四葉の姫君   作:らふらふ

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初投稿です。暖かく見守ってくださると嬉しいです。


プロローグ
1話


吾輩は転生者である。名前はまだ分からない。

 

 

 

気付いたら赤ん坊になっていた。周りにいるのは大きな人ばかりで、最初は混乱した。おそらく生まれ変わったのだろうと納得するまで1日がかかった。

 

現状を受け入れてからは、当然情報収集である。とはいえ、赤ん坊の身であるため、できることといえば周りの話を聞くぐらいだ。また日本に生まれたようで、皆日本語を喋っていたのには助けられた。

しかし、自分の名前が不明なのである。なぜなら、周りからは「お嬢様」と呼ばれているからだ。誰か名前を呼んでくれないものか。そして母親と父親らしき人は見当たらない。総合して考えるに、私が生まれたのは上流階級の金持ちの家で、両親は私に興味がなく召使い任せにしているのだろう。

 

おそらく一ヶ月ぐらい経ったころ、年齢不詳の美人が部屋にやってきた。

 

「深咲さん、私がお母さんですよ。やっと会いに来られたわ」

 

どうやら私の名前は「みさき」というらしい。そしてめでたいことに母は育児放棄じゃなかったようだ。母は疲れているように見える。仕事だったのだろうか、それとも産後に体調を崩したのか。

 

「互いに歩けるようになったら、深雪さんとも会わせてあげますよ」

 

「みゆき」というのは私の姉妹だろうか。仲良くできるといいな。

 

「深夜様、お身体に障りますのでそろそろ……」

 

母の側についている人が言った。やはり体調を崩していたようだ。

 

「わかったわ、穂波さん。じゃあ、深咲さん、また来るわね」

 

母は私の額にキスをし、部屋を出て行った。

 

それにしても、母とお付きの人の名前になんだかデジャヴを感じる。なんだろう。私のお世話係達が話していたのかな……?

 

**********

 

母の何回目かの面会で、衝撃的な事実を知った。なんとここは「魔法科高校の劣等生」の世界らしい。サイオンがどうとかいう話を聞いて、弾けるように記憶が蘇った。ただし、私の持っている知識は二次創作のものだけだが。そうと知れば、確かめなければならないことがある。母の名前は「みや」で、お付きの人の名前が「ほなみ」である。もしかして原作キャラの「四葉深夜」と「桜井穂波」ではないだろうか。しかも「みゆき」という名前を聞いた覚えがある。それってもしかして「司波深雪」ではないのか?兄に「たつや」がいたらもう決定としていいだろう。

しかし、原作では「みさき」なんていうキャラは出てきていない。ということは、ここはパラレルワールドなのかな……?

 

 

月日が流れ、よたよたとだが歩けるようになった。そして今日はいよいよ「みゆき」と対面する日である。お世話係に促され、部屋を出る。部屋のドアをチラリと見ると、「深咲」と書いたプレートがかかっていた。どうやら私の名前は深咲と書くらしい。隣の部屋を見ると、「深雪」と書いたプレートがかかっている。

 

「お嬢様、お姉様の深雪様ですよ」

 

と私のお世話係が言う。私が妹なのか。

 

「お姉ちゃん、こんにちは」

「こんにちは、深咲」

 

幼くはあるが、どう見えても「司波深雪」である。なんということでしょう。やはり私は「四葉」に生まれてしまったようだ。あの「四葉」に。

 

 

 


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