EX-AID・A・LIVE ~SPIRITS LOVERS~   作:エルミン

9 / 54
第二話 爆走するLAZER!

ソルティバグスターとの戦いから翌日。五河 士道は身支度を整えていた。

 

 

今日は、栞がバグスター対策組織の紹介をしてくれることになった為だ。

 

その待ち合わせ場所として、昨日栞が出会ったあの公園が選ばれた。一緒に住んでいる妹に出掛ける旨を伝えて、士道は外に出る。

 

公園で合流してから一緒に歩いていき、ついたのは家から歩いて五分ほどの所にある病院だ。

 

『天宮総合病院』。天宮市の中で一番大きな病院だ。

士道が助けたあの男の子も、この病院に入院している。

 

栞の説明によると、ここは病院であると同時にバグスター対策組織の本部でもある。

 

組織の名は、『電脳救命センター』。

英語名でCyberbrain Room・・・・・・通称、CR。

 

衛生省の協力の元に立ち上げた組織であり、バグスターウィルスの感染者を保護したり、バグスターと戦う仮面ライダーをサポートしてくれる所だ。

 

この病院の院長が、CRの責任者を勤めているという。

以上のような説明を聞きながら、病院の裏口から入る。

 

この裏口は、CRの本部に直結するエレベーターがあって、そのエレベーターと階段でしか行けないようになっている。

 

栞についていって、エレベーターに乗る。

エレベーターを降りて、正面の扉の横に設置してあるパネルを操作すると自動で開き、部屋の中に入れた。

 

その部屋は、テーブルや椅子、パソコンやモニターがおいてある。

 

他にも、窓の外を見ると、機械に繋がれたベッドが見える。ここにゲーム病患者を保護するみたいだ。

 

 

そこには、黒いスーツを着こなした男性がいた。

 

黒いスーツを着こなした男性が、穏やかな笑顔を浮かべて俺達の所にやって来た。

 

「初めまして。君がエグゼイドの適合者、五河 士道君だね。

 

私は檀 黎斗(だん くろと)。幻夢コーポレーション社長で、仮面ライダーのシステムを開発した者だ」

 

幻夢コーポレーションの社長、檀 黎斗。日本有数のテレビゲーム開発会社であり、ゲーマドライバーとライダーガシャットを開発した人物だ。

 

「は、初めまして!五河 士道です!あなたが作ったゲーム、すごく面白くて大好きです!」

 

「ありがとう。開発者として、とても嬉しいよ」

 

「こんにちは、檀社長!」

「こんにちは、風鳴さん。今日も元気だね」

 

「はい!私はいつも元気なのです♪」

 

「そうだ、君のゲーマドライバーとライダーガシャットはメンテナンスが済んだから、渡しておくよ」

「ありがとうございます」

 

「あれ、それは栞の・・・?」

 

「はい、私のドライバーとガシャットなのです。昨日までメンテナンス中だったので代わりにエグゼイドになろうとしたら、士道が使っちゃったのですよ」

 

「そ、そっか・・・」

 

挨拶を済ませてから、士道は椅子に座り、隣に座った栞と対面して座っている壇社長から説明を受けた。

 

 

『バグスターウィルス』。

 

人間に感染することで成長するミクロ型のコンピュータウイルス。

 

感染した人間のストレスを元に増殖。バグスターウィルス感染症・・・通称、ゲーム病を発症してしまう。

 

熱や咳、めまいを経て感染が進むと、あの大きなバグスター・・・バグスターユニオンになる。

 

そして、感染者の体から分離したのが、バグスター。

士道がエグゼイドに変身して倒した、あのソルティのように。

 

 

『ゼロデイ』。

 

今から五年前に発生した、バグスターウィルスによる人間の大量消失事件。

 

幻夢コーポレーションが開発したゲームから発生したバグがバグスターウィルスに変化。テストプレイヤー達を消滅させた。

 

 

『仮面ライダー』。

 

ゼロデイがきっかけになって、日本政府はバグスターの存在を知り、衛生省を立ち上げて幻夢コーポレーションと協力して、ゲーマドライバーとライダーガシャットを開発した。

 

士道や栞が使った物がそれである。

 

そして、それらを使ってバグスターと戦いゲーム病感染者を救うための戦士が、仮面ライダー。

 

 

「五河君、君に頼みたい。バグスターを倒し、人々を救うために、君の力を貸してほしい」

 

「わかりました!俺、精一杯がんばります!」

 

社長の言葉に強く宣言する士道。

 

 

「ありがとう、五河君。では、申し訳ないが、私はこれで失礼させてもらうよ」

「社長。お忙しい中、ありがとうございましたです」

 

「構わないさ。仮面ライダーの適合者に挨拶するのは、社長として当然のことだからね。

 

五河君、機会があったらまた話をしよう」

 

 

「は、はい!ありがとうございます!」

 

去っていく社長。その背中が見えなくなってから、士道の脳裏に先程一瞬感じた事を思い出した。

 

 

(何で、あんなにいい人なのに・・・お礼を言ったときの社長の笑顔に・・・・・・「違和感」を感じたんだ?)

 

考えても、わからなかった。

 

 

その後、士道は栞と一緒にちょっとしたお茶会を開いていた。

 

少しでも親睦を深められるだろうから、断る理由もない。

 

他愛のない事等を話していると、ドアが開いて一人の女の子が入ってきた。

 

 

 

「栞さーん!あなたの美九が来ました・・・・・・あらぁ?」

 

「・・・は?」

 

 

士道は部屋に入ってきた女の子を見て、固まってしまった。その子は、士道が知っている女の子だからだ。

 

紫紺のロングヘアーに整った容姿、抜群のプロポーションを誇る美少女。

 

アイドルとして活動して、歌は上手いしダンスも出来る。

 

 

「・・・!だあぁぁぁぁぁぁりいぃぃぃぃぃぃん!!」

 

「美九!?何でお前ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

 

女の子は士道を見ると、凄く嬉しそうな満面の笑顔になり、「だーりん」と呼んで抱きついてきた!

 

「だーりんだーりんだーりん!お久しぶりですだーりんとまた会えて嬉しいですぅ!一ヶ月ぶりですよ!」

 

「あぁ・・・久しぶりだな・・・美九」

 

 

この女の子の名前は、「誘宵 美九」。

 

天宮市を中心に多くの場所で活躍しているアイドルだ。

 

美九とは、士道が中学生の時に出会っていて、その時から仲良くなって。

 

美九が抱えていた問題の解決に協力したら、何か懐かれた。しかも、だーりんと呼ぶようにもなったのだ。

 

 

「士道・・・・・・美九さんとお知り合いなのですか?」

 

栞が訪ねてきたが、不機嫌そうで、ほっぺをぷくーと膨らませている。

 

 

「ま、まぁな。俺が中学生の時に・・・」

 

「あの出会いは必然だったんですよぉ。私は、だーりんのお嫁さんになるために生まれたのです!」

 

「いきなり何言ってんだよ!?」

 

「む~~~!」

 

抱きついて離さない美九。ますます不機嫌になる栞。そして、栞も士道に抱きついてきた!

 

栞は嫉妬しているのだが、士道はその事に気付けず慌てる位しか出来なかった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

その後。何とか落ち着いた美九が離れてくれた所で、説明タイムになった。

 

士道は美九に、自分が仮面ライダーになった事を伝えた。

 

「はぁ~、だーりんも栞ちゃんと同じ仮面ライダーになったんですか」

 

「あぁ。美九も知ってるんだな、仮面ライダーやバグスターウィルスの事を」

 

「そうですね。初めてここに来たときに聞きました」

「美九がCRに来たのって・・・」

 

 

 

「実はですね・・・私もバグスターウィルスに感染している、ゲーム病患者なんですぅ」

 

「はぁ!?美九も!?」

 

「はい。一年位前にですね。私、一人で散歩をしていたら、道端で光輝く球体を見つけたんです」

 

「光輝く、球体?」

 

「士道。結論から言いますと、その球体はバグスターなのです。

 

そのバグスターは、何らかの理由で不完全な状態になってしまったのでしょう」

 

 

「不完全な、状態・・・」

 

「はい。私がそれを発見した時に無用心に触れてしまって、バグスターウィルスに感染してしまったんです。

 

というよりも、不完全なバグスターが私の体に入ってしまった・・・・・・という方が正しいですね」

 

「ちなみに、体内に入ったのは、ドレミファビートのバグスターです」

 

ドレミファビート。音楽に合わせてリズムを刻む、リズムゲームだ。

 

そのゲームのバグスターが、美九の体に入っているのだ。

 

「そして、通りかかった私が見つけて保護。発症が無かったので、事情を説明した上で、定期的にここに来るように言ったのです」

 

「つまり、定期検診みたいな感じです」

「そうか・・・美九、大丈夫か?」

 

「ノープロブレムですぅ!熱もないしいたって健康ですよ!どうなってるんでしょうねー?」

 

「美九、少しでもおかしく感じたらすぐに言うんだぞ」

「合点了解ですぅ!」

 

ビシッと敬礼する美九。それから世間話になったが、美九がお手洗いに行ったところで、士道が栞に質問した。

 

 

「そういえば、気になったんだけど」

「何ですか?」

 

「栞はどうして仮面ライダーになったんだ?俺みたいに偶然とか?」

 

「・・・そうですね、士道には説明するのです。私達、風鳴一族は昔から国を守る"国防"を担う一族なのです。

 

五年前ゼロデイでバグスターウィルスの存在を知って、それに対処する為にお母さんが天宮市に来たのです。

 

お母さんは、優秀な医者で科学知識も豊富なのです。それでバグスターウィルス対策に適任と判断されて・・・という感じなのです。

 

それに、私と私のお姉ちゃんも一緒に来たのです」

 

「栞、お姉さんがいたのか?」

「はいなのです。私より先に仮面ライダーになって戦っていたのです。

 

といっても、四年前にバグスターとの戦いで死んでしまったのです・・・」

 

「え、あ・・・ごめん」

「大丈夫なのです。それで、私がお姉ちゃんの分も頑張らなきゃって思って、三ヶ月位前に仮面ライダーになったのですよ」

 

「・・・・・・なぁ、もしかして、風鳴 翼さんも・・・?」

 

士道は風鳴一族の話を聞いて、世界で活躍するようになったトップアーティストの名を出した。

 

彼女も栞と同じく、名字が「風鳴」だからだ。

 

「そうですね。詳しい事は話せないですけど、翼お姉ちゃんも国防に関わる重要な任に就いているのですよ」

「・・・そっか」

 

ここまで話した所で、美九が戻ってくる。その時、備え付けの電話が鳴り、栞がすぐにとって対応した。短くやり取りしてから説明してくれた。

 

「緊急連絡が入ったのです。高熱を発症して倒れた男性の体内からバグスターウィルスを検知。現在、ここに搬送中です!」

 

栞からの説明の後、患者搬送室に向かう。

それから十分もしないうちに患者の男性が運ばれてきた。

 

ベッドが機器に繋がれて、モニターに患者の状態が映し出される。

 

画面にバグスターを示すアイコンが表示される。ゲーム病に感染しているのは明白だ。

 

「士道!」

「大丈夫、戦える!」

 

士道と栞はゲーマドライバーを装着する。

 

 

《マイティアクションX!》

《爆走バイク!》

 

栞が起動したのは、爆走バイク。破壊や妨害など何でもありのレーシングゲームである。

 

「「変身!」」

 

ガシャットを起動して、仮面ライダーに変身した。

 

栞の仮面ライダーの名前は、レーザー。黄色いバイクのゆるキャラみたいな感じであり、両手に武器であるタイヤを持っている。

 

すると、男性の体からバグスターユニオンが現れた!

 

タイヤのように丸いやつだ。しかし、この部屋で戦うのは不味いのでは?と不安になる士道だが、栞は慌てずに対処する。

 

 

「特設ステージへご招待!」

 

栞が言うと、ホルダーのスイッチを押した。

 

《ステージ、セレクト!》

 

音声の後、回りの風景が一変した!

 

CRではなく、バイクレースの会場みたいな所になった!

 

「ここはゲームエリア。仮面ライダーとバグスターのバトルフィールドみたいな所です。

 

これを展開すれば、どれだけ暴れても現実に影響は一切出ないのです」

 

なるほど・・・と士道が納得していると、律儀に待ってくれていたバグスターが襲いかかってきた!

 

体を回転させて二人に突進してくるが、跳んでかわし、士道はガシャコンブレイカーで叩き、栞はタイヤからエネルギー弾を放って攻撃する。

 

しかし、バグスターはまだ迫ってくる。

 

「栞!」

「はいです!」

 

お互いに声を掛け合うだけで、何をするかが伝わる。

もう一度突っ込んでくる所をかわし、今度は二人一緒に同時に攻撃を叩き込む。

 

「「はあぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

ブレイカーとタイヤの全力同時打撃によって、ユニオンを撃破、分離に成功した。

 

分離されたバグスターは・・・。

 

 

「バリバリバリバリ四露死苦ぅ!」

 

何か暴走族っぽいやつである。自前のバイクに乗りながら、エンジンふかして何か叫んでる。

 

爆走バイクに出てくるキャラクター、「モータス」だ。

 

 

「よし、レベル2だ!第二変身!」

 

レバーを開いて、レベル2になった。だが、栞を見ると、レベル1のままだ。

 

「栞?」

「士道・・・・・・私をちゃんと『乗りこなして』ください」

 

「は?」

 

どういう事だ?と聞く前に、栞がドライバーのレバーを開いた。

 

 

「セカンド・ギア!」

 

《ガッチャーン!レベルアップ!》

 

《爆走!独走!激走!暴走!爆走バイク!!》

 

栞が変身するレーザーのレベル2、それは・・・。

 

 

「乗っていきますか?・・・キリッ」

 

バイクである。バイクを模した人型戦士・・・ではなくバイクそのものだ。

 

「・・・・・・何でバイク?」

「爆走バイクだからなのです!」

 

「なるほど、わからん」

 

 

 

まぁ、そんなこんなで。

 

モータスがバイクに乗っているため、士道もバイク(栞)に乗って、バイクレースで勝負をする事になった。

 

「レーザーは誰かとコンビを組んで真価を発揮するタイプなのです」

 

「あぁ」

 

「それはこういう事です。一人でも走れるけど、最高の走りをするには、操縦者・・・つまりパートナーが必要なんですよ」

 

「そっか・・・だったら!」

 

士道はハンドルを握る。バイクの操縦方法は・・・まぁ何とかなるだろう!と妙に楽観視しつつ、アクセルをふかす。

 

 

「俺と栞・・・二人で一緒にあいつをやっつけて、患者を救おうぜ!」

 

「はい!あなたと一緒なら、どこまでも!」

 

モータスと並び、発車の時を待つ。そして・・・信号が青になり、士道達とモータスは同時に発車した!

 

「アクセル全開!」

 

栞が叫ぶ。士道もそれに答える様に速度を上げていく!

コースをほぼ平行して走っていく。操作は特に問題はない。

 

しかし、途中でモータスが走りながら攻撃してくる。

 

 

爆走バイクは、破壊・妨害何でもありのバイクレースゲーム。故に、向こうは平気で妨害をしてくる。

 

士道はガシャコンブレイカーを呼び出して、ハンマーのままモータスに向けて投げた!

 

「痛えぇ!っておぉぉぉぉう!?」

 

痛みで運転を誤り、そのまま倒れた。この隙に一気に差を広げる。

 

「栞!このままかっ飛ばしていくぜ!」

「OK!フルスロットルなのです!」

 

二人はさらにスピードを上げて行く。しかし・・・。

 

「甘いぜてめえらぁぁ!!」

 

何とモータスも急激な加速を行い、あっという間に二人を追い越してしまった!

 

「栞!一気に決めるぞ!」

「はい!キメワザです!」

 

士道は急加速したモータスを追い抜くと同時にトドメをさすために、栞のドライバーから爆走バイクのガシャットを抜き取り、ホルダーにセット。ボタンを一回押す。

 

 

《ガシャット!キメワザ!》

 

もう一度ボタンを押して、キメワザを発動。

 

「「これで決まりだ!」」

 

《BAKUSOU CRITICAL STRIKE!!》

 

 

音声の直後、士道はアクセル全快で走る。車体が強力な炎のエネルギーに包まれる。

 

そのエネルギーを纏ったまま超加速を行い、モータスに体当たり!

 

 

「「はあぁぁぁぁぁ!!」」

 

「な、何いぃぃぃぃ!?ぎゃあぁぁぁぁ!!」

 

纏ったエネルギーがバリアみたいになってくれたため、士道と栞は無傷。

 

だが、モータスはキメワザによって完全に倒された!そのままゴールを通過してブレーキで停止。

 

 

《GAME CLEAR!》

 

 

浮き出る爆走バイクの絵とゲームクリアの文字。ゲームエリアが解けて、元のCRに戻る。

 

男性をもう一度検査したが、バグスターウィルスもゲーム病も全部消えている。

 

今は寝ているけど、このまま安静にしていれば後遺症もなく退院できるそうだ。

 

そして、変身を解いて美九と話していた部屋に戻ると、そこでは目を輝かせた美九が待っていた。

 

「凄いです格好いいですよー!二人にお疲れさまのハグをプレゼントですぅ!」

 

「逃げるぞ栞!」

「はいなのです!美九さんのハグは、いやらしいのです!」

 

「あぁん、逃げないでくださいー!」

 

 

そのまま美九との鬼ごっこが始まってしまった。

 

 

こうして、士道のCR初訪問は終わり、この後に訪れたCRの責任者に出会い、士道は正式にCRの一員となることが認められたのであった。




次回予告


クラスメイトと偶然出会い、一緒に出掛けることになるが、そこでも事件は起こる。


第三話 戦乙女なBRAVE!


「どうしてぇ!?」


ーーーーー


美九との関係が、原作と異なります。既に攻略済みです。

後、美九は既に精霊になっていますが、誰にも明かしていません。


美九がポッピーポジションな感じです。

中学生の時の士道との出会いは、原作六巻の話で書く予定なので、お待ち下さい。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。