EX-AID・A・LIVE ~SPIRITS LOVERS~ 作:エルミン
「きひひ・・・」
笑い声を発しながら、時崎 狂三はその建物に足を踏み入れる。その後ろには五河 士道も一緒であり、二人共緊張を表している。
「狂三・・・」
「お静かに」
士道が声をかけたが、狂三はそれを制止する。そのまま進んで行くと・・・。
「ヴァアアアアア!!」
「キャアアアアア!!」
突然現れた
ーーーーーーーーーー
今士道と狂三がいるのは、数日前に琴里の霊力を封印したあの遊園地だ。
バグスターウイルス感染者が出たプールは、衛生省の許可が出るまで閉鎖中だが、遊園地は被害が少なく数日で復旧が出来たのだ。(ASTが顕現装置を使用して復旧を早めたのも理由だが)
その遊園地に、士道と狂三が遊びに来ていた。先程は狂三と一緒にお化け屋敷に入ったのだ。
狂三の方から士道を誘い、士道もOKを出した。
アトラクション巡りを終えて、今は芝生にシートを挽いて士道手作りの弁当を食べている。
「やっぱり士道さんの料理は美味しいですわね」
「ありがとうな。今日は久しぶりだから不安だったけど、上手くいったなら良かった」
笑顔で食べる狂三。士道の体調を考慮して料理を控えていた士道だが、最近は元の生活に戻りつつある。
すると、狂三が少し離れたベンチに座っている一人の男性を見つけた。士道と同じくらいの男性で俯いている。しかも少し苦しそうだ。
「士道さん・・・」
「・・・・・・あぁ」
二人は手早く片付けて、男性の元に駆け寄る。その男性を見た士道は、その正体に気づく。
「あれ・・・お前、田島か?」
「い、五河?」
「あら、お知り合いですの?」
「中学時代の同級生だ。学校が違うから久しぶりだけどな・・・田島、大丈夫か?」
男性・・・田島は頷いた。
「ちょっとダルいけど大丈夫・・・って五河、隣の美人さんはお前の彼女か!?」
「え、いやそれは・・・」
「ウラヤマシイ、ネタマシイ・・・俺はまだあの子に・・・グッ!?」
羨む様に言うと、ストレスからかゲーム病を発症し苦しみだす。
スコープで診察すると、ジェットコンバットのバグスターウイルスを検知。すぐに折紙と栞に連絡を入れる。
しかもその場で実体化。ジェットコンバットのバグスター、バーニアがレベル30で現れた。
飛行強襲ユニット『バーニアサルトジェット』を搭載し、空中からミサイルを発射しての爆撃を行う。
ミサイル攻撃を回避しながら、士道はゲーマドライバーを装着しガシャットを刺して変身する。
《マイティブラザーズXX!》
「第十変身!」
エグゼイドレベルXになり、キースラッシャーのガンモードでバーニアを撃って攻撃して、バーニアの撃ったミサイルは一発ずつ撃ち落とす。
お互い決定打を与えられないが、ここに一石を投じる者が現れる。
「「私達、参場!」」
レーザー・レベル2に乗ったブレイブ・レベル50が到着。ガシャコンソードを持ったブレイブが刀身にファンタジーゲーマーの力を乗せた赤紫色の斬撃を放つ!
斬撃はバーニアに直撃し墜落。一発で大きなダメージが入り、バーニアは回復のため田島の体内に潜伏した。
救急車呼んでくれた所で、折紙がファンタジーゲーマーの副作用で苦しんでしまう。
士道と栞に支えられながら、四人は田島を乗せた救急車に同伴してCRに向かった。
ーーーーーーーーーー
CR内で、ベッドの機器に繋がった田島を診察しながら、四人が事情を聞く。
田島は自分の通っている高校に好きな女子がいるらしく、今度遊園地でデートをすることになった。
だが、田島は絶叫マシンが苦手であり、その苦手意識を克服するために来ていた。だが、結局一度も乗れず悩んでいたのだ。
苦手を克服出来ず、好きな女子との将来に対する不安とストレスでゲーム病を発症してしまったのだ。
「・・・なぁ五河、お前まさか後ろ女子達とも仲が良いのか?」
「え、ま、まぁ・・・仲が良いのは確かだけど・・・」
「頼む!俺にそのモテる秘訣を教えてくれえぇぇぇ!!」
士道の肩を掴んでガクガクと揺らす田島。とてもゲーム病で苦しんでいるとは思えない力強さと必死さだ。
「おおおおおお落ち着けって!それについては色々言えない事情もあって」
チラッと女子達を見ると、栞と折紙は苦笑していて、狂三はニヤニヤしている、助けは期待できない。
士道は頭を回転させて解決策を考え、口にする。
「なぁ田島、良かったら絶叫マシンの苦手意識克服に俺も協力しようか?」
「え?」
「苦手意識を克服して、気持ちが前向きになればゲーム病も改善できるし告白も自信が付くんじゃないか?」
士道の言葉により、もう一度絶叫マシン克服のためび遊園地に向かう。
そして絶叫マシンに挑んだが、結果は失敗。長年の苦手意識の克服は簡単に行かなかった。
士道は諦めず再挑戦を促すが、田島はうまく行かない事でまたストレスをためてしまい、バーニアの再実体化が起こってしまう。
バーニアはジェットを噴射して空中に。士道はエグゼイド・レベルXに変身し、ステージセレクトでエリア移動を行い一般人を巻き込まないようにする。
栞もレーザーレベルXに変身し、タイヤから砲撃を行いエグゼイドをサポート。
だが、ここにゲンムに変身した黎斗も乱入。ガシャコンマグナムでエグゼイドとレーザーを攻撃していく。
二対二となった状況に加勢すべく、折紙はガシャットギアデュアルβを取り出・・・せない。
「あれ、無い!?」
ガシャットギアデュアルβが無いのだ。スカートや上着のポケットをくまなく探すが見つからない。
すると、狂三が前に出る。ニヤリ、と笑いながら手に持ったガシャットを折紙に見せびらかすように見せる。
「キヒヒ・・・折紙さぁん。これ、いただきますわよ」
「え、あぁ!いつの間に!?」
「CR内でコッソリと・・・ですわ♪」
狂三が持っていたのは、ガシャットギアデュアルβだ。折紙からこっそりといただいたようだ。
狂三は銃を取り出してゲンムに向けて撃つ。皆の注目が狂三に集まる中、不敵に笑う。
「このガシャットには二つのデータが入っていますわね。タドルファンタジーと、”バンバンシミュレーション”。
戦艦を操って敵の軍を殲滅するシミュレーションゲーム・・・わたくしにピッタリですわ」
「ふん・・・時崎 狂三、そのガシャットを使えば、鳶一 折紙のように苦しむようになるぞ」
「・・・・・・わたくしには、四年耐えた分の抗体がありますわ。それに、苦しみを背負うのは慣れていますわ」
(狂三さん・・・まさか、私の為に・・・!?)
折紙は自分に、これ以上レベル50の負担を与えない為にガシャットを奪った・・・そんな気がしてならなかった。
「腕がなりますわ・・・!」
ガシャットギアデュアルβのにダイヤルを、タドルファンタジーとは反対方向に回す。
《バンバンシミュレーションズ!》
《I ready for battleship!》
タイトル画面から出現したシミュレーションゲーマーを待機させ、ゲーマドライバーにガシャットを装填、レバーを開いて変身する!
「第伍十弾、変身!」
《デュアルガシャット!》
《ガッチャーン! デュアルアーップ!》
《スクランブルだ!出撃発進!バンバンシミュレーショーンズ!発進!》
シューティングゲーマーレベル2に近い姿に変身した後、召喚したシミュレーションゲーマと合体し、強力な砲撃能力を持つ形態に変身する。
ファンタジーゲーマーレベル50同様、負荷に苦しむ様子が見られたが数秒で克服し、完全に自分の力にしてみせた。
更に胸部を保護するアーマー「バトルシップアーマー」には、ブレイブレベル50同様に装着者への負担を前提にした戦闘能力強化システムが搭載されている。
だが四年前にプロトバンバンシューティングガシャットを使用していた事や他のライダーよりも豊富な戦闘経験あるため、折紙と異なり苦しむ様子は見られなかった。
仮面ライダースナイプ・シミュレーションゲーマーレベル50に変身完了!
「戦艦の火力を召し上がれ!」
「お断りだぁ!」
バーニアは空中に飛び、コンバットゲーマの形をした小型ユニットを呼び出して空から攻撃する。
全身に合計十門もの砲塔、更に強化されたレーダー機能と組み合わせることで効果的に無数の小型ユニットを殲滅。
その最大火力は圧巻の一言に尽きる。更に、艦載機型ユニットを放って遠隔操作、残っていた小型ユニットを全て破壊した。
ゲンムはスナイプを攻撃しようとするが、エグゼイドとレーザー、そしてレベル2に変身したブレイブの妨害を受ける。
そしてスナイプはキメワザを発動する。
《BANG BANG CRITICAL FIRE!》
バーニアをロックオンし、複数の砲撃で一気に粉砕する!爆発したバーニア、田島はバグスターから分離して無事に救出に成功。
更に狂三はもう一度キメワザを発動。砲撃がゲンムに向けて自動で向かっていく。
足止めしていた三人がゲンムから離れた直後、ゲンムは素早くガシャコンマグナムにバンバンシューティングガシャットを装填。
ライフルモードにして、エネルギーを一直線に撃ち出す。一瞬拮抗したが、砲撃が全てゲンムに命中。
ゲンムが持っていたバンバンシューティングガシャットが地面に落ち、狂三はそれを回収して奪還。
ゲンムは起き上がってバーニアのデータをバグヴァイザー回収、無言のまま撤退していった。
田島をもう一度検査した結果、ウイルスは無事に無くなりゲーム病完治が確認された。
そして田島は今回の一件で救われた事で前向きになれたのか、以前よりも前向きになっていた。
「五河、俺・・・頑張ってみる。頑張って克服して、あの子に好きだって伝えてみせる」
「あぁ、頑張れよ。応援してる」
士道が田島を激励し、二人は握手をかわす。こうして、今回のゲーム病事件は終わりを告げた。
ーーーーーーーーーー
その日の夜。
黎斗は旧幻夢コーポレーションで項垂れていた。すぐに回復するとはいえ、流石にダメージが今までの分蓄積しているらしく、万全な状態とは言えない。
だが、黎斗は諦めずバーニアのデータをパソコンに移動させてから、究極のゲームを作ろうとする。しかし・・・。
「こんばんは」
「っ!?」
突然の声・・・パラドではない少年の声。その声の方を向くと、民族衣装を纏った中学生位の少年がいた。
その顔に、ステンドグラスの模様が浮かんでいるのが見えた。
「ファンガイアか!?」
黎斗はバグルドライバーを取り出して装着しようとするが、突如黎斗の背後から攻撃を受ける。
その衝撃を受けて、倒れる黎斗はバグルドライバーを手放してしまう。
少年は自分の近くに転がってきたバグルドライバーを回収、それを見てニヤリと笑う。
「これは貰っていくよ。僕が新たなステージに立つ為にね」
少年は、黎斗を背後から攻撃した存在・・・石で出来た大きな犬型人形を連れて旧幻夢コーポレーションからワープで去っていく。
「まさか、終焉の革命団・・・!?あいつは轟木 零士ではなかった。別の幹部か・・・?」
椅子を支えに黎斗は立ち上がり、ファンガイアが動き出した事に戦慄する。
そして数日後。バグヴァイザーを奪ったファンガイアが行動を起こし、二人の戦士と装者と精霊が共に戦う事になる。
次回予告
第五章・最終話 動き出すGreat evil
ーーーーー
次回は、自作品同士のクロスオーバー小説に関係する話です。