EX-AID・A・LIVE ~SPIRITS LOVERS~ 作:エルミン
時崎 狂三が、ゲーマドライバーとプロトバンバンシューティングガシャットを手に入れて数日。
狂三はその間に一人のゲーム病患者の治療の為に、感染者から出現したバグスターユニオンと戦おうとしていた。
狂三はゲーマドライバーを装着し、プロトバンバンシューティングを銃のように持って、人差し指でスイッチを押す。
《バンバンシューティング!》
モノクロのタイトルが表示され、ゲームエリアが展開。エナジーアイテムを収納したドラム缶も複数個現れた。
狂三はガシャットを銃を回すように器用にクルクルと回し、回転を止めて構える。
そして、ゲーマドライバーにガシャットを入れた。
「変身」
《ガシャット!レッツゲーム! メッチャゲーム! ムッチャゲーム! ワッチャネーム!?》
《アイム ア カメンライダー!!》
全身がモノクロの、仮面ライダースナイプ・レベル1に変身した。
《ガシャコンマグナム!》
ガシャコンマグナムを持ち、銃口をバグスターユニオンに向ける。
「ミッションスタート!」
狂三がエネルギー弾を放つ。それは全弾命中してバグスターユニオンにダメージを与えたが、バグスターユニオンは狂三に突進攻撃を繰り出す。
突進を横に飛んでかわし、レベル1特有の身軽さを駆使して翻弄。
狙いの定まらないバグスターユニオンに隙を見てエネルギー弾を撃ち、ダメージが蓄積したのを見計らい、一旦止まって体を高速回転させる。
すると、弾丸型のエネルギーを纏った状態になり敵に突撃。その強力な攻撃によってバグスターユニオンは爆発、倒された。
同時に、患者の体からもバグスターウィルスの消滅がCRでも確認された。
バグスターユニオンが倒された事を確認して、狂三はガシャットを抜いて変身を解いた。直後・・・。
「くっ・・・!?」
狂三は突然苦しむように呻き、膝を付いてしまう。
これは、プロトガシャットを使用した"副作用"だ。プロトガシャットの力は強いが、体に負担が掛かる。
「体に負担が掛かるとは聞いていましたし、覚悟もしていましたが・・・・・・これほどとは」
体に掛かる負担が予想よりも大きく、狂三は少しの間動けなかった。
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その後、ようやく動けるようになった狂三はCRによって報告と患者の見送りを済ませ、外に出てから誰もいない所で立ち止まる。
すると、精霊の能力で生み出した分身態と合流。以前依頼した黎斗についての報告を受けた。
「わたくし、どうでしたの?」
「見張りを始めて数日。檀社長には怪しい所は全くありませんでしたわ。普通に仕事をしていましたわよ」
「・・・・・・そうですか。では、引き続き監視の続行を」
「かしこまりましたわ」
狂三の分身態は一礼し、去っていく。その後で、狂三は幻夢コーポレーションに立ち寄り、黎斗と直接話していた。
「時崎さん。仮面ライダーに変身しての戦闘はいかがだったかな?」
「やっぱり、体に掛かる負担が問題ですわね。何とかなりませんの?」
「申し訳ない。今の技術ではそれが精一杯なのだが、もっと研究して技術も向上すれば、体に負担なく使えるガシャット・・・正規版を開発したいと考えているんだ」
「なら、その為にもっと変身してデータを寄越せ・・・と。まぁ、以前言った通りギブアンドテイクですわね」
「副作用については、今後調整をして少しでも減らしたいと考えている。
少しでも長く使ってもらいたいし、そうすればもっと多くのデータを得られる。確かに、ギブアンドテイクだね」
「そうですね。まぁ、負担が減るならありがたいですわ、是非お願いしますわね」
「承知した」
一礼して部屋を出る狂三。黎斗はパソコンに送られている戦闘データに目をやる。そして、プロトガシャットを調整する準備を始めた。
狂三を利用しているとはいえ、長く使ってもらいデータを多く得たいというのは、嘘偽り無い本音であるからだ。
すると、社員の者がやって来て、例の人物が来たと告げる。黎斗はすぐに通すように伝えると、その人物が入ってきた。
黎斗は笑顔で迎え入れた。
「ようこそ、新しい適合者。君を歓迎するよ」
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狂三は幻夢コーポレーションの屋上で風に当たっていた。
「やはり、簡単には尻尾を掴ませてくれませんか・・・いえ、それともわたくしの考えすぎですの?」
黎斗の黒い部分は掴めず。まぁ、時間がかかるだろうと思い待つことにした。その時・・・。
「こんにちは~なのです♪」
「きゃっ!?」
突然、誰かが自分の腕に抱きついてきた。思わず可愛い悲鳴を上げてしまう狂三。
その人物はすぐに離れて、狂三の正面に立った。
肩までまで伸びているセミロングで赤銅色の髪は、空から降り注ぐ太陽の光を浴びてキラキラと輝いている。着ている服は、白いTシャツに赤いフレアスカート。
「初めまして!あなたが檀社長が言っていた適合者の人?とっても可愛いのです!」
「・・・まさか、あなたも?」
「はいなのです!新しく適合者になった
ビシッと敬礼していながら、満面の笑顔で挨拶をするこの少女・・・風鳴 薫。薫こそ、狂三に続く二人目の適合者だ。
薫はゲーマドライバーとプロトガシャットを取り出して見せた。
バイクレースゲームの、プロト爆走バイクガシャットだ。
「そうでしたの・・・わたくしは時崎 狂三と申しますわ。スナイプという銃撃の仮面ライダーですわ」
「はいなのです!」
薫が握手を求めて手を差し出す。狂三もそれに応じた。それから。
「それでですね、私には妹の栞っていう子がいるんですけど、これが本当に可愛いのです!あの子の笑顔だけでご飯が進むのです!」
「はぁ・・・」
薫と狂三の会話となったのだが、薫が一方的に話しており、狂三は相槌を打つだけであった。
薫の勢いに飲まれ、全く対応出来ないからなのだが、薫についてはある程度把握できた。
薫は日本の国防を担う「風鳴一族」の一人である。
自分の信念から、医者になるために医療の大学に通う大学一年生である事。妹が大好きである事。好きなものはバイクとスイーツ・・・等々の話を。
(こういう人は、少し苦手ですわ・・・)
薫のような人物と接するのは少し苦手なのだが、話が終わるまで離れられなさそうなので、相槌を打っていた。
「それで、時崎さん・・・いいえ、これからは"くーちゃん"と呼んで良いですか?」
「はぁ・・・・・・はぁ!?くーちゃん!?」
「だって、名字だとちょっと呼びづらいですし。これからは一緒に戦うパートナー同士なのですから、もっと親しくしたいのです!」
「だからって、くーちゃんは・・・!しかもパートナーって決定事項ですの!?」
「えへへ~。一緒に戦うパートナーが、くーちゃんみたいな可愛くて綺麗な子で嬉しいのです♪」
「・・・・・・」
薫は満面の笑顔で、本当に嬉しそうに語る。
「これからが不安ですわ・・・・・・」
狂三はこれからの事に不安しか感じなかった。
しかし、この時の狂三は知らなかった。
風鳴 薫とは、狂三にとって新たな親友と呼べる程に強い絆で結ばれる事を。
次回予告
バグスターに対して、コンビで戦う事になった狂三と薫。薫は狂三と仲良くなりたいと思い、自ら歩み寄っていく。
第SP話 狂三のエピソードZERO・3
「ノリノリで行っちゃうのです!」
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薫を本格的に登場させました。シンフォギアシリーズに出てくる風鳴一族の一人でもあります。
そして、薫は医療の大学に通う大学一年生としました。
一章八話の薫についての説明も、大学生であるという説明を追記しました。