EX-AID・A・LIVE ~SPIRITS LOVERS~   作:エルミン

43 / 54
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。今回で第四章は終了です。


第七話 打倒SのParadox

「よぉ、士道」

「パラド・・・」

 

屋上にいたのは、夕弦を探していた時に出会ったバグスター、パラド。

 

不敵な笑みを浮かべながら立っているパラドに、士道は険しい表情のまま問う。

 

「校内にバグスターウィルスを出したのは・・・」

「俺だ。士道にここに来てほしかった、そうすれば士道と遊べるだろ」

 

「俺と遊ぶ?・・・・・・そんな事の為に学校の皆を巻き込みやがったのか!?」

 

「まぁな。許せないか?俺が・・・・・・なら、俺を倒してみせろ」

パラドはグラファイトが使っていたファンガイア製の短剣を取り出す。

 

士道もガシャコンブレイカーを剣にして構える。

 

「本番前のチュートリアルだ、ここでゲームオーバーになるなよ!」

 

パラドが走って士道に急接近し、短剣を振り落とす!士道はガシャコンブレイカーで受け止め、直後の隙をついて右足でパラドの脇腹を蹴る。

 

うっと呻いたパラドに更に回し蹴りを当てる。士道は深追いせず、一旦離れて隙無く構える。

 

ところが、パラドはニッと笑い短剣を縦横無尽に振るう。すると、短剣を降った軌道に合わせて斬撃となり、真空刃となって襲いかかる。その数、複数。

 

士道は横に飛んで初撃をかわす。すぐに士道は走ってパラドに接近していく。

 

斬撃によって床やフェンスが切り裂かれていく中、士道は臆する事無くかわしながら進む。

 

一度左腕を薄く斬られて血が出たがそれを無視してパラドの近くまで来れた所で左腕でアッパーを当てようとするが、パラドは咄嗟に右腕を盾にして防ぎ、右足で士道を蹴り飛ばす。

 

倒れた士道にジャンプして短剣を刺そうとするが、士道は転がって回避する。

 

お互い、互角に戦っており有効打を与えられない状態が続く。

 

すると、全てのバグスターウィルスを倒し終えた十香達が屋上へやってきた。

 

「シドー!・・・・・・その男は」

「パラド・・・バグスターだ」

 

士道の言葉に、皆が警戒心を高め構える。しかし、パラドは笑みを深める。

 

「遂にプレイヤーが揃った・・・・・・ここからが、ゲームの本番だ」

そう言って、パラドは黎斗から受け取った新しいガシャットを取り出す。

 

一つのガシャットに二つのゲームが入っている「ガシャットギアデュアル」だ。

 

《パーフェクトパズル!》

《What's the Next Stage?》

 

「変身」

 

《Dual Up!》

《Get the glory in the chain・・・PERFECT PUZZLE!!》

 

 

ダイヤルを回してパーフェクトパズルのゲームを選択した後、起動スイッチ「デュアルアップスターター」を押す。

 

出現したウィンドウがパラドを通過することで、仮面ライダーへの変身が完了する。変身後は右腰の「ギアホルダー」に装填する。

 

「仮面ライダーパラドクス、レベル50」

パラドは変身した己の名を言う。遂にパラドは仮面ライダーパラドクス・パズルゲーマーレベル50に変身した!

 

「レベル50!?」

「ゲンムも本気で作ったという事さ」

 

「・・・・・・っ!皆、行くぞ!」

 

《マイティアクションX!》

《ドラゴナイトハンターZ!》

《ファング!》

 

《タドルクエスト!》

《ブレード!》

 

《バンバンシューティング!》

《ガン!》

 

《爆走バイク!》

《クロー!》

 

「「「「変身!」」」」

「「「・・・変身!」」」

 

士道達は仮面ライダーになり、十香と八舞姉妹は限定霊装を展開する。

 

パラドは余裕を崩さず、自身の能力を説明する。

 

「ゲームエリア内のエナジーアイテムを自由自在に操る、パズルゲームだ。ゲームエリア内のエナジーアイテムを統一することが出来る」

 

自分の体をクルリと回して能力を発動し、様々な入れ物に収められたエナジーアイテムが全て露呈する。

 

更に、パラドが腕を動かすと全てのエナジーアイテムが動き出す。

 

「エナジーアイテムを、組み合わせて使えるのさ」

 

《伸縮化!》

《ジャンプ強化!》

 

二枚のエナジーアイテムを同時に使い、強化されたジャンプ力で高く飛び、ガシャットギアデュアルを取り出してダイヤルを回しホルダーに再びセットする。

 

《デュアルガシャット!》

《パーフェクトクリティカルコンボ!!》

 

音声の後、上空から両脚を伸ばしてキックを叩き込んだ!狙いは、折紙と狂三!

 

二人はすぐに動こうとしたが、伸びるスピードがかなり早く、全員の対処が間に合わず直撃してしまう。

 

その威力は凄まじい。レベル5と50・・・十倍のレベル差は絶望的だ。二人は一撃で倒され、変身解除してしまう。

 

壁に激突し、倒れる二人。皆がが駆け寄り介抱する。

 

「ハハ・・・・・・ハハハハハハハハハ!レベルの差が大きいとこんな簡単なのか。つまんなくなりそうだ、ハハハハハハ!」

 

「・・・・・・パラドォ!!」

 

士道は怒りの声を上げるが、パラドは平然としたままギアデュアルのハンドルを回す。

 

「もっと・・・・・・もっと遊ぼうぜ!」

 

《KNOCK OUT FIGHTER!》

《The strongest fist!“Round 1” Rock & Fire!》

 

「第二変身!」

 

《Dual Up!》

《Explosion Hit! KNOCK OUT FIGHTER!!》

 

ガシャットのダイヤルを左に回して「ノックアウトファイター」を選択して、仮面ライダーパラドクス・ファイターゲーマー・レベル50に変身した!

 

「遊ぼうぜ!!」

 

肩のショルダーが腕に移動、「マテリアライズスマッシャー」として両腕に装着し接近戦を仕掛ける。

 

士道と栞が交戦するが、二人掛かりでもまるで敵わない。レベル差は勿論、今のパラドは接近戦闘能力が大きく強化されている。

 

「十香さん、行って!」

「・・・わかった!」

 

「行くぞ夕弦!」

「了解、えいやー!」

 

十香と耶倶矢と夕弦が動く!

 

耶倶矢と夕弦が颶風騎士を使い、竜巻の矢を放つ。更に、十香は八枚姉妹と反対方向に移動しパラドを挟み撃ちするようにする。

 

鏖殺公をパラドに振り下ろす。パラドは両腕で受け止めるが、ガラ空きになった胴体に、士道と栞がキメワザを放つ!

 

《ガシャット!キメワザ!》

《DRAGO KNIGHT!CRITICAL STRIKE!!》

 

エネルギーを一点集中させてそれを同時に叩き込む。モロにキメワザを受けて吹き飛び、倒れるパラドクス。

 

だが、パラドクスにはたいしたダメージになっておらず、すぐに立ち上がってしまう。

 

「いいな、楽しいって気持ちが膨れ上がって・・・もっともっと味わいたい!!」

 

《高速化!》

 

そんなパラドの心境に連動するように、両腕から炎が湧き上がる。更に、すぐ隣にあった高速化のエナジーアイテムを取り、高速移動で士道以外の皆を拳で倒してしまう。

 

女子達の変身が解けて倒れてしまう。体にも痛みがありすぐには動けない。

 

「てめぇ!よくも皆を!!」

「本気でゲームするなら、お前を怒らせるのが一番だからな!」

 

《ゲキトツロボッツ!》

「第三変身っ!!」

 

士道は怒りの感情のまま、ロボットアクションゲーマー・レベル3になる。

 

ダブルアクションゲーマーではないのは、左腕の強化アームの威力はレベル50にも匹敵する力がある。

 

それを知っている士道は、ゲキトツロボッツを使ったのだ。すると、パラドに狂三が瓦礫を投げた。

 

それは仮面ライダーとしての装甲の前には意味を成さなかったが、パラドの注意は狂三に向いた。

 

「ん?」

「・・・・・・・・・キヒヒヒヒヒ!!レベル50だからといって、調子に乗らないで欲しいですわ!!」

 

立ち上がった狂三は霊装を纏い、己の天使を顕現させた。

 

 

 

刻々帝(ザフキエル)!!」

 

その瞬間、狂三の背後の影から、ゆっくりと巨大な時計が姿を現す。

 

狂三の身の丈の倍はあるほどの巨大な文字盤。その中央にある針は、それぞれ細緻な装飾が施された古式の歩兵銃と短銃。

 

「・・・・・・これが、狂三の天使!?」

 

士道達が驚く中、狂三は巨大な文字盤から短針に当たる銃が外れて、狂三の手に収まる。

 

「刻々帝、【四の弾(ダレッド)】!」

 

 

狂三がそう唱えると、時計に刻まれた『Ⅳ』の数字から、影のようなものが漏れ一瞬の内に、狂三の握る短銃の銃口に吸い込まれた。

 

時計の数字から影が漏れ出た瞬間、狂三の左目の時計が、恐ろしい速さで正方向に回った気がしたからだ。

 

狂三は、左手に持った銃の銃口を、自分の顎に押し当てて躊躇うことなく引き金を引いた。

 

 

ドン!と、銃声が鳴り響くと共に狂三の頭がグワン、と揺れる。

 

だが狂三が銃で自らを撃った瞬間、傷だらけの体が綺麗になり、まるで何事もなかったかのように綺麗に復元された。

 

「すげぇな、おい!何したんだよ」

「時間を戻した・・・それだけですわ」

 

「ハハハ!精霊って凄いな!じゃあ士道と一緒に楽しませてくれ!」

 

「士道さん!サポートしますわ、攻めて!」

「頼む!」

 

士道が走る!狂三も天使の力を使う。

 

 

「刻々帝、【一の弾(アレフ)】!」

 

すると先程のように文字盤の『Ⅰ』の部分から影が染みだし、狂三の握る短銃に吸い込まれ、そしてまたその銃口を自分の顎に当てて引き金を引く。

 

その瞬間、その場から狂三の姿が掻き消え、それと同時にパラドが横に吹き飛ぶ。

 

一の弾(アレフ)のの能力は、時を加速させる事による加速能力。加速して霊装のブーツを纏った足で蹴ったのだ。

 

吹っ飛んだ先にいた士道が左腕で全力でぶん殴る!

流石に、レベル50に匹敵する左腕の強化アームで殴られ、パラドにもダメージが入った。

 

更に、一度の攻撃ではなく何度も追撃をかけて何度も殴る!学園の皆を巻き込み、十香達を傷付けた怒りを込めて!!

 

「刻々帝、【七の弾(ザイン)】!」

 

文字盤の『Ⅶ』から染みだした影が、狂三の銃に吸い込まれ銃弾をパラドに向けて放つ。

 

銃弾がパラドに当たると、パラドの動きが完全に停止した。

 

「時間を止めて動けなくしましたわ、士道さん!」

「ナイスだ狂三!」

 

狂三に礼を言い、士道は止まっているパラドに連続パンチを叩き込む!

 

止まっている時間の許す限り、士道は先程のように左腕で殴り続ける。

 

効果が解けてダメージが纏めて入り、更に吹っ飛ぶ!屋上の床に激突し、倒れるパラド。しかし、それでも立ち上がる。

 

「・・・士道、俺は今、心が踊ってるんだよ!それが嬉しいんだ!」

 

本当に嬉しそうに、喜々を一切隠さない。そしてギアデュアルを取り外してダイヤルを回してキメワザを発動する。

 

「狂三、下がってろ!」

 

士道は狂三を下がらせ、すぐ近くにあったマッスル化のエナジーアイテムを取る。

 

それからゲキトツロボッツガシャットをスロットに入れて、キメワザを発動する。

 

 

《ノックアウトクリティカルスマッシュ!!》

《GEKITOTU!CRITICAL STRIKE!!》

 

パラドは右拳に炎を纏わせて強烈なパンチを放つ。士道も左腕のスマッシャーに集中して、パラドに殴りかかる。

 

士道の左拳とパラドの右拳が激突する。その衝撃とエネルギーがぶつかり合い、激しく光る。

 

 

 

 

 

勝ったのはパラドであった。パラドの拳が士道のスマッシャーを破壊し、そのまま倒してしまう。

 

自動で変身が解けるが・・・士道の左手は赤く腫れ上がっていた。炎が癒やすが、少し時間が掛かっている。

 

「痛・・・ッデェェェ・・・!」

 

左手の痛みで倒れたまま呻く士道に、少女達が駆け寄る。そんな士道達にパラドは歩み寄る・・・拳を燃やしたまま。

 

「もっと、俺の心を・・・踊らせてくれよ・・・・・・!!」

 

皆が士道を庇うように立ち、構える十香達。しかし、その実力差は歴然。

 

例え刺し違えてでも・・・・・・そんな考えが過ぎった。皆が覚悟を決めたその時。

 

 

空が赤く染まった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

その時、上空から凄まじい霊波反応が検出。赤く染まった空から現れたのは、一人の少女。

 

濃密な焔を纏い、白い着物のような和装に、天女の羽衣と言わんばかりに絡みついた炎の帯。そして、側頭部にある二つの角があり、そして黒いリボンに赤い髪を持つ・・・。

 

 

「・・・士道、少しの間・・・力を返してもらうわよ」

「琴里・・・・・・!?」

 

精霊化した琴里であった。天使を構え、パラドを睨みながら・・・。

 

 

「さぁ・・・・・・私達のデート(戦争)を始めましょう」

 

戦いの宣言をした。




次回から第五章、琴里の話になります。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。