷は大破ながらこちらの目に優しい。あまり服が破れていないのだ。主な破損が砲塔や魚雷発射管に集中した為、装甲はあまり傷付かなかったのだろうと勝手に予想してみる。

 

「正直最初の魚雷をしっかり活用するとは思わなかったぞ」

 

 俺がそう言うも、

 

「活用したのは足柄さんやRomaさんですから私はなんとも。あくまで使える道具を配置しただけです」

 

 とやんわり否定される。謙遜しているのではなく、本当にそう思っているようだ。

 

「まぁそうなのかもしれんが、命中したと聞いた時は正直鳥肌立ったぞ。あくまで牽制だと思ってたからな」

 

「使えるものは全力で使うべきですから。私としてはもっと自分でも撃破したかったのですけど、今回はうまくいきませんでした」

 

 そう言う大井だが、あまり落ち込んでいる様子はない。ウチの大井は、強いし働くがあまりやる気というか、気力が無い。北上が居ないからだろうか。というかそれしか理由が思い浮かばない。

 こりゃーさっさと北上を建造したいとこだ。上をちょっと突いてみるかねぇ。あー無理ゲー……。

 




実は思ったより長くなったので削ってこうなりました。
ここはあんま長くしたくないんです。
でももしかしたら削りすぎて描写不足になってる箇所があるかも。



次回、MVP決めと、撮影会
果たして予告は守られるのか!?

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