EX-AID・A・LIVE ~SPIRITS LOVERS~   作:エルミン

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前話で書いた予定より遅れてしまって、すみませんでした。

この話で原作二巻の話は終わりです。その後は、エグゼイド本編の11、12話の話を書いてから次の章に入ります。


第六話 悲しい雨からのRelease

士道達は四糸乃の守護天使、氷結傀儡(サドキエル)が張った吹雪の結界の前に来ていた。

 

士道の手には、神無月から渡されたウサギのパペット・・・よしのんが握られている。

 

 

「十香も頑張ってくれているお陰でASTはいない。絶対、無駄にはしない!」

 

十香がASTを引き付けているお陰で、吹雪のドームの周りには完全に気配は無かった。

 

「でも、これをどうやって突破するの?」

 

「ASTの装備でもこれを突破何て出来ない。仮面ライダーに変身して突入・・・というのもあるけど、たどり着く前にライダーゲージがゼロになる可能性もあるから・・・」

 

栞の疑問に折紙が答えるが、どれも解決策ではない。四糸乃の拒絶の心が作り出した吹雪の結界は、それほどの力を持っていた。

 

「それ以前に、ゲーマドライバーやガシャットが壊れるかもしれませんわ。そうなったら檀社長にどう説明するつもりですの?」

 

「「あぁ・・・」」

「やれやれですわ」

 

狂三は小さくため息を吐いたが、その間も士道は真剣な表情で吹雪の結界を見つめていた。

 

そして・・・士道は決断を下し、栞達に頭を下げた。

 

 

「皆、ごめん」

 

「士道・・・?」

 

「もう無茶しちゃいけないけど、また無茶をする」

 

「え、待って士道君、何を!?」

 

 

「皆もわかってるだろうけど、俺には青い炎による回復能力がある。それ頼みであの吹雪の中を突っ切る!」

 

その提案に驚き絶句する少女達。しかし、誰よりも先に異を唱えた人物がいた。

 

 

『ふざけないでっ!!!』

 

 

怒りに満ちた大声で怒鳴ったのは琴里だ。しかし、士道は事前にわかっていたのか、すでにインカムを耳から外して、手に持っていた。

 

琴里の声は、栞達に聞こえる程だった。

 

 

『生身で結界に入る?仮面ライダーに変身もしないで?回復力頼りで?

 

吹雪の領域は外周五メートル。その範囲内は霊力を感知されたら凍らされる!

 

外縁部にいる間は傷は治らない!途中で力尽きたら死ぬわよ!!

 

そんな事を許可出来るわけ無いでしょ!!何でわかってくれないのよ!!』

 

涙声で叫ぶ琴里。叫び終わった後も、泣き声が聞こえる。

 

「やっぱりそうか・・・。この回復能力は精霊の力なんだな」

士道は自分の回復能力に確信を持ってから、琴里に言う。

 

「琴里、聞いてくれ。確かに俺のやっている事は無茶だ。自分を傷つけてでも解決しようとしてる。

 

でもな、今出来ることをやらないといけない。そうしないと四糸乃はもちろん、グラファイトのバグスターウィルスに感染して苦しんでいる人達を助けられない」

 

『・・・・・・』

 

「今の俺は、バグスターウィルス感染者を治療して救う、医者と同じなんだ。

 

医者が苦しんでいる、助けてほしいって思ってる人を放っておけっていうのか?

 

精霊についてもそうだ。今すぐに助ける事が出来る手段があるのにそれを無視しろっていうのか?」

 

『・・・・・・それは・・・・・・』

 

「今も無茶したり皆に心配をかけてばかりいる俺が言っても、説得力が無いかもしれないけど・・・頼む」

 

『・・・・・・でも、わかるけど・・・でも・・・!』

 

琴里自身もかなり葛藤していた。士道の言うとおり、四糸乃や感染者を救うためには無茶をしないといけない時もあるだろう。

 

しかし、士道が無茶をしすぎて苦しんで傷付くのも嫌だ・・・そんな気持ちで葛藤していた

 

士道はゲーマドライバーと全てのガシャットを取り出して栞に渡した。

 

「栞、預かっててくれ」

「士道待って!」

 

渡した直後に、背を向けて全力で走り出す。栞と折紙は止めようと追いかけるが、狂三が止めた。

 

「士道さんの仰る通り、今は士道さんがあの中に入るのが得策ですわ。わたくし達に出来るのは、士道さんを信じて待つことです」

 

 

狂三が止めている間に、士道はどんどん吹雪の結界に近づく。

 

『お願い止まって!やめて・・・おにーちゃん!!』

(ごめん、琴里・・・ごめん、皆)

 

士道は心の中で謝りながら、四糸乃のいる吹雪へと入っていった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「う、ふ・・・ぇぇ・・・っ」

 

結界の中央で氷結傀儡の背にうずくまり、泣いている四糸乃の姿があった。

 

「よしのん・・・よしのん・・・っ」

 

四糸乃は涙声で、自分の支えだった存在の名前を呼んだ。しかし、誰も答えない。答えてくれない。

 

四糸乃は今、世界で一人ぼっちになっていた。

 

 

その時、聞こえない筈の別人の声が聞こえた。

 

「は・あ・い!」

 

「え・・・・・・っ!?」

 

四糸乃は驚き、声のした方を見ると、結界の中心部と外縁部の境目に自分がとてもよく知る存在・・・よしのんの姿があった。

 

そして、よしのんに続いて入ってきたのは、全身傷だらけで血だらけ、服もボロボロながらもよしのんを腕に付けている士道だった。

 

「し、士道・・・・・・さんっ!?」

 

「四糸乃、約束守りに来たぜ・・・・・・!」

 

 

四糸乃の近くまで歩いてきた士道だが、いきなり倒れ込んでしまう。

 

氷結傀儡の背から飛び降り、心配してすぐに士道のもとに駆け寄る。士道の体の傷を青い炎が消し去っていった。

 

「四糸乃・・・遅くなってごめんな。怖くて辛かったのに、助けてあげられなくてごめんな。

 

でもほら、約束通りよしのんは見つけたぜ。まぁ、見つけてくれたのは俺の仲間なんだけどさ」

 

士道は仰向けになってよしのんを口をパクパクとさせたり、よしのんの手を動かしたりして、四糸乃によしのんを見せていた。

 

その様子を見た四糸乃は、最初はポカンとしていたが、言葉と現状を理解して・・・泣き始めた。

 

「う、うえぇぇぇ・・・・・・」

 

「よ、四糸乃!?大丈夫か?俺、何か悪いこと言っちゃったか?」

 

「違・・・います・・・。来て、くれ・・・嬉し・・・くて・・・!」

「そうか・・・」

 

四糸乃はすぐに士道にお礼を言った。

 

「あり、がとう・・・ございます・・・。よしのんを、助けて・・・くれて」

 

四糸乃は涙を流しながらも、その表情は笑顔だった。

士道は四糸乃の笑顔を取り戻せた事に、心から喜びを感じて、士道も自然と笑顔になっていた。

 

「次は・・・四糸乃。お前を救う番だ」

「え・・・?」

 

士道は上半身を起こして、四糸乃と正面から向かい合う。

 

「四糸乃を救うって言ったけどその為には、俺と四糸乃がキスをする必要があるんだ」

 

「・・・士道、さん・・・・・・キスって・・・・・・なん、ですか?」

 

「あ、ああ!唇と唇を合わせる事で」

 

四糸乃は士道が伝えた通り、自分の唇を士道の唇にそっと重ねた。四糸乃がいきなりキスをしたことに士道は驚いた。

 

「よ、四糸乃!?」

「ち、違い・・・ましたか?」

 

四糸乃は可愛く首を傾げていた。

 

「いや・・・・・・違わないけど」

 

四糸乃は涙を拭いて、士道に近くに座る。

 

「士道、さんの・・・言葉なら、信じます」

 

四糸乃は恥ずかしそうにモジモジとしながらも、士道を信じて行動した。

 

その時、四糸乃の体は光に包まれ、纏っている礼装と近くに座り込んでいだ氷結傀儡が光を放ち、消えていく。

 

「・・・!?」

 

四糸乃は一糸纏わぬ姿になり、氷結傀儡も完全に消滅した。

 

顔を赤くして腕を組んで胸元を隠す四糸乃に、士道は自分の上着を四糸乃にそっと肩からかけた。

 

そして、空を覆っていた暗雲は払われ、凍り付いていた天宮の街もすっかりと元どおりになっていた。

 

雲の割れ目から、暖かい太陽の光が差し込み、二人を優しく照らす。更に、二人の前に大きくて綺麗な虹が掛かっていた。

 

「暖かくて・・・綺麗、です・・・」

 

恐らく初めてであろう、日の光がもたらす温もりと虹の綺麗さに感嘆の言葉を言う四糸乃。士道は四糸乃の頭を優しく撫でる。

 

すると、栞達が士道の所に駆け寄る。十香も一緒にいる。

 

「シドー!大丈夫か!?」

「士道君!」

 

「士道!」

「あらあら、中々な光景ですわ」

 

「ひぅ・・・!?」

四糸乃は急に知らない人が四人もやって来た事に驚いて、士道の背中に隠れてしまう。

 

「大丈夫だ。この人達は俺の仲間で、四糸乃の味方だよ」

 

「おぉ、お前が四糸乃だな!私は十香、四糸乃と同じ精霊で士道に救われた者だ」

 

「私と・・・同じ・・・?」

「うむ!」

 

十香が四糸乃に挨拶をしていると、折紙と栞が士道の頭にチョップした。

 

「痛っ!?」

 

「これは、私達にいっぱい心配をかけた分!」

「それと、琴里ちゃんの分だよ!」

 

「本っ当にごめんなさい!」

皆に頭を下げる士道。狂三はクスクスと笑っている。

 

 

すると、狂三は鋭い目付きになって士道の後ろを見る。

 

士道が狂三の様子に気付いて後ろを見ると、そこにはグラファイトがいた。

 

 

「更に精霊を救った様だな、エグゼイド」

「・・・グラファイト。自分から来てくれるとは、探す手間が省けたぜ」

 

士道は立ち上がり、折紙と栞と狂三は士道の横に並ぶ。

栞から預けていたゲーマドライバーとガシャットを返してもらい、四人はゲーマドライバーを付けた。

 

十香は四糸乃を庇うように、四糸乃の前に立ち鏖殺公を構える。

 

四糸乃もグラファイトに怯えるが、士道が四糸乃に言う。

 

 

「大丈夫だ。あいつは俺達がやっつける」

 

「やっつける・・・か。その台詞、お前達に返してやる。今度こそ、お前達仮面ライダーを・・・そして精霊を殺す。バグスター繁栄の為に!」

 

「グラファイト、四年前の決着を付けましょう・・・薫さんの仇ですわ」

 

「私も戦う。お姉ちゃんの為に」

「グラファイトのウィルスで苦しむ人々を救うために」

 

「そして、四糸乃を守る為に!」

 

「決着を付けよう」

 

 

グラファイトは、プロトドラゴナイトハンターZガシャットを起動、それをバグヴァイザーに入れてAボタンを押しグリップと一体化させた。

 

 

《ドラゴナイトハンターZ!》

 

「培養!!」

 

《INFECTION!》

 

《Let's Game! Bad Game! Dead Game! What's Your Name!?》

 

《THE BUGSTER!!》

 

 

グラファイトは怪人態になった。そして、士道はドラゴナイトハンターZガシャットを起動した。

 

すると、仮想ガシャットが三つ出現し折紙、栞、狂三の手に渡った。

 

士道は『S』の人格になり、ガシャットを構えて言う。

 

 

「四糸乃の運命は・・・・・・俺達が変える!!」

 

 

力強く宣言し、それに同意するように皆がガシャットを起動する。

 

 

《マイティアクションX!》

《ファング!》

 

《タドルクエスト!》

《ブレード!》

 

《バンバンシューティング!》

《ガン!》

 

《爆走バイク!》

《クロー!》

 

変身用とドラゴナイトハンターZガシャットを起動し、ドライバーにセット。そしてレバーを開いて四人同時にレベル5に変身した!

 

 

「第五!」

「ステージ5!」

 

「第伍弾!」

「フィフス・ギア!」

 

 

「「「「変身!!」」」」

 

《アガッチャ!ド・ド・ドラゴ!ナ・ナ・ナ・ナイト!ドラ!ドラ!ドラゴナイトハンター!!》

 

《エグゼイド!》

《ブレイブ!》

 

《スナイプ!》

《レーザー!》

 

ハンターゲーマのパーツが分解され、エグゼイドにはドラゴンの頭がそのまま残る。

 

ブレイブには右腕の剣と右足装甲が付く。

 

スナイプには左腕のガンと左足装甲が付く。

 

レーザーには両腕の武器と両足の装甲が付いて人型になる。

 

四人の仮面ライダーがレベル5にレベルアップした!

 

 

「行くぜ!」

 

四人同時に駆け出す。グラファイトも双刃と短剣を持って士道達に挑む。

 

四対一で始まった戦い。ドラゴナイトハンターZ、最大四人でドラゴンを倒すハンターゲーム。今まさにその通りの戦いが行われていた。

 

 

士道が頭の連続噛みつきで攻撃する。グラファイトは全てを武器で防ぎ凌ぐ。

 

その流れでライダー達から少し離れ、双刃からエネルギー斬を放つ。

 

それは折紙の剣で全て斬り落とされ、すぐにしゃがむと折紙の後ろにいた狂三がエネルギー弾を連射。

 

それは全てグラファイトに命中。ダメージを受けて怯んだグラファイトに、折紙が低姿勢のまま走ってグラファイトの腹元に入って剣で一閃!

 

栞がジャンプして接近し、ガンでダメージを与えて着地してから剣で連続で斬る。

 

グラファイトは黒い光を短剣に纏わせて、エネルギーを高めてい斬撃を放つ!

 

四人はそれを避ける。士道が素早く接近して、尻尾を大きくしてそれを鞭のようにふるいグラファイトを吹っ飛ばす。

 

宙に吹っ飛んだグラファイトに狂三と栞が銃撃を当てて、更に士道と折紙がグラファイトの所までジャンプして踵落としで地上に叩き落とす!

 

そして、四人同時に衝撃波を放ち、グラファイトを後ろにまで吹っ飛ばした!

 

 

「バカな・・・この俺が!レベルアップした俺が!?」

 

「凄いな・・・!」

「はい・・・かっこいい、です・・・」

 

十香と四糸乃は仮面ライダー達の勇姿を心に刻むように見ていた。

 

 

「皆・・・・・・決めるぞ!」

 

士道の言葉に従い、ドラゴナイトハンターZガシャットを抜いて、キメワザスロットに入れてスイッチを二回押す。

 

 

《ガシャット!キメワザ!》

 

《DRAGO KNIGHT!CRITICAL STRIKE!!》

 

四人が同時に必殺技を発動。同時に高くジャンプし、四人並んでエネルギーを纏ってキックの体制を取りグラファイトに向かっていく。

 

途中、四人が一つになり大きなドラゴンの姿になる。そしてそれはグラファイトに向かっていく。

 

グラファイトは雄叫びを上げて、両手の武器に全てのエネルギーを込めて斬りかかる。

 

ぶつかり合い、勝ったのはライダー達だった。グラファイトに四人のキックが命中。グラファイトは大きく吹っ飛ばされ・・・地に落ちて・・・。

 

「仲間達よ・・・すまない・・・」

 

心から申し訳ない気持ちで他の仲間達に謝罪して、グラファイトは遂に倒され大きく爆発した。

 

 

《GAME CLEAR!》

 

音声と共に、ゲームの絵と、GAME CLEARの文字が出てきた。

 

プロトドラゴナイトハンターZガシャット入りのバグヴァイザーと、ファンガイア製の短剣は遠くへ飛んでいった。

 

それらはパラドが回収した。

 

「お疲れさん、グラファイト。お前の分もやってやるから・・・ゆっくり休め」

 

パラドは心からの労いの言葉を言い、静かに去っていった。

 

 

士道達は変身を解いて、グラファイトが散った場所を見つめた。

 

また、CRからグラファイトが倒された事で恭太郎を含む、多くのウィルス感染者からウィルスが消滅。全員が救われたという連絡が入った。

 

「終わりましたわ・・・・・・薫さん」

「お姉ちゃん・・・・・・」

 

狂三と栞は、グラファイトとの戦いで散った薫の事を思っていた。

 

「シドー、やったな!・・・・・・シドー?」

「士道・・・さん?」

「士道君?」

 

返事のない士道。士道はとうとう限界を迎え、倒れてしまい、意識を失った・・・。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

三日後。天宮総合病院の病室。

 

 

三日経ってようやく目を覚ました士道。やはり今回は相当無茶をしたのだ。

 

制御できなかったハンターゲーマの負担。グラファイト戦でのダメージ。

 

それが完全に癒えていない状態でライダー三人と戦い、氷の塊が吹き荒れる吹雪の結界の中を走り、そしてグラファイトと決着を付けたのだ。

 

体にかなりの疲労やダメージが溜まっていて、目を覚ました後も、一週間程は安静にすることが絶対となってしまった。

 

見舞いに来た琴里にはかなり怒られたが、最後には士道が無事だった事に安心して泣いてしまった。

 

士道は琴里を優しく抱きしめて、頭をそっと撫でたのだった。

 

四糸乃はその後、フラクシナスの一室で過ごしており、よしのんも一緒である為に精神も安定しているが、士道に会いたがっているらしい。

 

十香や折紙に栞に狂三。更に令音や神無月に、川越等の他フラクシナスのクルーも見舞いに来てくれた。

 

そして今、美九が見舞いに来ている。

 

 

「あのですね、だーりん。私も今回は無茶をたくさんした、だーりんにプンプンですよぉ。

 

でも、だーりんは確かに四糸乃さんを助けたのですね。私から見ても四糸乃さんは良い子ですよ」

 

「・・・そうか。で、他に言うことは?」

 

「あんなに可愛い美少女がだーりんのハーレムに加わって、私も嬉しいです!」

 

「やっぱり・・・・・・っていうかハーレムって・・・」

「もちろん、私もだーりんのハーレムの一員ですよぉ。だーりん、だーいすき!」

 

「あ、ありがとう・・・」

 

美九が士道に甘え抱きつき、士道は甘えながらもお礼を言った。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

士道が四糸乃を救出してから一週間後。士道が退院して自宅に戻った時。

 

五河家の隣には、巨大なマンションが建設されており士道は驚きのあまり、大声で叫ぶ。

 

「な、なんじゃこりゃあ!!?」

 

 

士道の隣にいた琴里は士道に言う。

 

「これは精霊専用の特殊住居。精霊が住むために強度は数千倍を誇る上、生活に必要なのは全て揃っているの。ちなみに、十香は昨日引っ越しを終えたわ」

 

「すげぇ・・・・・・」

 

 

すると青いワンピースを着て頭には白い帽子をかぶり、パペット・・・よしのんを手に持った少女・・・四糸乃が士道の所にやって来た。

 

「士道・・・さん。退院、出来たんですね・・・」

 

「四糸乃とよしのん、今日からこのマンションに住むのか?」

 

 

「・・・は、はい。よろしく・・・・・・お願いします」

 

「この前はありがとね士道くん。こうして話すのは初めて会った神社以来だね!お陰で四糸乃と再会できたし、お礼を言いたくて」

 

「お礼なんて必要ない・・・・・・こうして四糸乃が普通の女の子のように暮らせるようになって、本当に良かった」

 

「・・・全部、士道さんの、お陰です・・・。本当に・・・・・・ありがとう、ございます・・・」

 

「ありがとね、士道くん!」

 

四糸乃とよしのんは、士道にお礼を言う。そして、四糸乃は勇気を出して、伝えたい事を伝えた。

 

 

「士道さんは・・・よしのんと同じ、私の・・・・・・ヒーロー、です」

 

顔を赤く染めながらも、優しい笑顔で。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

同時刻、幻夢コーポレーション社長室。

 

「全テストを完了し、データ収集も終わった。後は、このガシャットを完成させる。それによって、計画の第一段階は完了だ」

 

 

黎斗の手には、白いガシャットが握られていた。下部は白く、上部の模様が他のガシャットと異なる。

 

パソコンのモニターには、ドラゴナイトハンターZを使用しての戦闘データが表示されている。

 

「心が踊るな。そのガシャットの完成が楽しみだ」

 

パラドの言葉に黎斗はフッと笑い、白いガシャットを専用の機械に入れてパソコンを操作していく。

 

レベル5を含む、これまでのガシャットを用いてのデータが利用され、白いガシャットは完成に近づいていく。

 

 

「計画第一段階は、いよいよ最終フェーズへ移行する」

 

 

士道達が精霊や患者達を救っていく中、黎斗の計画も進んでいた・・・。

 




次回予告

檀 黎斗が動き出した。己の野望の為に士道達を利用し、士道達と戦い、そして・・・。


第七話 明かされるAmbition!


「全て・・・・・・私の計画通りだ!」

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