EX-AID・A・LIVE ~SPIRITS LOVERS~   作:エルミン

42 / 54
早めに更新できました。キリの良いところまでなので短めです。



第六話 突然のEmergency!

士道と狂三のデートから三日後。

 

士道が授業を受けている時間帯で、『KEEP OUT!』と書かれたテープを貼られた工事現場に、琴里はある人物から呼び出しを受けて、そこへと足を運んでいた。

 

「・・・・・・確かここのはずよね」

 

琴里が階段を降りていくと、士道と同じ青い髪を持ち、ポニーテールの小柄な少女・・・真那が、瓦礫の上に座っていた。

 

「来やがりましたか」

 

「あなた、どうして・・・って聞くのは違うか。あなた、以前のバグスターとの戦いでついて来たもんね。そして私達の事を調べたって感じかしら」

 

琴里の言葉を聞いて、真那は真剣な表情になって言う。

 

「えぇ、調べましたよ。なぜ兄様をラタトスク機関のような精霊の懐柔を目論む狂った組織に加入させてやがるのですか?」

 

「アンタが所属するDEMインダストリーのような悪徳企業に狂った組織呼ばわりされるなんて、ラタトスクも落ちたものね」

 

「!?」

 

琴里が言い放った言葉に真那は驚いた。真那がDEMインダストリーの所属だと言うことを看破されたことに真那は動揺を隠せなかった。

 

「私達を舐めないでもらえるかしら?それ位はわかるわよ」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

琴里の言葉に真那は何も言えなくなった。しかし、真那にはどうしても否定しなければいけないことがあった。

 

「兄様のことは置いておきますが、DEMインダストリーを悪徳企業呼ばわりをするのは、ちょっと聞き捨てならねえですね。

 

あそこは記憶を無くした真那を救ってくれた恩のある所でいやがります。あなたが悪徳企業呼ばわりする権利はねえのでやがりますよ?」

 

真那の言葉に琴里の眉がピクリと動く。その時、琴里は真那について分からないことが、今の一言で全てが一本の線で繋がり始めていた。

 

 

「まさか、記憶は消去されて・・・・・・」

 

「・・・・・・?言いたいことがあるならはっきりと言いやがったらどうなのですか?」

 

真那は核心的なことを述べて戦慄を始めた琴里を見て、怪訝に思っていた。琴里は足を進めて真那の両肩を掴む。

 

「あなたさえ良ければ、ラタトスクに来ない?朝昼晩の三食と暖かい寝床を用意するわよ?」

 

「はあ!?急に何を言ってやがるのですか!?」

 

琴里のいきなりの勧誘攻撃に、真那は驚いた。琴里は真那に指をさし、ラタトスクに加わった際の特典を説明する。

 

「あなたのような強力な人材は大歓迎よ。今なら追加で、士道と一緒に過ごす時間も作れるようにするわ」

 

「真那はDEMを辞めて、今日からラタトスクにお世話になりやがります!!」

 

「・・・・・・・・・え〜〜〜・・・・・・・・・」

 

琴里の提示した条件に、一瞬のうちに真那は琴里の条件を喜んで呑んだ。

 

呆気ないほど簡単に勧誘できた琴里は完全に呆気にとられていたが、真那が更に話を続ける。

 

 

「ですが、もう一つ感心しねー事がありやがりますよ。

 

仮面ライダーというのになってゲーム病患者の為に戦っているのに、精霊の懐柔・・・説得?という更なる負担を増やしやがって・・・ですよ」

 

その言葉に、十香を救った時の士道とグラファイトの戦いの記憶が蘇り、思わず感情的になって叫んでしまう。

 

 

「その事なら四月に士道が仮面ライダーになっている事を知った時、死ぬ程悩んだわよ!

 

ボロボロになりながらも、精霊の為、ゲーム病患者の為に戦う士道を見た時の気持ちがわかる!?

 

・・・全身傷だらけで、血だらけで、それでも助けたい人達の為にって・・・ヒクッ・・・おにーちゃぁん・・・」

 

「ご、ごめんなさい!謝りますから泣かねーで下さいよ!ほらハンカチですよ!」

 

十香や四糸乃を救った時のボロボロな士道の姿が今でも脳に焼き付いており、その事を思い出して泣いてしまう。

 

真那が謝りながらハンカチで涙を拭いてあげる。

 

「・・・・・・兄様は誰かに強制されたのではなく、自分の意思で戦うって決めやがったんですね。なら、応援するしかねーですね・・・」

 

「グスッ・・・うん・・・」

すると、琴里の端末に神無月から通信が入る。

 

「か、神無月・・・一体どうかしたの?」

 

『司令、来禅高校にバグスターウィルスが出現しました!赤と青の二種類で数も多いです!』

 

「なんですって!?」

 

どうやら真那にも聞こえていたらしく、二人は目を見合わせていた。

 

「私は来禅高校に向かいます。兄様に危険が迫ってやがります!兄様の救出は私にお任せ下さい!」

 

「ええ、お願いするわ!」

 

琴里は真那にも協力を要請し、真那は了承して来禅高校に向かうことになった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

少し前。全ての授業が終わったと伝える終了の鐘が鳴り響く。士道は窓を見つめてボソッと呟く。

 

「今日も平和ですよっと・・・」

あれから、バグスターも新しい精霊も出現せず、平和である。

 

「でも、俺の件はわからないままだよなぁ」

「ごめんね士道、すぐにわからなくて・・・CRでも調べてるけど何もわからないって」

 

「良いって、急がなくても」

「でも、気になるよね。士道君は変身の条件を満たしてないのに変身できるっていうのは」

 

「俺だけ特別っていうのは・・・何かあるんだろうなぁ」

 

狂三とのデートの時に聞いた、適合手術の件は、色々調べているが何もわからないままである。

 

すると、帰り支度を済ませた十香が士道に声をかける。

 

「シドー、どうしたのだ?」

「ん?いや、適合手術の件だけど」

 

十香達精霊組には、士道の適合手術の件は既に伝えているが、皆士道の力になると言ってくれたのだ。

 

「まだわからぬのか・・・だが、調べてくれている者達を信じて待つしかないのではないか?」

「そうだな・・・」

 

そこまで言ったその時、廊下から悲鳴が聞こえた!士道達が廊下に出ると、バグスターウィルスがいた!

 

青いパズルがいくつも付いているようなプロテクターを着ているバグスターウィルスと、赤いボクサーのような格好をしたバグスターウィルスが複数体おり、暴れていた。

 

 

「校内に出てきやがった・・・!?」

「シドー!」

 

「わかってる、襲われてる生徒達を助けるぞ!」

「「了解!」」

 

すぐに八舞姉妹と狂三も合流。皆でバグスターウィルス達を倒すべく奮闘する。

 

「キヒヒヒヒ!さぁ、始めますわよ!」

「クハハ、我等の学び舎まで現れるとは・・・制裁が必要だな!」

「戦闘。ウィルスは駆除します」

 

仮面ライダーに変身する四人は、変身せずガシャットからガシャコンウェポンを出して戦う。

 

十香と耶倶矢と夕弦は、限定霊装を展開しなくても格闘戦だけで十分戦えた。

 

襲われていた生徒を助け逃しながら、倒していく。

 

すると、一体のバグスターウィルスが士道の肩を叩いた直後、校内の階段を駆け上がっていく。まるで、士道を案内しているかのように。

 

「皆、俺はあいつを追いかける。この場は頼む!」

「わかったぞ、気をつけるのだシドー!」

 

十香の言葉を聞き、士道は屋上を目指して全力で走る。そして屋上に続く扉の前に立っていたバグスターウィルスを一撃で倒し、扉を開ける。

 

屋上の扉を抜けた先、そこにいたのは・・・・・・。

 

 

「よぉ、士道」

「パラド・・・・・・!」

 

以前出会ったバグスターの一人、パラドだった。

 




次回予告

遂にパラドが戦う。黎斗から渡されたガシャットの力を使って。まさに、子供のように無邪気な・・・敵。

第七話 打倒SのParadox

「遊ぼうぜ!」


ーーーーーーーーーー


次回で、第四章は終わります。また、遂にパラドが変身します。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。