EX-AID・A・LIVE ~SPIRITS LOVERS~   作:エルミン

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ギリギリですが、今年中に投稿できました。これで三章は終了です。


第六話 皆でHot springへ!

耶倶矢と夕弦の霊力を封印し、少し経った頃。この日は休日で学校も休み。後少しで六月になるという時。

 

士道は家にいる十香、四糸乃、耶倶矢、夕弦の四人の精霊達に朝食を作っていた。

 

その四人は今、テレビの放送を見ている。今放送しているのは、衛生省から全国に放送している緊急記者会見だった。

 

 

『皆様、私は衛生省官房審議官、日向 恭太郎です。本日は重大な発表があります。

 

数日前、天宮市にて発生した大規模な感染症状事件ですが、我々は既にそのウィルスの詳細を把握しております』

 

『ウィルスの名は、バグスターウィルス。感染するとゲーム病という病気を発症してしまいます』

 

『人から人に感染するということはありません。ですが、感染すれば発熱などの症状を引き起こし、患者のストレスによって増殖を続け、最後には肉体が消滅という形で死亡してしまいます』

 

『ですが、ご安心ください。既にバグスターウィルス専門の医師が適切な処置を施し、多くの人を救ったという実績があります。

 

どうか、バグスターウィルスに関して余計なデマなどに惑わされず、適切な対応をお願いいたします』

 

どのニュースもこの放送で持ちきりである。

 

天宮市のみならず全国放送がされており、ニュース番組ではバグスターウィルスについて様々な論争が起こっている。

 

「うぅむ・・・」

そんなニュースを見ながら、十香は悩んでいた。

 

「十香さん・・・どうしたんですか?」

「悩みごとなら、よしのん様に相談してごらん?」

 

「・・・・・・シドーの事だ。シドーはずっとバグスターと戦い私達精霊を救ってくれている・・・だが、最近シドーが疲れているように見えるのだ」

 

「あ・・・・・・そう、ですね。私も、士道さんが疲れているように見えます・・・・・・」

 

「特に今は頭痛もあるようだ・・・マイティブラザーズ・・・だったか。あれは力を与える代わりに使い手を蝕む闇の装備なのか・・・?」

 

「不安。このままだと、士道が倒れてしまわないか・・・心配です」

 

士道を心から想う少女達が、何とか士道を元気に出来ないかを考えていると、ニュースが終わり次の番組が始まる。

 

それは、天宮市について色んな事を紹介する十分位の番組だ。

 

『皆さん!一週間前にリニューアルした天宮極楽温泉へ是非お越し下さい!』

 

「む?」

「温泉だって、見てみる?」

 

十香が反応し、よしのんに言われて他の皆もテレビに注目する。

 

『この温泉は、施設の真下から涌き出た天然温泉をそのまま引いています!

 

疲労回復や美容など様々な効果があり、更に混浴専用浴場もあります!

 

ただし、混浴浴場のご利用には、水着の着用が条件となっております。

 

ご持参いただくか店内でレンタルをしていただくかのどちらかとなっておりますので、ご承知ください。

 

また、混浴温泉は一時間単位で貸し切りの予約も可能です。

 

他にも、楽しくご利用いただける工夫が数多くございます!是非ともお越し下さい!』

 

 

「「「「これだ!」」」」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「温泉!?」

『あぁ・・・急に十香達が行きたいって言い出してな』

 

フラクシナス司令室で、琴里が士道からの通信を受けていた。

 

「温泉ね・・・OK、すぐに手配するわ。精霊の望みを叶えるのもラタトスクの仕事だし、精霊の自発的な行動はこちらも歓迎したいし・・・・・・」

 

『助かる』

「ちなみに、どこに行きたいって?」

『天宮極楽温泉だそうだ』

 

「あぁ、あの一週間前にリニューアルしたあそこ?参加メンバーは?」

 

『俺、十香、琴里、四糸乃、耶倶矢、夕弦、栞、折紙、美九ってところだ』

 

「え、私も!?っていうか栞と折紙と美九まで!?」

 

『十香達が三人にも連絡してな・・・美九は仕事キャンセルしてでも行くってよ。令音さんは今日用事があって行けないって聞いたけど』

 

「令音は今日、休暇を取ってるから・・・」

 

『それに・・・琴里だけ仲間外れなんて絶対にしたくない』

 

「っ!・・・そ、そう・・・・・・じゃあ、行ってあげても良いわよ」

『わかった。じゃあ頼む』

「えぇ」

 

通信を終えると、神無月 恭平が声をかける。しかし、その顔はニヤケ気味だ。

 

「温泉ですか!良いですね、司令はこちらの事は気にせず楽しんできてください」

 

「・・・・・・あんた、何か企んでない?」

 

「いえいえ、そんな・・・・・・司令以外の女性の姿を自動で排除する私特製自立カメラの数を倍にして・・・・・・。

 

司令の未成熟な果実ボディをじっくりねっとりまっとり眺めようなんて・・・・・・これっぽっちも」

 

 

 

「「タイーホ」」

「え?」

 

いつの間にか、筋骨隆々な大男二人に腕を拘束された神無月。

 

「あぁぁ司令お慈悲を!おふざけを許さない某魚雷先生のお仕置きは、ドMの私でも厳しいです!!」

 

「誰よ某魚雷先生って!?・・・・・・お仕置きするのは違うやつよ。後ろを見せてあげる」

 

「え?」

 

後ろを向くと・・・。褐色肌のラタトスク機関の制服を着た少女のような少年がいた。

 

「これから行く所はとてもいいところだ!早くこーい!」

 

「えぇぇぇぇぇ!?君は数日前に入った少女に見える少年!?」

 

 

「皆さん、僕は・・・僕はね・・・ラタトスク機関員です・・・ラタトスク機関員なんですよぉぉぉ!

 

僕は新入りです。けど、副司令と戦います。ドMな人とは、僕は誰とでも、戦います!」

 

「何も変わらない、ただ副司令やるだけの暮らしに我慢出来なくなった私が、司令を求める心を呼び覚ましたんだ!坊や!」

 

「銭湯は撮影をするところじゃないでしょーっ!」

 

「違ぁう!司令を撮る為には、撮り続けなければならんから言った!」

 

「自分勝手な言い方をするな!お前な、自重心持てよ!」

 

「オ・ノーレ!!」

 

そんなやり取りをしつつ、神無月は大男と少年に連れていかれた。

 

 

「・・・・・・お兄ちゃんと温泉、か」

 

琴里は、兄としても一人の男としても好きな士道と一緒に温泉に行くことに顔を赤くしながら、ドキドキしていた。

 

ちなみに、琴里も士道との混浴目当てであるのは言うまでもない。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

そして昼頃、皆で五河家で合流。歩いて天宮極楽温泉に到着した。その途中で、美九が笑う。

 

「えへへへへへ・・・・・・久しぶりの出番、そして皆で一緒に温泉・・・・・・ぐへへへへへ」

 

「もしもしデ○レンジャー?」

「だーりん!?私はア○エナイザーじゃないです!」

 

「もしもしジャ○パーソン?」

「琴里さん!?私は帯○コンツェルンの社員でもないですよぉ!」

 

元ネタがわかる栞と折紙は苦笑し、わからない精霊組は首を傾げている。

 

西暦2044年だが、それ以前の古い作品も、若い世代に知られているようだ。

 

 

「そんな事を話してる内に、銭湯に着いたわよ」

 

琴里の言うとおり、銭湯に着いた。お金(ラタトスク機関員から渡された全員分)を支払い、持ってきた着替えやタオルを持って最初は男女で別れて楽しむことに。

 

女湯では、若い女性達が温泉を楽しんでいる。

 

「皆さんの一糸纏わぬ姿・・・ここで皆を愛する事が、罪だとでも・・・美九ユートピアァァァァァ!」

 

「ストップザミク!」

「ひゃあぁぁぁぁぁ!?」

 

美九が暴走する前に、ラタトスクの女性機関員(サポートの為に同行)がストップをかける。

 

落ち着かせた事で、被害が及ぶことなく銭湯を楽しめるようになった。

 

「もう、ひどいですー。私はただ皆さんとスキンシップしたいだけですのに」

 

「それはわかってるけど・・・あなたやり過ぎる事があるし・・・」

「うむ・・・胸を揉まれる事もあったな・・・」

 

「あうぅ・・・」

「抱きつかれた時、何か体を触られたし・・・」

「恐怖・・・美九は肉食系です」

 

「私も、美九さんの定期検診の時色々されるし」

「待って栞ちゃん、するじゃなくてされるの!?」

 

「うん・・・」

「えー?」

 

一緒に同じ温泉に入り、美九からの被害報告から士道との恋バナに花が咲いた。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

その後、事前に話していた事としてある程度入ったらロビーで合流し、混浴温泉に入ることになっていた。

 

士道は十香達との混浴を恥ずかしくも嬉しく思うのは、やはり男ということだろう。

 

そしてレンタル浴衣姿の女性陣と合流し、混浴温泉に向かう。ちなみに、二時間の貸し切りになっていた。

 

脱衣所は別れているが、温泉は同じだ。ラタトスクが用意した水着に着替え、温泉で皆と合流。

 

琴里と美九以外の女性陣の水着姿を初めて見る士道。琴里と美九も水着を新しいものにしている為に、新鮮に映る。

 

ちなみに、琴里は昔家族でプールに行ったりした時に見ているが、美九は渡したり送ったりしてくる水着写真集を見たり、プールに誘ってくるので知っているのだ。

 

栞が士道に聞く。少し恥ずかしいのか、ほんのり顔が赤い。

 

「どう?士道・・・あなたに水着姿見せるのは初めてだけど、変な所は無いかな?」

 

「だ、大丈夫だ・・・栞も皆も、似合ってるよ」

士道に水着姿を誉められ喜ぶ皆。そして、全員で同じ温泉に入る。

 

「どうだ、シドー・・・疲れはとれてるか?まだ辛いところはないか?」

 

「あ・・・・・・もしかしてその為に?」

「うむ、シドーが元気になってくれればと思って・・・」

 

「ありがとう、皆のお蔭で元気になってきた」

「そうか!良かった・・・」

 

すると、士道の周りにいる女の子達が全員、士道にくっつくように接近する。

 

「み、皆!?」

「シドー・・・・・・ありがとう」

「え?」

 

 

「私達精霊を助けるために、一生懸命になってくれて・・・・・・本当にありがとうなのだ。シドーがいてくれるから、私は幸せなのだ!」

 

「私達が、笑顔で暮らせるのは・・・士道さんがいてくれるから・・・です」

「いなくなったら、四糸乃や皆が泣いちゃうよー?責任重大だよー?」

 

「我らを救いし偉業を成し遂げた勇者たる士道を我らは、生涯支えると誓おう!」

 

「宣誓・・・夕弦達はずっと、士道の味方です」

 

「士道、私も士道の支えになりたい。私を二回も助けてくれたあなたの側にいたいの・・・」

 

「私も・・・士道君と一緒にいたいな。あなたが許してくれる限り・・・ずっと」

 

「私もだーりんがいない世界なんて考えられない位、だーりんが大好きです!ずっとずっと一緒ですよー!」

 

「私は幼い頃からずっと一緒だったのよ?これからもサポートを続けるから、頑張んなさいよね」

 

少女達がかけてくれる暖かい言葉は、士道の心を暖めてくれた。

 

「皆・・・ありがとう」

士道のお礼の言葉に、皆が頷く。

 

士道はどんなに大変な戦いも、皆と一緒なら乗り越えられる・・・そう確信すると不思議と疲れが吹き飛んでいくのを感じた。

 

そして、時間が訪れるまで、皆で温泉を楽しんだのであった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

同時刻、天宮市上空。そこに、全身にモザイクがかかったように見える謎の存在がいた。

 

『バグスターウィルス・・・・・・やっぱり邪魔だね。でも、まだ手を出すわけにはいかない』

 

声も加工されているようにわからないようになっている。

 

『彼なら大丈夫・・・・・・そう信じたい。でも、バグスターウィルスは私の計画で最大のイレギュラー・・・・・・』

 

『何とかしないと。今の自分に出来る範囲で・・・精一杯の支援を』

 

『もう絶対に、間違えないから。もう永遠に、手放さないから。もう二度と、辛い思いなんてさせないから』

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「さて、これで準備は出来ましたわね」

 

時崎 狂三は来禅高校の女子の制服に着替えていた。ベッドの上には、来禅高校の転入書類一式が揃っていた。

 

六月に、来禅高校の生徒になるためだ。

 

 

「士道さんの事を知るには、士道さんの近くにいるのが一番ですわ」

 

きひひ、と笑いながら鏡で制服姿に変な所が無いかを確認していく。

 

「知りたいですわ・・・士道さんが二人に別れてから気になって仕方ないですわ。

 

きっと士道さんには、何か秘密があるはずです。それを知るために・・・」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「パラド、君のガシャットが完成した。持っていけ」

「やっとか!待ちくたびれたぜ」

 

パラドは笑顔で、黎斗が差し出したガシャットを受けとる。

 

「士道と遊ぶときが楽しみだ・・・心が踊るなぁ!」

「・・・・・・さて、どんなデータが取れるかな?」

 

 

様々な事が、動き出そうとしていた。




これで第三章は終了です。

次回からデアラ原作三巻の内容に入ります。

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