EX-AID・A・LIVE ~SPIRITS LOVERS~   作:エルミン

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お待たせいたしました!短いですが、投稿いたします。

ある程度、話の書き溜めしていたりで遅くなりました。



第SP話 狂三のエピソードZERO・3

「くーちゃん!一緒にお出かけするのです!」

「お出かけ・・・ですの?」

 

時崎 狂三と風鳴 薫が出会ってから二日後。天宮総合病院の敷地内にあるベンチに二人は並んで座っていた。

 

ちょっとした世間話をしていたら、薫から遊びに行く話を切り出されたのだ。

 

「次のお休みの日に、一緒にお出かけなのです!お洋服見たりスイーツ食べたりしたいのです!」

 

「・・・すみませんが、わたくしは・・・」

断ろうとした途端、薫はショックを受けて顔面蒼白になり・・・。

 

 

「ヴェアァァァァァァァァァァァ!!くーちゃんに断られたあぁぁぁぁ!!」

 

奇声を上げて倒れた。

 

「イメージCVネタは、お止めなさい!」

「メタアァァァァァァァァァァァァ!」

 

またもや奇声。薫の喉は大丈夫なのか?と思いながらも、このままだと奇声続きになるのでは?という不安から渋々ながらも了承することにした。

 

「・・・・・・はぁ、わかりました。ご一緒いたしますわ」

「よっしゃあ!約束なのですよ!」

 

瞬間、元気に跳ね起きる薫。狂三はもう一度、小さなため息を吐いた。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

休みの日当日。狂三は黒い私服を着て待ち合わせ場所に来た。すると、既に薫が来て待っていた。

 

白いワンピースに薄い上着を着ている姿で、幼い印象の多い薫によく似合っている。

 

「風鳴さん」

「あ、くーちゃん!」

 

薫が狂三に駆け寄る。

 

「お待たせいたしましたわ」

「大丈夫なのです!それにしても・・・くーちゃんの今日の服装はとっても似合ってるのです」

 

「ありがとうございますわ。風鳴さんも中々お似合いですわ・・・・・・どうしましたの?」

 

薫の服装を誉めたが、薫は不機嫌そうにぷくーとほっぺを膨らませている。

 

「くーちゃん、私達は一緒にバグスターと戦う仲間でお友達なのですよ?だから、私の事は薫って呼んでほしいのです」

 

「それは・・・」

「呼んでくれないなら・・・・・・チューしちゃうのですよ?」

 

「はぁ!?風鳴さん何を言って」

「ん!」

 

また名字で呼んだ狂三に、薫は勢いよく顔を近づけて唇の前で寸止めをした。

 

狂三は少し気圧されながらも、観念して呼び方を変えた。

 

「・・・わかりましたわ、薫さん」

「・・・!やったーーー!」

 

ようやく名前で呼んでもらえて、喜びはしゃぐ薫。狂三は呆れながらも、悪い気はしていなかった。

 

薫は喜びのまま、狂三と手を握って走り出す。

 

「薫さん!?」

「ノリノリで行っちゃうのです!」

 

こうして、二人のデートは始まった。

 

 

デートといっても、女の子同士のお出かけな感じだった。

 

新作スイーツを堪能したり。

 

「さぁさぁ、くーちゃん。あーんなのですよ♪」

「・・・あーん」

 

洋服を見て回ったり。

 

「薫さんなら、こちらの方がよろしいのでは?」

「はぅ!可愛いのですけど・・・」

 

「ですけど?」

「予算オーバー・・・」

「あー・・・」

 

その後に、薫のペースに巻き込まれっぱなしなのは癪だから、という理由で薫を下着コーナーに連れていき、逆に翻弄していく。

 

「薫さん。淑女たるもの、こういう下着も着こなさないといけませんわ」

「わ、わぁぁ・・・すごいのです・・・」

 

「ふふ、他にはこういうのも・・・」

「わ、わぁぁ・・・もっとすごいのです・・・」

 

顔を赤くして、普段と違い大人しくなった薫を見て、してやったりな笑みを浮かべた狂三だった。

 

そんな感じで二人のデートは順調に進んでいった。

 

 

 

夕方、デートを終えた二人は並んで帰路を歩いていた。

 

「くーちゃん、今日はありがとうなのです!とっても楽しかったのですよ」

 

「そうですか・・・それは良かったですわ」

 

「くーちゃんも、今日は楽しんでくれたのですか?」

「・・・・・・そうですわね」

 

狂三は今日の事を思い返す。一緒に色んな店を見て回って、薫に振り回されて時にこっちが振り回して。

 

そんな普通の女の子のように日常を楽しむ事は、自分が精霊になってしまった時からどれくらいぶりだろうか?

 

「・・・・・・えぇ、わたくしも楽しめましたわ」

「良かったのです!」

 

本当に嬉しそうに笑う薫。

 

 

 

その瞬間、狂三には一瞬だけだが過去に失ってしまった大切な親友の姿が、薫に重なったように見えた。

 

 

 

「・・・・・・」

 

それは本当に一瞬だったが、狂三は忘れかけていた暖かいものが心に満ちていく事をハッキリと感じた。

 

「薫さん」

「はい?」

 

「もし・・・・・・時間が出来たら、また一緒にお出かけするのも悪くないかもしれませんわね」

 

「・・・・・・!はい、もちろんなのです!また一緒にお出かけしたいのです!」

 

本当に嬉しそうな、心からの笑顔になる薫。そんな薫を見て、狂三も自然と笑顔になっていた。

 

そんな二人を、夕日が優しく照らしていた・・・。

 




次回予告

バグスターとの戦いで、狂三と薫は初めてコンビで戦うことになった。


第SP話 狂三のエピソードZERO・4


「派手に撃ちますわよ!」


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