EX-AID・A・LIVE ~SPIRITS LOVERS~   作:エルミン

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この話で、第二章は終わります。


第八話 不死身のZombie!

黒いエグゼイド・・・仮面ライダーゲンムの正体が幻夢コーポレーション社長、檀 黎斗だと判明した。

 

黎斗との戦いの後、CRに戻った皆は剛太とエレナと恭太郎を交えて今後について話し合いを行っていた。

 

 

「あらぁん・・・まさか社長が黒幕だったなんて、気付けなかったわん・・・」

 

「えぇ・・・その事に気づけなかった事は、我々の落ち度です」

 

「私達をテストプレイヤーとして利用してたって言うけど・・・まんまと乗せられちゃってたんだね」

 

「やれやれですわ・・・あの社長の掌の上だったと考えると・・・わたくし、ゾッとしますわね」

 

「私も何となーく嫌な感じはありましたけど、流石に黒幕だということはわからなかったですねー」

 

「美九もそう思っていたのか?」

 

「そうですよ十香さん!乙女の勘は、隠し事と可愛い女の子の存在をビビッと感じ取れるのですぅ!」

 

「前者はともかく、後者は美九だけよ・・・。全く、本当に機関や精霊の事を話さなくて正解だったわ」

 

「・・・・・・確かに、一目見て黒いってわかったからね」

 

「あの、村雨先生・・・それって内面の事ですよね。まさか服装の話じゃ無いですよね?」

 

「・・・・・・・・・・・・もちろん、内面さ」

 

「四糸乃、これはヤバイよヤバイよ~。すぐにこないだのアニメで見た、ウサミミ魔法少女に変身して社長をやっつけないと!」

 

「無理だよ、よしのん・・・」

 

 

そんな話がされている間も、士道は黙ったままだった。

 

凄く面白いゲームをいくつも世に売り出した才気溢れる社長がバグスターウィルス関連の黒幕だったのだ。そのショックは大きい。

 

ここで、CRに設置した大きめのモニターに映る恭太郎が語る。

 

 

「五河指令が提供してくれた、フラクシナスが記録した映像は我々も拝見させてもらった。

 

その後すぐに省員を向かわせて調査したが、今回の件に他の社員は一切関与していない。完全に壇 黎斗が単独で動いていたようだ」

 

バグスターと手を組んではいたが、それでもこれほどの事を殆ど独力で成し遂げた辺り、やはり黎斗は油断できない。

 

「今後の幻夢コーポレーションへの対応は、我々衛生省が引き受ける。君達は引き続きゲーム病の治療及び壇 黎斗への対応を頼みたい」

 

「・・・・・・勿論です、恭太郎先生。ゲーム病の人達を救い、黎斗さんを止めます」

「士道君・・・ありがとう。我々も出来る限りのサポートをする、どうかよろしく頼む」

 

「はい!」

 

士道が強く返事をし、その場は解散となった。

 

そして翌日、CRに連絡が入った。小学生の少年がゲーム病を発症して、今CRに搬送中であると。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

少年が寝かされたベッドを専用の機材に接続。大きなモニターに状態が表示される。

 

体をスキャンすると、少年からマイティアクションXのバグスターウィルス反応が表示される。

 

「ソルティ・・・」

士道は初めて仮面ライダーに変身したときに戦ったバグスター、ソルティを思い出す。

 

少し話をしていると、少年が苦しみだし目が赤く光る。そして素早く立ち上がった。

 

「フハハハハ!久しいなエグゼイド、お前を再び塩で揉んでやる!」

「まさか、ソルティ!?・・・しかも覚えてるのかよ」

 

「我々バグスターもレベルアップしたのだ。宿主の体を乗っ取って動けるようになった!」

 

少年の声とソルティの声が重なっているが、人格及び主導権はソルティ側にある。

 

「ここは狭いな。戦える場所まで移動しようではないか!」

 

そう言うと、ソルティは走り出した。士道達も慌てて追いかける。

 

少しして、着いたのは天宮総合病院の近くにある、人気の無い工場地帯。

 

そこに着いた時、少年の体から離れてソルティが現れた。バグスターユニオンではなく、いきなりソルティの姿になっている上に、帽子の色も違う。

 

「いきなり分離状態!?」

「我々バグスターも、レベルアップしているのですよ!さぁ、お前達も塩で揉んでやろう・・・前のリベンジだ!」

 

「この子供は私が保護しますね、わっせわっせ」

 

一緒に付いてきた美九が、ソルティが抜けて倒れた少年を安全な場所まで運ぶ。十香と四糸乃も少し離れた所で見守る。

 

 

「とにかく、やっちゃおう!」

 

四人はゲーマドライバーを装着し、ガシャットを構える。

 

 

《マイティアクションX!》《シャカリキスポーツ!》

 

《タドルクエスト!》《ドレミファビート!》

 

《バンバンシューティング!》《ジェットコンバット!》

 

《爆走バイク!》《ギリギリチャンバラ!》

 

「第三!」

「ステージ3!」

「第三弾」

「サード・ギア!」

 

「「「「変身!」」」」

 

四人の仮面ライダーは、それぞれのレベル3に変身した。特に士道は、昨日の黎斗との戦いで入手したシャカリキスポーツガシャットを使用。

 

エグゼイド、スポーツゲーマーレベル3となった。

 

「よっしゃ行くぜ!」

士道の掛け声と同時に、四人が動いた。

 

士道はシャカリキスポーツのタイヤを両手に持って、それをソルティに向けて投げる。

 

タイヤはブーメランのようにソルティに向かって飛んでいくが、ソルティはマントを翻すように振るう。すると、タイヤが弾き返され士道の方に飛んでいく。

 

このままだと士道がダメージを受けてしまうが、慌てること無くガシャコンブレイカーを呼び出す。

 

ハンマーのまま手に持って、跳ね返されたタイヤを打ち返した!

 

先程以上のスピードで飛んでいったタイヤは、ソルティに直撃してダメージを受け倒れた。

 

ソルティはウィルス達を召喚、ライダー達に向かわせる。

 

しかし、ウィルス達は狂三のガトリング砲と折紙の楽譜型のエネルギーが肩のスピーカーから放たれ、一網打尽にされた。

 

「こんな展開、認められませんぞ!」

「そうか?俺達にとっては嬉しい展開だぜ!」

「だぜ!」

 

栞がガシャコンスパローから矢を、士道が再びタイヤを投げる。

 

ソルティは杖で弾き、杖から塩のような白い粒子を放って全員に攻撃を仕掛ける。

 

しかし、それは四人同時に放った攻撃で打ち消された。

 

「ノォォォォォ!私だってレベルアップしたというのに、四人がかりとはいえこんなに簡単にぃぃぃ!」

 

「仮面ライダー、なめるなよ!」

 

 

《ガシャット!キメワザ!》

 

《SYAKARIKI!》《JET!》

《CRITICAL STRIKE!!》

 

《DOREMIFA!》《GIRIGIRI!》

《CRITICAL FINISH!!》

 

士道がエネルギーを最大限に溜めたタイヤを投げ、狂三がガトリング砲とミサイルを一斉に発射し。

 

折紙がガシャコンソードに音符型エネルギーを纏わせ放ち、栞がガシャコンスパローに矢を複数本生成して一斉に放った。

 

四人同時の攻撃を、ソルティは防ぐ事が出来ず喰らってしまい・・・。

 

「しょっぱーーーーーい!!」

 

そんな断末魔を上げて爆発、ソルティは倒された。

 

 

少年のウィルスは完全に消滅。美九がスコープで消滅を確認した。

 

「この子はもう大丈夫ですよぉ!」

「うむ、シドー達のお陰だな」

「はい・・・」

 

美九だけでなく、十香と四糸乃も士道達を称賛する。士道達は安心して変身を解こうとしたその時・・・。

 

 

 

「ご苦労様、CRの仮面ライダーの諸君」

 

その声と共に、一人の男がバグヴァイザーにソルティのいた場所から出た粒子・・・ソルティのデータを吸収した。

 

吸収されたデータは、バグヴァイザーの中でソルティとなったが・・・。

 

「おい!?何をする、ここから出すのだ!だs」

 

ソルティが出してくれと喚くが、男・・・壇 黎斗は無視して画面を消した。

 

 

「今のソルティはレベル5相当・・・。それを四人がかりとはいえレベル3で倒すとは、中々強くなっているじゃあないか」

 

「黎斗さん・・・・・・」

 

黎斗は最早本性を隠していない。堂々と己をさらけ出している。

 

そして、黎斗は完成した十一本目のガシャットを見せた。

 

「このガシャットは、君達を実験台にしてデータ収集したことにより完成した。君達のお陰でね・・・。

そのお礼に、君達にこのガシャットの力を見せてあげよう」

 

黎斗は黒いバックルを取り出し、それにバグヴァイザーを合体させてゲーマドライバーのようにガシャットの力を使えるドライバーにした。

 

「バグルドライバー・・・これがあればこのガシャットの力を使える」

 

黎斗はバグルドライバーを装着し、ガシャットを構え起動した。

 

 

《デンジャラスゾンビ!》

 

黒いゲームエリアが展開し、背後にタイトルが表示される。

 

デンジャラスゾンビ・・・・・・それは士道も知らないゲーム。タイトルからして、ゾンビと戦うゲームだろうか。

 

 

「グレードX(テン)、変身!」

 

《ガシャット!》

《バグルアップ!》

 

ガシャットを挿入口に入れ、隣のスイッチを押し・・・。

 

 

《デンジャー!デンジャー!(ジェノサイド!)デス・ザ・クライシス!デンジャラスゾンビ! (Woooo!)》

 

ドライバーから出現した黒い霧を纏い、同じく出現したウインドウを突き破るようにして変身。

 

骨を思わせる白と黒を基調とした左右非対称の装甲。右目が赤、左目の水色のオッドアイ。更にぎこちなく禍々しい動き。

 

いつものゲンムとはかけ離れた姿をしており、死霊とも言うべき禍々しい姿となっている。

 

十香、四糸乃、美九はその姿に恐怖を感じ震えた。

 

 

「私は・・・・・・仮面ライダーゲンム、レベルX(テン)!」

 

「レベルX(テン)・・・10!?」

「今のお前達はレベル5・・・それでは勝てない」

 

「・・・それでもやってやる!十香達は隠れてろ!・・・皆、行くぞ!」

 

《ドラゴナイトハンターZ!》

ドラゴナイトハンターZガシャットを起動、仮想ガシャットが三人に行き渡る。

 

《ファング!》

《ブレード!》

《ガン!》

《クロー!》

 

四人ともレベル5になり、四人同時にゲンムに挑んだ!

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

結論から言うと、士道達は敗北した。撤退を余儀なくされる程であった。

 

レベルX(テン)となったゲンムはそれほどの強さと、特異な能力を持っていた。

 

 

四人は最初から全力で戦った。ゲンムに対して、全力で攻撃を仕掛ける。

 

しかし、ゲンムはそれを全く避けなかった。その攻撃を全て受けた。

 

しかし、その攻撃はゲンムに効いていなかった。

攻撃を受けても即座に黒い霧のようなものを纏いながら回復するように立ち上がった。

 

何度攻撃しても同じで、ゲンムは何事も無かったかのように士道達を徒手空拳で攻撃していく。

 

しかも、攻撃される度に士道達は自分達が弱くなっていく事を自覚していく。

 

「さっきからおかしい・・・どんどん力が出せなくなっていく・・・」

 

「それに、ダメージを受けてる様子もない・・・」

「いいだろう・・・教えてやる。私の胸元のライダーゲージを見てみろ」

 

「・・・・・・ゼロのまま!?」

 

胸のライダーゲージは初めから0になっており、死のデータを取るためにバグヴァイザーを突き刺した穴やカバーに入ったヒビもそのまま付いている。

 

「そうだ。ゾンビゲーマーの能力は、"不死"。どんなに攻撃を受けてもダメージを受けない。

 

ゲージが0になった瞬間の一時的に変身者への戦闘ダメージが無効化される状態が再現・維持されている。それによるものだ」

 

仮面ライダーの攻撃や必殺技が直撃しても、ダメージを受けてもすぐさま回復して無かった事にしてしまう。

 

攻撃と同時にドライバーや武器のシステムに深刻なバグを起こすプログラムを流し込むこともでき、自身の攻撃が命中するほどに戦闘能力を低下させられる。

 

更に頭部にはジャミング装置である「デッドリージャマー」も搭載されており、 ゲーマドライバーの装着者保護機能を停止させることができる。

 

以上の事を語り終えて、驚く士道達に黎斗はゆっくりと近寄る。

 

 

 

「以上の事を踏まえて、お前達に聞こう。

 

"既に死んでいる者に、どうやって死ねというんだ?"」

 

 

 

「ーーーっ!諦めるかあぁぁぁぁ!!」

士道は感じた恐怖に飲み込まれないように、叫び立ち上がる。皆も立ち上がり、ガシャットをスロットに入れる。

 

《ガシャット!キメワザ!》

《DRAGO KNIGHT!CRITICAL STRIKE!!》

 

四人が付けているパーツにエネルギーが溜まり、それを同時に放った!

 

それも黎斗はノーガードで受けるが、それもあっという間に回復して無かった事になってしまい、平然と歩いてくる。

 

どんな攻撃を受けても全く意味をなさない状態、その性能に皆が絶句していた。

 

「闇に消えるがいい・・・・・・」

 

黎斗は止めを差すべく、バグルドライバーのABボタンを同時に押して、Aボタンを押して必殺技を発動する。

 

《CRITICAL END!》

 

 

電子音声の直後、上空に飛び上がった後、高速で空中前転しながら回転蹴りを叩き込む!

 

皆はすぐに行動に移る。

全員が地面に対して攻撃して噴煙を作り、即座に撤退。

 

十香達も患者の少年を抱えてすぐに逃げ出し、全員が黎斗の必殺技を受ける前に逃げることに成功した。

 

黎斗相手に完全に"敗走"という事になったが、何とか犠牲者を出さずに済んだ。

 

「逃げたか・・・・・・まぁいい」

 

黎斗は呟き、その場を後にした。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

CRにて、状況の報告を済ませたが、重苦しい空気となっていた。

 

黎斗はレベルアップした上に不死の能力を得た仮面ライダーとなっていたのだ。

その黎斗に逃げることしか出来なかったのだから、皆は黎斗に完全に敗北したも同然だった。

 

 

「・・・・・・壇社長は相当厄介な力を得てしまった。今後の対応については慎重に行わないといけない」

 

「審議官の仰る通りだわん。ただ闇雲に戦うだけでは、どうやっても勝てないわ・・・」

 

「・・・俺は黎斗さんと戦い続けます」

「士道君・・・?」

 

皆の視線が士道に集中する。

 

「いくらとんでもない能力を得たからといって、俺達よりも強いからといって、黎斗さんの野望を止めない理由や言い訳にはなりません。

 

だから、これからも戦います。黎斗さんの野望を阻止するために、バグスターウィルスで苦しむ人達を助けるために」

 

 

士道は諦めていなかった。黎斗を止めることを・・・どんなに強くなっていても、士道は諦めない。

 

剛汰とエレナと宗次郎は、士道の意思の強さを尊重し頷いた。

 

そして少女達は、士道の真剣で力強い表情と意思に、顔を赤くして見惚れていた。

 

 

その後、皆で対策を話し合ったが、現状では良い方法が見つからなかった。

 

だが、士道のお陰で絶望的な雰囲気は無くなり皆に黎斗と戦う意思が強くなった。

 

黎斗は新たな力を得た。しかし、皆は諦めない。ゲーム病患者を救い、黎斗の野望を阻止する・・・その決意を改めて固めたのだった。

 




エグゼイド本編と違い、誰も消えませんでした。レーザーの生存です。

次回は第三章であり、デアラ原作二巻と三巻の間の物語になり、エグゼイド本編の十三話と十四話に相当します。

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