EX-AID・A・LIVE ~SPIRITS LOVERS~ 作:エルミン
章のタイトルが"狂三トリックスター"となっていますが、狂三が士道達と本格的に関わることで、物語がこれまでよりも動き出すので、トリックスターにしました。
ご了承いただけると幸いです。
第一話 第四精霊・Nightmare
士道達が温泉を堪能した日から少し経った後。
仮面ライダースナイプとして士道達と一緒に戦った時崎 狂三が、転校生として士道のクラスに入ったのだ。
「時崎 狂三と申します。よろしくお願いいたしますわ」
自己紹介も優雅な雰囲気を醸し出しており、見ている者を魅了する。
自己紹介が終わり、一時限目が終わってからも質問攻めにあいながらも全てに的確に対応。ますます注目を受けることになる。
お昼休み。士道、十香、栞、折紙、耶倶矢、夕弦が狂三と一緒に屋上まで来ていた。
耶倶矢と夕弦は、士道達の隣のクラスに転入生として入った。姉妹二人で楽しく学園生活を謳歌している。
「ここなら落ち着いて話せるだろう。しかし凄い人気だな」
「嬉しいです。しかし、やはりこのメンバーが落ち着きますわ」
「確かに、それに四人の仮面ライダーが集結してるもんね」
「まぁ、ゲンムを入れると五人だけど・・・流石に学校には来ないよね?」
「大丈夫だぞ栞、この学園に侵入者がいた場合は購買のおばちゃんが倒してくれると聞いたことがあるのだ!
シドー、焼きそばパンときな粉パンが食べたいぞ!」
「十香、今日は俺の手作り弁当で我慢しなさい。っていうか購買のおばちゃんにそんな噂あるのかよ!?」
すると狂三の元に、耶倶矢と夕弦が近づいて自己紹介を始める。
「そう言えば、我らはちゃんと自己紹介をしていなかったな。我は八舞 耶倶矢・・・風を司る巫女なり!耶倶矢と呼ぶことを許そう!」
「自紹、八舞 夕弦と申します。夕弦とお呼びください」
「はい。時崎 狂三ですわ・・・わたくしの事も狂三で構いませんわ」
「ところで狂三、どうしてこの来禅高校に?」
士道が訪ねると、狂三は一旦立ち上がり背を向け、歩きながら答えた。
「そうですわね・・・・・・学園生活を謳歌してみたいというのもありますが、士道さんの近くにいたいのですわ。何故なら・・・・・・」
くるり、と士道達の方を向いて・・・一つの真実を告げた。
「わたくし、精霊ですのよ」
そう言った直後、狂三の姿が黒い影に纏われ変化する。
黒とオレンジの神秘的なドレスのような服・・・霊装の
そして、髪型がツインテールになったことで左目が見えた。その左目は、金色の時計の文字盤となっていた。現在も時を刻んでいる。
驚く皆に対し、霊装のスカートの端をつまみ少し持ち上げて頭を下げることで優雅に挨拶をする。
「改めて名乗らせていただきます。わたくしの名は時崎 狂三。精霊ですのよ。
人間が付けた識別名は"ナイトメア"。そして仮面ライダースナイプですわ」
きひひと笑うが、すぐに真剣な表情になり姿勢を戻し士道を真っ直ぐに見ながら言う。
「士道さん・・・あなたは十香さん、四糸乃さん、耶倶矢さん、夕弦さんを救いました。
あなたに問います・・・・・・あなたは、わたくしが困っていたら・・・絶望して泣いていたら、そんなわたくしを救えますか?」
狂三は、士道に試すように問う。士道は狂三が精霊であったことに驚きながらも狂三の近くに立ち、言う。
「狂三、俺はまだお前の事をほとんど知らない。でも・・・わかっている事がある。
お前は仮面ライダーとして、多くのゲーム病患者を救うために戦ってきた。
猫が大好きで頭もよくて、確固たる信念を持っているってな」
「士道さん・・・・・・」
「それで・・・・・・上手く言えねぇけど、そんなお前が助けてって手を伸ばすなら、俺は必ずその手を繋いで救ってみせる」
「・・・・・・全くもう・・・・・・えぇ、わかりましたわ。士道さんはそういうお方ですものね」
狂三は少しだけ微笑むと、己の姿を元の来禅高校の制服姿に戻した。
「士道さん、わたくしは今現在進行形で困っていますの。この高校には今日初めて来たので、右も左もわからないのです。
よろしければ、放課後に校舎内を案内していただけます?」
「・・・喜んで」
狂三が差し出した手に、士道はそっと自分の手を置いて約束の証としたのであった。
ーーーーーーーーーー
同日、夕方。ASTたちは現在、模擬戦を行なっていた。
廃墟と化した都市を模擬戦のフィールドとして、ASTたちは来たるべく精霊との戦いに備えての模擬戦だった。
ところが、戦局は完全に一人の少女が優勢だった。
「「「きゃああああああああっ!!」」」
三人のAST隊員が、次々と空中から地面へと落下していく。
一人の少女が十人以上のASTの隊員たちを相手に無傷で圧倒していた。
陸と空から急襲してきた部隊を、対精霊用のレーザーブレード一本で次々と斬り伏せていった。
多方向から向かってくるASTを、撃墜していたのだ。
唯一立っているのは、折紙の次に優秀だった隊員一人だけ。
「強い・・・でも、諦めないですよ!」
隊員は対精霊用のレーザーブレードを引き抜き、構える。
様子を見ていた青い長い髪を一本にくくった少女が、隊員を称える。
「これだけの力の差を見せつけられて、それでも諦めようとしない姿は立派でやがりますね。さあ、かかって来やがれです!」
無双している少女の名前は、崇宮 真那。とある企業からASTに派遣されてきた魔術師のエース。
天宮市にいるとある精霊を倒すために、ここまで来たのだ。
ちなみに模擬戦が行われている理由は、真那がこの中に私を倒せる人がいるのか?と疑問を声に出したために、ASTの隊員たちがその力を確かめようとした結果である。
しかし、真那の実力はかなりのもので既に隊員の九人は地に倒れ気を失っていた。
「勝負です!」
隊員は背中のブースターを起動させ、真那へと突進する!真那はレーザーブレードを構え、相手の攻撃に備える。
真正面からの戦いでは勝負にならないことは、重々承知していた。
故に隊員は真那の攻撃範囲内入る少しだけ前に、左右の二つのスラスターをユニットから切り離し、レーザーブレードで真那を一閃した。
真那は隊員を薙ぎ払おうとするが、その斬撃に合わせて一閃をコントロールし、真那の攻撃を回避して後ろに回り込む。
隊員の一閃を防ぐと、真那の目の前には隊員が切り離した二つのスラスターが、己目掛けて飛んで来ていたのだ。
真那は咄嗟にレーザーブレードでスラスターを切り捨てる。
「これで終わりです!」
真那は二つのスラスターを弾き飛ばすことに意識を向けていたため、背中はガラ空きになっていた。
これこそが隊員が狙っていた瞬間だった。レーザーブレードの刃で、真那のガラ空きになっている背中に攻撃しようとする。しかし・・・。
「・・・なっ!?」
刃は真那の背中の前で静止しており、攻撃を防いでいた。
真那の
「戦い方は悪くねーです。ですが、私も過小評価をされたものです。さて、これでトドメでいやがりますよ」
真那が
そして一気に接近して左右に一回ずつ、最後に上から下に切り裂きトドメをさした。地面に落下していく隊員。
「・・・・・・・・・・・・ま、参りました」
地面に落下した隊員が、ギブアップを宣言。
その時、終了のブザーと共に上空のヘッドセットからの音声が鳴り響く。
『演習終了セット。崇宮真那三尉の勝利です』
その音声が、天宮駐屯基地の隊員達に現実を突きつけた。
ーーーーーーーーーー
演習終了後はASTの視聴覚室にて、新たにASTに加わる真那の簡単な自己紹介が始まる。
「崇宮 真那、階級は三尉であります。以後お見知り置きを」
真那が簡単な自己紹介を終えると、燎子が額に青筋を浮かべて真那と隊員の頭にゲンコツを下ろす。
そして、破壊した装備等がどれだけお金がかかるかを力説しながら説教。
それが終わってからようやくこれまでの精霊との戦い方を見直すため、過去の戦闘を映像を見ながら振り替えることに。
目の前で流されている映像は、四糸乃が吹雪のドームを作り、ASTの隊員たちが手をこまねいている時の映像だ。
「えっ?」
映像を見ていた真那が小さくだが、驚きの声を上げる。
吹雪のドームの中に向かって走っていく人を見て、真那は強く動揺する。
「兄様!?」
吹雪のドームに果敢に立ち向かって行ったのは、数秒だけ映っている五河 士道。
その士道を、小声で真那は兄様・・・・・・つまり兄と呼んだのだ。
士道は精霊である狂三と深く関わる事になり、更に士道を兄と呼ぶ真那も天宮市に現れた。様々な事が重なり、物語は動き出す。
次回予告
ラタトスクのサポートを受けながら、狂三の校舎案内を行う士道。その後、士道と真那が遂に出会うことに・・・?
第二話 校舎案内、後にReal sister!?
「兄様あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」